/一刀
文醜と顔良……か。
とりあえず某三国志ゲームには出て無かった、よな?
何となく聞き覚えがある気がする名前だから、霞と同じ武将の同名異性か、それともただそう言う名前なだけか。
三国志フリークじゃない俺には判断が付かないし、何より十と数年前の記憶だ。
はっきり覚えてる訳がない。
精々孫権が最初ヘタレだったことと、チャラ男甘寧にツンデレ凌統、触角呂布とイカした髭のオッサン張遼……。
典韋許緒はデカくてごつくて、董卓は超典型的な悪役キャラで袁紹はキンキラで孫呉√で袁なんとかが食べ物持って来なくて往復させられてイラッと来て。
イケメソ趙雲にビーム孔明、アホキャラ魏延と弓爺……劉備は、どんなんだったっけ。あ、双剣使いだ。
関羽と張飛は普通で、孫尚香は元気っ子で、王元姫はポニテで俺のお気に入り。こんなもんか。あ、曹操も普通に曹操だったな。
氷の塊的なのをしゅばーってやってた気がする。あと最初っから居た従兄弟何て名前だったっけ。夏なんとかだよな。
文醜と顔良……名前特徴的なコンビでどっかで聞いた気がするんだけどなぁ。気がするだけだしなぁ。
居たとしても思いだせないってことは、キャラグラ無しの凡庸武将だったんだろう。
でも今までの知り合いの中にはこんな風にピンとくる名前は無かったし……名を残した武将の可能性も無きにしも非ず、ってことにしとこう。
……認めたくないけど。
しても、仮にさっきの考え通り、三国志の登場人物文醜と顔良がこの二人として、張遼=霞、とするとだ。
この世界はなんになる?
パラレルワールド的な別の時間軸なのか、IFの世界なのか、それともこれこそが正しい正史なのか。
歴史書の改ざんなんて何処の国でもやってた事だから、あり得ない訳ではないよな。
何処かで権力を握った人物が登場人物達の性別を反転させたとか、娯楽性と大衆受けを狙って女だらけの姦し演義から渋くて男くさい軍記ものにしたとか。
もしくは霞と縛られてる二人の計三人のみが女性になってて後は皆原作通り男とか。
……もしかして逆ハー乙女ゲー展開が待ち受けてるとかじゃないよね?
うん、違うと信じたい、てか違って欲しい、というかお願いしますそんなのは勘弁してください。
……まぁ、可能性としては考慮すべきか。
嫌だけど。
他にあり得る可能性としては、霞=張遼が既に間違っている。
時代が三国志じゃない中国である。てか中国ですらない。
そもそも地球ですらない。リアル胡蝶之夢状態。実は俺は現代で大いなる陰謀に巻き込まれていて……etc。
とりあえずそんな可能性上げ出したらキリがないけど、一つだけは、確かなものがある。
この状況は普通じゃない。いくら夢とか催眠とかだったとしても、俺はカニバリズムも薬物も見た事も体験した事も無い。
人が首はねられる瞬間やリンチでぐちゃぐちゃにされて死ぬ瞬間も見た事がない。
だけど、ここではそれらは全部現実として俺に起こっている。
つまり、俺の想像できる領域を遥かに超えた現実らしい何か、が起きているってことだ。
……まぁ、だからと言ってどうにかなる訳じゃないけど。
現実でも夢でも仮想でも、俺にとっては今が現実で、霞はリアルな存在。これだけは違え様がないから、それでいい。
……っと、元の思考から逸れたね。
つまり、俺は何が言いたいか、と言えば。
「いでででっ!! ちょ、解いてくれぇ!」
「あーん! ごめんなさいー! 反省してますからぁ!!」
三国志の武将がこんなにアホなわけがない。
ちょっと目離してる隙に抜けだそうとでもしたのかなんかエラい体勢になってる何かが二つ。
もちろん文醜と顔良だ。
いや、蟹縛りも笹舟もそんな事にならない筈なんだけどね。てか文醜その角度だと足折れるんじゃ……。
え、サービスカット? 絡まり方が妙にグロいんでそれどころじゃありません。パンツ見えてるけど。
「……なぁ、一刀? いい加減解いてやったらどうや?」
「うーん……まぁ霞がそう言うならいっか。お二人、反省してる?」
「してるしてる超してる!! いででででっ!!」
「ごめんなさいぃ! だから早く解いてください! い、痛いんですよーっ!!」
「はぁ、仕方ないなぁ」
と、俺が再び縄に手をかけた瞬間
「おーい、拾ってきた奴らの様子はどう……だ……?」
見知らぬ厳ついオッサンが、もう見てくれから賊やってますよって言ってるオッサンが、
まるで全盛期のシュワちゃんとジャックとランボーを足して三掛けた様なオッサンが、
筋骨隆々って俺の為にあるんだよって言われても納得できそうなオッサンが。
そこに居た。
「……被虐趣味も大概にしろよ?」
……えっ?
