「う~、サブッ!!」
一刀はチラッと腕時計を見る。
時刻は現在、午後五時三十分。
今日はクリスマスで、一刀は華琳とデートのため、午後六時に待ち合わせをしていた。
一刀は待ち合わせ時間の一時間前には待ち合わせ場所へと来ていたのだった。
それから待つこと二十分……
「…やっぱ早く来すぎたよな~…。でも、華琳を待たせると後が怖いからな~」
「誰が怖いですって?」
「へっ!?………………」
一刀は“ギギギッ”という音が聞こえそうな感じで声がした方へと向く。
「………げっ!!」
「げっ!!とはどういう意味かしら?」
華琳はこめかみにうっすらと青筋を浮かべながら笑顔で一刀に質問している。
「あの~………華琳…さん?」
「何かしら……一刀さん♪」
「………目が笑ってないんですが………」
「あら、よく分かってるじゃない♪」
「………お手柔らかにお願いします………」
そう言って一刀は来るべき衝撃に備えて目をつぶって歯を食いしばる………
「………………(あれっ?)…“ギュッ”………えっ!?」
なかなか来ない衝撃に目を開けようとした瞬間、左腕に華琳が抱きついていた。
「さっ、早く行くわよ」
「………あっ…ああ、そうだな」
一刀は一瞬、華琳の行動に呆気にとられていた。
「………せっかくのクリスマスなのにそんな事したくないじゃない……ばか………//////」
「えっ?何か言った?」
「なんでもないわよ//////。…それより、どこに行くか知らないんだから、ちゃんとエスコートしてもらえるかしら?」
「かしこまりました。お穣さま」
「ふふふふっ♪」
「ははははっ♪」
二人は仲睦まじく歩いていく。
「着いたよ」
「ここって………ミシュランに載ってる店じゃない」
一刀が華琳を連れてきた場所、そこはミシュランで三つ星を獲得したフレンチレストランだった。
「よく予約が取れたわね」
「何度も撃沈したんだけど、やっとね。さっ、入ろうか」
「そうね」
そして二人はお店の中へと入っていく。
「いらっしゃいませ」
「予約した北郷ですが」
「北郷様ですね。お待ちしておりました。お席へご案内いたします」
「はい」
二人はギャルソンについていく。
「こちらでございます」
ギャルソンが二人を席まで案内して、椅子を引く。
最初に引いた椅子へ華琳が座る。
「ありがと」
華琳のお礼を聞いたギャルソンが一礼をして、反対側の椅子を引く。
そちらに一刀が座る。
「ありがとうございます」
「それでは料理の方をお持ちさせていただきます。ごゆっくりとお楽しみください」
「はい」
ギャルソンが一礼をして下がっていく。
「もう頼んであったの?」
「うん。予約の時にコースで頼んどいたんだ。……だめだったかな?」
「いいえ。今日は全部一刀にお任せだから」
「ありがと、華琳」
「どういたしまして」
「ははははっ♪」
「ふふふふっ♪」
二人は出されるコース料理を他愛のない話をしながら食べていく。
メインディッシュを食べ終えたところで、クリスマスプレゼントの交換を行う。
「華琳、俺からはこれなんだけど………」
一刀は綺麗にラッピングされた細長い箱を差し出す。
「ありがと♪開けてもいいかしら?」
「うん」
華琳は一刀の返事を聞いて、丁寧にラッピングを解き、箱を開ける。
「………綺麗ね」
一刀が華琳にあげたクリスマスプレゼント、それは、トップにスターサファイアが輝くネックレスであった。
「華琳の瞳の色に合わせて選んだんだけど、どうかな?」
「一刀にしては、上出来ね」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
「………………ホントは左手の薬指にはめるものが欲しかったんだから……ばか……」
「えっ?何?」
「なんでもないわ!…私からはこれよ」
華琳は手のひらより少し大きい箱を一刀に差し出す。
「ありがと。…開けていい?」
「ええ」
一刀も丁寧にラッピングを解き蓋を開ける。
「これって………」
華琳が用意したクリスマスプレゼントは、一刀が前から欲しがっていた腕時計だった。
「前から欲しがってたみたいだから。その腕時計も高校の時からだからだいぶ古いじゃない」
「うん。ありがとう、華琳。大事に使わしてもらうよ」
