No.356044

仮面ライダー×真・恋姫†無双  featそらのおとしもの+  SS大戦MEGAMAX  幕間 地球戦士ハーメラス編+そらのおとしもの編

BLACKさん

新年あけましておめでとうございます。


この作品は劇場版「仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&OOOMOVIE大戦MEGAMAX」を参考に作られたものです。
そのため作品のネタバレになる部分が一部一部あります。ネタバレが嫌な方はご閲覧しないほうがいいことを勧めます。

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2012-01-01 06:33:49 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:1696   閲覧ユーザー数:1647

 

とある世界

 

「ここはどこだ?」

 

一人の青年が山から下りようとしていた。

 

「俺がさっきまでいた場所じゃないのは分かる。地球の声がまったく別物だったからな……」

 

青年はぶつぶつ言いながら山を下りようとする。

しかしその前に……。

 

「なんだ?」

 

青年の前によく分からない白衣の集団が現れた。

 

「お前達、何者だ?」

 

青年の言葉を無視して白衣の集団は何かの計測器を確認していた。

 

「この反応……」

「間違いありません、話に聞いてた通りの男です」

「信じられん数値だ、人間ではまずありえん」

「どうやらあいつの言ってたことは間違ってなかったようだな」

「手前ら、俺の質問に答えろ」

 

青年が白衣の集団に近づこうとした時、白衣の集団は丸薬らしきものを取り出し、それを飲み込む。

すると……。

 

『うおおおおおおおおお!!』

 

白衣の男達の顔色は緑色へと変わっていき、たちまちゴブリンのような姿となった。

 

「変な薬、飲みやがって。まあ、俺の邪魔するってんならなんであろうが、容赦しないぞ。地力転身!!」

 

青年の体は変化していき、土のような鎧が現れ、頭にも同じようなものが現れ、顔を覆う。

体は改造人間のようなたくましい体になり、頭も鎧騎士の被るようなものが出てきた。

 

「地球の戦士、ハーメラス!」

「ぶっ殺してやる!」

 

ゴブリンの一人がそう言って、白衣のゴブリン集団がハーメラスに襲い掛かる。

 

「ふん! やあっ!」

 

ハーメラスは襲い掛かってくる白衣の集団を思いっきり殴り飛ばしたり、蹴り飛ばした。

すると殴られたり、蹴り飛ばされたりした白衣のゴブリンは爆発した。

 

「なっ!?」

「一撃だと!?」

「なんて強さだ!」

「地周旋(ちしゅうせん)!!」

 

ハーメラスが足を使って自分の周りを1回転する。

すると回転した衝撃により白衣のゴブリン達は一気に爆発した。

 

「雑魚が……」

 

ハーメラスは再び山を下りようとする。だがそこに次元の狭間が現れる。

 

「むっ!? どあっ!」

 

次元の狭間の引っ張る力が強く、ハーメラスは飲み込まれてしまった。

 

「あいつはまた別の世界に行ったようです」

 

ハーメラスの様子は遠くから監視していた者が通信機である者と通信していた。

 

「ご苦労だったな。事はそちらの思惑通りに進んでいる」

 

メガネをかけた白衣の男がある者と話していた。その者とはメテイヤーであった。

 

「奴がいなければ怖いものなどない」

 

メテイヤーは祭壇のようなものに置かれているベルトの開いている穴の中に自分が拾った仮面ライダーイービルだった隕石を入れる。

 

「あと一つ、あと一つ隕石の力を持っているものさえあれば……」

「完成しますな、この最強の力が…」

「ふふふふふふ」

「ははははははは!!」

 

メテイヤーと白衣の男は大いに笑うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

THE NEXT EPISODE

 

 

 

 

 

 

 

 

それはある日のことであった。

その日、宇宙から一つの小さな隕石が地球に接近していた。

 

「隕石か」

 

隕石は地上だけでなく、新大陸とされる「シナプス」でも観測されていた。

 

「いつもより大きいようですね」

 

ハーピーの一人がシナプスにいる自身のマスターに尋ねる。

 

「ほうっておけ、どうせこちらには何の影響もない」

 

マスターはそう判断した。

その判断が後に大いなる災いが来る事を知らずに……。

隕石はそのまま地球の大気圏に入った。

隕石は大気圏内で燃え尽きずに地球の重力内に入った。

そして隕石は海へと落ちていった。

その隕石は海に落ち、地面についたとたんに光りだす。

 

 

 

 

そらのおとしもの

 

 

 

 

 

 

隕石落下から数日が経つ。

隕石の落下は全世界でニュースとして流れたが、ここ空美町ではなにも変わらない平凡な日常が続いていた。

 

「ふぁ~あ」

 

空見町にある中学、空美中学に通う少年桜井智樹はあくびをしながら、窓の外を眺めていた。

 

「智ちゃん」

「マスター」

「トモキ」

「智樹」

 

そんな智樹を呼ぶ4人の少女。

智ちゃんと呼ぶのは智樹の家の隣に住む幼馴染、見月そはら。

マスターと呼び、制服なのに上着を着ている少女、イカロス。

トモキと呼ぶ4人の中で一番小柄だが可愛い少女、ニンフ。

智樹と呼んで背中から生えている羽を隠さない少女、アストレア。

そはら以外の3人はエンジェロイド呼ばれるシナプスで作られた存在。言うなればサイボーグである。

しかし背中から羽を生やしている以外、見た目は普通の人間と変わらない。何も変わらない。

見た目は人間と同じだが、彼女達の内部にあるものはとても見た目とは違うものを持っている。

 

「お昼ご飯だよ。一緒に食べよう」

「ああ」

 

智樹が机をあわせて、5人で一緒に昼ごはんを食べようとする。

 

「くそ~、桜井め……」

「何であいつばかり……」

 

4人の少女に囲まれている智樹を見て嫉妬するもてない男達。

智樹を囲む少女達は明らかに智樹に好意があるのは初対面の人間でも分かるくらいである。

しかし智樹はあまりに鈍感なため、それに気付かない。

それもあいまって、もてない男達は智樹に嫉妬していた。

彼らは智樹に「リア充爆発しろ!」と言う心を持っている。

智樹は何故かそちらには何故か反応できる。

 

「どうしたの? 智樹」

「いや、別に……」

 

そんな時、突然放送室から放送が流れる。

 

「ピンポンパンポーン」

 

放送の音を声で言う人物。その声の主はこの学校の生徒会長、五月田根美香子であった。

 

「今から全員で築地市場に行くわよ~」

『は?』

 

その放送に全員が困惑の声を出す。

 

「何でまた突然……」

「美香子の事だ、何かを企んでいるのだろう」

 

智樹達のところにある男がやって来る。その男の名は守形栄四郎。

智樹達の先輩であり、新大陸発見部の部長を務めている。

 

「おわっ! いつの間に!」

「まあ、美香子の事だからまたろくでもないことでしょうね」

「嫌だ! 行きたくねえ!」

 

智樹は美香子に散々な目にあっているため、美香子提案のものにはいつも最初は断る。

 

「逃がさないわよ~」

 

そこに教室の扉を思いっきり開けて入ってきた美香子。

 

「ひぇええええええええ!!」

 

美香子はダッシュで智樹の顔にアイアンクローを仕掛ける。

美香子の握力は400キロ、ゴリラクラスの力があるのだ。

智樹はそんな力に抗えず、あっさり捕まった。

 

「まあ美香子から逃れる事は出来んな…」

「あ、でもここから築地市場だと結構な距離にだからカオスさんが……」

 

カオスとは智樹の家に居るエンジェロイドの一人である。

カオスはニンフ以上に幼く、見た目が幼稚園児か小学校低学年くらいなので中学に来ないように智樹に言われて、今は智樹の家で留守番しているのだ。

もっともイカロスとニンフはカードの力で転入しているので、カオスもその気になれば学校に来れるが、智樹がやめて欲しいとしてやめている。

ちなみにアストレアは美香子達の力で何とか転入している。

 

「それなら大丈夫だ」

 

