※このSSにおけるルーミアは、非常にやさぐれた性格の持ち主として描かれています
ようじょようじょしたルーミアを期待されている方には、非常に申し訳ありません
一月七日。この日には七草粥なるものを食べる習慣がある。
ということで、仕方なしに。そう、本当に仕方なく、本当は嫌なのにも関わらず、昼間に神社を冷やかしに行ってあげてみた。
そうして着いた昼過ぎの神社は、閑散としていた。巫女の姿すら見えないというのは、何事か。喧嘩を売っているとしか思えない。
そもそも、これは職務怠慢というものではないだろうか?今に始まったことではないので、今更触れる様なこともしないが。
……仕方なく、来た道を引き返す。そもそも、ここの神社、ここの巫女にそんな伝統行事を求めたこと自体が馬鹿だった。
かといって、里の人間に混じって、というのもどうもしっくりと来ない。ならば、妖怪ウェルカムの寺か、神社か……神社は行くのも一苦労だし、寺もどうも好かない。
「で、こちらに来られても困るのですが」
「ここの館主はそういうイベントごとが好きでしょ?」
「まあ、確かに昨日ぐらいにメイド長が七草を集めに行かされてましたが……今日は身内だけでされるつもりらしいですよ?」
「つまり、その身内に門番は含まれていなくて、どうせ来ない客の為、この寒い中立たされている、と」
「うう、そういうことなんですよー……。あなたが来てくれたからまだ救われましたけど、本当に来客もなかったら、一日凍えているだけで……」
「よしよし。ほら、私のリボン貸してあげるから」
「わーい!……って、それ触ろうとしたら、私も思いっきりビリィ!って来るじゃないですかー!」
「……ちっ」
「わざと聞こえる様に舌打ちしないで下さい!」
とまあ、そんなこんなで来たのは、紅魔館。
やっぱり、困った時に頼れるのは身内というか、初出演作を同じくした仲というかで、ここに来てしまう。
で、恒例行事である門番いじり。本当、寒い中ご苦労。
「しかし、ケチケチとした吸血鬼ね。粥の一杯や二杯、振る舞っても良いものでしょ?」
「まあ、確かに……って、お嬢様の悪口を言う訳にはいきませんから!立場上!」
「じゃあ、予定変更。新年だし、門番の仕事は休み、という体で色々と溜まっているのを出してみたら?どうせ、おいそれと不満を吐き出せる相手も居ないんでしょ?」
「うっ……実に魅力的な話ですが……壁に耳あり、障子に目あり、どこで誰が聞いているかわかりませんし、遠慮しときます……」
「そう?まあ、あなたがやめておくと言うならそれで良いけど」
「その挙句、結局落ち着くのは私の所かー!」
「いや、他にどこに行けと」
「変なプライドを守ろうとしないで、適当に里の子供に紛れておけば良いのに」
「プライド?妖怪が人を脅かし、不必要に慣れ合わない。それは赤ん坊でも知っている常識。それに従わず、まるで自分が人間になったかの様に振る舞うのは、妖怪の堕落の第一歩で……」
「あー、はいはい。お説教は良いので、まあ、一杯どうですか?お客さん」
「昼間から飲酒?それは人間でも同じ事の言える、精神の堕落で……」
「あー、はいはい!お粥作りますからね!お客様!」
「わかればよろしい」
結局やって来たのは、妖鳥の屋台。色々と縁があるので、常連でもある。
「ちなみに、この七草粥を食べる七種の節句。一年の無病息災を願う意味もあるけど、お腹を休ませる為でもあるとかないとか」
「そんなにお正月、暴飲暴食した訳?」
「全く。むしろ、冬のこの時期にたくさん食べると、十中八九太るわよ」
「……え゛?」
皮色……じゃなかった、顔色が一気に変わる。全身鳥肌が立っているに違いない。
「良いんじゃない?多少みっともない体の方が、お客さんにも親しまれるでしょ」
「け、けど、それはなんというか、乙女としては……非常にいかんですよー?」
「じゃあ、七草粥を食べて胃を休めて、落ち着いたら運動してみたら?」
「う、うん!そうする!そうしますです!」
「まあ、私は信頼と実績の幼女体型だから、何も心配することはないけど」
「……本当、あんた何歳よ。千行くか行かないかぐらい?」
「さあ?そこらの妖怪に訊いてみたら、昔を知っているのが居るかもね。という辺りで、そのお粥はあなたにどうぞ。お代はツケで」
「あ、ありがと……って、極自然な流れでツケるなー!年明け早々なんだし、ちゃんと金置いてけー!」
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七草がゆは食べたことがありません
あ、小学校の頃、出たかも。ちゃんと七種入ってたかはわかりませんが