#67
拠点 沙和
今日も今日とて散策の日々。一刀は街へと繰り出し、いつものように散策をする。屋台の店主に声をかけられれば肉まんを購入し、困っている食事処の店主がいれば、新しいレシピを教えたりと、いつもと同じ行動を続けていた。そんな道中――――――
「あー!阿蘇阿蘇に乗ってた新作が出てるのー!」
「ん?」
とある服屋の前を通りがかったところで、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「えっ、こんなにするのー!?おじさん、少しだけまけてくれない?」
「そうは言いましても、先日入荷したばかりの新作ですので………」
「お願ーい!今月の沙和のお給金、ちょっとやばいのー」
「于禁将軍、困ります……」
そしてその声の主の名前を耳にし、一刀は溜息を吐いた。
「お願いなのー!沙和、どーしてもこれが欲しいのーっ!」
「そのくらいにしておけ、沙和」
「ふぇ?」
店の中に足を踏み入れた一刀は、入り口のすぐ近くにある新作のコーナーで駄々をこねる少女の肩に、ポンと手を置いた。
「あー、一刀さんなのー。今日は、風ちゃんと一緒じゃないの?」
「あぁ、風は稟たちと内政に手をつけてるよ」
「ふーん」
一刀の姿を認めた沙和は、先ほどの困った顔も忘れて、世間話を始める。が、すぐに件の服を思い出し、今度は店主ではなく、一刀に近づき、そしてその腕にぎゅっとしがみついた。
「えへへー、一刀さん。お願いがあるのー」
そして上目遣いで―――沙和にとってはだが―――最高のキメ顔で一刀に甘い声をかける。
「駄目だ」
「まだ何も言ってないのー!?」
「どうせ買ってくれ、って言いたいんだろう?駄目だよ」
「お願いなの!沙和、この子がいないともう頑張れないのー!」
「はいはい」
だが、一刀には通じない。彼は沙和を宥め、店主に一言謝ると、彼女を連れて店を出るのだった。
「んー、やっぱりここのお菓子は美味しいのー」
「そうか、そりゃよかった」
それから、一刀と沙和の姿は大通りに面した茶屋にあった。沙和はお茶菓子に満面の笑みを浮かべ、一刀はそれを見ながら茶を啜る。
「でもいいの、御馳走になっちゃって?」
「さっきはもっと高いものを買わせようとしたくせに、よく言うよ」
「えへへー、ありがとー。お礼に、ひと口あげるのー」
まったく現金な奴だよと呟きながら、沙和が差し出す、左手を添えられたレンゲに食いつく。
「お、確かに美味いな」
「でしょー?このお店も阿蘇阿蘇に載ってたの」
「またそれか……」
いわゆる今時の女の子に苦笑しながらも、再び幸せそうな顔でお菓子を頬張る姿を、一刀は微笑ましく思う。
※
「それで、一刀さんは今日お休みなの?」
お菓子もしっかり食べ終え、お茶を啜りながら沙和は尋ねる。
「そうだよ。沙和もか?」
「うん。凪ちゃんと真桜ちゃんと、1日ずつずらしてお休みを貰ってるの」
「警備隊長が3人同時に休むわけにはいかないもんな」
確かにと、一刀は頷く。でもなかなか一緒に遊べないのーと、沙和は少し残念そうな顔をするが、そういえばと、再び質問をする。
「一刀さんって他の服は持ってないの?」
「服?」
「うん、いつもその恰好なの。連合の時の白い服は、恋ちゃんにあげちゃったんだよね?もっと一刀さんもお洒落した方がいいと思うの」
「そうか?」
言われてみれば、一刀の服はあまり変わり映えがしないものばかりだった。フランチェスカの制服の上着を恋に渡している為、それもない。いまの彼の服装は、その制服のズボンに、Tシャツというラフな格好だ。最近買った服といえば、服屋に頼んで仕立ててもらった、数枚のTシャツくらいだ。
「絶対そうなの!一刀さん、街の服屋さんに女の子用の服の意匠は教えるのに、自分のことなんて気にもしてないのー」
「んー…俺は着やすければそれでいいんだけどな」
