No.317724

【改訂版】真・恋姫無双 霞√ 俺の智=ウチの矛 二章:話の一

甘露さん

今北産業
 こ
 の
 種
  馬

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2011-10-13 18:28:33 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:8456   閲覧ユーザー数:7158

 

 

 二章

 

 **

 

 

 

 恋とは精神病の一種だ、といったのは何処の誰だったか。

 俺は、この意見に全面的に賛成する。

 

 なにせ、恋する乙女とか言う地球外生命体は、著しく情緒不安定となり、

 訳の分からないことで直ぐ不機嫌になり、機嫌を直すには甘いものが必須であるからだ。

 

 それに誰への贈り物だか知らんが、わざわざ俺を狩り出してやれ買い物だ、やれ料理だといちいち俺に何でも試す。

 アレだけそわそわあせあせしていれば誰だって霞が恋する乙女だと気付くだろうに、

 アイツの想い人は相当な朴念仁らしいな。 

 

 と、俺は、誰に恋してるか知らんけどさ、と不機嫌な霞にそうだろ、と確認をとれば益々不機嫌になった。何故だ。

 某ジャイアニストな良い奴じゃないけど、心友の恋は応援するべきじゃないのか?

 霞が一体何に対して気に食わないのかさっぱりわけがわからないよ状態だ。余計な御世話だと言いたいのか?

 

 つん、と顔をそむける霞を横目に、俺はオシャレなカフェテラス

 つまり最初に霞とお茶をしたあのある意味思い出の場所で、憂鬱な気分を溜息で履きだした。

 

 

 さて、何故そんな恋だの乙女だの乙女チックな話題を選択するシチュと、霞と共にお茶をする事になったかと問われれば、こう答えねばならない。

 敢て言おう! リア充ではない、であると! 総帥で言った意味は特に無い。

 

 霞と俺は真名を預け合ったいざこざの直ぐ後、翌日の外出の約束を取り付けたのだ。

 べ、別に霞をデートに誘いたかった訳じゃないんだからね、とテンプレートな反応は蒼空に消え。

 俺は単純に、互いに真名を預け合っても、やはり互いの詳しい事は知らないので、

 どうせなら親睦を深めついでに真名で呼び合う事になれてしまおう、という訳だ。

 ちなみに霞はやたらとテンションあがった所為か、夜なかなか寝付けず朝遅刻するという遠足前の小学生の様なことをやらかした。

 ただ友達同士で遊びに行くだけだろ、と言えばやっぱり不機嫌になった。何故だ。低血圧だったのか?

 

 と、そんな初回の思い出は置いといて。

 

 遊びに行くと言う、簡単かつさっさと親睦を深められるソレもはや十数回、三日に一度計算でも一月、飽きもせず回数を重ねている。

 最初こそ、あの酷いどもりが治らずどうしようもない様な感じだったけども、

 最近は何を悟ったのか、諦めたような調子且つ、今じゃよっぽど不意打ちでもない限り普通に会話できるレベルまで落ち着いてきた。

 

 それで、ただ今絶賛十数度めの逢引中。ツイッターでもあれば“美少女とお出かけなう”等と呟いて及川を爆死させたいところだが。

 生憎ケータイもパソコンも文明の利器は何もなく、俺のポケットは空っぽだ。

 

 ついでに言えば俺のお財布の中も空っぽだ。まぁ、男の甲斐性の見せどころとは言うかもしれないが。

 だからって、ねぇ。

 

 「杏仁豆腐を十七杯もおかわりするバカが何処にいますか、と。聞いてんのか、霞。そんなに俺の経済状況に止めがさしたいのかそうなのか」

 「ここにおるわーっ、なんて。 ええやん別にぃ……大体一刀が好きなだけいいって言ったんやし。生活費別枠でとっとるんやし。

  大体初めっから遊ぶ金っちゅう風に持ってきとるんやしぃ。出し惜しんでどーすんやねんっ」

 

 くっ、この猫目少女、どうしてくれようか。

 まぁその辺は最初の失態から学んでるんだけどさ。親しき仲にも礼儀あり、って知ってる? 

