No.379490

人間造形師

遠邇さん

引き受けたものは

2012-02-17 22:48:26 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:337   閲覧ユーザー数:337

 

                            荒削りの装飾で

                         アンタの周りは埋まってる

                         隅に開いた穴は放っとくんだな

                        聞けばそれはいい通気口なんだと

                         誰かが追加の色を吹き込むから

                         永遠に終らないものになると

                           眠そうな顔でまた一筆

 

                          オレがつく溜め息は

                          アンタの爪の色を嗤うから

                          アンタは度々傷付きながら

                          それでも身体で絵を描いた

 

                          あるときオレは呟いた

                       それも世界の果てが来るまでだろう?

                          嫌味と気付いて色が爆ぜる

                          どの世界の終わりなんだか

 

                          アンタは白い顔をして

                        バケツに溜まったヘドロを流す

                         浮かんだ玉は剥がれ落ちた

 

                           オレは知ってる

                         置き去りのアンタの本心

                        オレは摘んでアンタに載せた

                          落とせない箇所なんだろ

                           ガラスの窓の皹がほら

                          これで大地が冴えるだろ

 

                         アンタは震える手を噛んで

                          空に暁光の一筋入れた

                         聞けばこいつが黒く滲んで

                        オレの望んだ終わりをくれると

                           オレが望んだ?

 

                           虚ろな闇が滲み出た

                          落とした刷毛で追い払う

                         黄色い悲鳴が周りを這って

                          気付けば俺は座ってた

                           暗褐色の(イーゼル)

                        茶染みたあんたの背中(キャンバス)もなくて

                          影が混沌に渦巻く絵肌に

                          何かの破片が散っていた

 

                         オレはアンタの場所に居た

                         オレの手に握られたのは筆で

                         確かにその(パレット)はあった

                            あったけど……

 

                              なぁ

 

                          アンタは、何を使って

                          何を……描いてたんだ?

 


 
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