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真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1-22

真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1-22
更新させていただきます。

今日はハロウィン、トリックorトリート!
読んでくれないと悪戯しちゃいましゅっ?!(by.雛里)

2011-10-31 23:47:10 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:10818   閲覧ユーザー数:5810

 

 

 

 

この作品は【 恋姫†無双 】【 真・恋姫†無双 】の二次創作です。

 

三国志の二次創作である物に、さらに作者が創作を加えたものであるため

 

人物設定の違いや時系列の違い。時代背景的な変更もありますので

 

その辺りは、なにとぞご容赦をお願いいたします。

 

上記をご理解の上、興味をお持ちの方はそのままお進み下さい。

 

 

 

 

 

 

――反董卓連合――

 

 

袁紹から各地の諸侯に送られた檄文。

洛陽で暴虐の限りを尽くす董卓を漢王朝の旗の元に誅するという名目の元に集まる連合の名である。

……厳密に言うなら書状に書かれていた言葉はもう少し、というかかなり砕けている表現だったのだが。

ともかく、理に目聡い諸侯なら真っ先に食いつく絶好の餌でもあった。

名声を上げるために集う者、腹に一物抱えて集う者、義憤に駆られて集う者、と思惑は様々。

真っ先に参加を表明したのは許昌を本拠とする曹操。次いで巷で噂の義勇軍、劉備。

南の名賊、袁術。涼州連合代表、馬謄――改めその娘、馬超。

盟主である袁紹。そして、先の黄巾の乱の折りに混乱を極めた幽州を平定した北方の雄、公孫賛とそれに加えて天の御遣い。

その他、大小様々な諸侯が、それぞれの思惑を胸に集まる。

 

 

 

 

 

袁紹からの檄文を受け、数日後。

白蓮たち公孫賛軍は馬に揺られていた。

 

 

「麗羽の奴、檄文ぐらいもう少しちゃんと書けよな……」

 

「あはは……」

 

「まあ、妥当なところだろう。袁紹にしては少し控えめだった気さえしますからな」

 

「……そんなにヤバいやつなのかよ、袁紹」

 

「ええ。具体的に言うなら頭の方が少しアレな方でしょうか。もちろん、舞流とは違った意味で、です」

 

 

女5人と男一人が轡を並べての他愛無いおしゃべり。

というか悪口の部類に聞こえなくもない。

 

 

「む?頭が…頭が……カッコいい?」

 

「すいませんね舞流。言い方が悪かったです、訂正しましょう。頭が少し悪い、ということです」

 

((訂正になってねぇ……))

 

 

公孫賛軍の良心×2の心の声が重なる。

 

 

「おお!確かに某、頭は良くないでござるからなぁ。でも頭がよくなくても太守という者は務まるのでござるか?」

 

「近くに良い例がいるでしょう」

 

「おいちょっと待て、燕璃。それ私のことじゃないだろうなっ」

 

「大殿は頭が良いでござるよ?無学な某に色々と教えてくれる。大変お世話になっているでござる」

 

「……舞流。お前いいやつだなぁ!」

 

(……平和だ)

 

 

白蓮が馬を寄せて舞流の頭をぐりぐりと撫でるのを見ながら、一刀は笑みをこぼし、ふと空を見上げる。

雲一つない蒼天。絶好の行軍日和。だが、その心中はお世辞にも晴れているとは言えない。

反董卓連合。諸侯の集合に先んじて。進行ルートの領地、河北一帯を治める太守との合流。

 

 

 

 

 

 

袁本初。

三公を輩出したことのある名門、袁家の大将であり、史実では曹操と旧友。

後漢末期初当。最大の規模を誇った勢力。

 

 

そして――

 

 

北方の雄、公孫賛を下した人物。

 

 

白蓮や星、燕璃からその人柄について(主にマイナス的な意味で)聞いてはいるが油断はできない――そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーっほっほっほ!!白蓮さん?少し時間に遅れたのでは無くて?」

 

「合ってるよ!ったく久しぶりに会って第一声が嫌味かよ」

 

 

油断はできない――はずだったのだが。

会っていきなり度肝を抜かれた。もちろん悪い意味で。

 

 

「れ、麗羽さま~失礼ですよ~」

 

「斗詩、止めるのは無理だって。ってことで白蓮様。少しだけ我慢、お願いします」

 