言葉の通り、彼は服装には無頓着だった。今着ているような服以外は、せいぜいが鍛錬用にあつらえた、元の世界でも使っていた道着のようなものくらいだ。
どうしたものかと一刀が悩んでいると、ふいに沙和がパンと両手を打ち鳴らし、彼に告げた。
「決めたっ!今日は、一刀さんの服を買いに行くのー!」
「………え?」
「一刀さん、次はこれなのー」
「へーい」
沙和に引き摺られ、一刀はさきほどの店に来ていた。やはり先ほどの服を買うのだろうかと店主は思ったが、実際に彼らが向かったのは、男物の服を扱っているコーナーだった。
「うーん、なんか違うのー。じゃ、今度はこっち」
「へーい」
ハンガーごと胸に当てていた服を奪い取り、沙和は次の服を一刀に渡す。だが、彼女の琴線に触れるようなものはなく、既に20着以上の服を合わせている。
「やっぱり違うのー。もー、一刀さんの身体はわがままなのー」
「誤解を招きそうな物言いだな」
そうしてさらに30分が過ぎ。
「じゃぁ今度は………って、あれ?」
「どうしたんだ?」
「もう服がないのー」
見れば、棚に残っているのはすべて試し済みの商品ばかり。本当にすべてを試してしまったようだ。
ようやく解放されるかと一刀は安堵の息を吐く。が、それを許さない者がいた。
「どーしよう。ここよりいいお店はないのにー」
「でしたら、北さんがご自分で意匠を考えればよいのでは?」
「は?」
店の主人だ。
「えぇ。以前からよく新しい衣装を教えてくださるではありませんか。ご自分で考案してみるのも手ではないかと」
「いやいや、俺はそんなに――――――」
「それ、採用!おじさん、紙と筆を用意して、なのー」
「どうぞ」
「はやっ!?」
店主の案を沙和が採用し、沙和の要請に店主は即時に応える。彼としては、男ものの意匠を考案して貰い、新たな客層を開拓するつもりだった。
「それじゃ、一刀さん。一緒に考えるのー」
「え、沙和も考えるの?」
店主には自分でと言われていた為、無難なものを作ろうと思っていた一刀だったが、
「だって一刀さんに任せたら、今と同じような服になりそうなの」
沙和にはお見通しだった。
※
「でも、やっぱり動きやすいのがいいよな」
沙和と店主に加え、彼の事を知る店員にすら勧められ、結局一刀は協力をする気になった。店の奥にある作業場を借り、沙和と2人で新しい衣装を考える。
「なぁ、沙和。下はこれと同じようなのでいいよな?」
「無地かぁ………うん、色違いなら許すのー」
沙和の許しを得て、彼はまず下履きの意匠を紙に描いていく。とはいえ、現物はここにあるのだ。それほど難しい事でもない。まず外側を描き、ベルトを通す部分も描き加える。裏側にはちゃんとポケットを作って貰えるよう、注釈も加えた。
「じゃぁ、上着だな。何かいい案はあるか?」
「んー…この服屋さんは、この街で1番お洒落なの品揃えしてるの。男物は少ないけど、他のお店はもっと少ないしー……」
沙和は、両手の指を絡ませ、眉尻を下げながら困ったように考える。お洒落好きの彼女が言うのだ。きっとそうなのだろう。彼も困ったように考える。元の世界にいた頃は、服装などまったく気にしていなかった。制服と道着、それからまぁ、無難なデザインの服ばかりを着て、ファッション誌も読まない彼に、お洒落なデザインなど思いつくはずもない。
「ねぇねぇ、一刀さん」
「ん?」
と、沙和が何かを思いつき、口を開く。
「天の国の人って、みんな一刀さんが前に着ていたような服を着てるの?」
「いや、そういう訳じゃないよ。あれは私塾みたいなところだけで着る服だからな」
「じゃぁ、一刀さんが知ってる服ってどんなのがあるの?」
「そうだなぁ……」
言われて、一刀は腕を組んで目を閉じる。元の世界の事を考えるのは久しぶりだ。彼はかつての自分の日常を思い出し、そこで見る人々の服装を脳裏に浮かべる。