そんな心配をするそはらの所に一人の男が声をかける。

その男の側には先ほど話した少女、カオスがいた。

 

「あ、カオスさん」

「それに秋山じゃない」

 

白くて長い髪に黒い長袖の上着に白シャツと黒い長ズボンの男、名前は秋山総司郎。

彼はこの学校の臨時教員である。とは言ってもそれはあくまでこの世界で秋山が勝手に決めたことである。

秋山はイカロス達とはまた別の存在であった。それは秋山が別の世界の人間であるからだ。

秋山は自身の居た世界とはさらに別の世界からやって来た魂「邪悪なる闇の魂」と言うものを手に入れてから、異世界放浪をしているのだ。

「闇の魂」と言うだけあって本来は悪の存在であるが、秋山はそれをよしとしていないため悪の行動はしていない。むしろ悪と戦っていた。

しかし秋山は自身を闇の存在と言っており、人間ではまず出来ないことをしても秋山は「人間を越えただけで俺は人間だ」と自負している。

 

「秋山さん、もしかしてカオスさんを…」

「ああ、迎えに行ってた」

 

秋山は瞬間移動なども出来るので、学校から智樹の家に行くのは造作もない。

 

「あれ? お兄ちゃんは?」

 

智樹が居ない事に気付くカオス。

 

「さっき美香子に連れてかれたわ」

「え?」

 

 

変わって築地市場。

空美中学の生徒達が見学に来ていた。

 

「うわぁ~」

「魚臭いな~」

「そりゃあ、魚がこんだけいりゃ~な~」

 

色々な感想が生徒達から漏れる。

そしていつもの面々はと言うと……。

 

「美味しそうですね~」

「デルタ、あんた勝手に食べようとしてないわよね」

「そ、そんな訳ないじゃないですか~ニンフ先輩」

「そんなによだれを出してたら説得力ないわよ、デルタ」

「うっ……」

 

食べそうになるアストレアを止めるニンフ。

そんな傍らで……。

 

「……」

「カオス、どうしたの?」

 

魚を見て少し気分が悪そうなカオスを見て声をかけるイカロス。

 

「イカロスお姉様…」

「そう言えばお前、前にも同じ事あったな」

 

智樹がカオスを見てあることを思い出す。

それはどのくらいか前の晩御飯の時である。

その日はイカロスが魚を買ってきたために魚料理をメインにしたものにしたのだ。

智樹、イカロス、ニンフ、カオス、そしてお腹がすいてやってきたアストレアの5人で食べていたのだが、カオスは箸があまり進まなかった。

4人はたまたま体調が悪いのかと思ってその日はあまり気に留めなかった。

しかし今のカオスを見てイカロスは何となく察しがついた。

カオスは今、魚に対してちょっとしたトラウマになっているのだと…。

カオスはイカロスに海に沈められた際に、愛=痛みだと認識してしまい、その痛みを与えるためと自信の栄養にするために魚をさんざん殺してきた。

カオスはそれを思い出してしまい、少し憂鬱な気分になるのだ。

イカロスも最初にカオスと戦った後に、美香子主催のヨーヨー釣りには参加しなかった。

アストレアにそのことを尋ねられた時に水に入るのを遠慮していたのだ。

それは海に沈めたカオスを思い出してしまうからであった。

今のカオスはその時の自分と同じようなものだと気付いた。

 

「まあ、そんなに気を悪くするな」

 

そこに秋山がやって来て、カオスの頭をなでる。

 

「罪は償えば良い。生きる事も償いの一つだぞ。それに、生きるためには食べる必要もあるんだ。

それは生き物全てに言えること。エンジェロイドも同じもんだろ」

 

秋山は暗くなるカオスやイカロスに対して励ましの言葉を送る。

 

「だからそんなに気弱になるな。ってもこれは智樹が言ったほうが良いだろうけどさ…」

「秋山お兄ちゃん、…ありがとう」

「どうも」

 

そんなこんなで美香子は生徒達を集める。

 

「皆~ちゅうも~~~~く」

 

美香子はマグロの競りをしている最中の場所に居た。

 

「でかいマグロですね」

「これから皆に、このマグロの競りに参加してもらうわよ~」

『はっ?』

 

突然の事態に皆が把握しきれていない。

 

「ルールは簡単よ~。ここにあるマグロのうち一つを選んで、それで相手をぶっ飛ばすゲームよ~」

 

要はイカロス達と初めて行った秋祭りの時の銃撃戦サバイバルのマグロバージョンをしようと言うのだ。

 

「またそれかよ!」

「優勝商品はマグロ一年分と……五月田根家プレゼンツのペア温泉旅行をあげるわ~」

『うぉおおおおおおお!!』

 

それを聞いて生徒達だけでなく漁師達も歓喜の声を上げる。

そして皆が自身が使うのに適したマグロをそれぞれ選ぶ。

 

「それじゃあ……」

 

美香子が開始の合図を言おうとするが、突然市場のどこかで爆発音が聞こえてくる。

 

「え? 何?」

 

美香子は不審がった。

 

「え? 今のって会長がやったんじゃ……」

「いえ……」

 

先ほどの爆発は美香子の仕業ではない。

となると一体誰が……。

 

「お譲!」

 

美香子の元に子分(?)達がやって来る。

 

「どうしたの?」

「お逃げくだせえ」

「あっちの方でイカロスさん達に似てる奴が3人ほど暴れております」

「何ですって?」

『えっ!?』

 

それを聞いていた智樹やイカロス達は驚愕した。

 

「とにかく、皆の避難誘導を……」

「分かりました」

 

子分(?)達は智樹達関係者以外の生徒達や漁師達を避難させる。

 

「秋山、気付いたか?」

「すぐには気付かんかった。俺も爆発の音を聞いてようやく気付いたくらいだ。

存在だけなら最初っから確認してたが、何かするための存在だとは思わなかったぜ」

「さっきイカロス達に似たような奴って言ってたってことは……」

「十中八九エンジェロイドだな」

「でもエンジェロイドってあの時ニンフさんを襲ったあの二人以外はイカロスさん達しかいないんじゃ……」

「まさか新型?」

 

そはらの言葉を聞いてニンフは新型のことを考える。

 

「まあ、カオスが少し前に造られたんなら、別に新型を用意していたって可能性はあるが……、いや、魂の反応はないはず……」

「どうした?」

「とにかく、こっちに迫ってるって事だ」

「来るわ!」

 

ニンフのレーダーが既に敵を察知していた。

 

「……これは! 数が3じゃない! 10!? 20!」

「20!?」

「とにかくやるぞ」

「マスター達は隠れていてください」

「ああ」

 

智樹達はイカロス達に言われて、物陰に隠れる。

イカロス、ニンフ、アストレア、カオス、秋山が戦闘態勢に入る。

5人の前にある壁が壊れると、そこから人間の男達が迫ってきた。

 

「なっ!」

「こいつらは人間だ! しかも操られてな」

 

秋山が一気に高速移動をし、迫り来る男達をすぐに気絶させ、洗脳を解いて別の場所に瞬間移動させた。

 

「たく……、陰湿な手を使いやがって……出てきやがれ!」

 

秋山が叫ぶ。すると秋山は何かを感じる。

 

「熱源反応!」

 

ニンフが熱源反応を察知する。

 

「11時の方向から来るわ!」

 

ニンフも秋山と同じことを感じる。

そして11時の方向からレーザー砲みたいなものが飛んでくる。

秋山以外は空中に飛んで避けた。

秋山はガード体勢をとり、攻撃をまともに受けるもほぼ無傷であった。

 

「いきなりか……」

「いい加減出てきなさい!」

 

アストレアが叫ぶ。

 

 

 

すると先ほどの砲撃先から3人のエンジェロイドが飛んでくる。

そのエンジェロイドはどこかしらイカロス、ニンフ、アストレアに似ており、顔つきは3人を悪人化+凶暴化させたようなものであった。

しかしはっきり言った違いと言えば三人とも顔に何かしら深い傷跡が痣として残っている所であった。

イカロス似は右上から左下部分にかけて爪でひっかけけられたような傷跡、ニンフ似は両目部分に十字傷の後、アストレア似は左半分の皮膚がきちんと形成されていなかった。

 

