No.31346

詩画集1

MMさん

詩にイラストを添えてみたもの。

2008-09-18 00:21:54 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:591   閲覧ユーザー数:576

  1.「 ROMANTICIST 」

 あたしを曲げなきゃ生きられないなら

 

 あたしはロマンチシストだから

 白馬の王子様を迎えに行く なんて 野暮なことホントはしたくないんだけど

 泣いてたって妖精は助けちゃくれないし 仕方ないから

 ネズミを引き連れ カボチャを手土産に 裸足で駆けるんだ

 そのかわり 12時の鐘には縛られないの

 だって 解ける魔法は無いんだから

 ガラスの靴なんて必要無いの

 だって そんなもの無くたって あたしはあたしなんだから

 

 あたしはロマンチシストだから

 おはようのチュウも無く目覚める なんて 淋しくて嫌なんだけど

 待ってたって王子様は助けちゃくれないし 仕方ないから

 立ち上がって 茨を髪飾りにして 傷付きながら走るんだ

 そのかわり 100年も眠る必要は無いの

 その分私が走るんだから

 魔女の予言なんて信じちゃいないの

 良い魔女の祝福が無くたって あたしはあたしなんだから

 

 あたしはロマンチシストだから

 暗い森に置き去りにされる なんて 恐くて泣いちゃうんだけど

 捜したって小人はどこにも見当たらないし 仕方ないから

 一人でだって歌って 毒リンゴなんか突っ返して 泣きながら生きるんだ

 そのかわり 8人分も家事なんてしないの

 自分のことは自分でするのよ

 魔法の鏡なんて必要無いの

 世界一の美人じゃなくたって あたしはあたしなんだから

 

 あたしはロマンチシストだから

 愛の為なら命を捨てる なんて 簡単なことなんだけど

 見渡したって命をかけるに値するほどの男なんていないし 仕方ないから

 嵐の中を泳いでも 声と引き換えでも 私の為に生きるんだ

 そのかわり 誰にも振りまわされないの

 他人の言葉は関係無いのよ

 王子様の愛なんて必要無いの

 誰からも必要とされなくたって あたしはあたしなんだから

  2.「魔女」

 

 黒猫のマリオネットが

 マカロニの上でニワトリを追う

 黒いチューブが絡み付き

 それらの首は紅く 宙を舞う

 残されたのは闇夜の悪夢と

 手頚の傷痕

 そして ネズミが1匹

  3.「かぐや姫」

 月光も届かない暗闇に

 一人ぼっちの君 泣いている君

 閉じ込めたのは 悲しませたかったからじゃない

 ただ 愛していたのです

 もう 何も言えないよ

 もう 何も言わないで

 無意味な言葉を吐くためのメガホンじゃない

 その唇は 涙を掬う優しい受け皿

  4.「タンガチットポロリ」

 

 タンガチットポロリ

 タンガチットポロリは 3本角の青鬼

 タンガチットポロリは 寂しい青鬼

 ヒトリボッチ ヒトリボッチ

 トヌマランテロミチ

 トヌマランテロミチは 4本牙の赤鬼

 トヌマランテロミチは 寂しい赤鬼

 ヒトリボッチ ヒトリボッチ

 

 青い草原の上

 赤い太陽の下

 何も無い

 たったそれだけ たったそれだけ

 

 タンガチットポロリは トヌマランテロミチが嫌い

 トヌマランテロミチは タンガチットポロリが嫌い

 だから

 二人はヒトリボッチ ヒトリボッチ

 

 

 タンガチットポロリは 赤い太陽を見上げて

 タンガチットポロリは 太陽だけを見つめて

 そうしたらヒトリボッチでも寒くはないから

 トヌマランテロミチに背を向けて

 ヒトリボッチ ヒトリボッチ

 

 トヌマランテロミチは 青い草原に蹲って

 トヌマランテロミチは 草原の中で小さくなって

 そうしたらヒトリボッチでも寒くは無いから

 タンガチットポロリから目を逸らして

 ヒトリボッチ ヒトリボッチ

 

 本当は

 タンガチットポロリは トヌマランテロミチを愛してた

 トヌマランテロミチは タンガチットポロリを愛してた

 だけど

 二人はヒトリボッチ ヒトリボッチ

  5.「人魚」

 

 君は見たのだろう?

 海の底の暗さを知ったのだろう?

 何も見えないんだ

 何も聞こえないんだ

 ただ、

 明けたばかりのピアスホールが

 ジンジンと軋む音だけが

 私が生きている証

  6.「椿姫」

 カピラピラ カピラピラ

 俺の爺様の墓参りの帰り道

 その人はカピラピラと後光を受けながら 紅い紅いドレスを纏い

 ナイスミドルな緑の森に ひっそりと佇んでおられました

 いわゆる偶然にその人を見つけた俺は

 その人のあまりの美しさに 息を止めて見とれたのでした

 その人の足元には老い衰えた負け犬どもが 紅いドレスを汚していました

 

 太陽が歌いました

 カピラピラ カピラピラ

 

 その人もいずれ彼女らのごとく 老い衰えてドレスを汚すのでしょう

 そして太陽はまた別の誰かを そのかぐわしい歌でカピラピラと照らすのでしょう

 輪廻の名の下に巡り巡るめくるめく後光の保有者

 誰もが幸せのままに生きることを夢に見 不幸の中で死んで逝くのか

 太陽がカピラピラと次の幸福を照らし出すとき その人は何処でどんな涙を拭うのでしょう?

 

 カピラピラ カピラピラ

 太陽が歌いました


 
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