「………こんなのかなぁ」
言いながら、彼は紙に服を描いていく。別の高校の制服、祖父の正装、一応自分が持っていた私服――――――。
なんとか記憶を辿りながら筆を走らせ、そして、とある服装を描いたところで、
「これなのーっ!!」
沙和が目を輝かせて叫んだ。
――――――1週間後。
一刀と沙和は、先日も訪れた服屋に向かっていた。あの時頼んだ意匠の服が出来がるのが、今日だったからだ。
「楽しみなのー。きっとすごく、すっごーく似合うと思うのー!」
「ぶっちゃけ恥ずかしいんだがな」
「そんな事ないよー!一刀さんはもっと自信を持った方がいいの!!」
「難しいなぁ……」
そんな会話をしながら2人は街を歩き、そして目的地に到着する。
「おじさーん、出来てるー?」
店に入り、開口一番そんな事を叫ぶ沙和に、店主がにこやかに返した。
「えぇ、お待ちしておりました。いやぁ、女性ものの服を作るのも楽しいですが、今回の服はそれ以上の楽しさがありましたよ。北さんも感謝します」
「はぁ……」
なんとも言えない表情で返事をしながら、奥から包みを持ってやってくる女性店員に目を遣る。彼女もすでにそれを目にしたようで、ニコニコと彼に包みを渡した。
「では、どうぞお召しになってください」
「うん、さっさと行くの!」
「へーい……」
沙和に背中を押され、一刀は試着室へと入った。
包みを広げて、備え付けのハンガーに上着を掛ける。
「………よくもまぁ、ここまで再現できるものだな」
どのような素材を使ったかは分からないが、それでも一刀の知るそれに、その服は合致していた。
腰のところで僅かにくびれの出来るその服には、木を削って作ったボタンがひとつ、ついている。そのボタンの少し上にはしっかりと折り目がつき、折り返された場所から上がるにつれてそれは広がり、襟までつながっている。
別のハンガーに掛けたインナーは真っ白で、こちらは6つほど、上着よりも小さなボタンがついていた。糊でも使っているのか、パリッとしたそれは、思ったよりも着心地が良さそうだ。
下は上着と同じ布を使っており、デザインとしては一刀の制服のそれと似ている。しっかりと上から下まで真っ直ぐに折り目がついていた。
最後に包みに残ったものは、彼に溜息を吐かせる。形で言えば、六角形。だがそれは細長く、一刀には用途がひとつしか思いつかなかった。
「………………着るか」
閉じられた空間で誰にともなく呟き、一刀は着替えを始めるのだった。
※
「で、どうだったのー?お店の新作として売れそう?」
「そうしたいのは山々なのですが、値段が高くなりそうでして」
「そうなんだー」
「まぁ、見本を作って、注文があればその都度制作するという感じになるでしょうね」
試着室の外でそんな会話をしていると、一刀の声が届いた。
「終わったぞー」
「終わった?じゃぁ、開けるのー」
「いいけど、笑うなよ?」
だーいじょうぶと笑顔になりながら、沙和はカーテンを開き、
「………………どうだ?」
「………………………………………」
絶句した。
「えと……沙和?」
一刀の目に映る沙和は目を見開き、口をぽかんと開け、ただただ彼の新しい衣装に見入っていた。
「きゃぁぁぁあっ!!すっごいの!一刀さん、すっごーーーく、カッコいいのー!!」
そして絶叫。きゃぁきゃぁと歓喜の声を上げる沙和は、もはや一刀など見ていなかった。彼女の叫びに振り返った女性客ひとりひとりに声を掛け、似合ってるでしょ?カッコいいでしょ?などと自慢している。
「おーい、沙和ー。騒ぎ過ぎだぞー」
「よいではないですか」
沙和に声を掛けようとして出来ていない一刀に、店主が歩み寄った。
「ほら、他の方を見てください。皆さん、北さんに見入っておりますよ」
「そうか?初めて着るから変な感じなんだがな……」
「そのうち慣れますよ」