「あ、あんた達は……」

「久しぶりね、ウラヌス・ウイーンのアルファーにベータにデルタ」

「やっぱ知り合いか?」

 

隠れている智樹が3人に尋ねる。

 

「はい…」

「でもあんた達、死んだはずじゃ……」

「死んだはず?」

「お姉様、この人達は?」

 

カオスも現れた敵エンジェロイド達を知らない。

 

「紹介してあげるわ。冥土の土産として……。私は電子戦用エンジェロイドタイプQ(本来の文字は違うが便宜上「コッパ」と呼ぶ)ダプネー」

 

ニンフによく似たエンジェロイドはそう答えた。

 

「私は拠点破壊用エンジェロイドタイプT(本来の文字は違うが便宜上「サンピ」と呼ぶ)ヘカケイル」

 

アストレアによく似たエンジェロイドが名乗る。

 

「そして私が最強にして最高のエンジェロイド、爆撃破壊用エンジェロイドタイプM(本来の文字は違うが便宜上「サン」と呼ぶ)サテュロス」

 

イカロスに似たエンジェロイドがそう言った。

 

「随分自信過剰だな」

「それくらいの力が私にあるのよ」

「あんた、アルファーより力がない癖によく言うわよ」

「それは昔の話よ、でも今は違うわ。今の私はウラヌス・ウイーンを越え、全てを越えた最強の存在よ」

「そういうこと言う奴ほど最強とは程遠いんだけどな」

 

秋山は異世界においては絶対に殺すことも封印することも出来ない存在、言うなれば真に最強の存在といえる。

しかし秋山は自身を最強だと自負したことは一度もない。

ある意味とても説得力のある台詞である。

 

「私を見くびるな!」

 

サテュロスが複数の爆弾を作り出し、それらをイカロス達に向けて投げる。

イカロス達はそれを空中で避けようとするが……。

 

「避けるならもっとスピード上げろ!」

 

秋山が忠告をする。

秋山の忠告と共に爆弾がスピードを上げ、イカロス達の後を追う。

 

「なっ!」

 

アストレアも加速をあげようとするが、その前に爆弾はすぐにイカロス達に追いつき、爆発する。

秋山のところにも爆弾がいき、秋山のところでも爆発する。

 

「イカロス!」

 

下で見ている智樹達はイカロス達を心配する。

煙が晴れると無事な姿で居たイカロス達が居た。

 

「ダークフィールド……ギリギリ間に合ったな」

 

『ダークフィールド』。秋山の持つ闇の力で作られた広域防御フィールドである。範囲は秋山の任意で決められる。

 

「たく、スピードを上げろったろ」

「ごめんなさい」

 

カオスが謝る。

 

「でもサンのAktaion(アクタイオン)にはあんな能力はなかったはずよ…」

「言ったはずだ。私は最強の存在になったってな……」

「最強って割には俺のフィールドを貫通できなかったようだな」

「今の攻撃を防げたことは褒めてやる。だが、次は……いや、止めておこう」

 

サテュロスは攻撃を止めようとする。

 

「?」

「私達は別にあんた達に用はないわ」

「何?」

「私達はここにある魚に用があっただけ」

「私達はここで引かせてもらうわ」

「逃がすと思うか?」

 

秋山が逃がそうとしない。

そんな時であった。

 

「! 別方向からまた攻撃が来る! しかもさっきよりでかい!」

 

秋山が海の方向を見るとそこから先ほどの砲撃以上の巨大なエネルギー砲が全員を襲う!

 

「くそ! ダークフィーーーーールド!!」

 

秋山は先ほど自身やイカロス達を守った防御フィールドを更に巨大で強固なものにして自身やイカロス達、それに隠れている智樹達を守る。

フィールドが全員を守る。砲撃とフィールドがぶつかり、煙が舞う。

煙が晴れると3人のエンジェロイド達は姿を消していた。

 

「レーダー反応……なし」

「コッパは私と同じ電子戦用エンジェロイド…ジャミングなんてお手の物よ」

「魂反応は……ちっ、範囲外に出たか…」

 

ニンフと秋山は逃げた3人が自身のレーダーから消えたことを知る。

 

「とりあえず……」

「大丈夫ですか? マスター…」

 

イカロス達が物陰に隠れている智樹達を気遣う。

 

「ああ、大丈夫だ」

「でもあの人達って一体…」

 

そはらが突然襲ってきたエンジェロイド達の事を考えていると……。

 

「うん?」

「どうしたの、英君」

「大量のマグロが消えている」

「え?」

「あ、そう言えば……」

「他にもタコやイカもなくなってますね」

「ってことはあいつらの目的はマグロやタコ?」

「マグロ……それにタコ…イカ…」

 

秋山は少し考え込む。

 

「そうか! あいつら、マグロやタコにイカのタウリンを利用する気だ!」

「タウリンをか?」

「タウリン? なんすか? それ」

 

タウリンのことを知らない智樹は尋ねる。

 

「含硫アミンの一種だ」

「含硫アミン?」

「めんどくさいから簡単に言うぞ。栄養ドリンクに入ってる要素だ」

「でも何でそんなものを……」

「分からんから今調べてみる」

 

秋山は先ほどの巨大なエネルギー砲が飛んできた方角を見る。

 

「何してるの?」

「視認で調べてるところだ」

 

秋山はしばらく立ち尽くす。

そして秋山の目にはあるものが映し出される。

 

「あれは……海に浮かぶ要塞……いや、城か」

 

「海に浮かぶ城」という言葉を聞いてイカロス、ニンフ、アストレアはわずかに反応する。

守形やカオスはその反応を逃さなかった。

 

「お姉様達…もしかして」

「その海に浮かぶ城と言うのを知ってるのか」

 

イカロス達は黙り込む。

 

「……とりあえず俺達も逃げるぞ。ここにいると色々めんどくさいことに巻き込まれる」

「もう巻き込まれてるだろ」

「警察の介入はもっとめんどくさい」

 

秋山がそう言って全員を瞬間移動させた。

 

 

とある海のとある場所では、1人の男が水上に立っていた。

 

「また変なところに出ちまったな」

 

男は思わず頭をかく。

 

「少し前まで何かがあった感じがする……」

 

少し進んでみて男はあるものを感じる。

 

「この先に何か強力なエネルギー砲を撃った感覚があるな……。とりあえず進んでみるか」

 

男は走りだし、その先を目指してみるのであった。

 

 

智樹達は秋山の力で空美町まで瞬間移動し、着替えなどをして智樹の家に集まっていた。

 

「じゃあ、まず単刀直入に聞こう。イカロス、ニンフ、アストレア。お前達を襲った奴らは何者だ?」

「それは……」

「秘密事項か?」

「でも自分で名乗ってたから、もう喋っていいんじゃないですか? ニンフ先輩」

 

アストレアが喋ろうとする。

 

「……そうね。じゃあ話しましょう。

あいつらも名乗ってたけど私に似たのが『電子戦用エンジェロイドタイプQ(本来の文字は違うが便宜上「コッパ」と呼ぶ)ダプネー』。

そんでデルタに似ていたのが、『拠点破壊用エンジェロイドタイプT(本来の文字は違うが便宜上「サンピ」と呼ぶ)ヘカケイル』。

最後にアルファーに似ていたのが、『爆撃破壊用エンジェロイドタイプM(本来の文字は違うが便宜上「サン」と呼ぶ)サテュロス』」

「私、全然知らない…」

「そりゃあ、そうよ。カオスが造られるずっと前にあの3人死んで……」

 

アストレアが何かを言おうとするが、ニンフに止められる。

 

「デルタ、これ以上は引っかかるわよ!」

 

エンジェロイド達は新大陸とされているシナプスに関する事やそれに関わることを基本的に喋ることは許されていない。

そのためその禁止事項を喋ろうとしたアストレアをニンフがとめたのだ。

 

