No.282142

なつこい(田舎)無双 6回目

宇和さん


現代日本の田舎を舞台に繰り広げられる有り触れた日常を描くssです。

「許婚」、「幼馴染」、「ヤンデル」、「教師」、「幼馴染の妹」、「監禁系ヤンデレ」、「お嬢様」、「馬鹿」、「貧乏姉妹」、「ロリ」、「妹」、「後輩」、「義母?」、「大家」等のキーワードが散らつきますが。

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2011-08-22 21:55:15 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:3206   閲覧ユーザー数:2797

「・・・!」

帰省してから迎えた4回目の朝・・俺は、久々に自発的に目を覚ました。

 

「むにゃあむにゃあーzzzz(ずぅ×4)」

とはいえ、俺はすぐさま布団から体を起さず、完璧な寝たふりをしながら・・周りの様子を窺い始めた。

・・ここ最近、起きた途端、散々な目にあったのだ、注意しすぎるぐらいがちょうどいい。

 

えーと、まずは場所がどこかだ。

うっすらと目をひらいて・・天井を確認する、ここが家なら・・いるはずだあいつ等が・・。

 

「(よし!!100人の染み人が居る!!ここは俺ん家だ!!)」

これで他の場所に拉致られてはいない事は確認できたな・・。

 

「(次は誰がいるかだ!!もしかしたら家はそのままで華琳とか変なのが回りにいるかもしれない)」

よし~一瞬かつ確実な偵察を行うぞ。

 

「むにゃぁ~(まず、右!!)」

いない!!

 

「みにゃ~(なら、左!!)」

こっちも大丈夫か!!

 

「むむぅ~(そうなると、上!!)」

よし・・残るは最期。

一番の要注意ポイントだ・・。

なにせ狂ってるあの連中の最終目標、俺の「アンタチャッブル」があるからな。

 

「むはぁ!!(下はぁーーーーーーーー!!!!!)」

 

 

い、いない・・?

「・・・・・・・」

ほう~見渡せる範囲では誰もいないか・・。

なら、天井か!!床下かが!!障子の裏か!!

 

とにかく、一人二人はいるはずだ!!

「かならず見つけ出してやる!!俺のストーカ人生(される側)を賭けて!!」」

 

 

 

「・・・はぁはぁはぁ」

数分後・・。

結局だれもいなかった。

 

「・・・」

俺、馬鹿?

 

 

 

 

10分後。

「いや~うまい!うまいよ!紫苑さん!!」

「あら、あら・・ありがとうございます」

 

俺は紫苑さんが作ってくれた朝食を食べていた。

紫苑さんは昔からおれの家で家政婦として働いてくれている人で。両親が死んだ、今では母親代わりともいえる人だ。

 

「おとうさん~あ~ん」

「はい、あ~ん」

 

ちなみに、今、可愛く俺に「あ~ん」をしてくれるのは紫苑さんの一人娘のルルちゃん。

紫苑さんの旦那さんはルルちゃんが生まれてから間もない時に亡くなり、ルルちゃんは紫苑さん一人で育てている。

 

とはいえ、片親という家庭環境を思わせないほどルルちゃんはすくすくと明るく元気に育っている。

それも紫苑さんから溢れる無限の母性と愛情のおかげであろう。

 

 

ほんとに・・その母性はすごく、俺なんて何回紫苑さんの事を「おかあさん」って言い間違えたことか(今、思い出してもはずかしい・・)。

まあ、それぐらい、紫苑さんは俺にとっていい御母さん的存在なのだが・・。

 

・・一つだけ問題がある。

「すみませんが、おかわりおねがいします」

「分りましたわ」

紫苑さんが茶碗を受け取り・・とある、一言添える。

 

「旦那様~(ハァート)」

こ、この言い方だけどうにかなればな~。

 

いやっ・・まあ、家政婦さんと、その家の主人という関係であれば、その言い方はさほど問題では無いのだが。

紫苑さんは、そういう関係性の意味で「旦那」って言葉は100%使ってないと思う。

 