「すいません白蓮様。私からもお願いします」

 

「ぐぐぐぐぐ……はぁ…分かったよ。麗羽の言うこと一々気にしてたら身が持たないからな」

 

 

袁紹の脇に控える二人が揃って頭を下げる。

活発そうに見える子は軽かったが、真面目そうに見える(というか多分真面目なんだろう)子は深々と、若干眼に涙を溜めて謝っていた。

そんな二人を見て、白蓮は固め始めていた拳をゆっくり下ろした。

幸運なことに袁紹は自分の髪の枝毛を探していて気付かなかったらしい。

 

 

「それにしても少し見ない内にまた癖のありそうな方達が増えましたわね」

 

(一番この中で癖が強いのは間違いなくお前だよ)

 

 

そこにいる全員を心の中を代弁する白蓮。無論、それも心の中で、だが。

 

 

「袁家当主としての演説をしてあげてもよろしいのですけれど、諸侯の皆さんが集まるまで待つとしますわ。聞かせるのが白蓮さん達だけではあまりにも勿体ないでしょう?それじゃあ斗詩さん、後のことは任せましたわよ」

 

「は、は~い」

 

 

袁紹は去り際、一瞬足を止め、チラリと盗み見るように後ろを見た。その視線の先には、一刀。

その視線に気付き一刀は袁紹を見たが、既に袁紹の方は視線を外しており、そのまま歩いて行ってしまった。

 

 

(……なんだ?)

 

「ごめんなさい白蓮様……その、多分悪気は無いんです」

 

「ああ、分かってるよ。そんなに短い付き合いでも無いしな」

 

「さっすが白蓮様!心が広い!」

 

 

どこまでも対照的な女の子二人。

そんな様子に着いて行けず、舞流と雛里はポカンとしていた。

一方、星は興味なさげに空を仰いでいる。

そんな中、燕璃が一歩進み出た。

 

 

「顔良殿。その節は迷惑をおかけしました」

 

「迷惑?……あっ!えっと、裴元紹さんでしたっけ?よかった~白蓮様の元に仕官出来たんですね」

 

「はい。おかげさまで相方共々」

 

「ん~?斗詩、知り合いなのか?」

 

「あ、そっか。文ちゃんはその時一緒にいなかったもんね。前、うちに仕官しに来た人。でも、ほらその時は募集を掛けて無かったから」

 

「ああ、斗詩がすげー気にしてたやつか。“仕方なく追い返しちゃったけど大丈夫かなぁ……”ってしばらく引きずってたもんなー。ま、あたいが元気づけてやったけどな!揉んで」

 

「ぶぶ、文ちゃん!?」

 

 

顔を赤くし、慌てて文醜の口を塞ぎにかかる顔良。

その光景はとても微笑ましいものだった。文醜が最後に言った言葉は皆、聞き流すことにしたが。

 

 

「グスン……えっと、初めて会う方もいらっしゃると思うので自己紹介させていただきますね」

 

 

半べそを掻いたまま、居住まいを正し、公孫賛軍の面々を見据える。

 

 

「袁紹軍武官、顔良と言います。連合の間、よろしくお願いしますね」

 

「へへっ、あたいは文醜。同じく袁紹軍の武官!言っとくけど斗詩はあたいのもんだからな!!」

 

「分かったからそれぐらいにしておいてよ文ちゃん。はぁ……」

 

 

本当に疲れる、といった表情で顔良は項垂れた。

その光景を見ながら、一刀は白蓮に耳打ちする。

 

 

(あれどういう関係?)

 

(…良く分かんね。というか、分かりたくない)

 

(はは……同感)

 

「おいそこ!」

 

「はいっ!?」

 

 

ひそひそと話をしていたところに突然、文醜が大声を上げる。

おかげで声が裏返ってしまった。どうやら指摘されたのは自分であるらしく、一刀は確認の為にも指を自分に向ける。そして、文醜は当たり前のように、大仰に頷いた。

 

 

「まさかとは思うけど……斗詩を狙う算段を話し合ってるんじゃないだろうなぁ?」

 

 

まるでどこかのチンピラのように少し低い位置から上目遣いに一刀をねめつける。

 

 

「ち、違うって。仲が良い二人だなって思っただけだよ」

 

「……なら別に良いけどさ。そういやあんたも初めて見るな」

 