「とりあえず俺の方で調べたから俺が話そう」

 

秋山がそう言った。

 

「あくまでニンフ達の口から話せないだけで俺から喋っても……まあ本当は問題あるけど、今は規制解除してあるから問題はない」

 

秋山は異世界で起きた過去の出来事などを世界全体を検索し、把握できる能力がある。

しかしそこから得た情報を自分が深く関わる人物達に話すことは基本的に出来ない。

もし喋ってしまえば秋山が現在居る世界が崩壊する可能性があるからである。

重要度の高い事柄となればなるほど崩壊率は上がってくる。

だがそれは秋山が自身の闇の力を規制をしている時の話であり、今の秋山は一時的だがその規制を解除している。

そのためある程度のことは話せるのだ。

 

「まあ、説明してやる。あいつらが死んだことは新大陸の機密事項と関わってるからだ」

「その秘密事項とは?」

「何万年も前のことだ。とある異星人の集団がこの地球にやってきたんだ」

「異星人」

「そうだ。当時の地球人、まあ新大陸から言うと地蟲(ダウナー)は今みたいな技術は当然ない。警戒心もな……。

異星人達は海へと落ち、そのまま海に拠点を作った。それがさっき俺が確認した海に浮かぶ城『アトカディアズ』。

異星人達はそのまま城に住んでいたんだが、異星人達はすぐに新大陸のことに気付き、そこ攻める準備をしていた。

それに気付いた新大陸の方は当然のことながら、『アトカディアズ』攻撃を決意。

その『アトカディアズ』の攻撃に向かったのが、イカロス、ニンフ、アストレア、ハーピーの2人、そしてさっき俺達を襲ったエンジェロイド3人の計8人だ」

「総力戦ね~」

「そこまで異星人達危険視したって事だ。異星人達はかなり抵抗した。その戦いはかなりのものだった。

世界の記憶を覗いたからどんな戦いだったかは分かっているつもりだ。結果はイカロス達の勝利。

イカロス達は新大陸へと帰還しようとしたときだ。『アトカディアズ』から最後の攻撃が放たれた。そしてそれにさっきの3人、サテュロス、ダプネー、ヘカケイルはその攻撃に巻き込まれ、『アトカディアズ』と共に海に沈んでいった……これが事の顛末だ。

そして新大陸はこのことを重大機密として言ってはならないことの一つにしたってわけだ」

「そうだったんだ……」

「だからニンフ、あの時死んだはずって言ったのか」

「……そうよ」

「まあ生きてたとなると何か裏があるってことだが、そこまで検索はしていないし、する気もない」

「でも何でこんな時に現れのかしら?」

「……恐らくは数日前に落ちた隕石と関係があるのだろう」

「お前もそう思うか?」

 

守形の意見に秋山が尋ねた。

 

「お前の話と数日前に海に落ちたとされる隕石落下が関係ないとは思えなくなった」

「ああ。しかしそのことを検索しようとしたら、さっき調べたこと以上の規制レベルが高くてな検索できなかった」

「そうか……となると確定だな」

「第三者から見たらそうだな」

「ところでその『アトカディアズ』ってなんですか?」

「異星人達の移動要塞だ。攻撃の方もなかなかある。大量のミサイルにさっき撃ってきた超エネルギー砲。

他にもギミックがある可能性があるが、俺も把握しきっていない。

まあ、あの3人が行ったとなると『アトカディアズ』しかない。逃げた方向もそっちだからな」

「だけどさ、あいつら鎖してなかったよな?」

「鎖をしてないか……。それはそうと俺達を襲ったあいつらの目的は?」

「恐らくは偶然だ」

「偶然?」

「あいつらが居なくなったと同時に魚がなくなっていた。つまりは目的は魚。そしてあそこにはたまたまエンジェロイドで古い知り合いだったイカロス達が居たから挨拶代わりに攻撃した。

そう考えてもおかしくないだろ。もっとも盗んだ目的までは俺もわからないけどな」

「何はともあれ、あいつらを見過ごすことは……」

「危険だ」

 

秋山が警告する。

 

「俺が一瞬で滅ぼす力を使えば簡単だが、そんなことやったら絶対世界崩壊が起こる。

だからイカロス達でどうにかする必要がある。まあ俺もサポートしてやる」

「でも『アトカディアズ』の場所、分かりませんよ」

 

アストレアが意見を言う。

 

「俺が本気出せばすぐに分かる。その座標をお前達に送れば……いや、そうでもないようだ…」

「え?」

「あちらが近くにまで来てるってことだ」

「どこ?」

「海の方だ」

 

全員が外に出てみると空が曇っていた。

 

「なんかあの時みたい……」

 

そはらの言うあの時と言うのは、カオスが成長して再び皆の前に現れたときのことである。

あの時のカオスは大人の女性くらいにまで成長し、嵐を起しながら空美町へとやって来たのだ。

 

「……」

 

カオスはその時のことを思い出してうつむく。

 

「あ、ごめんカオスさん」

「ううん……いいの」

「あまり気にすんな。昔のことを愚痴愚痴言うのも言われるのも見るのも俺は嫌だからな」

 

それを聞いた智樹がカオスの頭をなでる。

 

「今のお前はあの時とは違うんだ」

「お兄ちゃん……へへ…」

 

カオスが頬を赤く染める。

 

「まあそれはそうと敵が来てくれたのは悪いことでもあるが、良いことでもある。

こちらから下手に海に出て行かずに済むからな。もし海上でのバトルとなると海に落ちたらカオス以外はどうすることも出来んからな。俺が可能な限り拾ってやるけど…」

「とりあえず、こちらから出向くべきか」

「ああ」

 

皆は海の方へと秋山の瞬間移動で向かった。

 

 

「着いたぜ」

 

海に近い陸地まで全員が瞬間移動した。

 

「思ったよりあいつらかなり近いな……。ここからなら少し飛べば全員行けるぞ」

「え? 全員」

「ああ。あの『アトカディアズ』。俺の攻撃でも簡単に壊れそうにないからな。だったら内部で破壊工作をするしかない」

「潜入するのね」

「でもどうやってですか? ニンフさんみたいなエンジェロイドがいるならばれるんじゃ…」

「その辺は俺が強力なジャミングでごまかすが、基本的に潜入がばれてること前提で動いたほうが良い。

その方が潜入がばれてない状態でそわそわ動くよりは良いからな」

「そ、そうすっかね?」

「最低でも俺はそうだ。まあ潜入するためには最低でも姿を見られないことが一番大事だが、そこは俺が注意をひきつける。

そして俺も隙を見て入る。智樹達の潜入はイカロス達が運んでくれ。ちょうど4,4だからいいだろ」

 

秋山を除けば人間4人にエンジェロイド4人。数が合う。

 

「俺は全てを把握してるわけじゃないが、内部は少し危険かもしれないぞ。それと内部に入ったらコアを探せ。あの城には動くためのコアがある」

「つまりは動力炉か」

「そうだ。そろそろあちらさんは俺達に気づくはずだ。行け」

 

秋山はイカロス達に行くことを促す。

 

「分かりました。マスター」

「ああ」

 

イカロスは智樹、ニンフはそはら、アストレアは守形、カオスは美香子という組み合わせで、空を飛ぶ。

 

「秋山さん」

「大丈夫だ。俺も絶対後で追いつくからな」

 

秋山はそう言いながら氣弾を作り出し、アトカディアズに向かって投げ飛ばした!

