No.338920

サテライトウィッチーズ 第六話

三振王さん

第六話になります。エーリカとルッキーニがメインになります。
ちょいエロ? 注意です。



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2011-11-24 19:30:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1855   閲覧ユーザー数:1811

第六話「何がスースーするんだ?」

 

 

ある日の朝、ガロードは気温の蒸し暑さで早く目が覚めてしまい、いつもの湖で行水した後基地の周辺を散歩していた。

 

「ったく……最近あっちいんだよ、もっと涼しくならないのかな……うわっと!!?」

 

その時、ガロードの足元を何か灰色の小さいものが通り、それは近くの草むらに入っていった。

 

「なんだなんだ? 今のは……」

 

ガロードは気になってその影を追って草むらに入る、するとその先で……。

 

「ふんっ! ふんっ!……ん? ガロードじゃないか?」

 

木刀で素振りをしている美緒がいた。

 

「おはようもっさん、こっちに何か小さいのが来なかったか?」

「小さいの……? ここには何も来なかったが?」

「そっか、見失ったかー」

「それにしても起きるのが早いなガロード、どうだ、私と一緒に訓練でも……ってもういない!?」

 

美緒はガロードを訓練に誘うが、そのガロードはいつの間にか姿を消していた。

どうやら訓練に付き合わされると感じ取りさっさと退散したようだ。

 

「逃げ足が速いな……流石は私が見込んだ男!」

 

美緒はそんな行動力の速いガロードに対し、呆れるどころか関心すら覚えていた……。

 

 

 

数分後、ガロードは朝食をたかりにウィッチの食堂に向かっていた。

 

「あぶねーあぶねー……さて、今日の料理は誰が担当なのかな~っと」

「あ! ガロードじゃんおはよー!」

 

するとそこにエーリカが手すりを滑りながら階段を下りてきた。

 

「おーエーリカじゃん、おはよー」

 

そう言ってガロードは立ち止まり、エーリカに挨拶する。

 

「あースースーするー」

「ん? 何がスースーするんだ?」

 

エーリカは勢いよく降りた後ガロードの目の前に着地する、その拍子で彼女のカールスラントの軍服がぺらりとめくれた。

 

「ん……? んん!?」

 

ガロードはそんなエーリカの姿を見て顔を真っ赤にして驚いた。なぜなら彼女はパン……じゃなくてズボンを履いていなく尻が丸出しだったのだ!

 

「おまっ、お前!? ズボンどうしたんだよ!?」

 

予想外すぎるものを目の当たりにし、ガロードは顔を真っ赤にして狼狽する。

 

「いやー、実はいくら探しても見つからなくてさー、代えが無いか探していたんだよ」

 

するとガロード達のところに窓から風が吹いてきて、エーリカの軍服をぺろーんとめくった。

エーリカはそれを手で抑えようとしないので、ガロードは頭から煙を出しながら顔を逸らす。

 

「ば、バカ野郎! 少しは隠せ!」

「あはははー、ごめんねー」

 

そう言ってエーリカは大浴場の更衣室に向かった。

 

「どこ行くんだエーリカ?」

「いやー、こうなったら誰かのズボンを借りて履くしかないじゃん」

「いやいやいや! その理屈はおかしいんじゃないの!? 普通に探せよ!」

 

ガロードは浴室に向かおうとするエーリカの腕を取って引き留める、その時……。

 

「あれー!!?」

 

更衣室からルッキーニの叫び声が響いた。

 

「ん? あの声は……」

「ルッキーニか?」

 

何事かと思い、ガロードとエーリカは更衣室を覗きこむ。そこにはノーパン姿で頭を抱えているルッキーニの姿があった。

 

「うおっと!」

 

ルッキーニの姿を見て思わず視線を反らすガロード。

 

「どうしたの? そんな大声出して……」

「あのねあのね、脱衣籠置いてあった私のズボンが無くなっているの」

「ルッキーニもなのか?」

 

するとそこに、風呂から上がって体にバスタオルを巻いただけの姿の芳佳、ペリーヌ、美緒が現れた。

 

