桔梗√ 全てを射抜く者達 第21射
視点:翠
よく寝れた。たった二刻しか寝ていないのに、快眠したなぁ。さて、飯も食った。
反董卓連合は汜水関を落として浮かれているのか、今のところは攻めてきたという報告はない。
だが、油断は出来ない。十分気を付けないとな。今は気を付けるだけで良いので、正直暇だ。
「ちょっと、北郷の所に顔を出してみるか。」
べ、べつに、あたしはアイツの事が気になるから、行くんじゃないんだぞ。気分転換。気分転換だ。
そうだ!気分転換と暴走した母様に襲われないように護衛だ。
あたしがアイツの事好きになるとかあり得ないんだからな!
「北郷居る……か…………」
あたしは目の前の光景が理解できないで居た。
まず、状況を整理しよう。北郷の天幕には二人居た。天幕の主である北郷と、母様だ。
別にそれだけなら良い。真名を交換し合った仲だ。世間一般的に考えれば、二人で居る事ぐらい十分あり得る。まあ、母様と一刀の場合、既成事実がどうのこうのがあるから、二人で居るのは……//////
で、百歩譲って、二人で居るのは良いとしよう。
だが、問題は母様が北郷に寝台の上で抱きしめられているということだ。
これでは、北郷が母様を襲っているようにしか見えない。
「人の母親に何してるんだ!!」
あたしは北郷の肩を掴むと、寝台に叩き倒してやった。
いきなりあたしが北郷を倒したもんだから、母様を抱きしめていた北郷の腕は解け、母様は解放される。
あたしは北郷から手を放すと、母様の方を見る。しかし、母様はあたしの予想と違った行動を取った。
「おい。一刀!大丈夫か!?」
母様は北郷の心配をし始めたのだ。
あれ?あたし、もしかして、何か勘違いしてた?やっべーーー!
あたしは母様にばれない様に、そっと北郷の天幕から出て行こうとしたのだが…。
「翠。正座。」
と、後ろからどす黒い声が聞こえてきた。怪が喋るとしたら、おそらくこんな声をしているのだろう。
あたしはこの声の主から逃げられない事を悟り、その場で正座した。
後ろを見ないのは、その声の主と目を合わせてしまう可能性があるからだ。
そして、声の主はゆっくり後ろから近づいてくる。かなりゆっくりだ。
このゆっくり具合がとても恐ろしい。
このままでは不味い!下手したら、逆さづりブラブラの刑にされる!何とかしないと!
あたしは無駄と承知の上でとりあえず、話を逸らす事に努めてみる。
「ところで、母様はどうして、北郷の天幕に居るんだ?」
後ろから聞こえてきた足音が止まる。
おぉ!?駄目もとで、やってみたんだけど、効果アリ!?
「そ…それは………何だ。
籠絡させに来たら、逆に籠絡されてしまったと言えば良いのか…その……//////」
えぇーーーーー!?
「と言う訳で、俺は一刀に恋する乙女壱号だ!」
「分かったよ。母様がそう言うなら、好きにしろよ。」
母様の長ったらしい話を適当に聞いていたあたしは、とりあえず、そう言った。
話が長すぎたから、イマイチ内容が把握できていない。
ちょっと、落ち着いて冷静に母様の話を要約してみるか。
母様は北郷を娶ると言っていた。更に、北郷をあたしと蒲公英の夫にするとも言った。だから、あたしはそれに反対した。だってそうだろう。北郷が母様の夫になったら、義理父であって、あたし達の夫という訳の分からない状態だ。誰だって、嫌がるに決まっている。
母様は強引に北郷との間に既成事実を作ろうとした。
それは、いつまでも自分のことを引き摺らないでほしいという父様の遺言を実行しようとしたから。
愛した男の遺言だから、それを成し遂げたかった。でも、父様のことを忘れたくないという気持ちもあって、一刀を一人の人間ではなく夫の代わりとして見ていたから、一刀に対して罪悪感があったんだと思う。そんな複雑な思いが溢れて、母様は泣いてしまった。
最後に、泣いている母様を北郷は抱きしめて慰めたと言う。なるほど、なんとも北郷らしいな。
それで、抱きしめられた母様は亡き夫も好きだが、同時に一刀のことも好きになっ…あれ?
