No.336500

【改訂版】真・恋姫無双 霞√ 俺の智=ウチの矛 三章:話の二

甘露さん

今北産業
・遭難
・駆け落ちwwwwwっうぇwwっうぇwww
・斗詩ェ・・・

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2011-11-19 09:30:27 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:6563   閲覧ユーザー数:5830

 

 /一刀

 

 

 現実は、やっぱ甘くない。

 

 ドラマ小説映画漫画etc...

 多々ある情報媒体で、一番取り扱われる恋物語。

 

 その中でも定番中の定番が、逃避行だったり駆け落ちだったり。

 愛の力というか、パワー的な何かさえ有れば生きて行ける! みたいな。

 

 

 ……そんな都合の良いコト、有る訳無いのに。

 

 人間であるなら、愛だけ有ればなんてことは不可能だ。

 水も金も食べ物も住処も衣服も、全部必要不可欠だ。

 

 まぁ、そんなことは分かってたんだけど。

 

 俺は、フィクションを夢見た。

 ハッピーエンドの先、その先にも幸せが待ってる、そう思いたかった。

 その結果が……霞と何処とも知れぬ雪原のど真ん中で行き倒れさ。

 

 最悪だ。

 何が最悪かって、霞まで巻き込んだ事だ。

 

 どうせ俺は不潔な手術で先長くないことなんて分かりきってる。別にそれで死ぬのが明日だろうが一カ月後だろうが、十分後だろうがどうでもいい。

 それが俺の運命で定めだったってことだ。

 

 でも、霞はここで死ぬ人間じゃない。

 張遼、もとい張文遠、そして霞。この名前を持つこの娘は、あの張遼かもしれないのに。

 ゲームでもおなじみで三国志興味無しな人間でも小耳に挟むくらいは余裕で有るほどの軍人。

 この際男だとか女だとかは置いといて。

 詳しくは知らんが、魏に長いコト仕えてでっかい戦も何度も勝ったあの張遼なんだ。

 

 それが、ここで死ぬ?

 誰とも分からない様な名も無いガキの所為で、雪原で子供の内にのたれ死ぬ?

 

 霞がイコールで張遼、ってことは、約束された将来と安寧があるという意味なのに。

 それを、霞の幸せを俺の所為で失わせる?

 

 最悪だ。

 何が守りたい、だ。

 守るどころか先回りして道やらレールやら片っ端から破壊して回ってるレベルだ。 

     

 「……」

 

 守りたかった娘は、もう喋らない。

 どれくらい前からだろう。

 

 少なくとも、霞の手を握る俺の手の感覚が無くなる位の時間は過ぎている。

 それでも、まだ時折合図を送ってくれる指や、微かに脈動を感じさせる心臓、着いて来てくれていると分かる雪をかき分ける足音。

 彼女の生の証拠だ。

 

 

 あと、どれだけ残り時間があるのだろうか。

 せめて、この娘だけでも生かせて欲しい。俺を犠牲にしてでも……。

 

 「かず……と。 はなれん……とって……な?」

 

 俺の意志に反応したのか、はたまた心でも読んだのか。

 霞が、幾分か振りに声をあげた。

 

 「ああ……心配、しないで……」

 

 握られた手を、俺も握り返し……?

 突然増えた、手にかかる重量。

 まさか、そんなはずは、ありえない、ありえないでほしい。

 

 でも、やっぱ現実は甘くない。

 

 こうなってては欲しくない、そう願った光景が、現実になってた。

 霞が、倒れた。

 

 体力か、気力か、あるいはどちらもか。

 限界だったんだろう。

 

 まぁ、ちょっと考えれば当たり前だよな。

 俺はただの十三歳、霞はお金持ちなお嬢様の十三歳。

 

 どっちが善し悪しとかじゃなくて、普通に十三歳が徒歩で何処まで続くかもわからない様な雪原を踏破出来る訳がない。

 だから、当然こういう終わりが来る。

 

 二人の逃避行はこれまで、物語は無事閉幕だ。

 ……なんて、事には俺はしたくない!

 

 霞を置いてく、そんなことは初めから論外。

 どんな事をしてでも、背負ってでも這ってでも、この娘だけは……。

 

 

 なんて精神論を唱えてみても、体は正直だった。

 

 背負ってでも、と背負えば冷え弱った俺の身体では支えられず。

 這ってでも、なんて息まいてみたモノの実際は1mすら動けない。

 

 「……参ったなぁ」

 

 霞を助けられない……、のか?