たぶん、というか・・。

確実に紫苑さんは、俺が紫苑さんを母親のように思うのとは、真逆な思いを俺に抱いている。

・・昔は「おにいちゃん」と、俺を呼んでいたルルちゃんが、今じゃ「おとうさん」と無理やり矯正させられた事実などすればその狙いは明らかだ。

 

「旦那様、どうぞ」

「あ、ありがと紫苑さん・・」

注ぎ終えた茶碗を紫苑さんが俺の前に置く。

 

「あら、「お前」と、呼んでください、旦那様//」

・・そん言葉を添えながら。

やっぱ、絶対、この人、俺を「男」として狙っている・・。

 

ま、まあ、それでも此処、数日の狂気の宴に比べれば100倍ましだ!!

怖い笑顔と暴力がないもん!!

 

そんな風に頑張って割り切った上で、北郷が久々に安らかな朝を向かえているその頃。

 

 

「準備はいいかしら」

「かまわん」

「え、ええ・・私も構いません」

コーヒの芳しい匂いが漂う中。

雪に星、そしてもう一人眼鏡をかけた女性が額をつき合わせ何かを話し始めた。

 

「じゃあそれじゃあ始めるわよ・・!!

 

第6話 副題

『チキチキ・・北郷争奪、クルクル金髪馬鹿女(胸無い方)やっちゃおう大会~!!』

 

 

「うちで馬鹿騒ぎするな、この馬鹿者!!!!!」

言い切った次の瞬間、そんな馬鹿な事を言い放っていた張本人である、雪の頭が消えた。

いやっ、正確には凄まじい速さで机に叩きつけられたおかげで消えたようにみえただけだが。

 

「うちは騒がしいお客はおことわりだ!!」

原因は・・そんな事を言う店主の長い足のせいだ。

まあ、はっきりと言えば暴力のせい。

 

「い、いや・・さすがにやりすぎでは桔梗さん?」

「凛は黙ってろ、この店のルールに反した者には鉄拳制裁というのはこの馬鹿もその身で知っている事、いわば自業自得だ」

「そ、そうかもしれませんが・・「踵落し」はないんじゃないですか?雪さんの頭、凄い動きしていましたよ」

確かに、凛が心配するのも当然で、机に顔面衝突まで、0,002秒という感じの凄まじい動きであった。

 

「この馬鹿は、この程度じゃどうにもならんよ」

「しかし・・あの勢いじゃ脳震盪を起しても・・」

最悪、頭「パカぁ~」もありえないわけじゃないのでは・・。

と一人、常識的な凛はそう思うのだが。

 

「いたぁ~いい!!どこか鉄拳よ~足じゃない足!!」

「ほら、大丈夫だろ凛・・」

「は、はぁ・・」

確かに、雪はテープルに打ちつけた額が赤みがかっているのを除けば無傷だ

「厚顔無恥」、「皮が厚い」等の台詞の集合体である雪の面目躍如というところである。

 

「いきなり客に暴力ってどんな店よここ!!」

「うちで騒ぐお前が悪い!」

「それにしてもやりすぎよ!!暴力喫茶として訴えるわよ!!」

「ほう・・どんな店かもう一度その頭で味わってみたいのか?」

瞬時に雪の頭の数センチ上に桔梗の踵が浮く。

・・避けることが出来ない距離だ。

 

「じょ、冗談よ・・桔梗、だから足を・・ねっ?」

「ほう・・冗談の塊みたいなお前のくせには面白くない冗談だな」

桔梗がおかしそうな表情をする、もちろん目は笑ってない。

 

「そ、そう・・かしら、ごめんなさいね・・もう騒がないから、いい子にするから暴力は」

「・・・」

桔梗の目が細まる。

再度の刑執行をどうするかを考えているのであろう。

 

「ねっ、だから今回は許して」

「・・まあ、良かろう。うちは静かさが売りの「純喫茶」だからな、本来暴力は最終手段・・つかわないのに越した事は無い」

そういいながら、桔梗は足を下ろす。

だが、その姿に安心したらしく、雪が再び余計なことを言い始めた。

 