「えぇ?母様、北郷に恋したのか?」
「あぁ、年がいも無く、ときめいてしまった//////」
「なんだよ。母様らしくないぞ?」
「五月蠅いぞ!恋は盲目!俺は一刀に『愛してる』って言われたいんだよ!
だから、あのまま、一刀を押し倒して、既成事実を作ろうとしたのに、全くお前は!」
要するに、あれだな。母様が更に本気になったと言う事だな。
あたしは北郷が倒れているはずの寝台を見る。母様の狙いが北郷なら監視しなければならないからだ。
だが、そこには北郷が居なかった。
「母様、北郷が居ないぞ。」
「おいおい、マジかよ!
ったく、翠が乱入しなければ、今頃寝台の上でギシギシアンアンだったのに、どうしてくれるんだよ!」
「ご…ごめ、って、なんで、あたしは謝っているんだ!
あたしはやっぱり母様が北郷を娶るのは反対だからな!?絶対に認めないからな!
嫌だぞ!親父が同い年ぐらいって民が聞いたら、泣くぞ。」
「そんなこと関係あるか。北郷は天の御遣いなんだから、民だって認めてくれる。
あ、そっか。翠は北郷が好きだから、母親である俺が本気で娶ってしまうとイチャイチャ出来る時間が減ってしまうから、嫌なんだな?」
「違う!絶対に違う!あたしが北郷の事好きってありえないんだからな//////!」
「おぉーおぉー、そうかいそうかい。
俺は俺で勝手に一刀を落とさせてもらうから、桔梗にベタ惚れの一刀を振り向かせてみせるから。」
「あたしは絶対に認めないぞ!」
「さっき、『好きにしろよ』 って言ったから、もう好きにさせてもらうから、」
そう言うと母様は天幕の外へと出て行った。
あたしは母様の暴挙を止めるべく、母様の後を追った。北郷の事が心配とかそんなんじゃないんだからな!
視点:一刀
馬超様に掴み倒された私は2人が言い合っている間に音を立てずに、ベットの下に潜り込み、何とか蒼様の再来をやり過ごした。まさか、寝台の下に居るとは思うまい。灯台もと暗し。
足音が2つ。私のベットから離れて行くのが聞こえる。そうやら、窮地から脱したようだ。
私は匍匐前進でベットの下から出る。
再び寝台の上に乗り寝っ転がると惰眠をむさぼる事に努める。
夜通し、裁縫をやっていたおかげで、睡魔が私を襲う。
私は寝落ちするまでの間、自分の気持ちを整理してみる事にした。
きっかけは蒼様の思いこみだ。果たして自分は家族を失った悲しみを桔梗様で埋めようとして居ないだろうか?もしそうだとしたら、私は桔梗様に恋する資格は無い。
今の私は桔梗様の事が好きだ。ベタ惚れという言葉が適切だろう。
だから、私の童貞は桔梗様以外に捧げるつもりは毛頭ない。
理由は至極簡単。先ほど、蒼様が仰られた通りだ。私は桔梗様に『愛している』と言われたい。
真に心のこもった言葉で私は桔梗様の口からその言葉を聞きたい。
そして、願わくば、私は桔梗様と生を共にしたい。戦友と言う関係では物足りない。桔梗様と特別な関係でありたい、と私は願っている。親子や義姉弟という関係では得られないモノを私は欲している。
だとすれば、私は家族の代わりと言う可能性が低くなってきた。
なぜ私は桔梗様に惚れたのか、考えてみた。
だが、熟考の果てに出た答えは至極簡単なモノだった。そう、私は桔梗様に一目ぼれしたからだ。
なぜ、一目ぼれしたのか?そんなものに理由は無い。
因果応報から外れていると言う者が居るのなら勝手に言わせておけば良い。
納得しないのなら、私からその者に問いを投げかけたい。鳥は何故空を飛べるように進化した?鯨は何故泳げるように進化した?モグラは何故土を掘る事ができるように進化した?