いまだ騒ぐ沙和に溜息を吐きながら、一刀はそんなものだろうかと考えるのだった。
ようやく落ち着きを取り戻した沙和が最初に行なったのは、一刀の手をとる事だった。
「一刀さん、行くの!」
「へ?」
「おじさーん、代金はあとで払うから、今だけ一刀さんを借りてくのー!」
「はい、お待ちしておりますよ」
にこやかに笑う店主と店員に見送られ、一刀は沙和に腕を引かれていく。
「一刀さんは此処で待ってるの!」
「へ、此処?」
城に戻ってきた沙和は、門をくぐろうとする一刀を押し留めた。
「ちょっと準備するから、いい子にして待ってるの!そこのウジ虫ども!このいけめん野郎を絶対に入れるな、なのー!!」
「「サー、イエッサー」」
どうやら、今日の門番たちは沙和の調練を受けた兵らしい。彼女の罵声に直立不動で返事をし、一刀の胸の前で槍を交差させた。
「それじゃ、すぐ戻ってくるのー」
言って、沙和は城内に掛けて行った。
15分ほど待っただろうか。彼女は両手に荷物を抱えて戻ってくる。
「はい、一刀さん!」
「俺の刀?」
彼女が持っていたのは、一刀の私室にあるはずの日本刀だった。
「じゃぁ、これを挿す!」
「………へーい」
何を言っているのだと思いながらも、その真っ直ぐな眼には抗えない。一刀はベルトを穴1つ分緩めると、2本の刀の鞘をベルトに挿した。
「うん、やっぱりこれがないと、なのー。じゃぁ行っくよー!」
「お、おいっ!?」
そして、沙和は一刀の手を引いて、再び走り出した。
「ちょっとだけ、外で待ってて、なの」
「………『ここ』で?」
連れてこられたのは、城内の中央にそびえる玉座の間。その入り口で彼は再び押し留められる。彼の問いに返す事無く、沙和は扉の中へと入った。
「なんだって言うんだ?」
※
玉座の間に入った沙和に声がかかる。
「それで、沙和。緊急事態と言っていたけれど、何があったの?」
声の主は扉の真正面、荘厳な椅子に腰かけている。
「それはもう、凄くすっごーく緊急の事態なの!」
「それを説明しなさいって言ってるんでしょ!」
その隣の少女が、目をつり上げて叫ぶ。
「もー、桂花ちゃんはせっかちなの。じゃぁ、今から連れてくるけど、みんな、気を失っちゃダメだからねー?」
皆が浮かべる疑問の視線を受け流し、沙和は再び扉を開いた。
※
「お待たせー」
わずかに開かれた扉の隙間から、沙和が顔を出した。
「もういいのか?」
「うん!じゃぁ、一刀さん。キメ顔で入って来るのー」
「キメ顔ってなんだよ……」
「真面目でキリっとした顔でいるの。わかった?」
「………………頑張るよ」
そして、一刀はようやく最後の扉をくぐる。
「お待たせ、なのー」
「お待たせ………って、え?」
建物の中に入り、一刀は絶句する。
正面には城の主である華琳。その右側には筆頭将軍である春秋姉妹。左側には軍師の3人。玉座の少し後ろには親衛隊の長である2人の少女。そして玉座までの道の片側には、沙和の親友が2人立っている。
『………………………………………』
だが、誰も口を開かない。みなが、先ほど服屋で沙和が見せた表情をしていた。目を丸く見開き、口をぽかんと開けたまま、固まっている。荀彧や、華琳でさえも。
「………なぁ、みんなどうしたんだ?」
「えへへー。みんな、一刀さんがカッコ良すぎて見惚れちゃってるのー」
「んな、まさか―――」
何をバカな事をと、一刀は一番近くにいた少女に声をかける。
「―――なぁ、凪?」
「………………………………」
「あれ?………………真桜?」
「………………………………」
その隣の少女も、普段のにぎやかさを失っていた。
「季衣、流琉……?」
「「………」」
「春蘭、秋蘭?」
「「………」」
「風、稟?」
「「………」」
「華琳、助けてくれ………」
「………」
「荀彧はそんな事ない…よな?」
「………」
