No.324808

真・恋姫†無双 外伝:幼なじみは耳年増 ~今日はなんの日?~

一郎太さん

毎度の如くAC711様からご許可を頂いたので早速投稿だぜ。
あの小憎たらしい顔ときたらwww
どぞ。

2011-10-27 22:13:12 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:10637   閲覧ユーザー数:7675

 

 

幼なじみは耳年増 ~今日はなんの日?~

 

 

pppppp……―――。

「うぅ……」

 

毎朝耳にする電子音が鳴り響いている。もぞもぞと身体の向きを変え、その音源へと腕を伸ばした。

 

「……………朝、か」

 

時計を見れば、短針は時計盤の5を指している。窓へと顔を向ければ、まだ陽も射していない。これは別に、今朝だけ早起きをしたという訳ではない。毎朝の恒例行事だ。

いつものように布団から抜け出して軽く伸びをすると、いつものように着替える為に立ち上がろうとして――――――

 

「………はぁ」

 

――――――そしていつものように溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

秋も深まり、朝晩は寒い。すでに毛布だけでは追いつかず、かけ布団を加えても朝は起きるのが億劫になり始める季節だ。その筈なのに、やけに暖かいと思ったら抱き枕がいた。

 

「………雛里、離しなさい」

「おにぃ、ちゃん………」

 

舌足らずな寝言で返してくるのは、お隣さんの小学生。どうもまた、怖い夢を見て潜り込んできたらしい。

 

「ほら、俺が起きれないだろ。離してくれ」

「ん…やぁ……」

「にゃろう」

 

普段はおとなしくて聞き分けがいいのに、寝ている間はわがままになるのも特徴だ。がっちりと寝間着がわりの俺のジャージを掴んで離そうとはしない。力ずくでやってしまいたいが、そうすると起きてしまう。

 

「………あれ?」

 

考えてみれば、俺がそっと抜け出せば、毎度の如く、起きた時に俺を探して泣き出す始末だ。だったら、さっさと起こした方がいいんじゃないか?

 

「………おら」

「あぅっ」

 

数年ごしの悩みを解消できる場に到達した俺は、遠慮なくその小さな額を指で弾いた。

 

「あわわっ、敵襲!?」

「どんな夢見てんだ」

 

がばと跳ね起きた雛里は、寝ぼけ眼でキョロキョロと周囲を見渡し――――――

 

「………ちゃんと見張りは立てておいてね、孔明ちゃん」

「いねぇよ!?」

 

――――――そしてまた夢の世界へと旅立った。

 

 

 

 

 

 

いつも通りの学校を終えて家に戻れば、見慣れた靴と見慣れない靴が玄関に並べて置いてあった。

 

「雛里と…誰だ?」

 

疑問を残しつつも居間へと向かえば、見慣れた2つの小さな影が、婆ちゃんと向き合って俺に背を向けていた。

 

「なんだ、朱里も来てるのか。珍しいな」

「はわわっ!?………あ、一刀さんでしたか。お邪魔してます」

 

「お邪魔してます、お兄さん」

 

来客は雛里とその友人だった。見れば、婆ちゃんを含めた3人の手の中には、針と糸と、そして布がある。朱里の手には、いつも被ってるようなベレー帽、雛里の手には………魔女がかぶるような帽子が中途半端な形で抱えられていた。

 

「なんだ、家庭科の宿題でもあるのか。まぁ、婆ちゃんなら上手だし、丁寧に教えてくれるだろうさ」

 

適当にあたりをつける。

 

「甘いな、一刀よ。3人は儂のチャンチャンコを作ってくれているのだ。これから寒くなるからな」

「背後に立つな、このロリコンジジイ」

 

回し蹴りを放つが、ゴキブリのような動きで避けられてしまった。クソ。爺ちゃんはそのまま道場へと続く扉を出て行った。稽古の時間、って事か。

 

「ま、怪我だけはしないようにな」

「「はーい」」

 

2人の元気良い返事を聞きながら、俺も道着をとりに部屋へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

珍しく観客のいない稽古を終えて居間へと向かえば、そこにはもう雛里たちの姿はなかった。

 

「2人はちゃんと出来てた?」

 

台所から料理を運んでくる婆ちゃんに尋ねる。

 