 

 ……でも、まぁこのまったりした空気も悪くないよね。 

 なんて思うある晴れた冬の日の一幕。

 

 

 

 **

 

 /一刀

 

 

 金は、人を狂わす魔力を持っている。

 そうに違いない。

 時に冷静な判断を欠かせ、時に金の為なら命でさえ投げうってしまう。

 

 しかし、それは選択できる人間だけが許される行為であり、判断だ。

 たとえば孤児の俺は、先ず選択肢がない。

 選択できる人間に、スズメの涙ばかりの金でいい様に使われ切り捨てられる人種だ。

 

 俺は、自身が最下級層に居る事を、初めて呪った。

 

 

 **

 

 

 北の果て并州に、冬がやってきた。

 そして、阿片と麻黄が一緒にやってくる。

 

 并州の冬は、一面白銀に覆われる厳しい季節。緯度的には北海道とかそんなもんだと思う。

 つまりかなり寒いって訳だ。

 

 そして、雪に包まれる季節には、支配階級共の娯楽が存在しなくなる。

 (無論、一般階級はタダでさえ生きづらい環境が悪化するのでそれどころじゃなく、生きるのに精いっぱいだけど)

 

 狩り、遠乗り、屋外で行うものは当然不可。食もたまに訪れる行商人が持ってくるモノと保存食のみ。

 さらに外出なども、わざわざ吹雪の中を突っ走る自殺行為をする様なモノ好きは少数派な為で、自然と閉鎖的かつ内向的になる。 

 

 そんな中で、人間は何に走るか。

 一番多数派なのが、快楽だ。特に性的快楽、精神的快感を求める。

 もちろん、芸術、文学、自己研磨等を楽しむまっとうな人間が居ない訳じゃない。 

 しかし、常日頃から怠惰に耽る人間は、簡単な快楽を求めてしまう。

 お陰で冬になると、并州のこの一都市では性産業が活発になった。

 

 

 それだけなら、良かったのだが。

 それが、付け入る隙となったのは何時の頃からか。

 何代か前の領主が関税を緩和したことをきっかけに、目ざとい黒社会や侠の人間達によって、多量の薬物が流れ込むようになった。

 

 

 そして、その高揚感と快感に目を付けた一人の支配階級層の人間がいた。 

 薬が与える高揚感と恍惚感に魅入られた彼は、セックスのような単純な享楽目的にアヘンを使用する様になった。

 脳味噌から無理やりドーパミンだか何だかを分泌させて、仮想の幸福を楽しみ、偽物でホンモノな快感を味わえりのだ。 

 先立つモノさえあれば、吸いこむだけで気持ち良くなれるソレは瞬く間に蔓延した。

 

 

 しかし、快楽を求める探究心は留まりを見せず。

 連中は早々と時間をかける事も無く薬とセックス両者を組み合わせた最悪なコンボ、

 麻黄(まおう)を使っての性行為を見つけた。

 

 コレの場合は、高揚感により快感が増幅する様に感じるのでは無く、

 実際に性的な行為をした場合の快感が数倍に跳ね上がる。

 なので、娯楽に、特に快楽にどん欲で、懐事情に余裕のある連中はさらにこぞってこれを求めた。

 お陰で、裏も表も市場には薬が大量に出回るありさまだ。 

 并州はもはや帝国一といっても差し支えがない程の一大市場へ拡大した。

 

 

 麻黄、とは元々漢方薬の一種で、本来は風邪薬に使われる漢方薬の一種だ。

 具体的な効能は、倦怠感を取り除く薬として処方されている。

 

 これだけならまだ良い。タダのまっとうな漢方薬だ。

 しかし、麻黄をさらに煮詰め高濃度の白い結晶としたヤツは、覚せい剤となる。

 疲労状態から簡単に回復させ、眠気を覚ます上に、さっき言ったように快感の増幅と激しい高揚感。

 そして、一定量以上服用した場合に起きる強い嗜好性と、習慣性の依存状態。

 所謂麻薬中毒者と一緒の状態に陥らせるのだ。

 