 そんなこと、許される訳無いのに。 

 

 

 

 どうか、お願いします。

 せめて、せめて霞だけでも。

 

 

 

 ──ドドドドッ

 

 

 

 そんな願いが通じたのか、それとも更なる凶兆の前触れか。

 突然聞こえ出した馬が野を駆ける音。

 

 もしかしたら、行商人か、旅人か。

 兎に角良識人で有る事を願うばかりだ。

 

 

 ──なんて、小さな願いもやっぱ届かない。

 現れた人間は、明らかに派手な衣装を着こんでた。

 

 赤、黄色、青などなど、原色ぴかぴか、羽にアクセサリーにやりたい放題の格好。 

 ああ、なんだ唯の侠共か。

 

 義賊だなんだ言っても、連中は所詮アウトロー集団。

 このままじゃ、霞は良くて慰みものか?

 

 ……そんなこと、させる訳にはいかないよなぁ。    

 正直、霞を背負おうと倒れた辺りから身体が言う事を聞こうとしない。

 

 俺も所詮はただの十三歳ってコトだ。

 このまま動けないんじゃ、霞に待つのは并州に居るより数段悪い運命。

 

 そんな目に合わせられるかもしれない位なら……。

 俺が刺し違えてでも霞を守るべきだ。

 

 さあ、来いよ。

 最後の悪あがき、してやんよ。

 

 

 

 

 **

 

 

 

 /猪々子

 

 

 雪原を掛けるあたいの愛馬。名前は夏天(シャーティエン)。 

 足取りはめっちゃ軽い。雪原なんて屁でも無い。

 

 馬賊の娘として生まれたから、馬はあたいの半身も同等だ。

 残りの半分は斗詩だけど。

 

 ……あれ、あたい成分はどこいった?

 まぁいいや。

 

 とにかく今は、あのでっけぇ流れ星で頭がいっぱいだ。

 だって、あんなでっかくて、それが二つ一緒だぜ!?

 

 わくわくしない方が変だろ普通!

 ……って、夏天をカッ飛ばしてたら、いつの間にか斗詩を置いてけぼりにしてた。

 わくわくしない変な奴だけど、斗詩はあたいの半身だ。

 もちろん、わくわくも共有し合うに決まってる。 

 

 「斗詩ぃ! 早く早くっ!!」

 「ま、待ってよ文ちゃん!」

 「ったく、斗詩はもうちょっと乗馬の練習しよーぜ」

 「えぇ~っ、文ちゃんが早すぎるだけだよぅ……」

 

 ちょっと遅れて斗詩と、その愛馬の冬天(トンティエン)が追いついた。

 冬風なんて名前なのに、こいつは寒がりな変な馬だ。

 あたいの夏天は冬でも夏でもお構いなしに元気だけど。

 

 「大体一日の殆どを馬に乗ってるのに、これ以上どうやって増やせばいいの……」

 「ソレはアレだ! 斗詩の甲斐性の見せ所だ!」

 「甲斐性とかそういう問題じゃないよぅ……」

 

 しかし妙に気弱だよなぁ、斗詩も。

 この辺りじゃ一番強い馬賊ん中で、あたいと同じくらいの腕前なのに。

 自信持てばいいのに。

 

 「って、流れ星消えかけてるし!」

 「当たり前だよぉ……流れてきても普通落ちないじゃん」

 「いーや! あんだけでっけぇんだ、どっかに落っこちて来るって!!」

 「はぁ……落っこちてくるのかなぁ?」

 「おうよ! よし、もーっちょっと追っかけようぜ!」

 「ええっ!? まだ追いかけるの!? お義父様の場所も見えなくなってるのに」

 

 斗詩は本当に心配性だ。

 この辺りなんてあたいらにしたら庭みたいなもんなのに。

 

 「大丈夫だって! 足跡たどって戻れば問題ないって!」

 

 斗詩は不平不満だらけですー、って顔してるけど、あたいはもうちょっと追いかけてみたかった。

 根拠なんてないけど、何か見つかりそうな気がしたから!

 

 「はぁ……もうちょっとだけだよ?」

 「わーってるって! よーっし、じゃあ行くぞーっ!!」

 

 流れ星はもう消えそうだった。

 空に痕を残してるのは尻尾だけになってて、それもちょっとだけキラキラ見えるだけ。

 うーん……斗詩の言うとおりだったかな?

 

 「ほら文ちゃん、流れ星も消えちゃったし、戻ろうよ……って、うん?」

 

 並走しながら心配そうな声を上げる斗詩。

 って、どうしたんだろ。

 

 「どったの斗詩?」

 「あれって、人……?」

 

 流れ星の消えた方向、ちょうどそこを指差す斗詩。

 その指の先には……。

 

 「人……かぁ? よし、もうちょっと近づいてみようぜ!」

 

 何かそれっぽいのは見えるけど……、人、なのかぁ?

