…どんくさいにも程がある。
躓くような物もないのに顔面から見事にダイブ。
くそう。
きっと空回りって言うのはこういうのを言うんだろうな…我ながら情けなくて泣けてくる。
昨日は緊張してよく眠れなかったし。
気合入れて頑張るつもりだったのに、初っ端からこれか。俺ってホントどんくさい。
…絶対について行くって決めたのに。どこまでだって一緒に行ってやるって。
ガキの頃はよかった。みんなどんぐりの背比べでさ、たいした違いなんてないと本気で思ってた。
でも。
違ったんだ、やっぱり。
歳を重ねるごとにアイツらみんなどんどん大きくなって、歩幅が広くなって…
もう腕相撲では絶対に勝てない。
かけっこなら最下位。
泳ぎだって木登りだって…ぜ~んぶ俺がビリ。しかも大差で。
…俺だけがみんなと違うから。
いつか置いてけぼりにされてしまいそうで、恐かった。
だから噛り付いてでもついて行くつもりだったのに…ダメなのかな…
ふと見上げるとエメラルド色の瞳にぶつかる。
…なに笑ってやがる。
あーあー、どうせ俺は要領悪いよ悪かったな!違うっ、逆切れなんてしてねーよ!
調子狂う。
コイツはいつもこうだ。いつだって笑いながら手を差し出してくるんだ。当たり前のように。
ガキじゃねーんだから一人で立てるっつの!……でも。
今は少しだけ、その温もりが心地いい。
「キミはホントに負けず嫌いだよね」
分かってるじゃねーか。だから何度コケたって、立ち上がってついて行く。
往生際の悪さにかけちゃ、俺が一番なんだから!
ゆっくり立ち上がって空を見上げる。…と派手な音が先頭で響いた。
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PCからの発掘作品その2。
そもそも先にイラストを描いてその後にショートストーリーを付け加えたのです。
イラストが主人公目線になっていて姿が見えないのでその主人公の心境です。
イラスト自体は同人誌に寄稿したモノでタイトルは「START OFF!」。