「最終手段の割には・・私この店で100回以上蹴られてるんだけど」

「そりゃあ・・お前が怒られても直ぐ忘れる馬鹿子なせいだな・・」

「桔梗がたいした事じゃない時でもすぐに暴力ふるうからでしょ!!」

「ほう・・釣った魚を焼くとかいって、七輪を隠して持ち込んでボヤ騒ぎを起した馬鹿がよく言えたなそんな台詞を」

「ふん、ちょっと恋話して騒いだけで・・若さ嫉妬して「五月蝿い」って暴力ふるう枯れた一人身店主に言われたくないわよ!!」

「なにが恋話だっ!!あの時、お前らはただ下ネタを大声で喋っていただけだろ!!あと誰が枯れてるだと!!」

「ふん、この店できてから数年、桔梗目当てのおじいちゃんを除けば男の人の陰なんて一回も見たこと無いわよ・・」

そういいながら、呆れたというより、惨めなものみるような顔をする雪。

そんな雪の表情に、桔梗も女としての感情が爆発した。

 

「ほ、北郷がいるじゃないか!!」

「ただの客じゃないカズトは・・」

「ちがう!!あれは完璧に私、目当てで通ってたんだぞ。まあ・・将来ここの店主だからな共同経営者である私が気になるのは当然だな」

「共同経営者って・・まだ、信じているのあんなこと・・」

「信じてるも何も、ア、アレは私が大好きだからって、私と共にこの店をやってくれると約束してくれたんだ!!」

「このショタ女!!小学生の時のそんなの話まだ信じてるんじゃないわよ!!」

「カズトはあの時のまま純粋だから!!絶対、私との約束を守って店と私をくれるんだあああああ!!」

桔梗が大声で叫ぶ、まじな顔して。

純喫茶に相応しくなさ過ぎる台詞を・・喫茶「桔北(きほく)」で。

・・この店名、やっぱりこの店主はまずい。

その頃。

体は成長して正直残念だけど、心はあのまま(ショタ心)だから我慢できると考えてる、喫茶店店主の共同経営者になるのかも?の北郷は。

 

朝食を終え、北郷は家の裏にある動物小屋に向かっていた。

「お前達~久々だな~」

 

「み~ぃ~!?」

「と~にゃ~!?」

「み~きゃ~!?」

「しゃー!!」

 

俺の家は「みい」「みけ」「とら」「しゃむ」という猫を4匹飼っている。

俺が小学生の頃に怪しい白衣をきたおじさんから貰ったらしい。

 

らしい・・というのは不思議だが。

この4匹に関わる記憶を思い出そうとするとなぜかモヤがかかるのだ。

 

ほんと不思議だ・・。

 

不思議といえば・・。

なんだろ、ただネコな筈なのに。

なんだろ・・身長1メートルちょととはあるな。

・・これほんとにネコ?

 

いや・・猫だよな?

星とか紫苑さんも普通に猫として対応しているし。

ごはんも猫飯とか刺身だし。

 

あれっ?でも、それって人間と変わらない食事?

猫缶出したら、「にゃじ(味)にゃあい(ない)」って文句言ってきたし。

あれ、人語しゃべってる?

い、いやいや・・動物番組みたいに鳴き声空耳だろ。

 

「みぃ~ぃ//」

「おっ、なんだ腹をみせてなでて欲しいのか・・よ~し、よし」

「みぃぃぃぃ~~//」

 

・ ・・。

なんだろ・・猫の腹をなでてるだけなのになんか幼女相手の犯罪みたいな感じ。

き、気のせいだよね・・。

 

「み~ぃ~み~ぃ・・・・ふぁつ//」

あ、喘ぎ声?

 

「と~にゃ~//」

「み~きゃ~//」

「しゃーむゃ~//」

!?・・他の3匹なんか感化されて盛ってない?