氣弾はアトカディアズのバリアを破り、直撃する。

 

「な、何!?」

「バリアを破っての攻撃だと!」

「今のは……」

 

ダプネーがレーダーで調べる。

レーダーで秋山を確認し、秋山がアトガディアズのモニターに映し出される。

 

「あいつ……」

「ちょうどいいわ。これのテストをしましょう」

 

ダプネーがキーボードを動かしてあるものを城から発進させた。

それより少し前にイカロス達は智樹達を連れて、秋山から離れ、アトガディアズの方に向かっていた。

 

「……何か来る」

 

秋山は何かが飛んできたことを確認する。

その飛んできたものとはどこかしら3メートル位のロボットに天使のような羽がついていた。

 

「どこのロボット+エンジェロイドだ?」

 

秋山はぼやく。するとロボットは目から熱視線を秋山に向けて発射し、秋山を襲う。

 

「……」

 

熱視線は秋山の腹部の腹部に命中し、秋山の腹部から血が大量に流れていた。

しかしそんな状態でありながらも秋山は何もなかったかのように立っていた。

 

「フィールドを張らずにわざとくらったが、思ったより痛いな」

 

秋山は大量出血で死ぬことはないが、痛みは感じる。

 

「だが他に何か機能があるはずだ。もう少し出させてみるか」

 

秋山は氣弾を作り出して、それをロボットに向けて放つが、ロボットは紙一重で氣弾を避ける。

 

「紙一重で避けたか」

 

ロボットは避けた直後に広げてあった両手から小刻みに動くチェンソーカッターの刃を出し、それを秋山に向けて飛ばした!

 

「流石にあれは痛すぎだろ」

 

秋山はそうつぶやきながら、迎撃態勢に入った。

 

「てゃあ!」

 

秋山は飛んできた2つのカッターの刃を蹴り一つで弾き飛ばし、カッターはロボットの下へと飛んで行き、ロボットの両腕を切り落とした。

 

「次はどうする気だ?」

 

秋山は余裕の状態であった。

しかしロボットはそのままの状態でスピードを上げて、秋山に突っ込む。

 

「……ああ、特攻ね」

 

秋山は相手が特攻だと気付いても冷静でいる。

ロボットは秋山にぶつかりそうになる直前で自爆する。

 

「どうだ!」

 

ダプネー達がモニターで秋山の方を見る。自爆の煙が晴れる。

そこには何もなかった。秋山の姿もなくなっていた。

 

「やった!」

「ふ、さすがのあいつも核クラスの爆発にはひとたまりもなかったか」

 

実はアトカディアズで作られたロボットは小さい爆発ではあるが、その爆発の威力すると核爆発くらいの威力がある。

しかも核汚染などの放射線などは一切出ない。

ダプネー達は気付いていなかった。既にアトカディアズにイカロス達が潜入しており、秋山の超ジャミングフィールドが未だに張られている事を……。

そしてダプネー達だけでなく、イカロス達も気付いていなかった。

自分達とはまったく別の存在が1人、アトカディアズに侵入していた事を……。

 

 

アトカディアズの内部、おおよその位置はアトカディアズの一番上からやや下部分にイカロス達は潜入していた。

 

「これがアトカディアズの内部……」

「外から見たのとはまた違う…」

「中も機械仕掛けのようだな」

「本当ね、見たこともない機械ばかりあるわ」

 

智樹、そはら、守形、美香子は見たこともない機械に驚く。

アトカディアズは壁や床、全てが機械で出来ているのだ。

 

「でもよく見たら所々壊れてる部分がありますね」

 

そはらが指摘する。

 

「前の戦いから直してない部分があるのかしら?」

「もしくは最近になって稼動し直したかね」

「隕石の影響だとなると恐らくは後者だ。ニンフ、コアの位置は分かるか?」

 

守形がニンフに尋ねる。

ニンフは一応電子機能を使い調べてみるが、やはり見つからない。

 

「ダメ。この建物の内部全部がジャミングされてるみたいね」

「でも動力炉って基本的に真ん中にあるんじゃないんですか?」

 

アストレアがニンフに言う。

 

「デルタ、馬鹿ね。相手がそんな簡単な場所に動力炉を置いているわけないでしょ。

現に前の戦いでアルファーが真ん中を攻撃してもこの要塞は動いてたでしょ」

「そういえばそうでしたね」

「ここはやはり別れて探してみるしかないか」

「しかし、分けるにしても相手に見つかったときの対処に問題があると思います」

 

イカロスが意見する。

敵は3人。全員動いていたとして最低でも1人ずつにエンジェロイド1人は当てないとまずまずい。

 

「秋山さんが居てくれたら……」

「ないものはねだれからな…」

「ここは4手に分かれるより2手に分かれよう」

「そうね。その方が今は全然かもしれないわ」

 

そして8人は2手に分かれることにした。

1班は智樹、イカロス、アストレア、美香子。2班はそはら、守形、ニンフ、カオス。

 

「それじゃあ2時間して何も見つからなかったらここに戻る。それでいいな」

『はい』

 

こうして2班は分かれた。

1班はとある部屋へと入る。

そこは野菜などの菜園などがかつてあった部屋であった。

 

「これは……」

「野菜ね」

「でも枯れてる~」

 

アストレアが枯れた葉を取ると簡単に崩れた。

 

「そりゃあ、ずぅ~と前から何もされてないなら枯れてるだろ」

「………」

 

イカロスは少し黙り込む。

 

「イカロス……」

 

智樹はイカロスが何を思ったのか察した。

イカロスは戦略エンジェロイド。今ではやってはいないがかつては人を大量に殺した。

それは今ではトラウマに近い出来事になっている。

 

「イカロス…今のお前はもうあの時のお前じゃないんだ」

「…はい、マスター…」

 

智樹はイカロスの頭を撫で、イカロスは泣きそうになる。

 

「まだ部屋が続いてるようね」

「それじゃあ行きましょう」

 

智樹達は次の部屋へと向かっていった。

その一方2班は、娯楽などがあったとされる部屋に着いた。

 

「ここは娯楽施設があった部屋みたいですね」

 

その部屋にはメダルで遊ぶような機械がいくつもあった。

 

「当たり前だが、稼動してないな」

 

守形やカオスが機械に触ってみるが反応がない。

 

「次に行きます?」

「待って、この部屋は元々電気が使われてるはずよ」

 

ニンフが何かを調べようとしていた。

 

「そうか。電気を流していた元を調べればコアの位置が分かると言う物だな」

「うまくいくかは分からないけど……。カオス、協力してくれる?」

「うん」

 

ニンフとカオスは協力して、電源コードを探し出し、そこから元々電気を流していた場所の特定をする。

それはうまくいき、コアの位置を把握することが出来た。

 

「コアは…ここから30メートルの位置にあるわね。

さっきまで動いてたみたいだけど今は留まってるみたいね」

「じゃあ急いだほうが……」

「しかし罠があるんじゃないのか?」

「ちょっと待って調べるから」

 

ニンフ達が罠などを調べる。

 

「罠は……ないみたいね」

「本当にか?」

「ええ。一応その部屋まで行くルートだけじゃなくてこの要塞全体も調べてみたけど、罠自体ないみたいね」

「前は罠とかなかったの?」

 

カオスがニンフに尋ねる。

 

「罠はなかったわ。相手は完全に正々堂々と正面から戦ってきた連中ばかりだから」

「だと良いんだけど……」

「ともかくコアのあるところまで行こう」

 

守形達はコアのある部屋へと向かった。

守形達がコアのある部屋へと向かう通路で秋山を襲ったロボットが廊下の壁に埋められている形であった。

 

「これって…」

「私達が戦った事あるロボットね。今は起動してないようだけど…」

「これが突然動き出す事は?」

「ないって…信じたいけど……」

 

ニンフが意味深な事を言う。

何故ならいつの間に自分達の後ろにいた1体のロボットが起動して自分達をロックオンしていたからだ。

 

「え!」

「逃げるわよ!」

 

ニンフが皆を走らせるように叫び、全員が走る。

ロボットはゆっくり歩いているため走っていれば追いつかれることはまずない。

しかしロボットは目から熱視線を発射させた。

その速さは走っているニンフ達の速度を上回る速度であった。

 

『!!!!』

 

熱視線がニンフ達に届こうとしたその時であった。

 

 

「……あれ?」

 

そはらは気付いた。熱視線が自分達に届いてない事に。

それもそのはず自分達の後ろにはある男が立って、それを防いでくれたのだ。

 