 たまに、自身の意志で薬をコントロールし、依存症にならず快感だけを味わえる人間もいるが。

 俺の知るユーザーの六割程は数年で廃人となるか、薬切れでラリって自殺してしまう。

 支配階級や大口の連中は、俺はあった事がないので知らん。

 売人毎にお得意様が決まっているからね。

 

 俺が任されているのは中級階層、つまり一般街の人間相手の商売だ。

 扱うのは需要が増える冬に限るけど。

 

 因みに、薬物自体は此処では全く違法でない。依存性、危険性を誰も知らないからだ。

 日本が戦後しばらくの間ヒロポンの名で覚せい剤を公式販売していたの同じこと。

 官営の薬があり、表向きは薬の取引は塩や酒と同じ様に国の主導で行われて居る事になっている。

 しかし官営のモノは総じてぼったくりである法則は、薬にももちろん当てはまる。

 一般の人間にはとてもじゃないが手が出ない程非常に高い為、塩と一緒に侠系の組織や黒社会達の手で密売されているのだ。

 俺は街をし切る黒社会からの下請けで販売のみをやっている。もちろん薬自体はセーフでも密売なのでアウトだ。

 

 罪悪感を感じないのか、と問われれば嘘になるが、正直自身を生かすのに必死になるうちに、

 見ず知らずの他人が死ぬこととかどうでもよくなっちまってる。

 

 

 

 しかし、だ。

 

 それが、見ず知らずで無い人間に降りかかる羽目になるとしたら。

 

 

 ……俺は、どうするべきなのだろうか。

 

 

 

 **

 

 /霞

 

 びゅうびゅう、って風が吹き付けて、さらさらの雪が戸の隙間に積もっとる。

 昨日までの晴天はどこへやら、并州に本格的な冬が来た。

 

 そんな中で、ウチといえば……。

 

 

 「くっ……雌雄を決す時が来たみたいやな……っ!」

 「肉体性能の違いが、戦力の決定的な差じゃない事を教えてやんよ!」

 

 ズババッ!

 

 「なっ、反応が、間に合わないっ!? 何故だっ!」

 「ふっふーん。戦いとはいつも2手3手先を考えて行うものや! さぁー、次行くでっ!」

 

 シュッ!

 

 「あ、そっちに」

 「声に出すとは甘いわ、貰たでェ! って、コレ白菜やん!?」

 「霞は良い友人だったが、キミの箸使いがいけないのだよ」

 「一刀!謀ったな、一刀ぉーっ!!」

 「……」

 「……」 

 「んじゃ、次の肉入れるか」

 「……いきなり普通のノリにもどんなや」

 「ま、いいじゃん」

 

  

 一刀と二人で火鍋をしとる。

 

 何やら良く分からんが、大きな金が動くちゅうことで一刀にもまとまった収入があったみたいで。

 どうせなら霞と何か飯でも食おうっちゅう事になったらしくて。

 んで、今朝誘われて、冬風吹き付ける中一刀の家に行ってみれば火鍋の道具と具材が所せましと並べてあった。

 

 んで、気付けばあんなノリで肉を取り合っていた訳や。

 楽しいからウチ的には無問題。一刀はちょっと疲れた顔しとるけど。

 

 「……んま。はふっ、熱っち、ふぅーっ、ふぅーっ」  

 「ん……はふ、はむ……」

 

 一通り騒いでからは、かちゃかちゃ、って食器と箸が当る音と、はふはふ食べる声だけになった。

 さっきから一刀が妙にもじもじしとる。どしたんやろか?

