この物語は真・恋姫†無双という外史に、
CRISIS CORE FINAL FANTASYⅦのジェネシス・ラプソードスが来たという設定です。
作者である私、黒山羊が原作を何度もやりなおし、登場人物を原作通りにしたつもりです。
ですが、解釈が幾らでも可能であるように、登場人物が皆様のご期待にそえるかどうかはわかりません。
まあ、CCFF7が分からなくても楽しめるように書いたつもりです。
また、作者は関西人なので、気をつけているつもりですが、セリフが関西弁臭くなってしまうかもしれません。
あらかじめご了承ください。
読者の皆様が楽しめたら幸いです。
視点:雛里
「俺にとって雛里は一番大事な人間だ。」
「一番大事ですか//////」
「そうだ。」
「桃香様や愛紗さん、鈴々ちゃん、朱里ちゃん、星さんよりもですか?」
「そうだ。」
「前の世界のアンジールさんやセフィロスさんよりもですか?」
「そうだ。」
「ご主人様よりもですか?」
「お前は八百一本の読み過ぎだ。」
「あう//////」
「モンスターである俺をお前は人間のように接してくれる。そして、親友と喧嘩をしてでも俺に居場所をくれた。
おかげで、俺はこうしてゆっくりと湯に浸かって居られるし、まっとうな寝床もあるし、食べ物に困った事も無い。
誰かに地の果てまで追いかけられて殺されそうになったり、グチャグチャになるまで体を弄られることも無い。
だから、お前の存在は俺の存在の肯定そのものだ。俺はお前を友人以上の存在だと思っている。」
「でしたら……。」
私はずっと秘めていた想いをジェネシスさんに今ぶつけようと心に決めました。
ジェネシスさんは私の事を世界で一番大事な人って言ってくれました。だから、今私のこの気持ちをぶつけても受け止めてくれると思ったからです。ジェネシスさんはお酒を飲んだせいか此処まで話してくれたのです。今!今が攻め時です!
私はジェネシスさんの顔を見ます。
「私、ジェネシスさんと接している内にジェネシスさんのことが好きになってしまいました。
友人や仲間としての好きじゃなくて、一人の男性として好きになってしまいました。
私はジェネシスさんという一人の男の人が好きになりました。だから、私をジェネシスさんのお嫁さんにして下さい//////」
やった!舌を噛まずにちゃんと言えました。
最後の方は少し照れちゃって真っ直ぐジェネシスさんの顔を見ることが出来ませんでしたが、それを除いたら、完璧です!
でも、ジェネシスさんは無表情で私を見て来る。そして、立ちあがり、湯船の中を歩き、私から離れようとします。
私からはジェネシスさんの背中が見えます。さっきまで、大きかったあの背中が何故か小さく見えます。
とても、小さく寂しいです。
「雛里、俺はお前の気持ちには答えてやれない。」
ジェネシスさんが何を言っているのか全く理解できなかった。
『俺はお前の気持ちに答えてやれない』たった数単語でできた誰でも分かる簡単な文章。
それなのに、私は分からなかった。理解できなかった。ジェネシスさんの言葉の本質が分からなかった。
でも、数秒かけて、その言葉を反芻して分かってしまった。理解してしまった。
あぁ、私はふられたんだ。
あまりにも理解の範囲を越えた納得のいかない事に、私唖然としてしまう。
「でも、ジェネシスさん。私のこと世界で一番大事な人って言ってくれましたよね?それは恋じゃないんですか?」
「違うな。」
「どうして、そうはっきり言えるんですか?」
「恋は自分の子孫を残す為に相手を渇望する感情だ。
人間は人間相手に恋をし、他の動物に恋をすることは無い。犬、猫、虫、鳥や魚に恋をした人間はいるか?
だから、モンスターに恋をする人間は居ないし、人間に恋をするモンスターも居ない。」
そう言って、ジェネシスさんは背中の亀裂中に折り畳んでいた再び翼を広げます。
「でも、私はジェネシスさんが好きなんです。」
「それは気の迷いだ。天の国は吊り橋効果という言葉がある。
自分が危機に立たされた時にその場に居たり、救ってくれたことによる恋の錯覚だ。何度か俺はお前を助けたことがあったよな?おそらくその時の気持ちだろう。だから、お前の気持ちは錯覚だ。」
「……ジェネシスさんの馬鹿。」
私は手で顔を覆い、走って、脱衣所の籠に入っていた自分の服をひったくると逃げ出します。
ジェネシスさんの馬鹿!ジェネシスさんは私じゃないのに私の気持ちなんか分かるはずがありません。
こんなに大好きなのに!こんなにジェネシスさんのこと愛しているのに!