「秋山さん?」

「秋山? 俺はそんな名前じゃないぞ」

 

熱視線の煙が晴れる。その煙が晴れ、4人が見たのは秋山ではなく全く別の男であった。

 

「あんた、誰?」

「俺か? 俺は……とりあえず人防正司(もりさきしょうじ)って名乗ってる」

「人防正司……」

「名乗ってるとはどういうことだ?」

 

守形がその現れた男、人防正司に問う。

 

「俺にはきちんとした名前がない。だから俺をとりあえず見てくれてる一家がそう名付けただけだ。俺の本当の名はない」

「……あれ? 人防さん?」

「呼びたければ正司にしろ。人防はその一家の名字だからな」

「正司さんはなんでここに?」

 

そはらが疑問に思うのも無理はない。自分達は秋山の力を借りて潜入したのに、この男はそんな気配がない。

 

「貴様、まさか奴らの……」

「奴ら? 奴らって誰だ?」

 

正司は何のことを言っているのか分からなかった。

そんな時、ロボットが再び熱視線で攻撃を仕掛けてくる。

 

「伏せろ!」

 

正司が再び4人の盾になり、熱視線を防ぐ。

その防ぐ方法はなんと素手であった。

 

「正司さん!?」

「これくらい、なんともない」

 

熱視線が止むと、そはらは心配して正司の手を見る。しかし正司の手は無傷で、焦げた様子もなかった。

 

「どういうこと…?」

「あんた……人間じゃないの?」

「どういうことだ、ニンフ」

「この人の反応、人間と同じだけど…」

 

ニンフもカオスも生体探査能力で正司を見ているが、正司の反応は普通の人間と変わらないのだ。

 

「ああ、俺、人間じゃないから」

「人間じゃないって……」

「そんなことより、急いでるんだろ? ここは俺に任せて先に行け」

「でも……」

「いいから早くしろ! この地球がダメになるかもしれないんだ!」

 

正司は怒鳴りながら4人を行かせようとする。

 

「見月、ここはあの男にかけるぞ」

「先輩…」

「そうね、私達にはあまり時間がないの」

「いこ」

「……うん」

 

4人は正司に任せてその場を去って行った。

 

 

正司のおかげでニンフ達は何とかコアのあるところまでたどり着いた。

 

「あれが……動力炉…」

「思ったより小さい……」

 

コアを支える柱はあるものの、その柱の上にあるコアはとても小さいもので、直径は1メートルにも満たしてなかった。

 

「移動式だから、そんなに大きくは作れなかったのだろう」

「そうね。早くあれを壊さないと……」

「させるか!」

 

そこにニンフのパラダイス=ソングに似たようなエネルギー波がニンフ達の上から飛んでくる。

 

「危ない!」

 

ニンフはすさかずパラダイス=ソングでそのエネルギー波とぶつけ、その場で爆発を起こす。

 

「げほっ、げほっ…」

「見月、大丈夫か?」

「私は何とか……ニンフさんとカオスさんは?」

 

そはら達が二人を心配する。煙が晴れると何とか無事であった二人を見つけるが、その二人の前にはダプネーがいた。

 

「コッパ……」

「また会ったわね、ベータ。それに新しい末っ子さん」

 

ダプネーが憎たらしい笑みを浮かべながらニンフ達に話しかける。

 

「地蟲達を連れて、この動力炉を壊そうと思ったのかしら?

でも、それも無駄ね」

「な!?」

「これを見るといいわ」

 

ダプネーが自分の後ろに大画面モニターを出す。

そこに映し出されたのはサテュロス、ヘカケイルと戦闘しているイカロスとアストレアであった。

 

「アルファー! デルタ!」

「あの二人、なかなかやるようだけどもう限界のはずよ」

「イカロスお姉様達は負けないよ!」

「どうかしら? 私がここに来る前からあの二人は戦闘に入ってるのよ。

体力的にも限界……。それに私達にはそれがないの」

「それがないって……」

「……まさか!」

「そう、このコアがある限り、私達はずっと生きられるの。シナプスにも縛られず、何にも縛られないまま、生きられるのよ」

 

ダプネーが笑い出す。

 

「そしてこの星にいる地蟲をすべて排除したら、シナプスも滅ぼす」

「シナプスを滅ぼすですって!?」

「そう。そしてこの要塞ごと宇宙へと行き、別の星にいる地蟲共を皆殺しにするの。

どう素晴らしいでしょ?」

「それのどこが素晴らしいってんだ?」

 

ダプネーの後ろから突然声が聞こえてくる。

 

「なっ!?」

 

タプネーが後ろを振り向こうとした瞬間、突然吹き飛ばされる。

 

「くうっ!」

 

ダプネーは羽で何とか体勢を整える。

 

「そんなことしたって虚しいだけだし、つまらないぜ」

 

ダプネーの後ろにいた人物。それは秋山であった。

 

「秋山さん!」

「貴様! あの時、ロボットの爆発に巻き込まれて死んだんじゃ…」

「俺があれくらいで死ぬような存在じゃねえさ。

俺を殺せるのは俺の持つ闇の魂と対になる魂持ってる奴だけだ。

ま、この世界にはいないから事実上、俺はこの世界じゃ無敵だけどな」

「何を分からんことを……」

「ところでこいつ壊すぞ」

 

秋山がコアの真横に立つ。

 

「ふん。それはアルファーのアポロンでも壊せない……」

 

ダプネーはそういうが、秋山は簡単にコアを破壊した。

 

「なっ!?」

「ああ、俺、本来殺せないものを殺せたり、壊せないものも壊せたり出来るから」

 

秋山の能力は色んなものを凌駕している。

秋山がコアを壊すと突然とアトカディアズが揺れ始める。

 

「な、な、な、なんだ!?」

 

智樹達も揺れていることに気づく。

 

「この要塞が揺れてるようね」

 

美香子は冷静に状況分析する。

 

「まさか!」

「動力炉を破壊された? だが、どうやって!?」

 

サテュロス、ヘカケイルも動揺する。

 

「おい、大丈夫か?」

 

智樹達のところに秋山が瞬間移動でやって来る。

 

「秋山!」

「コアは俺が壊しといた。とりあえず脱出するぞ。そはら達は先に脱出させた」

 

秋山が智樹達や戦闘途中であったイカロスとアストレアもつれて瞬間移動で脱出する。

 

 

秋山によって脱出した智樹達は壊れていく要塞を眺める。

 

「これで終わったの?」

「まだ終わりじゃねえぞ」

 

秋山が不安がらせることを言う。

 

「どうして?」

「あいつらの魂がまだ健在だからだ」

 

崩れ行く要塞から3つの影が飛んでいく。

 

「あれは……」

 

その3つの影はサテュロス、ダプネー、ヘカケイルであった。

 

「やっぱり……」

「決着はお前達でつけろ」

「……はい」

 

イカロス、ニンフ、アストレア、カオスはサテュロス達の元に飛ぶ。

 

「よくも我らの要塞を壊してくれたな…」

「あれを壊したのは秋山でしょ?」

「だが存在を教えたのはお前達だ。それにいい加減、貴様らとの因縁を終わらせようと思っていたからな……」

 

サテュロスは弓矢、ヘカケイルは大剣を出す。そしてダプネーは槍を出す。

 

「その槍は……あんたにはそんなものなかったはず!」

「今の私はあなたの知っている私ではない。それは分かってるはずでしょ?」

「………ニンフお姉様、私も手伝うね」

 

カオスがニンフの前に立つ。

 

「カオス……」

「お姉様じゃ、あれに対抗できる武器ないから……」

「余計なおせっかい……だけど、仕方ないわね」

「うん」

 

イカロスVSサテュロス、ニンフ&カオスVSダプネー、アストレアVSヘカケイルとの構図となった。

 

「行くぞーーーーーー!!」

 

サテュロスは弓を使って矢をイカロスに向かって放つ!