「えぇ、もちろんよ。楽しみにしてなさいね」

「?」

 

婆ちゃんの返答に、俺は首を傾げる。俺のそんな様子に笑いながら、婆ちゃんは台所へと戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

夕食と風呂を終えて部屋でまったりと過ごす。明日出さなければならない宿題もないし、今日は気分が楽だ。

 

「………まだ早いけど、寝るか」

 

読んでいた本も終わりを迎え、俺はひとつ伸びをする。時計を見れば、短針はまだ10を指すか指さないかの位置にあった。

特にする事もない。俺は押し入れから布団を出して、寝る仕度を始めた。と、その時。

 

「おにぃちゃぁん………」

 

窓の外から、女の子の声が聞こえてきた。この場所からこんな時間に声をかけるのは、1人しかいない。実際に窓の方を向けば、夕方雛里が持っていた魔女帽子がぴょこぴょこと揺れていた。そこで、窓の横の壁にかけてあったカレンダーが目に入る。

 

「10月31日………そういう事か」

 

今日はハロウィンだ。日本でやるのも如何なものかと思うが、まぁ、イベント好きな日本人だ。特に本来の意味もわかっていないのだろう。

そして雛里もまた、その流行りに応じたのだろうな。

 

「なんだかんだ言っても、女の子って事か」

 

誰ともなしに呟きながら俺は立ち上がり、窓を開いた。

 

 

 

 

 

 

「どうした、雛里?」

 

窓を開けて、呼びなれた名前を口にする。俺の声に反応して、魔女帽子がぴこっと跳ねた。その下からは鮮やかな金髪が覗き――――――金髪?

 

「Trick or Treat!雛里ちゃんだと思った?残念!朱里ちゃんでした!」

 

帽子の下から、幼なじみの友人が顔を出した。

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………#」

「ねぇねぇ、愛する幼なじみだと思って窓を開けたら別人だったんですよ。どんな気持ち?どんな気もはわっわわわわあわわわっ!?」

「黙れロリータっ!小学生の癖になんて憎たらしい顔してやがんだ!!」

「はわわわわ!?いはいれふ、一刀しゃん!?」

 

俺は問答無用でその小娘の顔を掴みあげた。手足をバタバタとさせるが、俺は容赦しない。今だけはドSなのだ。

 

「あわわっ、朱里ちゃぁん!?お、お兄ちゃん、離してあげてぇ!」

 

今度こそ聞き慣れた声が俺の耳を打った。振り向けば、夕方朱里が作っていたベレー帽をかぶった幼なじみの姿。その手にはドデカいかぼちゃが抱えられている。

 

「あわわ…かぼちゃ食べて、元気出してくだしゃい………」

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………#」

「あわわわわわっ!!?」

 

俺は空いている手で、幼なじみの頭を掴みあげる。

 

「てめぇら、そんなに人をおちょくるのが楽しいのか!あ?ハロウィン用のかぼちゃがクソ不味いって知ってて言ってんだろ、コラ?」

「あわわ………」

「はわわ………」

 

俺の説教は、何事かと婆ちゃんが部屋にやってくるまで続くのだった。

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

屋根の上でひと騒動があった後、俺は雛里と共に、朱里を送りに歩いていた。

 

「はわわ…顔が痛いですぅ………」

「私もだよぉ…」

 

雛里は俺の左隣で両頬を押さえて揉んでいる。

 

「あと首が重たいです…」

「人をおちょくった罰だ。家に着くまでそのままでいろ」

「そんなぁ…」

 

右隣の朱里の頭には、雛里が抱えていたかぼちゃヘッドが被せられていた。小さい身体に馬鹿でかいかぼちゃは、正直怖い。

 

「………ったく、かわいいイタズラなんかしやがって」

「えっ、可愛いですか?」

「その頭で照れるな。こえぇよ」

「はわ…」

 

そんな夜の帰り道。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

というわけで、ハロウィンネタでした。

いつも許可をくださるAC711様に感謝!

 

内容は関係ないけど設定をそのまま使ったので、あんなタイトルに。

まぁ、楽しんで頂けたのならロリコンです。

 

ではまた次回。

 

 

バイバイ。

 

 

 

 


 
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