荊州に攻め込んできた黄巾党を討伐した後、黄巾党の暴乱が大陸の各地で起きていた。
暴乱の鎮圧に、漢王朝が官軍を形成して討伐に乗り出すが、次々と敗れ去り、黄巾党は各地で勝利を謳い、その規模を膨らませていった。
しかし、そんな情勢も、各地の諸侯たちの活躍により覆されていく………許昌を本拠地とする曹操・義勇軍を結成し連勝を重ねていく劉備などによって。
………前の外史と同じように………
そんな中、袁術の使者が、黄巾党本隊と決戦し、撃破せよという命令を携え、館を訪ねてきた。
「皆集まったみたいね」
「「「「うん(ああ)(うむ)(はい♪)」」」」
袁術の使者が帰った後、雪蓮は一刀たちを庭へ呼び集めていた。
「袁術ちゃんに呼ばれたから、私はこれから城へ行ってくるけど………冥琳、袁術ちゃんたちのことに関しては、前に話し合った通りで問題ないかしら?」
「ええ。張勲と二人きりになれる時機がなければ、また違う手を考えることにしましょう」
「わかったわ。……それから、一刀」
「何?」
「あなたの考えというか気持ちを、冥琳たちにも分かってもらった方がいいんじゃない?」
「………そうだな。……三人とも、聞いてほしいことがあるんだ」
「「「何だ(じゃ)(ですか~)?」」」
「……袁術と張勲、二人のことなんだけど……俺は、二人が何か困っているのなら、助けてあげたいんだ……」
一刀は雪蓮に言われて、自分の気持ちを三人に伝える。
「……雪蓮、あなたは知っていたようね」
「まあね………私が一刀に尋ねたのよ、どうしたいのって…」
「それで策殿は何と答えたのじゃ?」
「私は一刀のしたいことに協力するわ」
「そうですか~。ではでは、私も一刀さんに協力します~♪」
「うむ。儂も一刀に協力しよう」
「もちろん。私も協力させてもらう」
「皆……ありがとう……」
「さてっと。…それじゃあ私は袁術ちゃんの所に行ってくるわ」
「「「「うん(ああ)(うむ)(はい~)」」」」
そして雪蓮は袁術の城へと向かっていった。
残された一刀たちは、前の外史での今回の戦のことを思い返しながら、話し合うのであった………
「で、今回呼び出した用件は何かしら?」
袁術の城に着いた雪蓮は、玉座の間で袁術と対面していた。
「うむ。………………わざわざ済まなかったのじゃ………………」
「えっ!?………」
「なっ、何でもありませんよ!孫策さん!!……美羽様、孫策さんにご用件を」
「そっ、そうじゃった!……大陸の各地で暴れていた黄巾党が、諸侯たちの活躍によって衰えてきているのは知っておろう?」
「ええ。知っているわよ(う~ん、何とか張勲ちゃんから聞き出したいわね~)」
雪蓮は二人の様子を見て、改めて、何とか聞き出せないか考えていた。
「そこでじゃ!今こそ黄巾党を殲滅する時機じゃと、妾は思うておるのじゃ」
「時機は確かにそうね。……でも、私の兵だけじゃ無理な話よ。……各地方に散っている呉の旧臣たちを呼び寄せても構わないなら、話は別だけどね」
「ふむ。なら呼び寄せて構わぬのじゃ」
「そう。それじゃあ、お言葉に甘えてそうさしてもらうわ。……袁術ちゃんはどうするつもりなの?」
「朝廷からの命令じゃから、もちろん妾も出るぞよ。……妾たちは準備を整えたら、西進して黄巾党の別動隊を撃破するのじゃ」
「あら、あなたたちも本隊を討伐した方が名声を得られるんじゃないの?」
「名声なら孫策にくれてやるのじゃ。………………妾は名声などいらぬ………妾は………」
「……ちょっと、どうした…」
「さっ、さあ、孫策さん、用件はこれでお終いですので、あとはいつ頃出陣するかの報告をおねがいしますぅ」
袁術の様子がおかしいことを隠すように張勲が話を遮る。
「……そう、わかったわ。その件に関しては後日伝えるわ(何とか張勲ちゃんと二人になれないかしら……)」
今の雪蓮にとって、戦のことよりも二人の方が気になって仕方なかった。
「はい、お願いしますぅ。……美羽様」
「……なんじゃ、七乃よ?」
「孫策さんへのご用件もお済みになりましたし、蜂蜜水をお持ちしましょうか~?」
「………頼むのじゃ」
「はいは~い♪」
袁術の返事を聞いて張勲が玉座の間から出ていった。
「(今しかないわね)それじゃ、私は帰らせてもらうわ」
「うむ……」
雪蓮も玉座の間から出て行き、張勲の後を追い掛ける。