そこが彼らにとって空、海、地中が安住の地だと思い、その場所に適応するための進化を望んだからだ。
では、もう一つ聞こう。何故、彼らはその場所を選んだ?彼らにとってそこが安住の地だと思ったとしか答えようがない。環境の変化で仕方なく進化したのではないかと言う反論があるだろうが、隔離された環境でないなら、環境が変化した時に、移住すれば、良いだけの話。
彼らがそこを安住の地だと思った理由に合理的な答えは存在しないと私は思う。
私は桔梗様に惚れたから、好きになった。惚れた理由に合理的な理由は存在しない。
合理的な理由で恋する者が居たとすれば、それは私と異なった恋をした者だろう。
昔、前の世界の知り合いが言っていた。恋には大きく分けて2種類あると。
一つは経験則的な恋。初めは友人関係だった男女が経験を積んで心を通わせ、恋に落ちると言うタイプだ。
そして、もう一つが突発的な恋。一目ぼれはこちらに当てはまるだろう。今回の私はこっちのタイプだ。
で更に、私の場合、桔梗様と接している内にドンドン好きになっていった。
そして、桔梗様と一緒に居ない時間は辛い。今、戦場に居なかったら、鬱になっていたかもしれない。
あぁ、そろそろ本格的に眠くなってきたな。
瞼を開けているのも辛くなってきた。
なれない裁縫なんかするから、目が疲れていたのだろう。
一気に眠気が増してきた。
もう…ね……む………たい………………。
視点:焔耶
籠城戦と言うのはかなり窮屈で、暇だ。
仕方が無いから、狭い所でも出来るような運動をしているが、限界がある。
腕立て伏せも、腹筋も、素振りも、すくわっと?も飽きてきた。
それは他の将も同じらしく、張遼や華雄とすこし手合わせをしたが、二人とも、戦場で真っ正面切って戦いたくないぐらい強かった。二人にとって先ほどの手合わせは少しばかり物足りなかっただろう。
その手合わせの後、交流を深める為に、三人で飯を食べた。
だが、華雄と張遼に仕事が入ったらしく、私一人だけ暇になったと言う訳だ。
故に、私はまたこうやって散歩をしている。そんな暇な私に誰か声を掛けてきた。
「あ!焔耶。母様か北郷を見ていないか?」
声の主は翠だった。何やら慌てているようで、息を切らしている。
私は知らないと言った。何故蒼様を探しているのか、翠に聞いたところ、蒼様が本気で一刀を強姦して、既成事実を作ろうとしているらしい。あの時以上に本気だと言う。
それで、さっきまで一刀の天幕で色々あったらしく、再度蒼様が一刀を襲うとしたら、目を放している間に一刀が何処かに行ってしまい、一刀を探しに蒼様が行ってしまったとのことだ。
途中まで翠も追う事は出来ていたのだが、途中で見失ってしまったと言う。
私としてもそれは十二分に阻止したいので、協力したいと私は翠に言った。
友人が知り合いの母親に襲われると言う訳の分からない事態は是非とも回避したい。
翠は色々な所を探しまわると言っていたので、私は一刀の天幕を見張ると言った。
翠曰く一刀は天幕に居ないと言っていたが、一刀の落ち着ける場所はこの虎牢関ではあの一刀の天幕ぐらいなので、張り込みをしていたら、一刀は戻ってくるだろうと言ったら、そうしてくれと頼まれた。
「おーい!一刀、入るぞ!」
私はそう言いながら天幕の中に入ろうとする。
返事はないが無いと言う事は留守かなと思いながら、天幕の中を見てみると、一刀は居た。
「なんだ。天幕に居るじゃないか。」
寝台の上から規則正しい呼吸音を発しながら寝ていた。私は一刀の寝ている寝台へ、起こさない様にソッと近づく。寝台の枕元に近くにあった椅子を置き、座る。一刀は相変わらず、寝たままだ。
一刀の寝顔を見る。とても優しそうで気持ちよさそうな寝顔をしていた。
まあ、実際一刀は優しいんだけどな。
戦闘狂な一刀に以前、何故優しいのか聞いた事がある。