それなのに、私の気持ちを錯覚だって切り捨てて、本当に酷いです。
ジェネシスさんのこと本当に大好きなのに!
ジェネシスさんなんて大っ嫌いです!
視点:ジェネシス
雛里は走って浴場から出て行ってしまった。
俺は雛里に酷い事を言った。俺は雛里では無いから、どれぐらい雛里の気持ちは分からないが、彼女は泣いていた。
俺の言葉が雛里を傷つけたことは分かっている。
雛里の気持ちが錯覚なのか、事実なのかは分からないが、雛里が俺のことが好きだと言う気持ちは嬉しかった。
俺をモンスターだと分かった上で、好きだと言ってきた奴は初めてだった。だから、雛里の好意は純粋に嬉しかった。
だが、俺はモンスターだ。これは覆しようがない事実だ。
犬と猫がどんなに仲良くなったとしても、恋仲にはなれないのと同じで、俺と雛里は恋仲になれない。
恋仲になれたとしても、恋仲になった先に持ちうるであろう雛里の望みに答えてやれる体を俺は持っていない。俺はジェノバ細胞を持ったモンスターで人間の体と似て非なるモノだからだ。
故に、その望みを俺は叶えてやれないのだ。それなら、俺は雛里の好意を拒絶しなければならない。
たとえ、俺が雛里のことが世界で一番大事でだったとしてもだ。
「………。」
俺は後ろに倒れ、湯船の中で仰向けに浮かぶ。
その状態で、俺は色々と考えた。俺はどうしたいのか。どうありたいのか。どうすれば、俺が傷つけた雛里は救われるのかを。
幾ら熟考しても、俺と雛里が結ばれる結末が俺には想像できない。
だが、俺は彼女の別の願いを叶える方法があることに気がついた。
俺は風呂から上がると、服を着て、中庭で夜空を見ることにした。
食堂に行き、棚から酒壺を持ち出して、中庭へと向かった。
「ん?」
中庭に先客がいた。青龍偃月刀を振りまわす関羽だった。
俺の存在に気付いたようで、俺に敵意を向けて来る。あいかわらず、嫌われているようだ。
だが、以前に比べれば、大分マシになったと言えるだろう。
おかげで先ほどまで中庭で木霊していた虫の鳴き声がピタリと止まった。おそらく関羽の敵意に中庭の虫達は驚いたのだろう。
俺はそんな関羽に話しかけた。
「夜分遅くまで精が出るな。良ければ、相手してやろうか?」
「……お願いします。」
俺はレイピアを地面に突き刺し、酒壺を引っかけ、青龍偃月刀を構えた関羽の前に立つ。
関羽が青龍偃月刀を構えるのを確認すると、地を蹴り、関羽との間合いを詰める。
まずは小手調べだな。俺は軽めの蹴りを関羽の左わき腹にめがけて、かましてみた。
関羽は青龍偃月刀の柄を俺の膝に当てることによって俺の蹴りを防いだ。柄のしなりを上手いこと生かした防御方法だった。
以前の関羽ならば、俺の攻撃を防げたであろうが、此処まで完璧で衝撃をいなすことは出来なかっただろう。
どうやら、関羽も大分成長したらしい。俺は思わずにやけてしまった。
俺の不意打ちと、俺のにやけた顔が癪に障ったのか、更に関羽の俺に向ける敵意が大きくなった。
「不意打ちとは卑怯ではないでしょうか。」
「ボケたか?関羽?
戦場で『不意打ちは卑怯だ』と言う言葉は通じるのか?これは鍛錬で卑怯事はあってはならないと言うか?