「張勲ちゃん!」
「はい♪……孫策さんですか~、何でしょう?」
「(……う~ん、直接聞いてみようかしら……)袁術ちゃんの様子について教えてもらえるかしら?」
「えっ!?………なっ、何のことでしょうか?」
張勲は明らかに動揺していた。
「……そう(冥琳の言った通りみたいね……)。なら、別に構わないわ。……私は失礼するわね」
雪蓮は踵を返し、張勲の前から歩き去っていく。
「………………………」
張勲はしばらくその場で黙ったまま俯いていたが、何かを決意したのか、顔をあげて雪蓮の後を追い掛けて行った。
「……待ってください」
「……あら、どうしたの?」
「……私の部屋まで一緒に来て下さい」
「……わかったわ(上手くいったみたいね…)」
そして二人は、張勲の部屋へと向かっていった。
「少し待っていて下さい。私は美羽様に蜂蜜水を持っていきますので」
「ええ」
部屋へとやってくると、張勲は雪蓮を部屋に残して、袁術へ蜂蜜水を持っていくために出て行った。
しばらくして、張勲が戻ってきた。
「お待たせいたしました」
「構わないわ……それで、私をあなたの部屋へ呼んだ理由は?」
「それは、……美羽様……お嬢さまのことについてです」
「そう。……話してもらえるのね?」
「はい。……美羽様……お嬢さまは少し我が儘なだけで、ホントは民の幸せを第一に願う、とてもお優しい方なんです。ですが………」
「どうしたの?」
「……実は、お嬢さまの一部の家臣が、まだお嬢さまが子供なのをいいことに、自分たちの好き放題に政を行っているのです。……それをある時、たまたまお嬢さまが知ってしまわれ、それで………」
「それで?」
「それでお嬢さまは、もう誰も信じれぬ……と心を痛められて、ふさぎ込んでしまわれたのです………何とかしてお嬢さまを助けたかったのですが、私一人ではどうすることもできず………」
「そうだったのね……わかった。………私も協力するわ」
「そんなっ!!……孫策さんにまでご迷惑をおかけすることはできません!」
「あら、そんな話を聞いて『はい、そうですか』って、放っておけるほど私も薄情じゃないわよ。それにあなたたちを助けることは、ある人の願いなのよ」
「……ある人とは?」
「う~ん……詳しいことは話せないけど、私にとって何よりも大切な人よ♪」
雪蓮は一刀の顔を思い浮かべ、幸せそうに微笑みながら張勲の質問に答える。
「その方は優しい方なんですね」
張勲は素直な感想を口にする。
「そうよ♪とっても優しいんだから♪」
「私もお会いしてみたいですね」
「この件に関して、全てが片付いたら会わせてあげるわ。だから………あなたも必ず生き抜きなさい。いいわね?」
「………はい………孫策さん、ありがとうございます………」
張勲の目からは涙があふれていた………
「泣くのは全てが片付いてから……ね♪」
「ぐすっ………そうですね」
張勲は涙を拭いながら、笑顔を作って返事を返す。
「さて、それじゃあ、あまり細かい状況まで聞くのもなんだから、周りの状況に関しては、こっちで間諜を放って、調べさせてもらっても構わないかしら?」
「はい。それで構いません。ひとまず私は、お嬢さまに危険が無いよう、今まで通りに行動させてもらいます」
「ええ、そうしてもらえるかしら。時機が来たら、間諜を使って連絡するから。私のとこにいる間諜は優秀だから何も心配することないわよ♪」
「はい。わかりました。……あの、このことはお嬢さまには内密に…」
「わかってるわ。話を聞く限りじゃ、このことを知ったら、袁術ちゃん自身が動き出す可能性もあるみたいだし…」
「お願いします。……それと、孫策さん」
「何かしら?」
「私の真名、『七乃』をあなたに託します」
「………ホントにいいの?」
「はい。私は孫策さんを信じます。だから……美羽様のことを必ず助けてあげてください」
「わかったわ。……でも少し違うわね」
「……何がですか?」
「言ったでしょ。あなたたちを助けることがある人の願いだって。だから、あなたも必ず助けてあげる」
「………そうでしたね。……すいません」
「わかればいいわよ。……私も、私の真名『雪蓮』をあなたに託すわ」
「えっ!?………………ありがとうございます」