「ん? どうしたのだルッキーニ、ハルトマン、それにガロード?」

「ふえええええ!!? が、ガロード君なんで更衣室にいるの!?」

「へ!? いやこれは違うんだ!」

「も、もう……いくらお年頃とはいえやりすぎですわ……」

 

隠そうとしない美緒、そんな彼女の後ろに隠れる芳佳、そして最初は戸惑いつつもまんざらではない様子のペリーヌ、三人のリアクションはバラバラだった。

 

「あのね、私のズボンが無くなってて……」

「まったく、整理整頓をちゃんとしないからそう言う事になるんですわ」

 

ペリーヌはため息混じりにルッキーニを見ながら自分の脱衣籠に手を伸ばす。そしてある事に気付いた。

 

「あ……あら? ワタクシのズボンがありませんわ」

 

すると同じく脱衣籠に手を伸ばしていた芳佳と美緒も首を傾げた。

 

「あれ? 私のスーツも無い!」

「む、私のもだ……一体どうなっている?」

 

 

 

数十分後、基地にいるウィッチ全員(ミーナとリーネは買い出しの為不在)+ガロードは食堂に集められていた。

 

「つまり……少佐達も何者かにズボンを盗られたっていうの?」

「“も”ということは……」

「ああ、我々のズボンも盗られた」

 

そう言ってバルクホルン、シャーリー、エイラ、サーニャ、エイラは一斉に頷いた。

 

「起きたらタンスの中を荒らされていたんだ」

「今は代えのズボンを履いているからいいけど……これもネウロイの仕業なのか?」

「んな訳あるかい」

 

シャーリーのボケか本気かどうかも分からない一言に突っ込みを入れるエイラ。

 

(よ、よかった……てっきり皆何も穿いていなかったのかと……)

 

シャーリー達のやりとりを聞いていたガロードは、彼女たちがちゃんとズボンを穿いていることが解りほっと胸を撫で下ろしていた。

一方美緒は腕を組んであれこれ思案を始める。

 

「むう、ネウロイではないとなると、やはりドロボーなのか?」

「ウィッチの基地に忍び込むとはいい度胸だな……よし、まだ遠くに行っていないかもしれない、皆で手分けして探そう」

「異議なーし!」

 

美緒とバルクホルンの提案に、ルッキーニが元気よく両手を上げて返事をする(ノーパンのまま)。

 

 

こうして9人のウィッチと一人の炎のMS乗りによるパン……ズボン泥棒探しが始まった。

 

 

 

そしてガロードはエーリカとルッキーニと一緒に行動し、まず最初にエーリカの部屋を調べにやってきた。

 

「うわ! なんだこの汚い部屋!?」

「なんかゴチャゴチャしてる~」

 

二人は物が散乱し、うっすらと異臭が漂っているエーリカの部屋を見て驚く。

 

「しょーがないじゃん、私片付けるの苦手なんだよー、それより早くズボン泥棒の手がかりを探そう」

 

三人はズボン泥棒の手がかりを探す為、物が散乱する部屋の中を捜索し始める。

 

「しっかし汚い部屋だねー、あ、キノコ生えてる」

「おいおい、なんか勲章っぽいの落ちてたぞ、コレ大事な物じゃないのか?」

「んー? 別にどうでも……その辺に置いといて」

(なんつー奴だ……ここの基地にいる軍人ってやっぱ変わっているなあ)

 

ガロードは自分の世界で出会った軍人たちの事を思い出し、改めて501小隊の異質さを認識する。

 

(まあしょうがないのか、普通なら学校に行っててもおかしくない歳だしな……ん?)