鍛錬とは戦場で死なない為の準備に様なものだ。殺し合いと言う名の戦場を想定していない鍛錬に意味はない。」
「それもそうですね。ならば、私は貴方を殺す気で参ります。」
「そうしろ。そうでなければ、お前は戦場でくだらないことで死ぬぞ。」
俺がそういうと関羽の気は敵意から殺気へと変わる。そのせいか、関羽の周りの空気が歪んで見える。
怒気のような濁った気は感じられない。純粋な殺気で周りの景色を歪めているように見える。
俺は左足で地面を蹴り、宙に浮き、更に関羽の青龍偃月刀を蹴って跳び、バク転して着地し、関羽との間合いを取った。
一方、青龍偃月刀を蹴られた関羽は俺の蹴りの衝撃で後ろへと下がった。
だが、関羽はすぐに体勢を立て直し、俺との間合いを詰めようと走って来て、俺の首を狙った突きを放った。
殺意の籠った、当れば必殺の一撃だ。俺はその関羽の一撃必殺の突きを紙一重でかわし、関羽の懐へと入りこんだ。
懐に入り込んだ俺は関羽の手首を掴み、俺は背中を少しそらす。
そして、関羽を引き寄せ、俺は額を前に出し、関羽の額に勢いよく頭突きをかます。
あまりにも予想外の攻撃だったのか、関羽はよろめいた。
これまでの関羽だったならば、此処で倒れていたであろうが、俺の目の前に居る関羽は右足を後ろに下げて踏みとどまった。
そして、その体勢から左足を折り、低い体勢を取り、俺に足払いをしてきた。
俺は頭突きをした時にやや前のめりになってしまった為、此処で俺が足を浮かせて関羽の攻撃を避けたのなら、関羽は更に回転して俺に何かしらの攻撃をしてくるだろう。だが、前のめりになっている為、後ろに跳ぶことは出来ない。
俺は仕方がないので、関羽を飛び越えるように跳躍し、関羽の後ろ10mの所に着地する。
まったく、何処かの誰かの真似をして慣れない攻撃をするもんじゃないな。次から頭突きは却下だな。
俺はゆっくりと振り向き、関羽を見る。関羽も俺の方を向き、偃月刀を構えた。
「一つ、賭けをしないか?関羽」
「このような時に賭けとは余裕ですね。どのような賭けですか?」
「これから先、俺に足以外を使わさせたら、お前の勝ちで、足を使った攻撃でお前を倒せたら、俺の勝ちというものだ。
要するに、俺が関羽を攻撃するのに頭突き、拳、剣を使って攻撃及び防御をすれば、俺の負けってことだな。
勝者は敗者にどんな事でも命令できる権利が与えられる。敗者は勝者に従わなければならない。なんてのはどうだ?」
俺は挑発とも取れるような賭けを提案してみた。傍から聞けば、最低とも言えるような挑発だ。
これで激昂するようであれば、桃香の陣営の筆頭武官は星の方が良いと思ったが、俺のそんな心配も取り越し苦労だったらしい。
「良いですよ。」
「賭け成立だな。」
前に倒れるように、俺は体を傾ける。そして、顔があと少しで着くという所で俺は地面を蹴った。
地面と水平とも言えるようなこのような体勢だが、足の指に力を入れて足で大地を掴んだり、地面の起伏を蹴るのなら、誰でもできるような簡単なものだ。要するに、ロッククライミングを足だけでやっているようなものだ。体と水平な壁にあるわずかな起伏を掴み前へ進む。ただ、それだけの事だ。俺はうつ伏せになって地を滑る様にして跳んだ。
これも遊びのような、小手調べのようなものだ。
どんな小手調べかだと?簡単だ。地上を生活圏とする動物の大抵は真上や真下からの攻撃にはめっぽう弱い。
何故なら、真上や真下からの攻撃が殆ど存在しない為、それに素早く反応出来ているようには出来ていない。
その証拠に距離感を見てみれば良い。地面の50m先と真上50m先を目視で測る時どっちの誤差が出やすいか分かるだろう。
凡人なら、西瓜割のような上段からの攻撃だろう。この攻撃を関羽はどう捌くのか俺は楽しみだ。
だが、関羽の取った行動は違った。関羽は後ろに跳び、なぎ払う構えをした。
賢い選択だ。先ほど言った凡人がやりそうな地を滑るモノへの上段からの攻撃は危険が多過ぎる。
何故なら、その攻撃は倒れた者に止めを刺す時に使う攻撃で、避けられたら、得物は地面に刺さり、自分の懐に入りこまれてしまう危険がある。故に、動いている者に俺が言った攻撃は向いていない。
一方、関羽はなぎ払いと言う攻撃手段を選んだ。これだけなら、俺を攻撃するのに苦労するかもしれないが、関羽は後ろに跳んでいるおかげで、攻撃のタイミングが正確に取ることが出来る。
しかも、関羽は青龍偃月刀を短く持っている。万が一、俺が攻撃を避けたとしても、関羽の隙が少ない為、その後に来る俺の攻撃に対応しているつもりなのだろう。