 

 「ええっ!? あぶないよ文ちゃん! 妖だったらどうするの!」

 「だーいじょぶだって! 大体あたいと斗詩に敵う奴なんて早々見つかんねーって!」

 

 また不平不満ありまくりです、な斗詩になっちまった。

 ……本当心配性だよなぁ。

 

 「で、でもぉ……」

 「良いから良いから! それに、いざとなったらあたいが斗詩を守るって!」

 「文ちゃん……。って、違ぁーう! 私が言いたいのはそうじゃ無くて」

 「あーはいはい、いーから行くぞ!」

 「ちょっと文ちゃん!」

 

 春天に鞭を入れ、全速力で物陰に向かう。

 斗詩もなんだかんだ言いながら結局あたいについて来てる。

 

 でも、ちょっと差が開いて、物陰目前にまで迫った頃には結構はなれちゃってた。

 さて、肝心のそれの正体は……。

 

 「おっ、やっぱ人じゃん。……それもあたいらと同い年くらいの男女じゃん。おーい、斗詩ぃ!」

 

 抱き合うっていうか、寄り添うっていうか。なんだか意地でも離れない、って伝わってくる感じで倒れてる二人組だった。 

 

 「はーっ、はーっ、文ちゃん早いよぅ……」

 「わりぃわりぃ、それよりもほら! 人だったぜ! さっすがあたいの斗詩!」 

 「えへへ……って、この人達、こんなとこで行き倒れてどうしてんだろ?」

 「やっぱアレじゃね!? 流星に乗って現れたみたいな!」

 「うーん……、の割には格好とか普通じゃない?」

 

 斗詩にそう言われてみてみれば、うん。

 確かに二人とも普通の町の人間、って格好だった。

 うーん、勘が外れたかなぁ。

 

 「……だなぁ。とりあえずご冥福をお祈りして……なむなむってうわぁ!?」

 「文ちゃん!?」

 

 死んでるのかと思ったら、突然起き上がって切りつけてきやがった!

 ギリギリ避けたけど……ちょっと掠ったかも。

 

 「てめっ、あたいら一家に刃向けるたぁいい度胸じゃねえか!」

 

 咄嗟に剣を構えて受け流すあたい。

 斗詩は一瞬だけ固まったけど、直ぐ戻ってあたいの横で剣を構えた。

 

 切りつけてきたのは、男の方。

 一瞬だけ、手を合わせる拍子に出来た視線を反らした瞬間。

 それを確実に狙われた。

 

 一体、コイツはどんな手誰か、そう思って、受け流した体制を整え男に向き直ると……。

 

 

 「……あれ?」

 「死んだ……の?」

 

 

 あの一撃だけだった様で、そのまま体制を崩して雪ん中に突っ込んでいた。

 

 斗詩が恐る恐る聞いてくる。

 あたいが近寄って確かめようとすると、「文ちゃん!」って諫めて来たけどあえて無視した。

 

 「……いや、まだどっちも生きてるね」

 

 脈動も弱弱しくて、腕の体温も結構失われてるけど、二人とも生きてるみたい。

 

 「どうするの? やっぱ此処において行った方が……」

 「いや、持って帰ろうぜ!」

 

 斗詩と真逆の意見を言う。

 なんかあたいの勘がこいつら連れて帰れ!って言ってる。

 

 「こいつ、結構根性あるじゃん! 女を守るため、短剣一本で立ち向かう、めっちゃカッコいいじゃん!」

 「まぁ確かにちょっと羨ましいなって思ったけど……」

 「だろ!? そんな状況になっちゃうって、こいつら絶対訳ありだぜ! 良い土産話が聞けるって!」

 

 なんか、すっごい沢山のことが起こりそうな気がする!

 ものすごいわくわくを感じる!  あたいの勘が拾ってけって言ってる!

 

 「はぁ……仕方ないなぁ。お義父様の説得、文ちゃんがするんだよ?」

 「ええっ、そりゃないぜ斗詩!」

 

 

 

 

 うーん……やっぱ拾うのやめよっかな?

 

 

 

 

 

 あとがき

 

 とりあえず文ちゃん可愛いよ文ちゃん。

 斗詩さんはまだ貧乳です。これから差が開くんです

 

 次回更新は明日、もしくは来週土曜です。では

 

 

 

 

 アンケ

 

 

 文醜顔良、ふたりの口調どうですか?

 因みに筆者は誰だこいつらって思いながら書いてました(ぇ

 

 1、こんなのってないよ

 2、誰テメェ

 3、その他


 
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