「きぃぃぃぃぃぃ!!!!一刀さん!居ますか!!」
姫君・麗羽様が、首都洛陽から帰ってきた途端切れ始めていた。何かあったのだろうか?
「どうかしましたか?姫君。」
「こ・れ・が・落ち着いていられますか!!何なのですかあの小娘!たかが逃げた皇太子を救っただけで相国?!名門たる私を無視してそんな高位に着くなんてじょーだんじゃありませんわ!!」
「姫よ、落ち着きなさい。嘆いていても現実は変らない。」
と、怒り狂う姫に手を差し伸べたのは淳于将軍でした。
「何を呑気に!第一に樹。貴女が苦労して育てた禁軍第一部隊『大樹』の将位をあの天の御遣い~なんて訳の分からない女に奪われたではありませんか!!」
「・・・しかし。それであのヘイ州が手に入りました。幽州を除く河北はすべて姫君の物。其処をご理解していただきたい。」
「樹・・・っく!!・・・すいません、少し頭を冷やしてまいりますわ。」
「御意。」
奥へ行く姫に拱手して見送る淳于将軍、樹さんの傍へ寄った。
「・・・その話、誠で?」
俄かに信じられなかった。樹さんは袁家の将・・・と言うよりも朝廷からの派遣社員見たいな人でした。袁家が収めるキ州は土地が広く、米の出荷が他の州よりも期待できる為少しでも朝廷に多く入るようにする為に賄賂として樹さんを送ったのだ。実際袁家は、武に秀でた者や知に秀でた者が多く居たが、統率・云わば将たる人が圧倒的に居なかったのだ。故に、樹さんの参入は袁家にとってはうれしく、当時袁家の当主であった姫君の父上は彼女を「袁家における天命の将が来た。彼女こそ袁家の章邯である。」と褒めちぎったとのこと。章邯とは秦に仕えた将でもあり始皇帝死後に起きた陳勝・呉広の乱や秦に対する反乱軍を率いた項梁らを打ち破った将でもある。
そんな樹さんを棄て、天の御遣いをそんな場所に着かしたとの事。
理由は・・・何進・十常時が死んで助けてくれた董卓が御遣い女を推薦して皇太子、いや皇帝劉協が賛成した為だと事。
くくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくく!!!
ははははははははははっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!
とうとう堕ちたか、漢王朝!
馬鹿な奴らだ。しかし、御陰で樹殿はこちら側に来てくれた。其処だけは感謝しておこう。
後は、事前に生かしておいたあの男に書状を作らせるか。くっくくくくく。董卓ぅ~、御遣い女ぁ~。覚悟しておけよぉ~。
「・・・ふ~寒いな。まぁ、これでこの男がどう動くか楽しみだな。なぁ、衛門。」
「フォフォフォ。そうじゃのぉ~。(さわさわ:尻を触る音)」
「やれやれ、爺は趣味じゃ無いんだがね。」
「む、そうなのか?」
「当たり前だ、喰うならば若く生きが良いのが良いのだがな。まぁ、仕方が無い。爺で我慢してやろう。」
「フォフォ、そうかい。では行こうかの!(ウキウキ:心が躍る音)」
「うむ、そうだな。(シャーシャー:刃を説く音)」
・・・その後、訓練所にある厠(かわや)から、ズタボコにされた老人が出てきたとか。
その一週間後、『都で暴政を行う暴君董卓、その董卓と共に都を地獄絵図にしている天の御遣い宮川。彼の者達、討つべし。』
此れが全諸侯に送られた。
またそれに伴い、審配及び審臣三人衆・高覧・天和は先にヘイ州へ入る。
天和の歌を聞いた者たちは続々と袁紹軍入りし、逆らう親御遣い派の者たちを三人衆で一気に蹴散らしたのだった。
此れにより後顧の憂いを無くした袁紹軍は30万の兵を伴い、出撃した。
後の、反董卓連合戦。
またの名を乱世招来戦である。
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来る戦いの序章。此れより、真に乱世における憎悪の戦いが幕を開ける。此れに着いていけるものは天すらも分からない