「あ、ああ。俺は北郷一刀。えーと、一応、天の御遣いとか言われてる」

 

「あっ、じゃあ白蓮様のところに噂の天の御遣いが居るって本当だったんですね」

 

 

顔良がパチンと得心がいったように両手を合わせる。

文醜は値踏みでもするかのように、再び一刀を見つめていた。

 

 

「てっきり白蓮様に良い人でも出来たんじゃないかと思いましたよ~」

 

「は……はぁ!?無い!そんなことは全然無い!な、一刀!なっ!」

 

「あ、ああ……うん(確かに何にも無いけど、これだけあからさまに否定されると傷つくなぁ……)」

 

 

無自覚に一刀を傷つけていることなど露知らず、白蓮は顔良にむかって否定し続けていた。

 

 

「まあ、気にすんなよ。あたいは応援してるぜ、な?」

 

「……うん。ありがと――ってそんな流れじゃなかったぞ!?」

 

 

肩に置かれた文醜の手にツッコむ。

だが、なんで失恋したみたいになってんだよ!?というツッコミはかろうじて飲みこんだ。さすがに初対面の相手にそんな気にはなれなかった。

何故かって?相手は袁家の猛将、文醜だ。

この世界では見た目なんて物は当てにならないことは重々承知していた。

 

 

 

 

 

その後、顔良、文醜と一旦別れ、行軍の準備と補給の指揮をしている中、白蓮は難しい顔をして唸っていた。それを見兼ねた星が手を止めて近づく。

 

 

「白蓮殿、なにか不安でも?ああ、袁紹に不安を感じるのは最もだとは思うが」

 

「違うよ。麗羽に関してはもう諦めてるから気にしてない」

 

「なら……ああ、あの二人か」

 

「ああ、本当に左慈と于吉の二人に任せてきちゃって良かったのかなぁ……」

 

「白蓮殿はおそらく仕事を任せてきた負い目から来ているのでしょうが、私は普通に不安ですな、あの二人は」

 

「いやまあ、負い目が八割ぐらいを占めてるんだけどさ。……というか星、その話し方だとあの二人のことが嫌いって感じに聞こえるぞ?」

 

「無論、嫌いだ」

 

「……」

 

 

沈黙。

白蓮は驚いて星の顔を見るが、その表情は硬く、冗談を言っているようには聞こえない。

 

 

「まあ、左慈はともかくとして于吉は大、嫌いですな」

 

「ことさら“大”を強調したな……。なんでそんな嫌ってんだよ」

 

「さあ?」

 

「……いや、さあ?ってどういうことだよ」

 

「理由は分からんが、嫌いだ」

 

「嫌われる方は納得できないだろうな、それ」

 

 

そんなやり取りの中で、ふと幽州を発つときのことを思い出す。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ左慈、留守の間は頼むな」

 

「はい、ご期待に添えるように頑張らせていただきます」

 

「ふっ、まあ私と左慈に掛かればこの程度の雑務など造作もないでしょう。それより左慈、仕事を早く終わらせて私とどこかへ――」

 

「はい于吉くん。それ以上なにか言ったら生まれてきたことを後悔させてあげますよ」

 

「……ふっ。そんな脅しに私が屈するとでも?左慈からの罵詈雑言なら私にとってはゴフウッ?!」

 

「それでは公孫賛様、趙雲さん、一刀さん、舞流さん、燕璃さん、それから雛里ちゃん。気を付けて行ってらっしゃいませ。ほら、行くよ于吉くん。そんな白眼剥いた演技なんてしても僕は騙されないからね。……遊ぶ元気があるなら他の方の仕事もできるかな」

 

 

 

 

 

 

「いやまあ、怖いと言う意味なら分からなくも無いけど」

 

 

その時の様子を思い出し、少しだけ身震いする白蓮。あの時、左慈が何をしたのか見えなかったが、間違いなく何かをしたから于吉がああなったのだろうということは馬鹿でも分かる。最後に聞こえた言葉は聞こえない振りをした。多分、それが正解だろう、となぜか納得できた。

 

 

「仕事の能力的な意味で言えば問題は無いでしょう。性格にはどちらも難有りだと思いますが」

 

 

星が肩を竦めて去っていく。

その背に聞こえないように、白蓮はそっと呟いた。

 

 

「……一応、お前も性格に難有りだからなー」

 

「あの、白蓮様?」

 