ちょっと待って、近づいちゃ駄目だよ・・。

 

「お、俺そのケ(獣とGO)は・・てっ・・うぉおおおーーー!!!!!」

「「「「にゃああああーーーー//!!!!!!!!」」」」

 

猫耳(これ本物)、尻尾(はずせる)をつけた幼女みたいな4匹の「猫」に、北郷がハッチャケられている時。

 

 

「ショタの何処が悪い!!!かわいいものはかわいいんじゃあああい!!!」

「おっきいほうがいいじゃない!!色々とおおきくなるし!!」

喫茶は喫茶でハッチャケてた・・。

 

「はぁ~・・雪、マスター殿と漫才をしてる暇はないぞ」

「べ、別に漫才なんかしてないわよ」

「マスター殿も・・落ちつかれよ、あなたは雪と違っていい大人なのだから」

「うっ・・すまん。北郷の事となると血が上りやすくなって」

そんなハッチャケすぎてる、その場を一人冷静な星がおさめる。

さすが、「冷静さ」が売りな星だ・・。

 

「それにアルジは子どもの頃も大人になっても可愛いし。それにそっちも風呂に仕込んだカメラで確認済みで・・立派だった・・つまり、あるじは完璧な方だ(ポッ)」

なにが「ポっ」だ・・。

まあ、冷静さが売りなのは・・あくまで本史(ゲーム版)だけなのだ。

こっちは駄目だ、駄目。

 

「「「・・・・」」」

なので三人も引いた顔をする、「カメラ」の辺りは口にされてはそう反応するしかない。

 

「なによりだ、華琳殿が、また、あるじとの結婚を進めようと企む今、早急に我らは対抗手段をとらねばならぬのだ、雪よ」

「わ、分ってるわよ・・」

「なら、さっさと初めて貰おう・・あるじを独りぼっちにしてるのでな早く戻らないとあるじが泣いてしまうのだ」

「あ、相変わらず過保護ね・・カズトは赤ちゃんじゃないんだから・・」

若干、呆れた顔をした雪であったが、すぐ表情を締める。

 

 

「まあ・・いいわ、えーと、じゃあ・会議を始めるはよ・えーと・・じゃあね」

「「???」」

「まずは開会の挨拶から?・・いやっいまはそんなの必要ないか」

「「???」」

「じゃあ・・各々の自己紹介から・・いやっ、全員元々顔見知りよね・・」

「どうした・・雪、早く進めてくれ」

「えーと・・んーーー?・・・ごめん、わたし普段冥琳に仕切り任せてるから無理・・凛先生に任せるわ」

 

「・・・はぁ~」

「・・では、凛先生頼めますか?(それにしても・・やっぱり、ポンコツだな雪は)」

雪の思いのほかのスペックに対して、「自分の教育が悪かったのか」という自責の念に襲われ、溜息を吐く凛に対して。

元々期待してなかったせいか、星は早々に司会役を凛に振る。

彼女は教師だし、司会役は職業的に慣れている。

しかも、嘗ては中学教師(今は高校に異動)だったころに・・雪、星、桃、華琳、白、北郷という爆弾が集まったクラスの担任を務めあげていたので、その能力は普通の教師をはるかに上回るものとなっている。

 

「え、ええ・・まあ、仕切るのはいいのですが・・すみません、今更なんですが、なんで私がこれ(チキチキ~なんたらかんたら)参加しないといけないんでしょうか」

とはいえ、そんな凛は微妙な顔をしていた。

彼女としては、ここにいること自体疑問らしい。

 

「なぜって?当然じゃないないの凛先生」

そんな凛に、ほわぁい~って若干ムカツク顔をしながら雪はそう返事をした。

 

「と、当然って、雪さん、私には北郷君と華琳さんが結婚しようとどうしようと関係が・・」

「ちっちち・・先生・・今更、関係ないとか駄目よ」

指を振る古臭い行動。やっぱり、この雪は若干イラつくキャラである。

 