自分の居る場所が戦場で無いなら、戦場の疲れを癒すために、戦場と違った穏やかな生活をしたいし、戦闘狂である事を自分に生を与えてくれた親に対して申し訳なく思っているらしいので、戦場以外の場所で他人に優しくするのは親孝行のつもりだと一刀は言った。
要するに一刀が他人に優しいのは自分の為であり、他人の為であり、前の世界の家族の為だと言う。
実際は親孝行になっているかどうかは分からないので、自己満足だと笑いながら言っていた。
「………んん?焔耶?」
「おぉ、一刀。起きたか。」
「どうして、焔耶が俺の枕元に居るんだ?」
「蒼様の襲来から一刀の貞操を護るためだ。」
「そうか。ありがとう。」
優しいのは良いが、その笑顔を何とかしてほしい。勘違いしそうだ//////
その後、腹が減ったと一刀が言うから、一緒に夕飯となった。少し早いが、一刀を蒼様から護るためだ。
飯を食べながら、一刀と話をした。やっぱり一刀と居る楽しいし、落ち着く。
この気持ちは何だろう?
気持ちの整理をしようと寝台の上であれこれ考えたが、気が付いたら寝ていたみたいで、朝になっていた。
視点:一刀
昨日は昼夜逆転してしまったが、今日は大丈夫なようだ。
いつも通りに起きて、日課の長距離走をし、朝飯も完食出来た。
朝飯も食べ終わり、ゆっくりしていると、私の所に伝令が来た。どうやら、反董卓連合が攻めて来たとのことらしい。私は装備を整え、伝令の言われた場所へ向かった。
伝令に言われた場所で軍議が開かれていた。私が軍議の行われている部屋に入ると賈駆殿が軍議を始めた。
「反董卓連合が来たわ。先頭の牙門旗は『劉』よ。
先日の打ち合わせの通り、霞と華雄、恋で虎牢関の防衛。御遣いは狙撃で袁紹を狙撃?して。
崖に繋がる道は後で馬騰に教えるわ。」
「私に何か出来る事は無い?詠ちゃん」
「月はボク達の無事を願っていて。他に何かこの場で言うことがある者は居る?」
「あぁ、賈駆殿、軍議が終わってからでよろしいので、桶を一つと水を少し貰って宜しいかな?」
「それぐらい勝手に持って行って良いわよ。」
「ありがたき幸せ。」
「他は?………居ない様ね。
月、悪いけど、皆忙しいから、御遣いに桶と水とあげて。」
「わかったよ。詠ちゃん」
こうして軍議は終わり、私は月殿と桶を持って虎牢関の井戸へと向かう。
虎牢関に籠る董卓軍と馬騰軍全軍に敵襲来の伝令が伝わっているのか、虎牢関内部はとても慌ただしく、兵が弓や弩、矢を持って虎牢関の城壁に向かって走って行っている。
彼らの邪魔にならない様に、私と月様は隅を歩く。すると突然月様が私に問いを投げかけてきた。
「桶と水で何をするんですか?御遣い様?」
「月様の可愛い反応が楽しみなので、秘密としておきましょう。」
「へぅー//////」
そんな話をしていると虎牢関の井戸に着いた。
俺は井戸から水をくみ上げ、桶に移し、装備を取り、タンクトップとズボンだけになる。
後ろから月様が少し悲鳴を上げたので、後ろを見ると手で目を隠している。だが、どう見ても指の隙間から目が見えている。どうやら、月様は見たいのだが直視出来ないで困っているようだ。
その反応が何とも可愛らしい。
俺はその桶に土を入れて混ぜ、泥を作ると、その泥を頭から被った。
「御遣い様!?」
「何をなさってるんですか?服が汚れてしまいましたよ。」
「ああ、このつもりだったので、悪しからず。
泥を被れば、体全体が土色になります。そうなれば、敵に発見されにくくなります。」
「だからって…。」
「月様、負けてしまっては意味がありません。
戦争に勝ち、生の充足を感じる為なら、私は何だってしますよ。勝つことこそが全てなのですから。」
「御遣い様。」
私は泥を被っていない所に泥を擦る。
髪はシャンプーで洗うようにして泥を染み込ませ、泥が垂れて目に入らない様にオールバックにする。
