No.336562

真・恋姫無双~2人の飛将軍~ 第26話

cavalさん

朔国vs呉蜀同盟。大陸を2分する勢力が大陸の覇権をめぐっての戦いの序章が今始まる。

作者)けっこうがんばって書いたつもりなのだが・・・やっぱりすくなく思えるのは目標が高すぎなのだろうか・・・

2011-11-19 14:21:44 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:22068   閲覧ユーザー数:11237

第26話 戦いの序章

 

朔国建国から3日目の朝。

 

一刀と春蘭、霞と華雄が早朝の鍛錬をしていると、いつもはその長い髪をポニーにしている杏が紙を結ぶこともせずにあわてた様子で一刀たちの下に叫びながら駆け寄ってきた。

 

「ご主人様!春蘭様!霞様!い、一大事です!」

 

「え、私は無視なのか・・・?」

 

「杏、とりあえず落ち着こう。はい。深呼吸。深呼吸」

 

よほど焦って来たのか、息切れそうになっている杏をいたわる一刀。さらに無視された華雄は中庭の隅で「orz」となっている。

 

「え、は、はい・・・すーはー、すーはー」

 

杏は一刀にいわれたとおりに2回ほど深呼吸。すこし落ち着いたのか一度大きく息を吐いた。

 

「落ち着いた?」

 

「はい、すいません。呉と蜀に動きがあったらしく、至急玉座に全武将集結するようにと」

 

杏の言葉に春蘭と霞が駆け出す。さらに無視され空気と化していた華雄は、あわてて2人を追いかける。

 

「杏。あとは誰を呼びにいけばいいんだい?」

 

一刀の言葉に杏は指を1つずつ確認すると手前にたたんでいく。

 

「蒲公英にも伝えたし・・・あとは・・・恋様だけです!自室にいらっしゃらなかったのでお屋敷かと・・・」

 

「わかった。恋は俺が連れて行くから先に行っててくれ」

朝から走り回って大変だったろうと一刀は杏の頭を撫でて功をねぎらう。

 

「はうわ!」

撫でられて顔を真っ赤にしている杏を中庭において、一刀は走り出した。ちなみに杏はこの直後、真っ赤になってもだえていたところを蒲公英に見つかりから弄られる事になる。

杏と分かれた一刀は城内を慌しく動いている武官、文官たちにぶつからないように駆けていく。

 

―――呉と蜀が動いた・・・?国力差が激しいこの状況下で・・・?

 

自分の中の知っている歴史を引っ張り出そうとしてやめる。

 

―――すでに違う歴史になっているし参考にはならないか・・・

 

途中、恋付の侍女を見かけた一刀は恋の所在を聞くと城外にある恋用の屋敷に杏の予想通りに行っているとのこと。一刀は城外へ出るために来た道を戻り中庭を経由、城外へ。

 

城下町にある恋の屋敷は城から程近いところにある。恋自身も一刀たち同様に城内に個室を持ってはいるのだが、セキトなど多くの動物に懐かれる恋の性質をよく知る一刀が先立って詠に進言し作ってもらった屋敷。外から見た感じは少し広い庭がある屋敷なのだが、そこから多くの犬や猫の声がするということで「犬猫屋敷」と呼ばれている。

 

その屋敷に到着した一刀は恋の名を呼びながら屋敷の中を探していると。裏手の庭先で犬たちに囲まれて寝ている恋を見つけた。

 

―――前の世界でもこんな風に恋が寝ていたところに遭遇したことあったなぁ・・・あの時たしか桃香

か誰かが前髪を寝ぼけた恋に切られたんだっけな・・・

 

一刀は昔の思い出を思い出して少し心が苦しくなった。

 

「桃香・・・愛紗・・・鈴々・・・」

 

前の世界。桃園で平和のために戦うことを誓い合った女性たち。そして自分が愛した女性たち。

しかし今は、彼女たちと敵対する立場になった。そのことに後悔はない。前の世界の北郷一刀は赤壁で死んだ。この世界に転生し、恋と共に歩むことを決め、そして月・詠を理不尽な状況から救い出した。

 