「うぉいっ!? オヤジいくらなんでもその反応はいだだだだっ!?」
「ちょ、義父様先ずは娘の心配をするのがいたたたたたっ!?」
同時に思わず突っ込んだせいで、うわっ、腕が可笑しな角度に……。
「こーいうんが女体の神秘っていうんか?」
「えっと、とりあえず違うと思うよ?」
「んで、坊主、この状況はなんなんだ?」
と、ダンディーでマッチョなオッサンが俺に話を振って来た。
「えっとですね、かくかくしかじかうまうまで」
「なるほどな、んで目を離してた間にあんな前衛芸術の像みたいになっちまったワケか」
「かくかくしかじかで通じるって便利やなぁ」
……触れないぞ、霞の今の発言には触れないぞ!
「……こほん。まぁいいさ、あの二人にゃたまには良い罰になっただろ」
何か霞の言葉に不穏な気配を感じたのか、咳払いで誤魔化すオッサン。
うん、その判断は正しいと思います。
「えっ、それで良いんですか?」
「おう、大体あの艶本も全部俺んだしな、がはは」
「えっと、これが信賞必罰やっけ?」
「あってるけど確実に違うよ」
誰だ霞におかしな言葉教えた奴。
「にしても笹舟に蟹縛りか、斗詩と猪々子の持ってった中には載って無かったと思うが」
「ああ、それなら俺がやりました」
「ほほう……」
と、俺の言葉に眉をひそめるオッサン。
ッ!? な、なんだ、この強大な力は……、このオッサンから……なのか!?
っ……この感覚はッ!!
気付けば、俺は自然と膝を付いていた。
オッサンも嬉しそうに破顔一笑サムズアップ。
「坊主、いや、同志よ!」
「お師匠様と呼ばせてください」
「えっ、なんなんこの状況?」
臣下の礼を取る俺、感涙極まった表情で俺を見つめる筋肉オッサン。
そしてその後ろで絡まり合って現代アートも真っ青なオブジェクトの文醜と顔良。
一人普通(?)な霞。
……確かに意味分からんな。
**
「と、ちょっとおふざけが過ぎたか?」
「オヤジの馬鹿野郎! 可愛い娘二人の腕と足が捥げるとこだったんだぞ!」
「ううっ、まだ節々が痛いよぅ……」
「がははは、これからは艶本を盗らないことだな」
小刀でしゃきんと縄を切ったオッサンは改めて俺と霞に向き直った。
「さて、んじゃ改めてようこそ安邑義馬賊団へ。
俺は首領の文亨(ぶんきょう)、字は貞亯(ていこう)だ。猪々子の実父で、斗詩の義父でもある」
突然の自己紹介に少々面食らうも、それに返すべく姿勢を正す。
「あ、俺は高順、字は北郷といいます」
「ウチは張遼、張文遠や」
「ふむ、北郷と文遠か。よろしく、と言いたいところだが、残念ながらそうもいかなくてな」
「それは、どういう……」
「こういう意味だ」
俺が尋ね返す間もなく、指がパチン、と鳴らされた。
それを合図に、途端に天幕に乗り込んでくる屈強な男たちが十と七人。
「痛っ!?」
「ッうぐっ!?」
そしてその光景に一瞬あっけにとられた隙を突き、押し倒され喉元に刃を突きつけられた俺達。
突きつけた相手は、文醜と顔良だった。
「動かないでくれよ、あたいはアンタらを殺したくないんだ」
「ごめんなさい、抵抗しなければなにもしませんから」
「っ、一刀っ」
「動いちゃ駄目だ、抵抗もするなよ、霞」
「……っ、分かった」
一瞬、霞から殺気を感じるも制止する。
どうあがいても、この状況じゃ良くて精々相手に傷を負わせる程度が限界だ。