「わわっ!」

 

 

突然後ろから聞こえてきた声に吃驚し、そっと後ろを見る。

そこに居たのは、苦笑いを浮かべた雛里だった。

 

 

「なんだ、雛里か……。も、もしかして今の聞いてたか?」

 

「あはは……大丈夫です、誰にも言いませんから。それより、全軍準備整いました。いつでも出発できます」

 

「ああ分かった。この連合には劉備も参陣するらしいからな。久しぶりに会う友達との機会、雛里も大切にしとけよ?」

 

「はい。朱里ちゃんと会うのは塾を出るときに分かれて以来ですから、楽しみです」

 

 

本当に嬉しそうな表情で、雛里は語る。

一刀の前だと結構噛むのに、なんで私とか星の前じゃあんまり噛まないんだろう……、なんてことを思いつつ、自分も桃香という親友に会えることを楽しみにしながら、雛里と共にその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

それから数刻後、日も傾き、今日の行軍はここまで、と袁紹から沙汰が下る。

無論、断る理由も無いので白蓮たち公孫賛軍もそれに倣った。

袁紹領にある街の近くに陣を張り、そこで一泊。

明朝出発の為、別命あるまで待機――の、筈だった。

 

 

「じゃあなんで袁紹軍が物資を発注間違えした尻拭い、俺達がしてんだろうな」

 

「ん?いやまあ確かに、私達が発注間違いしてるんだったら分かるけどなぁ……麗羽の我儘は今に始まったことじゃ無いけどさ」

 

 

一刀と白蓮の二人は、前述にあった袁家領内の街に来ていた。

 

 

「でも、まるっきりこっちが不利益を被ることじゃないんだろ?」

 

「ああ。雛里が交換条件を考えてくれてな、口八丁なんて言うと聞こえは悪いけど、ホント見事に麗羽を説き伏せてくれたよ」

 

「連合時の糧食の面倒を七割見てくれる――だったか?正直、袁紹のとこって顔良がいないと成り立たなさそうだよな。文醜はうちの舞流辺りと同じ匂いがするし」

 

「あはは、確かに斗詩は貴重な歯止め役だよなぁ。でも麗羽も猪々子もそれなりに優秀なんだぞ?一刀は知らないだけかもしれないけど」

 

「へぇ……」

 

「なんだよ、人のことをジッと見て」

 

 

一刀の視線が自分に集中しているのを感じ取り、気恥ずかしくなってそっぽを向く。

反面、一刀はそんな白蓮を微笑ましさ半分、尊敬半分が入り混じった眼差しで見ていた。

 

 

「いや、白蓮は袁紹のこと嫌いなんだろうなぁ、って思ってたからな。正直、少し驚いた」

 

「ん、いや。嫌いだけどさ。一刀だって天の世界に友達とか居るんだろ?例えばそいつに少し嫌なところがあったとして。そいつは嫌な奴かもしれないけど、嫌なところばかりじゃないだろう?嫌なところしか無いやつなんてそうそう居ないしさ。だからその例に倣うと、私は麗羽の物言いとか嫌いなところは色々あるけど、全部が全部嫌いだってわけじゃない。嫌いだけど嫌じゃ無い――って感じなのかな?あはは、言ってて自分でも分かんなくなってきた」

 

「いいや、なんとなくだけど言いたいことは分かるよ。嫌いだけど嫌じゃない――か。なんかちょっと深い言葉に聞こえてきた気がする」

 

「ちょ、ちょっ!他の奴に言ったりするの止めろよ?あー!なんか今になって恥ずかしくなってきた!私一人で行ってくるから一刀はここで待っててくれッ」

 

「お、おい、ちょ、白蓮!ってあーあ……行っちゃったよ」

 

 

猛然と駆けて行く白蓮の背を見送りながら、一刀は現代に居る友を思い出す。

字面が変わるが――鬱陶しいけど、嫌じゃ無い。その言葉がピッタリだ。

ポツリとその友の名を呟き、なんとなく視線を辺りに向ける。

視線の先にある路地に、RPGで見かけるようなローブを纏う一人の人間が座っていた。

なぜか自然と、足が路地に向いていた。

 

 

 

 

それから数刻も経たない内に、白蓮は一刀と別れた辺りの道に戻って来ていた。

急いで用事を済ませたからなのか、それとも恥ずかしいことを言って逃げた場所に戻ってきたからなのか、その頬は少し朱く染まっていた。

 