「そう・・・あの北郷一刀は死んだ・・・おれは恋たちを守る守護者になるんだ・・・」

 

一刀は決意を新たにするようにつぶやいた。

 

―――たとえ、この身に何が起きたとしても彼女たちを・・・

 

すこしの間立ち止っていたが、自分が何故ここに来たのかを思い出して恋を起こそうと視線を恋が寝ているほうに向ける。しかし・・・

 

「え・・・」

 

恋の姿はなく、その代わり自分の足元に恋が飼っている犬たちが甘えに来ていた。そして自分の右腕に誰かが捕まってきた。いわずもがな、恋である。そこには心配そうで且つ眠そうな恋が一刀を見上げていた。

 

「・・・一刀」

 

陳留での魏との決戦以降、恋は一刀のことを「ご主人様」ではなく「一刀」と呼ぶようになっていた。

 

「うお!恋、いつの間に起きたんだよ・・・」

 

「一刀が来た感じがしたから起きた。でも一刀、独り言いってて気がついてなさそうだったから」

 

自分に気づいてほしくて右腕を引っ張ったらしい。

 

また眠気があるのだろう、大きなあくびをした恋の目には涙が浮かんでおり、その状態で上目使いで見つめられる一刀君。

 

―――ヤバイ!これは・・・ヤバイ!いろんな意味で!

 

と心がもだえているのを必死に表面に出さないように、使命を果たすべく恋に声をかける。

 

「恋。緊急招集だ。玉座にいくよ」

 

「・・・りょうかい」

2人は手をつなぎ、屋敷を飛び出していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一刀・・・顔真っ赤だけど・・・だいじょぶ?」

 

「だ、大丈夫だ!気にするな!恋!」

 

煩悩が顔に出ていた一刀君だった。

 

 

洛陽城 玉座

 

「すまない!遅れた!」

 

一刀と恋が玉座に到着したときには全員がそろっていた。

 

「一刀!遅いわよ!」

 

月の横にいる詠の鋭い視線が一刀に突き刺さる。

 

「す、すまん。それで状況は?」

 

一刀の質問に風が偵察部隊からの報告書を開きながら答える。

 

「ええ~とですね・・・まず蜀から剣閣への増援の出陣が確認されまして~。おそらくですが葭萌関への再度の侵攻と思われます~。次に呉ですが、長沙・建業から大規模な軍勢が出陣したとのことです。こんな感じですよ~お兄さん」

 

「ありがとう。風」

 

「遅れてきた一刀のせいで始めれなかった軍議を始めるわよ!」

 

詠の言葉に一刀はひっそりと悲しんでいると恋が「一刀・・・かんばれ」と背中を撫でて慰める。詠はそれを内心ではうらやましいと思いつつも軍議を進行していく。

 

「まず、呉からね。おそらく江夏に集結後、国境を越えて寿春もしくは新野へ進行してくると思われるわ。呉軍が得意とする水軍ではなく、こちらが得意とする野戦を仕掛けてこようとしていることが怪しいけれど、向こうから来ている以上侵攻を許すわけにはいかないわ。対策として本隊は陳留で待機。どちらにくるか見極めた後に出陣を。新野へは陳留と洛陽、西城から援軍を送ることにするわ。寿春の場合は陳留・小柿からの軍で対処する」

 

一度詠は言葉を切って、質問があるかどうかを見渡すが、手が上がる様子はないために言葉を続けていく。

 

「次に蜀。剣閣への増援が確認されたから間違いなく葭萌関への侵攻が予想されるわ。葭萌関へは永安からの侵攻もありえるけどまだ、戦準備しているという報告はないわ。でも油断は禁物よ。蜀側は攻めよりも守りに重視して。状況を見つつ剣閣を狙う感じで。漢中は益州・荊州戦線の要よ。しっかり守りに行くわよ!」

 

「「「「おう!!!」」」

 

詠の言葉が終わったあと風が再度1歩前に出て書簡を開く。

 

「では各戦線の割り振りを発表しますですよ」

 

しーんと静まる玉座の間。

 