その矢の速度はイカロスがギリギリでかわせるくらいのスピードであり、イカロスはギリギリでかわす。

しかし矢を一度に何本も放たれたらイカロスでも全部は避けれない。

 

「Artemis、フルファイヤー!」

 

イカロスもArtemisでサテュロスを追い詰めようにもサテュロスの矢を放ち、再び矢を放つと言う動作のスピードはイカロスの目でギリギリ追えると言うかなりの超スピードで行っているため、Artemisの弾はほとんどがサテュロスに近づく前に撃ち落される。

 

「…ダメ……」

「そこよ」

 

サテュロスが放つ多くの矢の一本がイカロスの羽を貫く。

 

「!」

 

イカロスは羽を貫かれたことにより、一瞬ふらつく。その隙をサテュロスは見逃さない。

サテュロスはその隙の間にイカロスに向かって矢を何本も放ち、放たれた矢の数本がイカロスに刺さる。

 

「イカロス!」

 

矢に刺されたのを見てイカロスの名を叫ぶ智樹。

その間にアストレアとヘカケイルは互いの武器をぶつけあう。

 

「相変わらず良い剣ね。そのchrysaor」

「上げないわよ」

「欲しいなんて言わないわ。私のこの剣の方が強いんだからね!」

 

ヘカケイルの剣の刃がchrysaorの刃に切れ目を入れる。

 

「嘘っ!」

「でゃああああああ!!」

 

ヘカケイルは切れ込みを利用して、chrysaorごとアストレアを海へと投げ飛ばす!

アストレアは海に入り込むギリギリのところで羽の力を使って海に落ちることは避けた。

 

「くう……」

 

アストレアは形勢が不利だとしてひとまずは飛び回って逃げることにした。

アストレアが苦戦する少し前、ニンフ&カオスとダプネーの戦いは熾烈を極めていた。

ダプネーの槍を何とかカオスが羽を使って防いだりしているものの、ダプネーの槍から放たれるエネルギー弾はニンフがハッキングフィールドによってイカロスのArtemisを操っているかのごとくエネルギー弾がダプネーによって操作される。

その操作をニンフがハッキングフィールドを広げて、コントロールを奪おうとするもダプネーのハッキング能力はかつてニンフが知っているものを上回っていたためにニンフでもコントロールを奪うことが出来なかった。

ニンフに当たりそうな攻撃を何とかカオスが自分のエネルギー弾でぶつけてニンフにぶつかるギリギリのところで攻撃を回避させるのが精一杯であった。

 

「なんて力なの……」

 

そんな時であった。突然海の下から海草のような蔦が現れニンフを襲おうとする!

 

「ニンフお姉様!」

 

カオスがニンフを突き飛ばし、カオスは蔦に体を縛られてしまう。

 

「カオス!」

「…っ……」

 

カオスは懸命にもがくも蔦は取れない。

 

「無駄だ。それはもがけばもがくほど、締め付ける力が強くなる。こいつの命を助けて欲しければ大人しく殺され……」

「でゃっ!」

 

突然どこからか声が聞こえてき、突然蔦が緩む。

 

「あれ?」

 

カオスは蔦から解放された。

 

「カオス、大丈夫?」

 

イカロスとアストレアもカオスのところに駆け寄る。

 

「大丈夫。でも…」

「今の声は……」

「誰だ!?」

「だぁああああああああ!!」

 

すると海から何かが飛んでき、それがダプネーを襲い、ダプネーを海へと叩き落とす!

 

「なんだ?」

「あれは……」

 

海から飛んできたものは水の上に立つ。

 

「くそ……」

 

ダプネーはすぐに空へと上がる。

 

「貴様……」

 

そこにいたのは正司であった。

 

「貴様、あの爆発をどうやって生き延びた!?」

「あの程度の爆発、地球の中心の爆発に比べたらなんともない」

「何を言っているのだ?」

「とにかく貴様らは俺の目的の邪魔だと言うことだ。行くぞ!」

 

正司がサテュロス達の元にジャンプしようとした時、突然上空から2つの放熱砲が飛んでくる。

 

「うん!」

 

正司は両腕をクロスさせ、放熱砲を防ぐ。

 

「!」

 

全員が上空を見る。するとそこには超高熱体圧縮発射砲『Prometheus(プロメテウス)』を構えているハーピー達がいた。

 

「ハーピー達!」

「何の用だ、ガンマー」

 

ハーピー達がサテュロス達の元にやって来る。

 

「マスターの命令でな、お前達を援護しろと言われてきた」

「お前達は裏切り者共をやれ。あの男は私達が戦ってやろう」

「随分と自信があるんだな」

「攻撃を防がれたくせに」

「あれはまだ出力を抑えていただけだ」

「これはもはやお前達が知ってるような威力じゃないぞ」

 

ハーピー達は自信を持って言う。

 

「ならば任せるぞ」

「言っておくが途中で裏切りなどしたら、お前達をその場で殺してやるからな」

「……ふ…」

 

サテュロスのやり取りを見ていた正司は静かになっていた。

 

「お前達……どうやら俺の力を見たいらしいな。

いいだろう! 地力転身!!」

 

正司のその言葉とともに正司の体は変化していき、正司の体は土のような鎧が現れ、頭にも同じようなものが現れ、顔を覆う。

体は改造人間のようなたくましい体になり、頭も鎧騎士の被るようなものが出てきた。

 

「地球の戦士、ハーメラス」

 

ハーメラスと自称したその姿はかなり分厚い鎧を着ており、見た目からしても強さを感じる。

 

「ふん、そんなに格好を厚くして動きが鈍る……」

 

ハーピーの一人が言い終えない間にハーメラスは既にもう片方のハーピーに攻撃をしていた。

 

「え?」

「な……ん…だと!?」

「誰が鈍いだと?」

 

ハーメラスの動きはエンジェロイド達では捉えきれていなかった。

 

「このっ!」

 

喋っていた方のハーピーはPrometheusを構えようとするが、既にハーメラスは懐に入り込んでいた。

 

「怒力、地嶽衝(ちがくしょう)!!」

 

ハーメラスは拳をわずかに捻り、ハーピーの腹部に命中させ、ハーピーを回転させて吹っ飛ばした。

 

「ぬああああああ!! っ!!」

 

空中で飛ばれていたために羽を使って体勢を立て直す。

そこに先ほどふっとばされていたハーピーが戻って来た。

 

「貴様…」

「今の攻撃でも倒れないか」

 

ハーメラスはジャンプし、浮遊し始める。

 

「飛べるだと!?」

「俺は地球から生まれた地球の戦士だ。ここが地球である限り、俺は地球にある力を引き出せる!」

「ほざくな! 地蟲(ダウナー)が!」

 

ハーメラスとハーピーズの戦いが始まろうとするが……。

 

「俺も協力してやるぞ」

 

ハーメラスの側に秋山がやって来る。

 

「なんだ、さっきの人間か」

「不満か?」

「いや、お前は人間だが不思議と嫌な感じがしないな」

「まあ俺は異世界の人間の上に闇とはいえ神の魂を持っている。

それが原因か?」

「異世界の神の魂か……、興味深いが今はあいつらを倒すべきだな」

「いや、時間稼ぎだ」

「何?」

「俺達はあいつらがあの自分にそっくりさんを倒すまでの時間稼ぎでいい」

「どういうこと……」

 

ハーメラスはよそ見をしているうちにPrometheusで撃たれて海に落ちる。

 

「ふん。よそ見しているからだ」

「それで倒せたら、俺、お前達を見直してやるぞ」

 

秋山が笑顔で言った。

 

「何?」

 

するとハーメラスは再び海から姿を現した。

 

「この程度か?」

 

ハーメラスが秋山の側に浮かぶ。

 

「いくぞ、闇の神」

「俺は人だ!」

 

秋山とハーメラスがハーピーズと激突する!