「そう。それなら良かったわ」
「それじゃ、デザートを食べて帰ろうか」
「そうね」
二人はデザートを食べて、支払いをして店から出て帰って行った。
二人は今、自分たちの家へと続く道を、腕を組んで寄り添いながら歩いている。
「あら、この公園懐かしいわね」
「うん。懐かしいな~」
その公園は二人が子供の頃によく遊んでいた、小さな公園である。
「少し寄って行きましょ」
「うん」
二人は公園の中へと入っていく。
「小さい頃はよくこうやって遊んだわね」
華琳はブランコに座って少し揺らしながら一刀に話し掛ける。
「そうだな」
一刀はそんな華琳の姿を優しい瞳で見つめていた。
「「………………」」
少しの間、沈黙が二人の時間を支配する。
「……華琳、受け取ってほしいものがあるんだ」
一刀は何かを決意した顔をして、華琳に近寄る。
「……クリスマスプレゼントならもう貰ったじゃない」
華琳はブランコから立ち上がり、一刀に答える。
「違うんだ。手を出してくれるかな」
華琳は一刀に言われて右手を差し出す。
「ううん。左手を出してほしいんだ」
「えっ………それって………」
華琳は右手を引いて、ゆっくりと左手を差し伸べる。
一刀は華琳の左手を自分の左手で優しく持ち、右手でポケットからあるものを取り出して、華琳の左手の薬指にはめる。
「華琳。………大学を卒業したら結婚してほしい」
一刀が華琳に渡したもの………それは婚約指輪だった。
その指輪には表面に
“KAZUTO to KARIN”
と彫られていた。
「ほんとはちゃんとしたものをあげたかったんだけど、プレゼントやディナーで使いすぎたから、自分で作ったんだ。ホントは内側に文字を入れるべきだけど、無理だったから表にね//////」
一刀は少し照れくさそうにしながら華琳に話す。
「えっ………これって……一刀が作ったの?」
華琳は左手の薬指に輝く指輪を見つめながら一刀に問いかける。
「うん。……下手でごめん。今度またちゃんとした物を買って渡すから」
「………いいえ、いらないわ。………これでいい………」
「えっ……でも……」
「だって、一刀が私のために作ってくれたのよね?」
「……うん」
「なら……世界に一つだけの……私だけの指輪だから………」
一刀に答える華琳の目からは涙が零れ落ちていた。
「華琳………ありがとう………………それで…あの……返事を聞かせて欲しいんだけど………」
「………ばか………そんなの決まってるじゃない」
華琳はそう言いながら一刀の首に両腕を回す。
一刀も華琳を優しく抱きしめる。
そして二人は口づけを交わす………
まるで二人を祝福するかのように雪が降り出していた………
………………二人の未来に幸有れ………………
~終わり~
<あとがき>
今回、ツンデレに初挑戦でしたが、今の私では無理でした・・・
投稿されている作家様方の作品をよく読んで、勉強したいと思います。
この作品を書くにあたり、自分の趣味的なものを利用して少し趣向を凝らしてみようと、一刀が華琳にあげた婚約指輪を作ったのですが、写真を撮ってみたら文字が全部入らなかったので載せるのをやめました・・・指輪を作るときに、余った材料で作ったものが風&宝譿・携帯ストラップになります。
風&宝譿・携帯ストラップ画像のコメント欄に書いたのですが、風&宝譿・携帯ストラップのプレゼントクイズみたいなものをしようかと思いますので、参加を希望される方がいらっしゃいましたら、こちらのコメントか、私のあしあと伝言板の方まで一言お寄せください。
受付は第3回同人恋姫祭りの最終日である12月25日までとさせていただきます。
参加してくださる方がいることを願いつつ、参加をお待ちしております。
初参加ですが、私の第3回同人恋姫祭りへの投稿作品を最後までお読みくださり、ホントにありがとうございました。
今後さらに、恋姫✝無双を盛り上げたいと思いますし、盛り上がることを期待しております。
それでは、失礼いたします。
Tweet |
|
|
18
|
1
|
追加するフォルダを選択
この作品は第3回同人恋姫祭りへの参加作です。
初参加となります。
まずはオススメ作品の紹介から。
続きを表示