「はっ?」

「二年前も華琳とカズトの結婚を防ぐために、共謀してカズトを都会に行かせた仲じゃない私たち3人・・。それを今更抜け出そうなんて許さないわよ」

「べ、別に・・私はカズト君が都会の学校に行きたがっていたから・・その背中を教師としてちょっと押してあげただけで」

「はいはい・・ほんとはカズトが地元の高校に入ったら凛先生が鼻血でしんじゃうからでしょ」

「そ、そんなことは・・いや、まあ、確かになぜか北郷君を見てたら鼻血は止まらないんですが・・それは止め処なくて死んでしまいかねないぐらい」

ちなみに、具体的に表すと1日大体、コーヒカップ一杯分ぐらいであった。

・・うん、すぐ死ぬ量である。

 

「ねっ、結局、凛先生も自分の為にしただから・・私たちと同じよ」

「と、とはいえ、私はあくまで北郷君に意思を尊重してですね・・。そう北郷君、北郷君・・ほ、ほん・・」

「ああ~もう、わかった、わかったから」

「な、なんですか・・その言い方」

「そんな姿で、言われてもね・・」

雪が呆れた顔をして、凛の顔を指差す。

凛の鼻から赤い液体が・・北郷のことを一瞬想像したからであろうか。

 

「・・!!こ、これは、昔悪い学生に絡まれた時に北郷君に助けてもらってからそうなってしまって・・。多分、北郷君をみるとあのときの恐怖のトラウマ甦って生理的な物に作用して鼻血がでるのかと・・」

「ふむ、ずいぶんなテンプレな(恋する)理由だな」

 

「?」

 

「て、テンプレ?い、いやなにを・・あと、なぜ桔梗さんが私のと割に座ってるんですが」

「相変わらず鈍感だなーお前は。んっーわたしもちょっと参加させてもらうぞ、なにせ私も将来の店主を守らねばならないのでな」

 

「?」

 

「ど、鈍感ですか・・私が?」

「まあ、桔梗のわけわかんない話はともかく、凛先生・・華琳とカズトが結婚するとなると。・・カズトがこっちに帰ってくるわよ」

「えっ・・」

「そりゃあーそうでしょ。新婚さんが別居なんてありえないし・・そうなったら凛先生は、毎日、カズトに会うはめになるわよ」

「そーなると、鈍感凛は・・毎日が鼻血生活となるか」

「ふむ、死ですな・・凛先生」

先ほどから無言のままであった、星が止めを指す。

 

「わ、わかりました!!私の生命を掛けてこの華琳さんとの戦い参加させていただきます!!」

2年A組(生徒は麗羽、白、桃と勢ぞろい)鈍感先生が覚悟したその頃。

「んっ?」

次の目的に向けて俺が歩いていると、携帯電話が一瞬鳴ったが直ぐ止まる。

 

「はぁ・・だれだよ、ワン切りなんてセコイ事・・」

えーと、液晶画面には「妹」・・ああ、ジュンかぁ・・なら分るな。

アイツ、俺に対してだけはすごいせこいもん。

 

ほんとは・・正直、無視したいけど。

直ぐ掛けなおさないと、ワン切りのせこさっぷりが何処にいったのか凄まじい電話攻勢仕掛けてくるからなジュン。

 

しょうがない・・。

 

「えーと、かけ直しを・・」

トゥ・・ガチャ!!

 

うわ、ワンコール目で繋がったよ・・。

絶対、直ぐ取れるような体勢とってたよ。

そんな熱意あるならそもそもワン切りするなよ。

 

「ああ、ジュンなにかよ・・」

「あ、あんたぁぁぁぁぁ!!!今何処に居るのよ!!!」

い、いきなり大声出すなよ、耳が「キーン」ってするじゃないか。

 

「ど、どこって実家だよ実家!」

「はぁ!!な、なによそれ!!あんたこの夏は田舎には戻らないっていってたじゃない!!」

 

「急に気が変わったんだよ」

「ば、馬鹿じゃない!!なにが急に気が変わったよ!!今、すぐこっちに戻ってきなさいよ!!私、あんたが居ないから部屋にも入れないじゃない!!」

 