 

 

秋山とハーメラスが戦う少し前からイカロス、ニンフ、アストレアの三人はサテュロス、ダプネー、ヘカケイルと戦闘に入っていた。

 

「Artemis!」

「Aktaion(アクタイオン)!」

 

イカロスのArtemisのミサイルとサテュロスのAktaionの爆弾がぶつかり合い、爆発を起こす。

 

「パラダイス=ソング!」

「ヘル=ソング!」

 

ニンフのパラダイス=ソングとダプネーのヘル=ソングもぶつかり合う。

 

「どっせえええい!」

「はああああ!!」

 

アストレアの剣『chrysaor』とヘカケイルの剣『Sthenno(ステンノ)』も激しくぶつかり火花が散る。

 

「なんて戦いだ……」

 

智樹達は目を腕などで覆いかぶせて見るのがやっとのほどの激しい戦闘であった。

 

「うう……」

 

そこに先ほど正司に助けられ、何とか智樹達の所にいたカオスが意識を取り戻す。

 

「カオス、大丈夫か?」

「お兄ちゃん、大丈夫だよ」

 

カオスはイカロス達の戦闘の方を見る。

 

「イカロスお姉様、ニンフお姉様、アストレアお姉様……勝って」

 

カオスはつぶやいた。

 

「何故だ! 何故、その剣を砕けない!」

 

ヘカケイルのSthennoは既に何度もアストレアのchrysaorとぶつかり合っている。

剣の耐久度やスペックではSthennoの方が上。そのため何十ともぶつかり合えば脆い方の剣の刃はかけてくるもの。

しかしchrysaorはかけてる様子はなく、逆にSthennoの剣の刃の方が欠け始めていた。

 

「どっせええええええええええい!!」

 

アストレアが何度目かの振りおろしでchrysaorを振り下ろす!

ヘカケイルはSthennoで防ぐがSthennoの刃は砕け、ヘカケイルは斬られた。

 

「そ…ん……な……」

 

ヘカケイルの体は真っ二つにされ、海に落ちて行った。

そして落ちたと同時に爆発していった。

 

「……………」

 

アストレアは知らずに涙を流していた。

 

「他に武器がないのは悲しいわね、ベータ!」

 

ダプネーはマシンガンのようなものを出し、ニンフに襲い掛かっていた。

 

(あのマシンガンの弾はアルファーのArtemisみたいに自動追尾能力があるみたいね)

 

ニンフは飛び回りながら相手の能力を見極めていた。

 

(だったら……)

 

ニンフは飛び回るのをやめる。

 

「大人しく殺される気になったのかしら? なら死になさい!」

 

ダプネーがマシンガンを発射させる。

マシンガンの弾がニンフに近づこうとした時…。

 

「ハッキングフィールド展開!」

 

ニンフは自分の半径1メートルと言う小規模にハッキングフィールドを展開した。

そのフィールド内にマシンガンの弾が入っていた。

マシンガンの弾は途中で軌道を変えた。

 

「何!?」

 

ダプネーはすぐに自分に襲い掛かろうとする弾を迎撃する。

弾同士がぶつかって爆発を起こす。

 

「!」

 

ダプネーは煙で気づかなかった。

ニンフが自分に近づいていたことに……。

そしてニンフは既にパラダイス=ソングの発射準備をしていた。

 

「この距離なら外さないわ! パラダイス=ソング!!」

 

ほぼゼロ距離からパラダイス=ソングを放つニンフ。

そしてダプネーは海へと落ちて行った。

 

「馬鹿な……お前のパラダイス=ソングはそこまで威力はなかったはず………」

 

ダプネーは海に落ち、そして深くに落ち、爆発した。

 

「あんた達が変わったように、私も変わったのよ。コッペ」

 

ニンフは静かにダプネーの最期を見送った。

 

「!!」

「はあっ!」

 

イカロスとサテュロスの戦いは激しさをましていた。

 

「これで終わりにしてあげるわよ! 空の女王(ウラヌス・クイーン)!!」

 

サテュロスはライフルの大きさのロケットランチャーを取り出す。

 

「それは……」

「Kassandra(カサンドラ)よ。知ってるでしょ? あんたのAPOLLONの模造品。

けど、今のKassandraはあんたのAPOLLON以上よ……」

 

サテュロスのKassandraの先端に火が付く。

 

「言っておくけどあんたのAPOLLONでこれの相殺をしてみなさい。

この国は粉々よ」

「……………aegis」

 

イカロスは自分とサテュロスの周りにaegisを展開する。

 

「そうするわよね……」

 

サテュロスは笑う。

イカロスは黙ってAPOLOONを出す。

 

「それだとあんたが壊れるわよ」

「私なら平気です」

「言うわね、空の女王(ウラヌス・クイーン)!!」

 

二人の最大の武器が放たれ爆発を起こす。

 

『イカロス(さん)(ちゃん)!』

「「アルファー(イカロス先輩)!!」」

 

傍観していた智樹達が叫び、ダプネーとヘカケイルを倒したニンフとアストレアが急いでイカロスの元に駆け寄ろうとする。

その様子はハーピーズや秋山にレアガーラも見ていた。

 

「あれだけの爆発、空の女王(ウラヌス・クイーン)もお終いだな」

「なんだあの程度か」

 

ハーメラスはそうつぶやいた。

 

「あの程度?」

「星の中心での爆発はあの程度じゃない」

「それに……お前達、今のイカロスを見くびり過ぎてるぞ」

「なんだと?」

「確かにお前達がよく知ってる時代のイカロスなら負けるだろうが、今のイカロス……お前達が知らないイカロスは……負けねえよ」

 

秋山が言う。

爆発の煙が止むとそこには無傷とまではいかないものの軽傷で空を飛んでいるイカロスとサテュロスがいた。

 

「なんだと!? 何故だ……? 何故…」

「何故ですって?」

 

イカロスの元にニンフとアストレアもやって来る。

 

「お前達……ダプネーとヘカケイルがやられたとでも言うのか!?

だが何故だ? 私達の性能はお前達を上回っていたはず……」

「サテュロス、私達はあなた達と別れた時とは違う。

今の私達には『愛』がある。

それがなんなのかは今でもよくは分からない。

けど、『愛』があるから戦える。たとえここで腕や足を無くそうとも、私達はマスターやマスターの世界を守るためにあなた達と戦う!」

 

イカロスとニンフとアストレアが構える。

 

『ハーピー達』

「「マスター!!」」

 

ハーピー達の所にシナプスのマスターからの通信が入る。

 

『お前達は引きあげろ。もうそこのポンコツはお終いだ』

「分かりました」

「貴様ら、命拾いしたな」

 

ハーピー達は撤退していった。

 

「どう考えても命拾いはそっちだろうに…」

「さてと…」

 

ハーメラスもサテュロスの方に向かった。

 

「くっ…ハーピー達までいなくなったか……」

「消えな、俺以外に人類を滅ぼそうとする奴」

「う………ああああああああああああああああああああ!!」

 

サテュロスは突然叫びだす。

するとサテュロスの背後から次元の裂け目が現れ、サテュロスは次元の裂け目に飲み込まれる。

 

「あれは…」

「次元の裂け目だ。別の次元に逃げたか……」

「なら逃がすわけにはいかんな!」

 

ハーメラスは次元の裂け目に入っていった。

 

「お前達はどうする?」

 

秋山はイカロス達に尋ねた。

 

「……………」

「アルファー、行きなさい」

「え、でも?」

「もうここは私とニンフ先輩、それにカオスがいれば大丈夫ですよ♪」

「………」

 

イカロスは黙って智樹達の所に降りてくる。

 

「マスター」

「イカロス、俺いつも言ってるよな? お前のやりたいことをやれって……」

「はい…」

「あの人をこのままにしていたら、その行った世界が破壊されるかもしれないんだよ」

「あいつを止めに行った奴もいるが、イカロス。お前自身が止めたいんじゃないのか?」

「けどそれを決めるのはイカロスちゃんよ」

「イカロスお姉様……」

「……マスター、そはらさん、先輩、会長、カオス…………。分かりました」

 

イカロスは空を飛ぶ準備をする。

 

「タイプα、イカロス。行きます!」

 

イカロスも次元の裂け目へと突入し、サテュロスの後を追っていった。

 

 

 

 

 

 

 

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