 なんや悩んどる感じやけど……。

 

 「なぁ一刀」

 「っあ!? あちちっ!?熱っ!霞、布巾とって布巾!!」

 

 ……それに明らかに挙動不審。

 

 「ほい布巾。……じぃーーーっ……」

 「あ、ありがと。 な、何かな? 顔になんかついてる?」

 「目と鼻と口がついとる。じぃぃいー……っ」

 

 試しにじっと見つめれば、一刀は直ぐに視線を少し下に下げた。

 んー、やっぱし、一刀なんか隠し事しとるな……。

 

 「や、止めろって」

 「一刀、ウチの目ぇ見てや」

 「何だよいきなり……」

 「なんや一刀、ウチに言えんような事があるん?」

 「っ!? そ……そんなこと無いよ?」

 

 うん、絶っ対なんか隠しとる。 

 アレやね。何となくやけどこれは、なんや後ろめたい事隠しとる顔やね。

 

 「……一刀って、嘘吐いた時左下に目線反らす癖あるの気付いとる?」

 「え、マジでっ!?」

 「むぅっ、やーっぱ嘘ついとったんやな! ウチに何隠しとんねんよ? 

  はぁ……言うてみぃや、隠しとったことは怒らへんから。てか言ってぇな。ウチ、一刀が困っとるんなら力になりたいんや」

 

 ん、ちょっと押しつけがましかったかなぁ。

 でも、一刀ん心配しとんのはマジやし……。ん、まぁ一刀が嫌そうや無いんならいっか。

 

 「……聞いて、怒らないでくれるか?」

 

 あや、こない不安そうな表情一刀もするんやな……。

 でもや、ここで何も出来んなんて女が廃るっちゅうもんや!

 

 「内容によるわな。まぁ、話し終わるまでは手ぇ上げんといてやるさかい」

 「ちっとも安心できねぇよ……ははっ」

 「あ、ようやっと笑ったね」

 

 ちゃんとした笑顔ってエラい久し振りな気がする。 

 

 「へ? 俺そんな仏頂面だった?」

 「んん、なんちゅーか、仏頂面やなくて、不自然やったっちゅうか?

  むぅー、上手いこと言葉にはでけへんけど、こう、ぶわぁーって感じの違和感?」

 「なんだそれ。 ……まぁ、ありがとうな。お陰でちょっと気が楽になったよ」

 「にゃは、このお代は高ぅ付くで?」

 

 ウチの一言に、曖昧な笑顔で一刀は返すと、徐に口を開いた。

 

 **

 

 

 「まず、コレは前提条件ってことで知ってて欲しい。

  俺は犯罪組織の下っ端且つ一員で、麻黄を売ってるんだ。

  もちろん、やることすること全部違法ッちゅう訳じゃあないけど……。

  少なくともお天道様の元を胸張って歩ける人間じゃない」

 

 ……早速予想の斜め上やった。

 まぁ、今は聞くことに徹するて決めたんや、黙って聞こう。

 ウチは、続けて、って手を振った。

 でも麻黄ってなんやろ。

 

 

 「ん、ありがと。 

  それで、その今回の、命令の内容が問題なんだけど……そのな、

  霞との繋がりを使って、太守張越以下十三名の文武官に白胡を売り込め、って」

 

 「はぁ。なんや、てっきり変な前置きするで、一刀が刺客とかそう言うんやったんかと思ったやんけ」

 「いや……刺客って言い得て妙かもしんないよ。てか霞、白胡も黒胡も知らんの?」

 

 一刀はなんや驚いた顔しとる。

 ウチ変な事言ったかな?

 

 「うん、ウチは聞いたこと無いよ? それって何なん?」 

 「黒胡は、阿片って言えば分かる?」

 「ああ、阿片な。あの気持ち良くなれるっちゅう奴やろ?」

 「うん。まぁ認識としちゃ間違ってないけど……阿片の副作用知ってる?」

 「ふくさよう? 知らんよ、どんなんなん?」

 「身体能力の低下、呼吸器、脳機能の低下と依存性、幻覚、精神崩壊や分裂、最悪死ぬ」 

 「なっ……マジで?」

 「うん、マジで。まぁでも、ぶっちゃけアルコール、あ、お酒ね。

  それと変わらんし、飲み物が煙草に変わっただけって認識でもいいんだけどね」

 「マジか……それって、阿片がおっかなくないんか、酒がヤバいんか、どっち?」 

 「どっちもヤバいね」 

 「マジでか……」

 

