No.311217

真・恋姫†無双 ~君思うとき、春の温もりの如し~ 合間18

lovegtrさん

今回から無双状態!何が無双状態かって?それはお楽しみに!
最初は冥琳の拠点です。ではどうぞ!

2011-10-02 03:32:19 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:5062   閲覧ユーザー数:3663

一日の政務を終え、辺りも暗くなり静まり返った自室で私は机に広げた地図を眺めていた。

「もうすぐ終わるな……」

地図にはこの大陸全体の地形が描かれている。

これは反董卓連合に参加したとき、燃える洛陽の王宮から混乱に乗じて明命に盗ってこさせたものだ。

さすがに都にあったものだけあって、地図は細かな場所まで詳細に描き込まれていた。

その地図の一番東に描かれているところに目をやる。

建業を中心とした我等が治める呉。

その北には拠点を許昌から洛陽に移した曹操治める魏。

そして西には新たに劉備によって成都を都とした蜀が建国された。

今大陸は、他に小さな勢力が幾つかあるが、この三国に分かれる形となった。

呉と蜀は同盟関係にあり、お互い攻める意志は無い。

劉備の目的は大陸の平和。自ら戦争を行う人物でない。

そして我等呉の目的も大陸の安寧。これ以上の混乱を私たちは求めない。

しかし魏は違う。曹操の夢は自らの手による大陸の統一。

そのために我等との戦いは避けて通ることはできない。

そして次の戦いは、大陸全土を巻き込む最初で最後の大きなものとなるだろう。

地図をぼんやりと眺めながら私は再び思考を巡らせる。

我等が生き残るための道を考えるために。

 

「冥琳、居るかい?」

地図を見ながら今後の事を考えていると、扉の外から一刀の声が聞こえてきた。

「ああ、どうした?」

そう言い扉を開けて一刀を部屋に招き入れた。

「いやー、特に用は無いんだけどね。

 たまたま冥琳の部屋から明かりが見えたからまだ起きてるのかなって思って」

「そうか…少し考え事をしていてな」

茶を入れた湯のみを椅子に座る一刀に渡しながら答えた。

一刀は机に広げた地図に気が付きそちらを見ていた。

「何を考えていたんだい?」

「今後についてだ。この大陸は3つの勢力に収束してきている。

 そしてその内2つ、呉と蜀は争う姿勢は無い。

 しかし残りの1つ、魏は違う。魏は天下をとるために我等に攻め入ってくることだろう。

 たぶんその時が、この大陸の最後で最大の戦となるだろう…」

今まで考えていたことを再び自分の中でまとめるように意見を述べた。

「そうか……華琳を納得させるためにも、戦いは避けられないか……」

一刀は顔を少しうつむかせ、悲しそうな顔をしながら手元の湯のみの中を見ていた。

「次で決まる。何もかも…」

「そうだな…よし!じゃあ、頑張らないとね!」

そう言い一刀は湯のみの茶を口に含んだ。

「冥琳はさー、この戦いが終わったら何がしたい?」

「?急にどうしたんだ?」

「いや、その…ただ、気になっただけだよ。平和になった世の中で、冥琳は何をしたいのかって」

「ふーむ…そうだな……」

私は顎に手を当て考え込む様な格好となった。

実際には大陸が平和になっても国内の安定や、外の匈奴に対する備えなどやることはたくさんある。

しかし…

「…そうだな、子が欲しいな」

「へ?子供?」

私が答えると、一刀は間抜けな声を出しながらこちらを向いた。

「変か?」

「変っていうか意外だ。冥琳が子供が欲しいって…」

「私だって女だ。人並みの子を持つ幸せは欲しいさ」

すると一刀は茶をすすった後、

「そ、そっか…そうだよね。まさか冥琳にそんな相手がいたとは……」

明らかに動揺した様子で一刀は茶を飲み干した。

「何を言っているんだ、一刀?相手はもちろんお前に決まっているだろ」

「そっかそっか、俺か……って俺!?」

再びこちらを振り向いた一刀の顔は、赤く染まっていた。

そう言う私も顔が熱くなるのを感じた。それをごまかすように、

「なんだ、私では不満か?」

「いや、そんなこと無いよっ!嬉しいど、俺なんかが…」

「吊り合わないと言うのか?そんなこと無いだろう。

 お前は王だ、家柄も良い。それに頭も切れるし、武もなかなかだ。

 部下からも慕われていし、容姿も悪くない。それに…」

「ちょ、ちょっとまって!そんなに言われると恥ずかしくなるよ!」

「それほどお前を見ていたと言うことだ」

そう私はいつも一刀を見ていた。

「私達は雪蓮も合わせて小さい時から一緒にいた。

 お前は私を姉のように、私はお前を弟のように思ってきた。

 でも大きくなり大人になって気が付いた。私はもうお前を弟として見てなかった、一人の男として見ていた」

「冥琳……」

「お前はどうだ?私はお前の姉か?それとも……」

「いや、そんなことは無いよ。俺も冥琳のこと好きだ。その、一人の女の子として…」

そう言い一刀はバツが悪そうに頭をかきながら横を向いた。

「そうか……ならっ」

一刀に向け両手を突っぱねると、そのまま一刀は後ろへとよろめいていった。

すると足を引っ掛けそのまま私の寝台へと倒れこんだ。

私はすかさず一刀との距離を詰め、

「いたー…何するんだよ!めい…んっ!?……」

そのまま唇で一刀の口を塞ぐと目をつぶり感触を確かめる。

「…ん、ぷはっ…うるさいぞ」

「うるさいって…いきなり何するんだよ」

「何って、お前に抱いてもらう!

 …次の戦は大きなものとなるだろう。だから先に願いを叶えておくのも悪く無いと思ってな」

服に手を掛け、するすると着ていたものを脱ぎ生まれたままの姿となる。

「何かそれ死ぬ人の台詞みたいだよ」

「私は死なんさ、まだ夢は叶っておらぬのだからな。

 …それよりも、もっと甘い言葉とか言えんのか?こんな佳い女が誘っているんだぞ?」

「自分で佳い女って…いや、もちろん嬉しいよ。……本当にいいの?」

「何をいまさら。さっきも言ったが私はお前のことが好きだ。それだけじゃ駄目か?」

「駄目じゃないよ。嬉しいよ」

そう言うと一刀は私の腕を引き寄せ、一包み込むように抱きしめてくれた。

隣を見ると裸の一刀が静かに寝息をたてている。

先ほどまでの行為により疲労感があるが嫌な感じのものでは無い。

「本当に分かっているのだろうか、こいつは……」

子供の様な寝顔をしている一刀の顔をつつくと嫌そうに眉を寄せて顔を背けた。

ふふ、面白いな。

ある程度つつくと飽きてきたのでやめてやる。すると一刀はまた、元のあどけない寝顔を見せる。

身体の熱が引くと、先ほどまでの戦についてまた考えが頭をよぎる。

イカンな。こんな時ぐらい考えをやめてもいいのに、もはや病気だな。

次の戦は一人の力だけでは勝つことができない。

皆の力を合わせる必要がある。

一刀、私はお前を全力で支える。だから、

「期待しているぞ、我が夫よ」


 
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