「ば、馬鹿って兄に対してなんちゅう暴言を・・てか、部屋に入れないってジュンお前もしかして今、俺の部屋の前にいるの?」

「そ、そうよ・・生活力皆無の馬鹿兄貴が死んでないか可愛い妹がわざわざ来たっていうのに!!」

 

「・・炊飯ジャーすら使えないジュンに生活力云々言われてもなーあー、後,お前は可愛いというより五月蝿い妹だぞ」

「な、なんですってぇぇぇぇぇ!!」

ああ・・もう、ほんと五月蝿い妹だな。

 

ジュンは俺の一つしたの実の妹で、今は俺と同じく都会の学校に入っている。

とはいえ、俺は埼玉方面の男子校(共学に入りたかったが、凛先生が不満げな顔して男子校ばかり勧めてきた)、ジュンは神奈川方面の女子高(ジュンは我妹ながら白百合)なので離れて暮らしている。

 

「そ、そーいえば!!あ、あんたっ!!ほ、星はそこにいるの?」

「今、傍には居ないけど・・星もこっちにいるよ」

当然じゃん、星はこっちの高校に通ってるんだし。

 

「じゃあ、い、今すぐ私が向かうから!!その間、星とは話しちゃ駄目よ!!」

「はっ、なんで?」

というか、もう散々話しちゃってるんですが。

星の不法侵入が露呈してるぐらい。

あっ、なら家に帰ったら盗聴器ないか探さないと・・。

 

「いいから!!星とは話しちゃ駄目!!まずいのよ!!」

「まずいってなによ?」

まあ、法的にはまずいけど星。

 

「とにかく!!明日にはそっちに付くからそれまで星とは話しちゃだめよ!!・・(プッ!・つ・・っ・・・っ)」

「お、おい!・・・な、なんだったんだよ」

急に切れた電話に北郷がなんともいえない表情をしている頃。

 

「(まずい、まずい、まずい!!・・ほ、星のヤツ私が居るからなんだかんだでこれまで最期の一線は越えてこなかったけど・・私が居ないとなると暴走するかも!!)」

妹は、危機が迫っていることを敏感に感じていた。

 

「ああ・・もう!!『禁断兄弟の淫猥夏休み』なんて妄想してる暇じゃなかったわ」

そんな口にすることすらどーなんだというタイトルを口にしてしまうぐらい、危機を感じたのマジ(ブラコン)妹はすぐさま階段からしたに降りようとするが・・。

 

「あっ・・でも、そーいえば「コレ」どーしよ」

自分の両手一杯にふさがった買い物袋に気が気づき・・。

 

「馬鹿兄貴に色んな意味で頑張ってもらおうと、色々精がつく物(鰻とか鼈とか)買って来たのに・・。あっちまでもっていったら完全だめになっちゃうし・・」

どーしよ、等と急激に所帯じみた考えに戻った。

まあ、でも確かに総額7800円は簡単に振り切れるものではない・・。

 

 

「姉様~昨日もそうだったけど、今日の晩ご飯どうしよう~。冷蔵庫にはなにもはいってないよ」

「そ、そうだな・・どうしよか、お金もないし・・ざ、雑草でも食べるか」

そんな、ジュンの耳に、更に生活みじた(というより、生きるために食べるという「生命じみた」)話が聞こえてきた。

 

「最期の頼みの綱である兄様も今日はいないし、誰も助けてくれくれないよー」

「う、うん・・そうだな・・カズトがいないな」

階段を登ってくる、2人から北郷の名前が挙がる・・ここの住民なのであろう。

 