 

その時ガロードは、ばら撒かれた本の下から一枚の白い布を見つける。

 

「何だコレ? ハンカチ?」

「あ! 私のズボン! そんなところに!」

「うぉわ!?」

 

それは盗まれたと思われたエーリカのズボンだった、それに気付いたガロードは思わず顔を赤くしてズボンを放り投げた。

 

「なーんだ、ズボンここにあったんじゃん」

「いやーごめんごめん、余計な手間を掛けさせちゃったねー」

 

そう言ってエーリカは放り投げられたズボンを拾い上げ、そのまま穿いた。

 

「た、たく簡便してくれよ……」

「んじゃ今度は脱衣所に行ってみよっか」

「れっつらご~!」

 

 

 

数分後、三人はルッキーニ達のズボンが無くなった脱衣所にやってきた。

 

「手がかり手がかり~、犯人の手掛かりないかな~?」

 

ルッキーニは犯人の手掛かりがないか、地面をハムスターのように四本足でうろちょろし始めた。

 

「だから! なんか履けー!」

 

ただノーパンなのでもう尻が丸見えで、エーリカはともかくガロードはもう恥ずかしさで顔で茶が沸かせそうになっていた。

 

「えー、別にこのままでいいよー」

「ガロード、気にしすぎなんじゃなーい?」

「なんで俺お前らと行動しているんだろ……ええい! ちょっと待ってろ!」

 

そう言ってガロードは一旦脱衣所から出て、5分くらいしてある物を持って現れた。

 

「ほら! コレ履いとけ!」

「んー? 何これ?」

「俺の海パン! しばらくはこれで我慢しろ!」

「おー! さんきゅー♪」

 

ルッキーニはガロードから海パンを受け取ると、そのままずいっと履いた。

 

「うりゅ~、なんかゴシュゴシュする~」

 

ルッキーニは今まで感じたことのない穿き心地に顔を顰める。

 

「我慢しろよ、ノーパンのままだとこっちの身が持たないんだから……」

 

 

「あ! ねえ二人とも! こっちきて!」

 

するとエーリカが何かを発見し、ガロードとルッキーニを呼ぶ。

 

「どしたの!? なんか見つけた!?」

「コレ見てコレ!」

 

エーリカの指差す先には、何か薄い黒い斑点のようなものがいくつもあり、それは脱衣所の外まで続いていた。

 

「なんだコレ? 足跡……?」

「きっと犯人のだよ! 追いかけてみよう!」

 

三人は外まで続く足跡を追っていった……。

 

 

 

数十分後、三人は足跡を追跡して基地の外にある森にやってきた。

 

「まだ足跡続いてる……どこまで行ったのかなー?」

「あれ? この辺って確か朝に変なのが通り過ぎた……」

 

ガロードは今朝この周辺で謎の物体が自分の傍を通り過ぎた事を思い出す。

その時、近くの草むらで何かガサガサと何かが動く音が聞こえた。

 

「何かいるよ!」

「ここか……!」

 

代表してガロードがその音がした草むらをかき分ける、すると……。

 

「ワン!」

「うわっ!?」

 

灰色の物体がガロードの顔に覆いかぶさり、彼の視界を防いだ。

 

「うわああああ!? なんだコレ!? 生臭いんだけど!?」

「こいつ……犬?」

 

ガロードの顔にへばりついているのは、釣り目で灰色の(お腹の部分は白い)小さい豆柴だった。

 

「あ! 見て見て!」

 

するとルッキーニは草むらの中で、一か所に敷き詰められている大量のズボンや美緒と芳佳のスーツを発見する。

 

「ここにあるのみんなのズボンじゃない!?」

「ホントだ―! それじゃ、みんなのズボンを盗んだのは……」

 

そう言ってエーリカとルッキーニは顔にへばりついた子犬に悪戦苦闘するガロードを見た。

 

「ワンワン! ワン!」

「だぁー! 誰か取ってくれ~!」

 

 

 

一時間後、三人はブリーフィングルームに皆を集めて、連れてきた豆柴の子供と盗まれたズボンを皆に見せた。

 

「よ、よかった~! 私のスーツが返ってきた~!」

「しっかし、ズボン泥棒の正体がこんな子犬だったとはねー」

 

そう言ってシャーリーは机の上で大人しく座っている豆柴の頭を撫でる。

 

「寝床を作るためにその豆柴が私達のズボンを盗んでいたのか」

「まったく、人騒がせな犬ですわ」

「あの少佐……この子どうするんですか?」

 