あろうことか、華琳も応えない。荀彧もしばし自失していたが、元来の男嫌いが彼女の意識を呼び戻す。
「………はっ!?あ、あぁ、北郷ね。どうでもいいわ。というか沙和っ!いったいどういうつもりよ!?」
ようやく動き出した状況に、他の者たちも己を取り戻した。
「アンタが緊急事態って言うから、こうやって皆集めたのに」
「1着しか作れなかったけど、よく出来てるの。それに、凄くかっこいいの!これはもう、凄い緊急事態なのー!」
「なに馬鹿な事を言ってるの!北郷如きの服装に、この忙しいなか緊急事態だなんて嘘を言って………華琳様も何か言ってやってください!」
まったく悪びれない沙和に、桂花は助けを求める。
「その通りよっ!」
そして華琳も叫ぶ。ほら見たことかと、荀彧はほくそ笑んだ。
「沙和…貴女はなんて愚かなの………」
「う、うぅ………」
荀彧の望み通り、華琳は沙和を叱咤する。だが、愚かとは言い過ぎだ。堪らず一刀が止めに入ろうとする。
「おい、華琳!それは言い過ぎ――――――」
「なんで1着しかないのよっ!」
「「………は?」」
だが、入ろうとしただけだ。予想外の言葉に思わず呆けた声が出た。初めて、一刀と荀彧の思考が心の底から一致する。
「一刀っ!」
「は、はいっ!」
そして呼びかけられ、声が上擦った。
「それは貴方の国の服なのかしら?」
「あ、あぁ。スーツって言うんだが………」
そう、彼の新しい服はスーツだった。シングルのツーピース。袖口には、沙和の質問に答えることよって作る事となったカフス、ネクタイはジャケットやスラックスと揃いの黒だった。
「その『すぅつ』というのは、意匠はそれだけなの?」
「いや、部分部分によって、色々と変えられるけど………」
その言葉を聞き、華琳はばっと立ち上がる。その余りの勢いに、皆が何事かと彼女に視線を向けた。そして、彼女は告げる。
「桂花、稟、風!」
「はいっ!?」 「はい」 「はいー」
「私はこれより1週間の休暇を取るわ!緊急の時を除いて、貴女達がそれぞれの裁量で政を行ないなさい」
「えぇっ!?」 「御意」 「了解ですー」
「凪、真桜!」
「「はいっ!」」
「沙和を1週間借りるわよ。警備隊は貴女達2人で回しなさい」
「はいっ!」 「んなっ!?」
「沙和、一刀!」
「はいなのー!」 「………」
「貴方たち2人は、私と共に1週間休みを取り、『すぅつ』の制作にとりかかるわよ。一刀は知り得る限りの意匠を描き出し、沙和はそれを見て、可能な限りの工夫を凝らしなさい。華美になり過ぎては駄目よ。いまの彼の雰囲気を壊すようなものを作ってはいけないからね」
「任せるのー!」 「………」
「秋蘭!」
「はっ」
「1週間城を預けるわ。貴女にまで休めとは言えないけれど、休みの時は私のところに来なさい。共に『すぅつ』を縫い上げるわよ。目標は5着。一刀が日替わりで着るには、それくらいの数が必要だわ」
「御意」
それはあっという間の発令だった。すべてを告げ終えると華琳は歩み出し、一刀の手を取って玉座の間を出て行く。沙和はスキップをしながらついていく。その後ろ姿を見ながら、ある者は一刀が入ってきた時と同じ表情をし、ある者は溜息を吐き、ある者は絶望感を醸し出す。
1週間の後、一刀はスーツの常時着用を義務付けられる。
あとがき
反省はしていない。後悔もしていない。
という訳で、沙和拠点でした。前回よりは若干短いけど、投稿。
拠点書こうと思ったけど、あんましネタが思いつかないので本編と並行して進めていきます。
交互に投稿するかも?………まぁ、未定で。
ではまた次回。
バイバイ。
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こいつはくせぇっ!
厨二のニオイがプンプンするぜぇ!!
………やり過ぎた感はある。だが反省はしていない。