「やっぱ、兄様が私たちを心配して田舎に誘ってくれたときに断らなければよかったんだよーそうすれば3食確保できたのに」

「し、しかし、今でもカズトには迷惑かけてるんだ・・これ以上迷惑をかけても」

「それはそうだけど・・私たちもはやすてるプライドすらない生活してるんだよ」

「・・で、でも・・カズトに・・たかる子って思われるのは嫌だ」

「兄様、そんな風に思わないって」

「それはそうだが・・甘えすぎて、いつかは嫌われるぞ蒲公英」

「うん・・それは、そうかもしれないけどさ・・でもさ、今日、明日のごはんどうするの?」

「そ、それは・・」

「今、43円しかないよ・・」

「や、やっぱり・・雑草」

 

この姉妹の会話というのは、ほとんどがこれに(お金=今日の生活)つきる。

両親が早死にした上、所有していた牧場も借金のかたに失い。仕方なく仕事のある都会に出たものの、彼女らがどんだけ働こうとも予期せぬ出費で日々金欠。

 

・・そんな不幸の星の元でうまれたの如き生活をしていれば。

そういう希望のない暗い話に終始するしかなく、彼女らは両親の死から数年はそんな感じであった。

 

 

だが、・・2年前から一つだけ例外な話題が姉妹に出来た。

「でも、カズトかー会いたいな・・」

「にへへ~相変わらず兄様にメロメロだね、姉様は~」

「べ、別にそーいうのじゃないぞ!!」

この姉妹にとっては、2年前からお隣さんになった北郷に関する話だけは明るい話題だ。

姉は同情だけではなく自分に接してくれる北郷に一つの感情を抱いていたし、妹はそんな感情を抱き楽しそうな姉を見ている(そしてからかう)のが楽しい。

 

「はいはい・・とはいえ、私たちには兄様の田舎に行く電車賃もないけどね」

「ああ・・2500円なんて途方も無いお金は無理だ」

「うん・・私たちの半月の食費消えちゃうし」

 

とはいえ、その話も。

北郷本人と、しばらく会えそうに無いという現実に勝てず。

ふたりは再び先の無い話をつづける。

 

「あっ、あのー!」

「はい?」

「よければこれどーぞ」

だが・・そんな、翠、蒲公英姉妹にスーパー、コンビニの袋(しかも、食品一杯!!)が差し出される。

 

 

姉妹は・・身も知らずの人から差し出された袋に疑問を抱く前に。

ただただ・・。

 

「助かった・・」

っと、素直に思っていた。

・・そして、自然涙が。

 

それ以降。

彼女らに明るい話題が一つ増えた。

『食材天使、ジュン様』っという話題が。

 

 

とはいえ、数時間後

「姉様なにこれ?」

「さぁ??」

 

コンビニの袋の中に入っていた「うすい」って文字が強調されてる箱が5つ出てきた。

・・あの妹マジだ。

 

そして、そんな事(色事)に時間を咲く余裕の無い姉妹は後に、意味もわからず貧乏性で保管しておいたソレを再び出会えた時に妹に返した。

・・意味がわからなかったので兄の目の前でだ。

 

「まあ、ジュンも高校生だからな・・」

その時の、気にしてないって振りをするも、複雑そうな顔している兄の顔をみた、妹はそれ以降、この姉妹にはなにもおごらないようになった。

いやっ・・逆に北郷が彼女らを助けようとすると(ごはん姉妹をに招く)、妹は壮絶な邪魔をするようになった。

 

そう・・。

『食材悪魔 ジュン』

と、姉妹からそう評される存在になったのだ。

 

 

彼女をそうしてしまったこの姉妹。

 

・・恩をあだで返す。

無意識でこーいう事をしてしまう、この姉妹はやはり、不幸の星の人間である。

急に妹が出てきて。

読者がそろそろ混乱するじゃないかという恐れはあるなか。

・・話は淡々と進む。

 

 

マジな妹(兄への禁断の想い)が、マジ(寝取られるのを)で心配する相手である星はマジ(狂ってる)で暴走していた。

 

 

「(華琳殿は、まだまだあるじに相応しい人物とはいえん・・)」

会議に参加しながらも、星はそんな事を考えていた。

 

彼女の使命は、北郷の幸せ・・。

なら、北郷の将来のために彼に一生傍にいる人物の選定すら自らの役目と勝手に考えていていた。

まったくもって、迷惑なことに。

 