目に入ると厄介なので、でこにバンダナをする。泥が渇くと、装備を整え始める。
月様はその様子を俺の真後ろで茫然と見ている。
「では、行ってきます。月様。皆の無事を願っていて下さい。」
「…はい。私、御遣い様や皆が帰ってくるの持っていますから、帰ってきたら、一緒にお酒を飲みませんか?」
「それは良い提案だ。ではでは、失礼。」
俺はBarrettM82A1を持つと虎牢関へと向かった。
後ろで月様は手を振っている。
虎牢関には既に蒼様の軍が居て、私の姿を見て驚かれたが、この姿について説明すると、これも武人の一つのあり方なのだろうと、蒼様や馬超様達に感心された。
賈駆殿の指示で崖へ上がるための階段へ向かった。階段は隠されていて、虎牢関の建物の内部から地中を通り、崖の上へと繋がっているらしい。道幅は狭いが、高さが十分あり、傾斜も緩やかだ。
これなら、馬が通れるが、大型の弩は通れないと言うのも頷ける。私達はその階段を登って行く。
階段は大きな螺旋状のようで、グルグルと回っている感じがする。
階段の一番上に来た。蓋がしている。おそらく、雨水が入ってこない様にするためだろう。
私は蓋をソッと持ち上げ、隙間から、崖の上の様子を見る。
「蒼様、敵軍が居ます。」
「どんな奴らだ?数は?」
「金色の鎧を着て、弓を持っていた兵士が多数見られます。数までは特定出来ません。」
「急いで賈駆の所に行って、どうしたらいいか聞いてくれ。」
すぐに伝令が虎牢関にいる賈駆殿の所に行った。
道が狭い為、伝令の行き来に時間は掛かったが、伝令が戻ってきた。
伝令曰く、あの敵は袁紹軍で、虎牢関を攻めようとしている劉備軍をせかすためにああやって弓兵を配置しているらしい。つまり、こちらに対しては全然無警戒だということだ。
そして、数はそれほど多くないので、突撃して問題無いとのことだ。
「おい、お前ら、聞こえているな。
作戦変更だ。今から崖の上に居る袁紹軍に突撃する。崖から落ちるなよ。」
「蒼様、私は弓兵です故、蒼様の騎馬隊が突撃しては巻き込まれてしまいます。
そのため、先に此処から出て、避難させていただきます。」
「ああ、すまんな。一刀。」
「だったら、私は一刀の間近で万が一の為に護衛するから、私も一緒に行くぞ。」
「………焔耶よ。私達は最高の戦友か?」
「いきなり、どうした?一刀?」
「答えて頂きたい。私ににとって戦友は生の充足を得る重要な要素の一つ。
故に私はどんなことがあっても、焔耶が戦友だと思っている。だからこそ、答えて頂きたい。」
「あぁ、私達は最高の戦友だ。」
「………ありがとう。」
焔耶に礼を言った私は蓋をソッと開け、匍匐前進で階段の出口から離れて行く。
焔耶も私の真似をして匍匐前進をしているが、胸が邪魔だという声が聞こえてきた。
私達は十分離れたので、突撃しても大丈夫だと言う合図を送る為に、石を階段の出口に向かって投げた。
「全軍、突撃!」
蒼様の号令と共に、馬騰軍は一斉に袁紹軍に向かって突撃を開始した。
私は突撃する馬騰軍の後ろ姿を見る。こんなに近くで騎馬隊の突撃を見たのは初めてだ。
正直驚いた。まさに三国志の戦いを間近で見られたのだ。驚き過ぎて笑えてくる。
そのまま馬騰軍は崖の上を汜水関の方まで突撃しに行った。
俺達はそれを見送り、反董卓連合の将の狙撃をしようと移動し始めた。
そして、『袁』の牙門旗を見つ……け……………た。
「一刀、私が今回観測者になるから、望遠鏡を貸してくれ。
鮮花のようにはいかないが、そこは我慢してくれるか?」
「問題無い。観測者はイらナイ」
「大丈夫なのか?」
「アぁ、…問題……無…イ。」
「おい、一刀、どうした?」
「……………イィーーーーーッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!
ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャ!!
私ハ笑エテ仕方ガ無イ!!人ガ怖ガルノモ、人ガ泣クノモ、人ガ命乞イヲスルノモ、皆笑エル。
ッフッフフフフハハハァ、ェァハハハハハハハ……!!ァァァァアハッハッハッハッハッハッハッハ!
貴様ラニ未ダ見タコトモ無イ本当ノ恐怖ヲ見セテヤロウ。俺ノ
怯エ、恐れ、怖ガリ、慄き、、ウロタエ、畏怖シ、恐怖シロ!!サァ恐怖!恐怖ヲ感ジロ!!
ソシテ、私ヲ喜バセテクレ!!生キテイル喜ビヲ私ニ与エテクレ!!
キヒャッヒャッヒャキキキキヒヒヒヒヒヒハハハッハハハハッハアハハハハハハハハハハ!!
キャッハハハハハハハハッハッハハッハハハハハハハハハハハハハハハ!!
クッ………ッハハ、ェァッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ……!!」
「………一刀?」
どうも、黒山羊です。
さてさて、一刀君が蒼さんを籠絡してしまいましたね。無自覚で。
相変わらず、酷い人だ。
そして、それに触発された様に一刀を意識し始めた翠。
更に桔梗が居ないと言う事で、一刀を意識している焔耶。
さてさて、彼女達はどうなることやら。
それから出ましたね。へぅ。
やっぱり本家のへぅは良いですね。
そして、虎牢関戦が始まりました。
なんか反董卓連合編が短かったような気がするのですが、こんなものなのでしょうか?
そして、とうとう来ました。超狂人一刀君。
この描写だとラリっているしか思えない様な気がするのですが、原因については次回分かります。
今ここではネタばれしてしまうと、面白くないので、言いませんが、如何だったでしょうか?
なんかもう、主人公にあるまじき発狂っぷりですよねww大丈夫か?北郷一刀?
ちなみに、この超発狂一刀君。モデルが居ます。凄いですよ。
METAL GEAR SOLID3のザ・フィアーとMETAL GEAR SOLID4のラフィング・オクトパスです。
METAL GEAR SOLIDを知らない人。ごめんなさい。分からないですよね。
wikipediaやyoutubeで見て下さい。
簡単に説明すると、ザ・フィアーは戦場で恐怖を見出した特殊部隊の兵士で、ラフィング・オクトパスは人を殺す時に笑う事を強要されて以来、いつでも笑っている特殊部隊の兵士です。
と、まあ、書く事はこんなところでしょうか?
ではでは、いつもので閉めましょう。
それでは御唱和下さい。
へぅ( ゚∀゚)o彡°
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今日で咳止めの薬が終わったので、明日から酒が飲めるので、かなり嬉しい黒山羊です。
大分咳が収まってきました。皆さん心配をおかけしました。
って、心配していない?ごめんなさい。調子載ってました。
最後になりますが、
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