向こうは1㎝腕をずらすだけで俺たちを殺せるんだし。
「やっぱり物分かりいいなお前、いや、北郷」
「……何が目的だ? 殺すつもりならさっさとヤッたらどうだ」
「いやいや、なら最初から身ぐるみ剥いで雪原に捨ててるさ。それに、分かってるんだろ、同業者さんよ」
と言いながら、文亨が出したのはボロい麻袋。
首に掛けられるようひもが長くしてあるソレは、全く残念なことに実に見覚えがあった。
なにせ、俺の持ち物だしな。
「……ちっ。それが目的か? なら残念だったな、俺が持ってる白胡はそれだけさ」
そう、文亨が手に持った袋に入っているのは、俺が密かに持ち出した白胡だ。
何故かって? そりゃ勿論、最高品質の白胡は金の成る木だからだ。
あの麻袋一つ分だけで、半年はなにもせず暮らせるだけのカネになるだろうから。
どうにもならなくなったときの、俺の最後の金策手段だ。
「いやいや、誰がこんな狂人薬使うかよ、白胡だぜ白胡。俺たちゃまだ誰も死にたくないんでな」
てっきり俺はそれが目的かと思ったんだが、どうやら違うようだ。
意外だな、アウトローな集団だと思ってたんだが、存外こういう面では真っ当らしい。
しかしそうなると、皆目見当が付かない。こいつ等の目的はなんだ?
霞がイライラしてるのか怯えてるのか分からんが小刻みに揺れている。
「……じゃあ、どうしてこんな扱いを?」
「分からねぇワケねえだろ、同業者さんよ。 じゃあ北郷、お前の縄張りにコレ持った同業者が倒れてたら、どうよ?」
「ああ、なるほど。 ……まぁ、俺のボス、じゃなくて首領だった奴なら処分するだろうね」
「だろ? こんなヤベェ物持ってる奴ぁ野放しに出来ねぇだろ」
「……なら霞だけは助けてください」
俺はためらうことなく、額を地に擦りつけた。
両腕が抑えられているから土下座は出来ないからな。
「ちょ!? 一刀何して「俺はどうなってもいい。霞だけは助けてください。彼女は一般人なんだ」
「ほぅ……。何故だ? 言い分や弁解は無いのか?」
わざとらしく手を顎に当てニヤニヤわらう文亨。クソッ、ブン殴ってやりてぇ。
「残念ながら俺が売人や薬の密売黒社会じゃない、と証明する手立てがないんだ。俺が薬で何をするかも何処の組織の人間かもわからない。
あるのはその俺だけから見つかった白胡という物的証拠だけ。態々手前らが危険を抱える必要は無いしするべきでもないだろう。
だが、霞は完全な一般人だ。薬の知識も無ければ密売の行程も取り決めも地点も知らない。
義賊を名乗るなら、そんな一般人に手を出す事は出来ないだろ? それとも、アンタらの侠はそんな安っぽいモンなのか?」
正直一か八か、ってか俺が知ってる義賊ならこう言えば引いたから言ってみただけで。
……あー。やっぱまだ流石に死にたくは無いんだけどなぁ。てか霞連れ出しといて俺先に死ぬとかどんだけ無責任なんですかと。
でも霞は死なせたくないし、俺の後負わせようとも思わないし。でもやっぱまだ死にたくは無いし死ぬの怖いし。
と、俺が言い様のない不安に駆られていると、黙り仏頂面引っ提げ俺を眺めていた文亨の口元が、ニヤリと歪んだ。
**
「…………くくっ」
「何が可笑しいんだ」
何か酷く馬鹿にされた様な気分になった。
まぁこっちは誠心誠意やってるつもりだし、其れを笑われるってのは気分良い訳無い。
「くはっ、がっはっはっは!!
