目の前に巨大なパフェがドンと置かれ、金銀妖瞳の青年士官は顔を引きつらせた。
「卿が食べたかったものとはこれか?」
顔を引きつらせたままロイエンタールは目の前に置かれたパフェを指差した。
「そうだ。卿は甘いものは嫌いか?」
悪気なさそうに正面に座ったミッターマイヤーがスプーンでパフェの生クリームをすくいながらロイエンタールの質問に答えている。
「嫌いとか以前に、男二人でパフェを食べる事になんの疑問も抱かないのか?卿は……」
そう言っている間にもミッターマイヤーは、もりもりとパフェを口に運んでいる。
まるでロイエンタールの話が耳に入ってないような素振りで。
「……聞いているのか?ミッターマイヤー」
スプーンを口に運ぶ動作を一旦止め、ミッターマイヤーは、パフェ用の細長いスプーンでくるくると宙に円を書くように回しながら、ロイエンタールの問いかけに答えた。
「聞いている。しょうがないだろ。流石に一人でこの量は食べきれん」
目の前にある巨大なパフェにちらちらと視線を送りながら、先ほどからスプーンを回す手を休める事はしない。
「ならば、卿がよく話題にするエヴァンゼリン嬢を誘えばよかろう」
「今、食べたかったんだ。エヴァとは彼女がこっちにきた時に食べに来る」
ロイエンタールの皮肉もさらりとかわし、ミッターマイヤーはパフェを口に運ぶ動作を再開する。
ふと、ロイエンタールの手元に目をやると、スプーンがまだナプキンの上に置かれたままで、彼自身がそれに手を付ける気が全くない事を悟ったミッターマイヤーは、少し意地の悪いことを思いつき、それを実行に移すべく口を開いた。
「そんなことよりほら、卿も食え。俺一人では食べ切れんと言っただろ」
一口分載せたスプーンをロイエンタールに向かって差し出し、口を開けろと言わんばかりの表情でロイエンタールを見つめる。
そんなことをされて一瞬戸惑い、視線を差し出されたスプーンに釘付けになったロイエンタールだが、視線をミッターマイヤーに戻すと、食え、食わなければ酷い目に合わせるぞと言わんばかりのオーラを全面的に醸し出している。
結局、根負けしたロイエンタールが、ミッターマイヤーに差し出された一口分を不本意ながらあーんというシチュエーションで食べることになり、それを見たミッターマイヤーは満足げに微笑みながら、ロイエンタールが自分のところに置かれていたパフェ用のスプーンに手を伸ばすまでパフェから一口分すくい取って、ロイエンタールの口元に持って行くのをやめなかった。
おしまい。
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2人構図シチュお題ったー でこういうお題が出たので。
ホントはマンガにするつもりだったんですけど、ちょっと長くなってしまったので小話に。