「どういたしまして♪……ただし、全てが片付くまではお互いの真名を呼ぶことはやめておきましょう」
「そうですね……そのほうがよろしいですね」
「じゃあ、そろそろ失礼するわね」
「はい。……よろしくお願いします」
「ええ。任せておいて」
雪蓮は張勲……七乃の部屋から出て行き、自分の館へと帰って行った。
「あっ……雪蓮様が帰ってきましたよ。お帰りなさ~い♪」
「ただいま~♪」
「お帰り。……その様子だと、何か得られたようね」
「ええ。ばっちしよ♪……実はね……」
館へと帰ってきた雪蓮は庭で、玉座の間でのこと、七乃から聞いたことを皆に話す。
「ほう、その様なことになっておったのか。やはりというか、儂らが知っておる二人とは随分違うようじゃのお」
「皆、ごめん。俺が二人を助けたいなんて言ったばかりに…」
「一刀のせいじゃないわよ。私もあんな話を聞かされたら、二人を助けてあげたいって思ったもの。皆もそうでしょ?」
「「「そうだな(じゃ)(ですよ~)」」」
「ありがとう」
「それでは、間諜に関しては明命に任せるとしよう」
「そうね。私もそう考えていたわ」
「では、今回の戦もありますし蓮華様たちに使者を出しておきますね~♪あっ、でも小蓮様はどうしますか~?」
「う~ん……もうこの際だから小蓮も呼んじゃいましょう」
「わかりました~♪」
「……んっ?……あのさぁ、一ついいかな?」
一刀は何か疑問に思ったのか、皆に尋ねる。
「どうしたのじゃ?」
「いや、………亞莎って今どこにいるんだ?」
「「「「………あっ!!!………」」」」
亞莎がどこにいるのか、失念していたのだった………
<座談会>
作者:メリークリスマス!!
一刀:メリークリスマス!!
作者:と言っても、一人身の私にはいつもの休日と何も変わりませんが………
一刀:それを俺に言われてもだな………
作者:わかっておりますとも………はぁ~~~
一刀:まあ、どんまい!!てか、雪蓮の料理を食べてよく無事だったな。
作者:【華佗印の胃腸薬】を頂けたのでそれで何とか。
一刀:そうか。……それ、俺にも用意してくれないか?
作者:頼んでみます。
一刀:マジで頼む!
作者:ということですので、どうかよろしくお願いします<(_ _)>……それにしてもホント……
一刀:どうしたんだ?
作者:さすがは天性の女たらしですね。
一刀:……俺はそんなつもりはないんだが……
作者:まあ、私の中では、恋姫達を幸せに出来るのはあなたしかいませんから、何とかしてみせます!
一刀:そうか………ありがとな。
作者:ただ、あまりフラグを立てられまくると、収拾がつかなくなりますので………
一刀:うっ………努力いたします………
作者:お願いします。………しかし、完っっっ璧にやってしまいました………
一刀:亞莎のことか……
作者:はい。亞莎様が呉に加わる経緯を完全に忘れてました………ホンットに申し訳ありませんm(_ _)m
一刀:まあ、それでもどうにかするしかないよな。
作者:一応どのように出て来てもらうかはもう決めておりますが………
一刀:んっ?
作者:少し今後の展開もふまえて、年末年始で構成を煮詰めておこうかと思います。
一刀:そうか。それじゃあこれが今年最後の投稿になるのか?
作者:小説は最後ですが、投稿は突発的に思いついた簡単なネタを私の趣味でやろうと思い、そちらを最後に。
一刀:それって、ひょっとして携帯ストラップのやつか?
作者:そうです。すでに作り始めてしまっていますけど………
一刀:大丈夫なのか?
作者:全く自信はありませんが、最早後戻り出来ないので、当たって砕け散ってきます!!
一刀:そうか。まあ、骨は拾ってやるから安心しろ。
作者:よろしくお願いしますよ。それではお時間ですのでこの辺で。
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この作品は真・恋姫✝無双の二次創作となっております。
第十話になりますが、先に皆様に謝っておきます………ホントに申し訳ございませんm(_ _)m
自分でもアホかって思うぐらいとんでもないへまをやらかしてしまいました………
詳細は座談会にて………うぅっ………
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