 お酒ってそないヤバいモンやったんか……。

 ちょっと意外や。皆普通にどっちも飲んで吸っとるし。

 

 「まぁ、黒胡は置いといて。問題は白胡だよ」 

 「白胡ってのも黒胡やお酒みたいなモンなん?」

 「ん、まぁ認識としちゃ間違ってないよ。ただ問題はね、お酒や黒胡の二,三十倍は危険なとこかな」

 

 そう言うと、一刀は腕組みして考え込みだした。

 直ぐに顔上げたけど、ちょっと悩んどるんか眉間にしわよっとる。

 

 「白胡はね、使用すると、自分らしさが失くなり、性格が壊れて、社会適応ができなるんだよ。

  体に影響を与える方としては、

  何も食べなくても眠らなくても平気で、疲労を忘れたり、痛みを感じなくなったり、一種の超人みたいな感じになるようだし。

  あと、性交中の快楽が数十倍になったり。

  でも、副作用は強いし、だんだん大量消費をするようになるんだよ。

  ものっそい依存性が高いからね。んで、心拍が異常に速くなったり、けいれんが起こったり。

  幻覚が見えたり、妄想と現実の境目があいまいになったり、呼吸停止して、死に至る場合も少なくない」

 

 「なっ……そないにヤバいモンがなんで普通に出回っとるんねん! 

  大体何で一刀も……」

 「んとね、国は気付いてないんだよ。この白胡を使い続けるとどうなるかって。

  表面上はたんに物凄い気持ち良くなれるお薬ってだけだもん。

  乱心したら殺せばいいんだし、勝手に死んだらその役職を公売に掛ければいいんだし」

 「……おわっとんな、天子も、国も」

 「そーだよ。因みに貧民たちは皆とっくにそんな事気付いてるよ」

 「ならなんで」

 「弱いからだよ、霞も知ってるだろ。俺達は弱いんだよ、だから強い人間の事は解らんし、どうにもできないんだよ。

  言い訳みたいになっちゃうけど、俺がどうにもできず言う事を聞いてるのも一緒の理由ね。

  やれ天子だ、やれ皇族だなんて言われても大き過ぎて見えないんだよ」

 「っ……本当に、どないなっとんねん」

 「……っと、話が逸れたね。

  それで、俺がそんな危険物を霞の父親とかその辺に売ろうとしてる理由だけどさ。

  俺を飼ってる黒社会の組織の一つが、気付いたんだよ。薬の持つ依存性に」

 「それって……つまり官を乗っ取ろうとしとるっちゅうこと?」

 「ご明察。役所ごと薬漬けにして薬の奴隷にした連中を通して支配しよう、ってのが最終目標ね」

 「でも一刀、そんな事したら中央にバレてまうんやないの?」

 「監察官がどんな人間かは知らんけど、こんなデカい貧民街作っててもお咎め無かったんだし袖の下でどうにかなるんだろ」

 「確かに……」

 

 納得できてまうのが嫌やけど、実際賄賂もらっとりそうやしなぁ……。

 

 「ん、こほん……で、霞は反応それだけなの?」

 「それだけてなんや一刀、怒って欲しいん?」

 「いや滅相も無い。でも俺、霞の父親を廃人にして傀儡にしようとしてるんだよ?」

 「身内の恥やから言いたくないんやけどなぁ……オトン今も傀儡みたいなもんやよ。実際に一番偉いんは筆頭文官のおっちゃんなはずやし」

 「マジッすか?」

 「マジッす」

 「マジッすか」

 

 なんや今のやりとり。

 

 「でもさ、こう、なんつーか、儒教的に親大切にするもんじゃ無くて?」

 「年に二,三回しか会わんおっちゃんをオトン思え、っちゅうのも無理やない?」

 「あー、納得」

 「やろ。その黒社会の連中がなんや民にめちゃくちゃするとかそーいうんとちゃうなら、ウチは別に構わへんのよ」

 「そこは大丈夫だと思うよ。侠系の連中は荒っぽいけど差別主義者じゃないし、てかほぼ全員虐げられる側の出だし」

 

 んー……すっとウチ的に問題なことってあるんかなぁ?