もはや、満点と言えるほどの迎撃方法だ。
だが、そんな関羽の迎撃に対応する方法を俺は知っていた。
簡単だ。関羽が俺を迎撃しようと偃月刀をふり始めた瞬間に俺は動きを一瞬だけ止め、柄で防御態勢に入る前に俺が関羽に攻撃をすれば、良いだけの話だ。
俺は両手で地面を突き、両手の指が地面に刺さる。その衝撃で粉塵が少しばかり舞った。
腕に力に入れて俺が急停止したため、関羽の攻撃が空を切った。
俺は地面に刺さった指と腕力で倒立に体勢を変え、その体勢で地面を腕で押す。逆立ちジャンプと言えば分かるだろう。
だが、ただの真上への腕力でのジャンプでは無く、関羽の顔面めがけてのジャンプだ。更には高速前転や踵落とのおまけつきだ。
その結果、俺の取った行動は蹴り技へとなる。あえてこの蹴り技にウ―タイのカラテ風な名前を付けるとしたら、おそらく、『連続高速空中前転踵落とし』という摩訶不思議な名前になるだろう。まあそんな感じの攻撃だ。
関羽は右足を折り、右側へと転がり込むように回避した。
関羽が回避すると当然、俺の攻撃は外れてしまい、俺の連続高速空中前転踵落としによる衝撃波が地面に数本の線を描いた。
この威力だ。仮に関羽に当っていれば、関羽は挽き肉になっていたであろう。更に仮に俺の攻撃を関羽が偃月刀で防いでいたのなら、偃月刀が粉砕した挙句、両腕は粉砕骨折していたであろう。
だが、俺は関羽がギリギリ避けることが出来るように、この技を出したつもりだ。
俺は地面に着地し、反転させる。
関羽を見る為に振りかえった時には関羽はもう、こちらに向かって走り出し、俺の心臓めがけての刺突を放って来た。
先ほどまで首を狙っていたのを、心臓に狙いを変えたのは、首は的としては小さ過ぎ、回避されやすいと判断したからだろう。
狙い通り俺の胸の心臓を貫けば、文字通り必殺の刺突だろう。だが、俺も黙ってやられるつもりは無い。
俺は関羽の青龍偃月刀の竜の彫刻を右足で蹴りあげようとしたが、俺の蹴りは外れてしまった。
「目には目を!歯には歯を!急停止には急停止だ!」
なるほど。関羽もフェイントという体術を身につけたか。以前とは雲泥の差だな。
今の関羽なら、前戦った時の関羽を3人同時に相手にしても相打ちまで持って行くことが出来るだろう。
そんなことを考えていると、関羽は体を捻り、隙だらけの俺に渾身のなぎ払いをする。
遠心力や関羽の腕力によって、その攻撃は岩をも粉砕するような重さと弾丸と変わらないような速さの2つを兼ね備えていた。
片足立ちの俺はこれを避けられないな。
……………………………………足技縛りならな。
「俺の負けだな。」
俺は切られる直前で、関羽の偃月刀を右手で掴み、止めた。俺が降伏を宣言すると、関羽の殺気は消えた。
そして、俺が偃月刀から手を放すと、関羽は後ろへと下がった。
「初めて私が勝ちましたね。」
「そうだな。足技のみという制限付きだが、俺の負けだな。」
「くっ。」
「で、俺に何を命令する?」
「………貴方と話をしたい。」
「俺と話?その程度の事で良いのか?」
「はい。私の理想は桃香様が求める『誰もが笑える平和』を実現する事です。
ならば、私は貴方と話をして、貴方を知る必要があると思います。これが私の貴方に命令することです。」
「良いだろう。なら、あの東屋で酒でも飲みながら、どうだ?」
「はい。」
俺は関羽の返事を聞くと、地面に刺したレイピアと酒壺を持つと、東屋へと向かった。
視点:愛紗
そう。前からジェネシス殿と話をしなければならないとは思っていた。
理由は彼が妖であることに私は捕らわれ過ぎていると前々から思っていたからだ。
だが、私は堅物で意固地である為、何かきっかけが無ければ、彼に話しかけることに踏ん切りがつかなかった。
だから、勝負を持ちかけられた時、勝てば、彼との話し合いを彼に命令しようと思った。
こんな方法でも取らなければ、私的な話し合いが出来ないとは……。相変わらず、自分でも自分の不器用さに嫌になる。
私はジェネシス殿について行き、彼が座った場所の対面に私は腰を下ろした。
「で、俺と何を話したいんだ?」
不味い。全く話題を考えていなかった。
天気の話でもするか?待て、何処の世界に夜中に天気の話をするやつがあるか!したとしても、星が見えるぐらい快晴な時に話をするだろう。こんな星が見えないぐらいに曇っている時に話をする奴は居ない。
うぅー、何を話したらいいのだ?
