No.345293

キラキラエメラルド

A.Tzawaさん

5人体制時代の話しに巻き戻し。
うーん。ゾロナミになりきれない。
布石ってことで。

2011-12-09 20:58:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2953   閲覧ユーザー数:2953

存外警戒を解くと懐の緩い奴だった。

 

 

 

■■ キラキラエメラルド

__________________________________

 

 

 

 

 

動物や子供がよく懐いているなとは思っていた。

昼間は甲板で剣の修行のために串刺しアレイを振ったり筋トレをしているか、

昼寝という名の惰眠を貪っているかで正直戦闘以外では全く役に立たない。

 

「そうなの?」

 

ナミはデッキにセットされたパラソルの下で星図表を広げながら

サンジからおやつの給仕を受けその話しを聞いてそう返えした。

 

そうなんですよ!と先程からサンジは息巻いている。

先程立ち寄った港で買い出しをしている際にゾロが女の子に声をかけられているのを目撃したらしい。

 

「人外は100歩譲って許すとしても

 レディはあんなクソ毬藻に近付くなんて許されていい筈がないっっ!!」

 

人外ねぇ…とナミはサンジが入れた紅茶を一口啜りながら

少し離れたメインマストの傍でお菓子の取り合いをしているルフィとウソップに視線を移した。

その横でゾロはそれを後目にデカイ口を開けて寝ている。

 

 

「だからナミさんも油断しちゃダメだからねっっ!!」

 

それが言いたかったのかと納得してナミはくすりと小さく笑いはいはいとおざなりに返事をした。

するとそれに満足したサンジは夕食の準備があるからと名残惜しそうにキッチンへ戻っていった。

 

「あーっっ!!ルフィ!テメー」

 

そこに一際大きなウソップの声が響いた。

どうやらお菓子攻防戦は食欲魔神のルフィに軍配が上がったようだ。

リスのように口いっぱいに頬張りながらルフィは逃げ回っている。

 

「ったく五月蠅くてオチオチ寝てらんねー」

 

どこぞの猫と鼠よろしくゾロとマストの周りをぐるぐる回る2人の騒がしさに

ようやっと盛大な欠伸をしながらゾロが目を覚ました。

 

「よく言うわ、今まで散々寝ておいて」

 

3人の様子を暫く観察していたナミが呆れて距離があるにも関わらず思わずツッコミを入れていた。

 

「ゾロぉぉおおっ!」

 

起き抜けのゾロにウソップが飛びつき事のあらましを泣いて訴えている。おやつ一つで大騒ぎだ。

 

「うるせーな。ったく」

 

そう言って寝ていた為に手付かずだったゾロの分のおやつをウソップに手渡すと

ウソップは感激して喜びそれを見たルフィはズルい!!とまくし立てた。

 

「テメーはウソップの分も食ったんだろうが」

 

皿に残った菓子を自分の口に放り込みながらゾロが呆れる。

 

「だってオレはゾロの分は食ってねえっっ!!」

 

ルフィもことさら大きな声で訴えている

どうやら寝込みは襲わなかったと言うことが言いたいらしい。

 

「わかったからコレ食え」

 

お菓子一つで大騒ぎに呆れながらもゾロは最後に更に残った一つをルフィに差し出した。

 

「あーっっ!テメーら!?」

 

背後から大きな声がしてその場にいた全員がびくりと驚いた。

キッチンにいたサンジが丁度出てきた所だったのだ。

 

食事やおやつ夜食に致るまで栄養バランスにカロリー計算までして日々の献立に務めるサンジからしてみれば

軽食だからと言って軽んじてはいけないのだ。

 

「俺の取り分を俺の好きにして悪りぃのかよ」

 

メインデッキのゾロがサンジの言い分など意に介さずそのままルフィに自分のおやつを渡そうとするので

船尾甲板から見下ろすサンジはさらにこめかみに青筋を立てて怒りに戦慄く。

 

「もう!喧嘩しないの!

 ほらルフィ。あたしの分あげるから」

 

仕方なくナミがパラソルの下からルフィに向けて手招きして自分の分を分けてやると

サンジが怒りから一転悲しそうに眉を下げてしまった。

 

「ごめんね、サンジ君

 この間のココヤシ村で食べ過ぎたみだいだから」

 

そう言ってナミが肩をすくめてしなを作ってにっこり笑いかけると

サンジはメロメロと足元から蕩けてしまった。

 

ナミの故郷であるココヤシ村を経ったのは既に何日も前で

出立前の村をあげてのドンチャン騒ぎのパーティーの余韻はとうに過ぎていた。

その証拠にアーロンパークでの戦いでボロボロだった面々はすっかり回復している。

 

「さてと」

 

と言ってナミが立ち上がり船室への扉を開けると上からサンジの声が降ってきた。

 

「今夜の夜食は何がいいですか?」

 

うーんとナミが唸る。

今おやつを食べたばかりでお腹が満たされている状態では次の献立はなかなか思い浮かばない。

 

俺は肉!

じゃあ俺は肉まんかな

 

ナミの背後では勝手にリクエストを上げる面々にサンジが容赦なく却下をくだす。

 

「そうね食べ物はいいから

 お酒の瓶を置いておいてくれたらいいわ」

 

何だか今日は飲みたい気分でそう言うとナミのリクエストにサンジが快く承諾した途端

ナミばっかりズルい!とブーイングの嵐が起こる。

 

仕方なくナミが振り返り全員をジロリと見回す。

 

「騒いでられるのも今の内だからね」

 

ナミがそう言うと男たちは口を噤みびくりと固まった。

それを見てナミはふふふっと不敵な笑みを浮かべたまま扉を閉めてその場を後にした。

 


 
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