それは、赤い月が浮かぶ不気味な夜だった。
狂ったような笑い声、次々に起きる爆発。その傍ら、ジュニアカレッジの女子生徒が泣き叫ぶ。
よく見ると彼女の左腕は無惨にももぎ取られており、その内部からは千切られた配線が火花を上げていた。
すなわち、彼女がロボットであるということを示していたのである。
そしてもぎ取った女子生徒の左腕をひと舐めして悦に入るネコ形のロボットが一人。
「へへへ…安心しな、殺しはしねえ…お前はその泣き叫ぶ顔がカワイイからなぁ…じっくりいたぶって楽しんでやるぜぇ…」
その時である!
一瞬の閃光とともに、ネコ形ロボの顔面に強力なキックが入ったのだ!!
「がはっ…なっ、なんなんだテメェは!」
「そのコにこれ以上手をかけるなら容赦なしだぜ、テメー」
ネコ形ロボが振り向いた先には、中華風の衣装に身を包んだイヌ形ロボが立っていた…
「ロボット兵器取締法違反…破壊活動取締法違反。ならびに傷害罪…こりゃあどうしようもねえな…」
「て、テメエ…」
ネコ型ロボの両足が開き、隠されていた重火器が露わになる。
「なァめてンじゃねえぞぉ!警察のイヌがぁっ!!」
しかしそのイヌ形ロボには当たらない。軽い身のこなしで全弾回避してみせたのだ。
腕に先ほどの女子生徒を抱えているにもかかわらずである。
「…と、あとは公務執行妨害か…」
そう呟くなり、付近に止まっていた警察車両のもとへ向かい、女子生徒を預けると…
イヌ形ロボは一気に相手めがけて走り出したのである。
「じゃあ、ここでオレに殴り倒されても文句は言えねえよな!」
「くっ…!?」
ネコ形ロボは両腕のクローを振りぬくがイヌ形ロボには通じない。
それどころか、逆に掴みかかられ、顔面に思い切りパンチを喰らい後方へと飛ばされたのだ。
「これでお前は御用だぜ、クソガキ。ロボット病院でその
そう言いながら、イヌ形ロボは相手に歩み寄り、取り押さえようとしたが…
「うわ!?くっ…EMPと煙幕か…」
煙幕が晴れたとき、そのネコ形ロボはどこへともなく姿を消していた…
しばらくして、イヌ形ロボは先ほどの車両の近くまで戻ってきた。
「うう…腕が…あたしの腕が…ひっく…」
泣きじゃくる女子生徒ロボ。その頭をひと撫でしながら、イヌ形ロボは言った。
「大丈夫だ、この程度の損傷ならな。新しい腕を作ってもらえばいいさ」
「……あの…助けてくれてありがとうございます…」
その一声をかけられたイヌ形ロボは一瞬ハッとしたが、すぐに答える。
「…ウーファだ。
そう名乗ったイヌ形ロボ…ウーファは、再び女子生徒の頭を撫でるのであった。
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なんかすごそうな悪役がきてたので(http://www.tinami.com/view/380053 )、ちょっとでっち上げてみました。
キャラがぶっ飛んでて面白そうだったんで、ウー(http://www.tinami.com/view/379510 )のライバルってことにしてみたけど大丈夫なのかなあ。
あ、何気にこの企画への文章投下って初だ。