008
後日談というか、今回のオチ。
翌日朝早く、戦場ヶ原に起こされた僕は、もう使い慣れた戦場ヶ原家のシャワーを借りた後、二人で早めの朝食をとった。
携帯を見ると、妹達から、
「お兄ちゃんの不良! もう知らない! 受験なんて落ちちゃえばいいんだ!」
みたいな内容のメールやら留守電が大量に入っていたので、少しだけ帰るのが憂鬱になる。
それでも2日連続で学校を休む訳には行かない。
昨日はあれから家に戻っていないので、今日の分の教科書なんかは、家に帰って取ってこないといけないのだ。
また後で学校で、と戦場ヶ原家を後にした僕は、家に帰る途中、僕に会った。
「あ」
「あ」
僕は僕と同じ制服姿で鞄を肩から提げていた。
「またあったな、阿良々木暦。ひゃははっ」
「何やってんだお前、気持ち悪いから早く戻れ」
言うと素直に妖精は元の姿に戻った。
「僕の姿で何してんだよお前」
「いやあてめえの家族は凶暴だなあ阿良々木暦あれはてめえの姉か?
もうちょっとでポニーテールの女に殺される所、だったぜ」
「何で僕の家に行ってんだよ!!」
つーかどうやって突き止めた。
「昨日のお前の話をちゃんと聞いてれば家の場所くらい簡単に推理出来たぜ阿良々木なんて苗字は珍しい、からな。ひひひっ」
「ひひひじゃねえよ、もっとゆっくり喋れ、聞き取りづらい、ていうか僕に付きまとうな。
もうハロウィンも子供の相手も終わりだ」
「そう邪険にすんなよ俺はお前が気に入ったんだほらちゃんとお前の為に今日必要な分の教科書をとってきて、やったぜ。
ひゃはっ」
そう言って僕に教科書を手渡してくる。
確かに、今日必要なラインナップが揃っていた。
……怖っ。
何でわかんのこいつ?
「じゃあまた愉快に遊ぼうぜいや違うな俺がお前で遊ぶんだ、阿良々木暦。
ひゃはははははっ」
「あ、待てっ」
僕が教科書に気をとられている隙に、妖精は何処かに走り去ってしまう。
後には僕が一人ぽつんと取り残された。
こうして今回のくだらない、僕が一人で相撲を取っていただけという一件は、僕が一匹の迷惑な妖精に気に入られるという、本当にくだらない、自分としては冗談ではないオチがついたようだ。
早速問題解決の為に、イレギュラーに出来てしまったこの時間を有効に使おう。
もう日付はとっくに変わっていたし、こんな事で本当に悪戯を止めてくれるとは思えないが、僕は取りあえず、近くのコンビニにお菓子を買いに行く事にした。
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7の続き。
これでおしまい。