良いぞ坊主、こんな状況でその啖呵が切れる良く回る頭に、自分の女を命張って守る心意気。
俺ぁコイツが気に入ったね。皆はどうよ?」
「あたいは良いと思うぜ」
「というか別にこんなことしなくても良かったんじゃ……」
「他に何かあるか?」
文醜と顔良が頷くのを確認すると、他の十七人一人ひとりにも視線を送る文亨。
誰もが満足そうにうなずいている。
「……えっと、どういうこと?」
「つまりはだな、俺ぁ元々お前等が気に入ってたんだよ」
「はぁ?」
いきなり何言ってんだ?
気に入ってたって、初対面なのに?
「ただ純粋にお互い心配し合い気に掛けあう、まるで若い頃の俺と兎々子みたいで」
「オヤジ、その話長いから今すると……」
「おっと、そうだったな。まぁ猪々子と斗詩の報告聞いてたんだよ、お前らの寝相に寝言から目覚め一番の台詞まで全部な」
「なっ……!」
「……ウチ、変なコトいうとらんかった?」
絶句する俺、文醜に確認とる霞。
「別にぃ? ずっと一刀一刀そんなところはだめぇって」
「わーっ!わーっ!! そないなコト大声でいうなやぁっ!」
「……こほん。んで、お前らどうせ訳ありだろうし、俺らは元々強盗とか追剥ぎはしねぇって取り決めがあるからな。
近くの邑まで送り届けるつもりだったんだよ。そしたら、コレが出てきたって訳だ」
そう言って白胡の袋を掲げる文亨。
「で、それがどうしてこの歓迎する雰囲気に繋がるんだ?」
「そりゃあ、俺らは人材不足だからな!」
……こ、こいつら。
なんか頭痛がしてきたぞ。
「えっ、一刀、ウチ意味分からんのやけど」
「大丈夫だ霞、俺も意味が解らん」
むしろ分かりたくない。
「何言ってんだ北郷、分かってんだろ?
人材不足の中に現れた現場経験者、しかも義理堅く一度決めた事は守ろうとする人格者。拾わない手はねぇだろ」
アルバイトの募集じゃないんだから……、とツッコミたかったが、生憎ここで横文字が解る奴は居ないので我慢する。
「それで、さっきのが最終試験だった、って訳か?」
「おう、命と天秤に掛けられた時、義理や親愛、そう言う侠の心意気を持った対応が出来るか確かめたわけさ」
「えっ? えっ? 何、何が起きとるん?」
「……はぁ。まぁソレは良いんだけどさ、なんで俺らがアンタらの仲間になる前提なワケ?」
「えっ? ならないのか?」
「えっ? なんでなる前提なんだよ、ってお前ら全員首かしげんなっ!」
十九人が全員、えっ? て表情で俺をみて来た。
「いや、そこは空気読んで『ああ、よろしく頼むよ』だろ」
「むしろ『ちっ、仕方ねぇな……』の方がいいと思うよ」
「おおっ、それいいなぁ! 冷静で実は照れ屋だとなお良しじゃね?」
「そっ、それいいね文ちゃん! 文遠ちゃんはどう思う?」
「ええっ、ウチ!? せやねー……、やっぱ一刀なら『……たく、二度目はねぇからな』って照れながら言うのが」
「おおおっ! ソレいい!すげぇいい!」
「萌え! だね文ちゃん!」
「んじゃさ、誰と絡ませる?」
「やっぱお義父様じゃない? デレるならあの二人でしょっ!」
「えっ、絡ませるってなんぞ?」
「よくぞ聞いてくれました! 実はな、女性向けにこう言うのがあって」
「チェストォッ!!」
「破ッ!!」
「うぎゃーっ!? あたいのお宝がぁっ!?」
「ふぅ。悪は滅んだな」
「ええ、有害図書は滅すべきです」
俺と文亨のオッサンの即席コンビで文醜の出した本達を散らした。
かかと落としと手刀のコンボだ。……あれ、なんで今手刀使えたんだろ。
まいっか。
霞にBLは見せられないからね。うん。
あんな恐ろしい文化……。表現の自由があるから滅べとは言わないが、俺の霞を汚染するなら容赦はしない。
「と、話が逸れたな。 なんだお前、仲間に加わらないのか?」