「そういえば、先ほど、雛里から告白を受けた。俺が好きだと、俺の嫁になりたいと言ってきた。」
私が頭を抱えて悩んでいるのを見かねたのか、ジェネシス殿の方から話を振ってくれた。
その話題は先ほど、食事前と入浴中にジェネシス殿以外のこの城に居る将で話し合っていたな。
そして、雛里がジェネシス殿と混浴して、告白をすると言っていたな。
「それで、なんと答えたのですか?」
「断った。」
それはそうだろう。もし、ジェネシス殿が雛里の告白を生け入れていたなら、こんな所に居ない。
「理由を聞いても構いませんか?」
「お前が俺を嫌っている理由と同じだ。」
「…………貴方が妖だからですか?」
「あぁ。俺は人間では無くて、世界にただの一匹しか居ないソルジャーという生き物だ。
何処まで行っても、俺は人間で無い。だから、人間である雛里の恋心を俺は酌んでやることが出来ない。」
そう言ってジェネシス殿は酒を一気に飲まれる。その姿はとても寂しげで、とても儚げだった。
私と話しながら飲んでいるはずなのに、ジェネシス殿から発せられる気は一人で飲んでいるような感じがする。
彼が雛里の告白を断った理由が私には分かった。
ジェネシス・ラプソードスという男は、漆黒の翼によって、自分が孤独でないと認識できないから、己は孤独であるという概念が崩れない。
そして、彼は私達から団結力のようなものを感じ取り、自分が孤独でないと信じ込もうとしている。だが、孤独でないと信じられるきっかけがあったとしても、彼はあり得ないと言って、自分の求めた理想への可能性を潰してしまっている。
たとえ、それがどんなに大きなきっかけだったとしても、彼の翼が……彼の過去が……彼をそうさせている。
結果、理想を求めながら、その理想を拒絶してしまっている。
そんなジェネシス殿が私には、えらく臆病で、えらく弱々しく見え、その弱々しさがとても人間臭く感じられた。
私が戦って一度も勝てない目の前の剣士はまごうことなき人だった。
「ジェネシス殿、貴方に私の真名を預けたい。」
「どういう心境の変化だ?」
「私は貴方と今夜真剣に触れ合って分かった。貴方はどう思っているか知らないが、貴方の心は間違いなく人間の物だ。
だから、人である貴方に私の真名を預けたい。受け取っていただけるか?」
「いいだろう。」
「愛紗。それが私の真名だ。これからはそう呼んで頂きたい。」
「わかった。」
ジェネシス殿は急に立ちあがられた。そして、東屋の外に向かって歩きだされた。
私もその後を追おうとしたが、彼は背中の翼を広げられ、私は思わず立ち止まってしまう。
「愛紗、お前に頼みがある。」
「なんですか?」
「何かあった時、雛里を絶対に守ってやってくれ。
雛里はモンスターである俺を慕ってくれた優しい娘だ。もし、雛里に何かあったら、許さないからな。」
貴方が守れば良いでは無いですか?という疑問が出てきたが、雛里をふった手前、雛里の傍に居るのが憚られるのだろう。
ジェネシス殿は私が頷くのを見ると、何処かへと飛んで行った。
どうも、黒山羊です。
今回の話はどうだったでしょうか?
雛里がふられちゃいましたね。ジェネシスの性格を考慮した結果です。
彼の心が絶望に染まりつくしているが故に、彼は自身に向けられる好意を否定します。
それにジェネシスのジェノバ細胞の能力で、細胞を取りこんだ他人がジェネシスのこぴーとなってしまう。だから、雛里に恋人らしい事をしてやれないということも書こうと思ったのですが、まあ、悩んだ挙句止めました。
理由はジェネシスが雛里や愛紗にそんな事実を話すようなキャラじゃないと思ったので。
それから、愛紗との戦闘シーンは如何だったでしょうか?
出来るだけ詳しく書いたのですが、イマイチ分量が少ない様な気がするのが、残念です!
次回は桔梗√の方を更新するつもりです。
では、最後のシメと行きましょう。
今回は桃香がハイテンションでシメテくれます。それでは御唱和下さい。
ご主人様!!/|”(≧▽≦)”|\
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腰が痛い黒山羊です。この間重たいモノを持ったらゴキッといったのが今も続いているみたいです。
最後になりますが、
現在私は2本長編作品を書いています。
『真・恋姫†無双 武と知の2人の御遣い伝』を読まれる方はこちらの第1話から読んだ方が話が分かると思います。
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