不安そうなサーニャの質問に、美緒は難しそうな顔で首を傾げた。

 

「うーん……このまま逃がしても同じ悪さをするだろうし、この基地に害を及ぼすなら最悪……」

「そ、それはちょっと可哀そうだろ少佐!」

 

シャーリーは美緒が何を言いたいのか察知し必死に反対する。するとエーリカが何かを思いついたのか手をポンと叩く。

 

「そーだ! 折角だしうちの基地で飼っちゃえば!?」

「何を言っているのだハルトマン中尉、そんなことできる訳……」

「そこら辺はさー、ウィッチ達の心のケアが目的―とか適当な理由付けてミーナに説得してもらおうよ!」

「これは簡単な問題では……」

「でも坂本さん、この子とってもかわいいですよ?」

「可愛いければいいという問題では……」

 

その時、美緒は芳佳が抱きあげた豆柴と視線が合う。

 

「くぅ~ん……?」

「うっ!?」

 

その瞬間、美緒は何故か自分とその子犬が浜辺で追いかけっこをしている幻影を見た。一昔前の某CMみたいに。

 

「お、おのれ……私の心をここまで揺さぶるとは……!」

(あの犬、意外と世渡り上手だなー)

 

ガロードは何となく自分とその子犬の同じところを感じった。

 

 

「あらみんな? こんな所に集まって何をしているの……? ていうかその犬何?」

 

するとそこに買い出しから帰ってきたミーナとリーネが現れた。

 

「わあ~子犬だ~、芳佳ちゃん私も触っていい?」

 

リーネは子犬を見たとたん、すぐさま近寄って頭を優しく撫で始める。

 

「おおミーナ、実はな……」

 

 

~美緒、ミーナに事情を説明中~

 

 

「なるほどね……皆はこの子をどうしたいの?」

 

話を聞いたミーナは、取りあえず皆の意見を聞く事にした。

 

 

 

「私はこの子飼いたいです……」

「私もです!」

「そ、その……私も……」

「私は別に構わないぜー」

「もちろんおっけー!」

「私は別にどちらでも……」

「まあ拾ってきた以上、最後まで責任は持つよ~」

「噛まないなら……」

「ま、別にいいと思うけどー?」

 

隊員達は皆豆柴を飼うことに反対しなかった。

 

 

「私も特に反対する理由はないぞ」

「判りました……では私のほうから上に伝えておくわ、その代わり……餌代とかは皆で出し合いましょうね」

 

ミーナの条件に芳佳達は首を縦に振った。

 

こうして豆柴は501基地で飼われる事が決定した……と思いきや、エーリカが突然何かを思い出し手を上げて意見を出してきた。

 

「そーいや大事な事忘れてた! その子の名前どうすんの!?」

「名前か……豆柴は扶桑の犬種だし、扶桑の名前がいいか……」

「あれ? 皆見てください」

 

その時、芳佳は抱えている豆柴の首に何かが掛かっている事に気付き、近くにいた美緒とミーナに見せる。

 

「これは首輪? もしかしてこの子捨て犬だったのかしら?」

「名前のようなものが彫られているな、“九字兼定(くじ かねさだ)”……ほう、立派な名前じゃないか」

「じゃあ君は兼定だね、よろしく兼定」

「ワン!」ニヤリ

「ん?」

 

兼定と名前を付けられた豆柴は嬉しそうに芳佳のボリューム少なめの胸に顔を埋めた。

 

「あはは、くすぐったいよ兼定~!」

「あーん宮藤ずるい~!」

「私もさわりたーい!」

 

ガロードは芳佳の胸に顔を埋める兼定が何故かスケベ親父のように笑ったところを目撃する、しかしエーリカとルッキーニを始めとした他のウィッチ達にもみくちゃにされる兼定を見て、自分の見たものは幻だろうと無理やり納得した。

 

(まあ……そんなわけないか、さっきのは気のせいだよ気のせい)

 

こうして501にまた新たなる仲間が加わったのだった……。

 

 

 

 


 
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