「いや、俺は別に構わないんだけど。大体、俺があの試験に受かってたとしても、アンタらを裏切らない保証は無いんだぞ?」
「がはは、そんときゃそんときだ。俺達の見る目が無かったってことだ」
エラい適当な組織運営だった。
……でも50を超す様な多所帯になっても問題なさそうなトコロを見ると、意外とこのオッサンの人を見る目は凄いのかもしれない。
「でも……」
正直、この提案は願ったり叶ったりだ。追手がいるかなんてわからないが、何処かの集団に混じる事さえできれば一気に足取りは掴みづらくなるし。
少なくとも食の安全だけは確保されるし、凍えて死ぬエンドは無くなりそうだし。
それに俺もう立派な犯罪者ですもの。今更後ろ暗いことの一つ二つ増えても変わらないけど、霞にそんな事をさせる訳には……。
「なんだ、文遠か?」
「彼女は俺が守る、そう決めたんだ。なのに彼女に後ろくらいことさせる訳には」
「はぁ……お前は馬鹿か?」
「なっ!?」
「お前の女は一人で何もできない様な雑魚なのか?」
「そっ、そんなワケねぇよ! 霞は強い奴だよ!」
「だろ? じゃあお前、そんな態度で良いのか?」
「っ……」
……確かに、俺は霞をどう扱っていた?
傷ついて欲しくない、その想いは一緒だけども、それで、霞を傷つける様な判断をしたんじゃ……。
守りたい、そう思う余りに、逆に腫れものに触るみたいに接していたんじゃ……。
とんとん。と肩が叩かれた。
振り返れば、いつかの時みたいに、俺の目を真っ直ぐ見つめる霞がいた。
「あんな一刀、ウチ、一人で何も出来へんワケやないよ? そりゃあ、一刀が想ってくれるんは嬉しいけどな?
でも、それで一刀のお荷物んなるんは、ウチ、いやや」
「霞……」
「こう言ってくれればええんよ? 『一緒に、やろう?』って。
そしたら、ウチは一刀のお荷物んならんでええし、一刀より腕っ節あるウチは一刀助けたれるし、一刀と一緒に居れるし、いざって時は、守ってもらえるし、な?」
言葉が出なかった。
俺は、とんでもない愚か者だ。
「……ごめん、霞」
「ううん、ええんよ。ウチも一刀になーんも言うとらんくて、おんぶにだっこで甘えとったし」
「霞……」
「一刀……」
「えー、こほん。そろそろ良いか?」
と、オッサンの野太い声で現実に戻された。
慌てて殆ど抱きあってた身体を離した。
文醜と顔良がめっちゃニヤニヤしてた。
「どうだ、お前の大事な人は、そんなに弱かったか?」
「いや、凄く、俺なんかと比べ物にならないくらい強い奴だよ」
「だろ?」
「ああ」
俺は差し出された手を自然と握っていた。
精一杯の感謝をこめて。
と……。
「という訳で新入りの北郷と文遠だーっ!! 手前ら、今日は祝うぞ! 酒を出せぇーっ!!」
「え、ちょ、おまっ」
いや、あの、えっと、そう言う意味の握手じゃ……と、言うには既に遅く。
いつの間にやら天幕の入り口には他のメンバーらしい連中が溢れていて、文亨の声と共に歓声をあげる。
そこらで陽気な声が聞こえ始めたかと思うと、直ぐに場は笑いに包まれた。
「人の話を聞かない連中だなぁ……」
諦めたように呟くと、横に居た霞が嬉しそうに声を上げた。
「にゃは、えかったな一刀、仲間出来たで!」
「……まぁ、いいか」
霞が嬉しそうに笑顔を見せている。
なら、これも一つの選択肢だった、ということだろう。
霞が笑ってられるなら、これも悪くない。
こんばんわ、甘露です。
前振りしたらいつもよりちょっと増え方が鈍かったことにショックを受けました。
おまいら全員ツンデレなのか(ぇ
安定の水、土週二回定期更新です。
次回は土曜日、アンケで一番だった風ちゃんが・・・!?
アンケ
今回はお休みです。
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