「まず葭萌関での蜀軍迎撃軍は関での防衛が主になりますので、歩兵部隊と工作部隊に動いてもらいます。ですので、葭萌関へはお兄さん・恋ちゃん・華雄さん・凪ちゃん・真桜ちゃん・沙和ちゃんに軍師として風が付きます。皆さんよろしくですよー」

 

「「「「「「了解!(・・・わかった)」」」」」」

 

「次に呉迎撃軍へは朔軍得意の騎馬隊で野戦を行います。それと元魏領ですので元魏軍の方に出てもらいます。まず騎馬隊として霞ちゃん・翠ちゃん・蒲公英ちゃん。歩兵部隊として春蘭ちゃん・秋蘭ちゃん・流琉ちゃん・季衣ちゃん。そして軍師として桂花ちゃんと稟ちゃんが付きます」

 

「「「「「「「「「はっ!(了解!)」」」」」」」」

 

「いま呼ばれなかった方々は洛陽で待機となります~、戦況次第で援軍として出陣をお願いします」

 

「「「了解よ(わかりました!)」」」

風の指示が終わり、最後に月が玉座から立ち上がる。

 

「皆さん。朔として最初の戦いです。厳しい戦いになるでしょう。しかし、私たちは劉協様や多くの民からこの大陸の安定に導いていってほしいという願いを託されています。この思いを胸に込め、必ず勝利して帰ってきてください!」

 

「「「「「「はっ!」」」」」」

 

「各自出陣準備!敵軍は待ってはくれないぞ!準備は迅速に且つ丁寧にな!」

 

最後に大将軍の一刀が締めてこの軍議は解散した。

 

翌日の早朝、蜀迎撃部隊7万が葭萌関へ。呉迎撃部隊10万が陳留へ出立していった。その間も各方面からは報告が入る。

 

(剣閣~葭萌関戦線)

・蜀軍4万~5万

 ○関羽・張飛・趙雲・魏延・厳顔・黄忠・鳳統

 

(江夏~寿春・新野戦線)

・呉軍7~8万

 ○孫策・孫権・黄蓋・周瑜・甘寧・周泰・陸遜・呂蒙

 

「呉と蜀って同盟組んだのにもかかわらず各自で攻めてきた・・・風、これはどう考える?」

 

一刀の乗る馬に相乗りしている風に一刀は問う。

風は体を一刀にもたれかかりながら飴をくわえる。

 

「ぐぅ・・・」

 

「起きなさい」

 

一刀は右手で軽く風の頭をたたく。

 

「おおぅ、お兄さんからまじめな質問が出てきたのでびっくりして眠気が・・・」

 

「そんな眠気があってたまるか」

 

「むぅ~。まぁ、いいでしょう~。風の予想ですが、この戦線のどちらかが本命だと思うのですよ」

 

「漢中・寿春・新野のどれかということか」

 

「そういうことです~」

 

 

 

 

 

多くの人からの思いを託され戦場へ駆けていく者たち。

 

 

 

「はわわ・・・予想通りに来てくれてましゅ・・・太史慈さんよろしくおねがいしますね?」

 

「ふっ!伏龍と称されるその知略。我が武を持って実現してみせよう」

 

 

 

 

その知略を尽くして待ち受ける者たち。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大陸の覇権を左右する戦いの序章が幕をあげる。

 

 

 

 

あとがき

 

早めの更新ができそうだったので2人の飛将軍を更新。

今回いままで気がついてなかったことに気がつきました。

 

それは「葭萌関」←これってなんて読むのだろうか・・・

 

いままで勘違いで剣閣~陽平関と思っていたのですが、剣閣~葭萌関でした・・・orz

 

気がついたのが「【三国志Ⅸ】輝光翼戦記天空のユミナ」を見ていた時のこと。

 

あわてて、22話も訂正しておきましたが、ほかにも書いてそうですが、そこらは無視しちゃってくださいorz

 

次話からは2方面での戦闘パートになります。あと2つほど大きな戦闘を描くとこの飛将軍はエンディングへ向かっていきます。

 

ではまた次回お会いしましょう。

 

 

 

 

(CM)

一朗太師匠はやっぱり偉大だ。

 

Yesロリータ、Noタッチ!

 

cavalは一朗太師匠を全力で応援しております。


 
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