平日のある日のことであった。
智樹達が学校に行っている間、カオスはいつものように家で留守番をしていたが……。
「暇だな~」
カオスはやることをし尽くしたように暇を持て余していた。
「外出ようかな~。でも、お兄ちゃんが……」
カオスは智樹に自分達が学校にいる間は家で留守番をしていろと言われているのだ。
「でも、戸締りしてればいいよね」
カオスはそう言うと家から適当に重いものを出し、それを玄関において扉を塞ぐ。
「これで大丈夫」
カオスは安心して家を出ていき、散歩に出かけた。
「♪~♪~♪~」
カオスが歩いていると一つの畑を見る。
「うん?」
そこにはせっせと働く一人の少女がいた。
その少女は風音日和であった。
「あ、日和お姉ちゃんだ。日和お姉ちゃ~~ん」
カオスが手を振りながら、日和を呼ぶ。
日和もカオスの声が聞こえて振り向く。
「カオスさん」
カオスは日和に近づくのであった。
『カオスのとある日常(いちにち) カオスと日和と異世界人』
カオスと話し込むとして、日和は作業を止め、適当な場所でカオスと座り込む。
「日和お姉ちゃんはどうしてここにいるの? 今日って平日だから学校だよね」
「うん、本当ならそうなんだけどそろそろ収穫時期なの。あの子たちの……」
日和が自分が世話をしている野菜の方を見る。
「野菜の収穫ってデリケートにやらないといけないの。そのお世話のためにしばらくは学校を休んでるの」
「そうなんだ」
カオスが立ち上がり、野菜の方に近づき、野菜を見てみる。
「う~ん」
「カオスさんにはまだ早いかな…」
「なんかおいしそうだね」
カオスが野菜を褒める。
「分かるの?」
「うん。たまにイカロスお姉様が料理してるの見てるけど、たまに同じなの見るけど、ここのものなの?」
「そうだよ。たまに桜井君やイカロスさん達が来て、野菜を分けてほしいって言ってくるの」
「そうなんだ~」
「まあ俺は野菜は好きじゃないけどな」
そこに突然秋山がやって来る。
「あ、秋山お兄ちゃん」
「秋山先生、こんにちは」
「ちはっすと……」
「あの、秋山先生はなんでここに? まだ学校の時間ですよね?」
「俺、臨時教員、サボっても問題なし」
「え~」
「まあたまにはサボるが、今日はサボってるわけじゃないぞ。
大事なプリントがあるから早急に届けに来たんだ。ほれ」
秋山が日和にプリントを手渡す。
「ありがとうございます」
「しかし、お前、留守番してなくていいのか?」
秋山がカオスに話す。
「さっきここに来る前に智樹の家に行ってみたが、とんでもなかったんだが…」
「とんでもない?」
「家裁道具がいっぱい玄関前に置いてあったんだが……」
「鍵無いからあれで戸締り」
「まあ普通の奴は入ろうとせんわな」
秋山は思わず頭をかく。
「よっこらせ」
秋山はその場に座り込む。
「あの、秋山先生、学校は……」
「サボる。それに俺がいなくたって学校は機能する」
「それはそうですが……」
日和はどうすればいいのか困ったが、あまり気にしないことにした。
「しかし、この畑よく無事だったよな…」
「はい」
「? どうしたの?」
「お前、覚えてないのか?」
秋山が周りを見渡してみて、日和は思わずうつむく。
カオスは何のことかイマイチ分からなかった。
日和は操られていたとはいえ、空見町に多大な被害を与えた。
「まああの時の被害はイカロスや俺がなんとかしたさ。
関係ない人々の記憶消去とか土地を元に戻したりとか…。
俺としては古い方が趣きあると思うぜ。ある意味昔の方が今より技術的なものを感じるしな」
「そう……ですか……」
「そんなに気を落とすな。まあ吹っ掛けたのは俺だけどさ…。
生きてればどうにでもなる」
「秋山先生…」
「そうだよ、日和お姉ちゃん。私もお魚さんや鳥さんをいっぱい殺した……」
カオスはその時のことを思い出してうつむく。
「カオスさん……」
「お前達、ネガティブすぎるぞ。もう少し明るくなりなよ。
さっきも言ったが、生きてればどうにでもなる。それこそ自分達が犯した罪を償うためにさ……」
秋山はふと空を見上げる。
「「秋山お兄ちゃん(先生)……」」
「俺は今は罪を犯してないが、ずっと後くらいに罪を犯す。
正直それはどうにもならん。だから俺はその今後犯すだろう罪に向き合えるように生きてるのさ」
秋山は意味深なことを言うが、それがどんなことを言っているのか二人は分からない。
しかし秋山の言いたいことの一つは分かった。
それは生きて罪を償うこと。仮に償えなかったとしてもただ死んでしまうのではなく、精一杯生きることが大事だということを…。
「秋山先生、ありがとうございます」
「うん?」
「秋山お兄ちゃん、ありがとう」
「別にお礼を言われることしてないけどな……。
まあさておき、暇だから俺も畑仕事、手伝ってやるか」
「私も手伝う」
「二人ともありがとうございます」
秋山とカオスはその日は日和の畑を手伝った。
そして夕方になった。
「それじゃあ帰るね」
「あ、カオスさんこれ」
日和がお手伝いしてもらったお礼に野菜の少しをカオスに渡した。
「イカロスさんや桜井君達と一緒に食べてね」
「うん」
「秋山先生も…」
「いや、俺いらねえ」
秋山は手を振って断った。
そして二人は帰っていった。
「♪~♪」
カオスが家に帰ってみるとそこには家裁道具によって家に入れなかった智樹と、その困っている智樹のために家裁道具を破壊しようとするイカロスとニンフがいた。
「あ、忘れてた」
「カオス! これ、あんたの仕業!?」
「うん……」
「お前なーーーーーーー! あれ?」
智樹はカオスを怒ろうとしたがカオスの手にある野菜を見る。
「なあカオス、その野菜って風音の?」
「うん。今日、日和お姉ちゃんのお手伝いをしたの」
「そうか」
「それで日和お姉ちゃん、皆で一緒に食べてって言ってた」
「そっか。それじゃあありがたく、もらうか。
それと……、とりあえずこれどかしてからな」
智樹はカオスやイカロス達に何とか家裁道具をどうにかどけてもらい、家に入り、晩御飯を食べるのであった。
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※今回の話は「劇場版そらのおとしもの 時計じかけの哀天使」の後日談と言う設定ですが、ネタバレは入れていません。(原作漫画であったような部分は入れています)
またその設定を作者の作品による独自設定と混ぜてはいますが、もしもそれが嫌だという方は見ることは勧めません。
またこの小説には作者の分身とも言えるオリジナルキャラクター(秋山総司郎)も出てきます。