辺り一面を覆うように、紅く咲き乱れる花達
他には木も草も動物も含めて何もかも・・・
そこには何も見当たらないというのに
しかし荒れ果て寂れた、そんな土地だからこそ
こんなにも映えて見えるのか
蒼い空との対比も相成って、凄惨なまでに美しい
高く昇った陽も落ち際になり
夕に暮れるにつれ徐々に、空を雲の灰が塗り潰す
俄かに湿り気を帯びた大気を吸う毎にその密度は増える一方だ
そして変化は一瞬だった
最初の一つの滴りが大地に染み入るのを皮切りに
今度は堰を切ったように、瞬く内に土砂降りとなる
一過性のものですぐに止みはするだろうが
深紅に染まった花達を容赦無く叩いた所為で、その色を急激に流し去っていく
一つ、また一つ
次々と散らされていく紅
まるで悲しみの涙に、身を漱ぐかのよう
風に切られた雲が何処かヘ飛ばされて
後に残ったのは、物言わぬ花と群がる獣
大地を照らす陽は残酷なまでに美しい
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空は蒼く、末期は紅い