 

「う~……なんか、あれだけ恥ずかしいこと言った後だから顔合わせんのも恥ずかしいな……って、あれ?」

 

 

どうやら後者だったらしく、落ち着きなく辺りを見回しながら、ふと一刀の姿が見えないことに気付く。少し歩き他の通りを覗き込むが姿は無い。通り沿いにある店を覗いても、同じく姿は無い。まさか先に帰ったんじゃ――と思い始めた矢先、誰も好んで通らないような路地にその後ろ姿を見つける。

 

 

「かず――」

 

 

一刀、と呼ぼうとしたその刹那、その正面に誰かが立っているのが見えた。

外套を目深に被り、外見は分からないものの背丈は自分とそこまで変わらないと分かる。

が、一瞬瞬きをしたと思うと、その人物は霧のように失せた。

 

 

「!?」

 

 

自分の見た物が信じられずゴシゴシと眼を擦るも、そこにあるのは一刀の後ろ姿だけ。

当の一刀はそのことに動じる気配も無く、その場に佇んでいた。

そっと近付けど、後ろに立っていることさえ気付いていないようだった。

 

 

「一刀?」

 

 

そっと声を掛けると、ピクリと肩が反応し一刀が振り返る。

その表情は、いつもと変わらない普段の一刀だった。

 

 

「あ、悪い。もしかして捜させちゃったか?」

 

「いや、そんなことは無いけどさ。今、一刀の前に居た奴、消えなかったか?こう――フッと」

 

「ああ、うん。俺も驚いたよ。急に消えたからな。白昼夢かなんかかと思ったけど、白蓮も見てたってことは夢の類いじゃないか」

 

「なんだったんだあいつ?なんか話してるような様子だったけど」

 

「占い師だってさ。一回断ったんだけど、どうしてもって言うから一回だけ」

 

「占い師ねぇ……私はあんまり占いとか信じない質なんだよなあ」

 

「んじゃ天の御遣いも?」

 

「いやっ、それは信じるって。乱世を鎮めるかどうかはともかくとして、一刀は確かに空から降ってきたんだから」

 

 

少し茶化した物言いの一刀に、白蓮は慌てて弁解する。

その様子を見て苦笑しながら、一刀は白蓮に路地から出るよう促した。

 

 

「そんじゃ戻りますか。あんまり待たせても心配させちゃうだろうしな」

 

「あ、もう一軒だけいいか?星の奴に頼まれちゃってさ」

 

「あー……メンマ?」

 

「うん、メンマ」

 

 

一瞬の沈黙後、二人は顔を見合わせ苦笑し合うと、どちらともなく連れ立って歩き始めた。

白蓮は気付かない。本当に一瞬だけ一刀の眼が路地に向き、その表情がとても真面目な物に変わっていたことを。

 

 

 

 

次の日、夜も冷めやらぬ明朝。

袁紹軍、公孫賛軍は陣を払い行軍を開始した。

目指すは洛陽。その道のりの中途に鎮座する、汜水関。そして、虎牢関。

 

 

 

 

【あとがき】

 

 

 

真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1-22

【 袁紹勢力との邂逅 謎の占い師 】

更新させていただきました。

 

 

 

 

う~ん……難しい。

登場人物が増えてくるとそのキャラごとの書き分けがどんどん困難になっていきますね。

一応、覚悟はしていましたが。

例えば麗羽を書く時、とにかく高らかに笑わせれば良いというわけでも無く。

また、斗詩は苦労人というキャラが若干なりとも白蓮と被ったり。

果てに猪々子はさっぱりした男口調というイメージなのですがそれはそれで難しい。扱いを一歩間違えると唯の斗詩大好き!超好き!キャラになってしまうので。

 

今回書いてて、無理して全キャラに出番を作らなくてもいいのかな?なんて思ったり。

悩みは尽きず、模索は尽きず。愚行と分かってはいても他者様の作品を拝見させていただいて何かを吸収しようとしつつ、自分の作品と比較してしまい、テンションが下がる。

 

とりあえず無双の司馬懿のように高らかに笑えば発散できるかなと考え、実践してみたはいいものの、ただ虚しい。

 

もうヤケクソ気味ですね。

フハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!

 

 

 

 

 


 
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