 

 「じゃあなんも問題ないやん。別にオトン頭がイッてまうだけで死ぬわけやあらへんのやろ?」

 「まぁ多分」

 「多分て……まぁええけど」

 

 多分今更父親面もせぇへんし、ほぼ他人やもんなぁ。

  

 「いいの? 俺ある意味親の敵になる訳だけど」

 「ソレ言ったらオトンもオカンの敵やし。ウチの片親、妾どころか侍女で、その侍女はん殺したのウチのオトンやし」

 「マジッすか?」

 「マジッす、ってなんや一刀、この言い回し気に入ったん?」

 「まぁそこそこ。んで、じゃあ何、霞がこんな放置なのもいつものことなの?」

 「せやなー……オトンには今んトコウチしか子供が居らんし、ウチをしゃーなしに育ててくれたんやと思うで。

  嫁殺しより子殺しの方が聞こえ悪いやろ。やでいちおー世間体とかあるさかい。

  大体太守の娘が侍女ん子なんて言えへんし、ウチにも隠す為にもう亡くなった前妻さんの子ってことになっとるよ。

  んでも所詮は遊びで出来ちゃった子やし、ちゃんとしたヒトから子供生まれたらウチ、多分用無しなるんや無いかなぁ?」

 「あー。えっと、その、ゴメン……霞も複雑なんだな」

 

 ありゃりゃ、一刀がしゅんとしてまった。

 うーん……ウチ、きにしとらへんのやけどなぁ。

 

 「別に一刀が落ち込むこと無いで? あった事も無い親に別に憧れんし。

  大体ウチ見たいな境遇の子なんて腐るほどおるやん。一刀もせやし、ある意味ではオトンに感謝しとるし」

 「なんで?」

 「だって、ウチが武官の真似ごとしたりしても気にしんし。あと縁談とか断ってもなんも言われんし」

 「縁談……ってええっ!? 何、霞結婚するの!?」

 「いんや、せーへんよ。 まだそーいうんは嫌やし、大体好きな人ウチ居るし」

 「ん、あ、あぁ、そーいやそうだったね。で、霞の好きな人って誰なんだよ、いい加減教えろって」

 「……はぁ、知らんわボケ」

 

 ほっと、なんで一刀ってこないに鈍感なんやろか。

 

 「え、俺なんか悪いことした?」

 「うっさいばーか」

 

 ちったあこんな反応しとるウチ見て脈あるんとちゃう?とか思ってもええやん普通。

 

 「あの、何かゴメン?」

 「疑問形で謝んなや。罰な罰、今夜は一刀布団無し」

 「やめてくださいしんでしまいます」

 「勝手に凍死でも何でもしてまえバカ」

 

 しかしまぁ、はぁ……こない何遍もお泊りしとんのに、一向に手ぇ出されへんとか。

 ウチやっぱ、一刀にとってはお友達でしかないんかなぁ。

 

 ……って、ウチは何を考えとるんや。

 

 

※この物語はフィクションです

 けして作者の実体験とかじゃ無いのであしからず

 

こんちゃ。

全国2億5000万の恋姫ファンの皆様、長らくお待たせいたしました。

運営に垢BANされてました。

甘露です。

 

 

今回の内容ちょっと危ないカンジですねえ。

良い子の大きなお友達の皆は決して真似しないでね☆

 

 

もう色々描きたい事とかありますけど。

収集着かなさそうなので終わります。

 

では

 

 

・この一刀、どうよ?

1、もげろ

2、もげろ

3、もげろ

4、あわわ、もげやがれですぅ

5、もげろ


 
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