しかし・・当人は大真面目だ。

「(そうなると、誰があるじに相応しいのであろうか)」

 

桃殿は・・あれは精神病院送りで有り得ない。

愛紗の馬鹿は・・あれは駄目だ、私をあるじから絶対とうざけようとする・鈍感なくせに嫉妬深いからな・・とにかく駄目だ。

麗羽と美羽の馬鹿姉妹もあるじを狙ってるらしいが・・まあ、馬鹿だから無し。

蓮は・・なにかあぶないし。

 

駄目だな・・。

なら、目の前の3人はどうだ・・。

 

雪か・・あれは人間が軽すぎて駄目だし、・・実は・・アレな気がする。

凛先生は・・まあ、愛紗以上の鈍感さだからな・・このままあるじへの思いは一生自覚しないし、させないし除外だな。

マスター殿は・・危険な趣向の持ち主だし危険すぎる。

 

この三人もなし・・。

となると、他には誰がいる・・

 

白・・っ?「お前とは遠足で同じ組だったぞ!しかも3回!!」って声が聞こえてくるが・・誰だ?

 

ジュン殿・・確かにあの方はあるじを思っているが。だが、やはり血の繋がった兄弟・・道ならぬ恋だ、認める訳には。

 

 

ふむ・・やはり、頭によぎった範囲の人物では適任者いないな。

 

 

あるじの妻には。

私ぐらいにあるじを想い、私ぐらいに強くてあるじを守れ、私ぐらいにあるじに尽くせる人物しか相応しくない・・。

 

 

・ ・・ん?

 

 

・・・わたしぐらい?

 

 

!!!!!!

 

 

「(いやっ・・・も、もしや・・私だけか?)」

私は強いし綺麗だし性格も良いし、あるじて付いたらなんでも興奮できるMだし(あるじの捨てたシャーペンの針ですらだ)、

な、なにより・・とうさつや盗聴を辞さないほどあるじを思っている。

な、なら・・私もあるじもハッピーな状況ではないか!!

 

い、いや、いや・・まてっ。

しかし、私とあるじでは、家人と主人では身分の違いというものがある。

 

そうだぞ、私はあるじの幸せをただただ願うだけであって、私、個人の幸せ云々などどうでもいいのだ・・。

 

と、とはいえ・・最終手段として私が候補としてだな。

妾になり世継だけ産むという非情で・・か、甘美な世界を。

 

い、いや・・いかん!!なにを不潔なことを。

あるじにはしかるべき女性と結婚してもらっ・・もら・・もらっ・・

な、なんかこの次の言葉でんが・・。

 

とにかく、私はあるじの幸せを願って、よい主の結婚相手をさがして・・。

そう・・あるじの結婚式のさい立派なタキシードを着て、嬉しそうに微笑む主をみるのが部下としての私の役目だ!!

そのために・・あるじとあるじの隣で微笑む新婦・・新婦・・新婦・を(探さねば)。

 

「でも、新婦・・死ね」

あるじの横で幸せそうに笑ってるんじゃない!!

 

「えっ・・なんですか星さん」

「なに、いい案思いついたの」

 

「えっ・・あっ・・い、いや・・すまない、なんでもない」

妄想を声に出しちゃうぐらい・・。

確実に危ない段階に入った、星の病気(北郷へのストーカ的偏愛)であった。

 

 

とはいえ、そんな事をしらない北郷は(主人公の定め)、華琳に頼まれていた村の夏祭りに主催者側のスタッフとして参加していた。

 

今は3人のアイドルに対して10人付くという。

まあ、田舎や大学学園祭ではよくある風景の一部(警備)をしている。

 

しかも・・控え室の目の前。

いや、さすがに仕切りが合って・・着替えはみれない・。いやっ、まあ、仕切りが無くっても覗かないもん!って本人は言っているが。

とはいえ、嫌でも声は聞こえてくる。

 

「(ア、アイドルの・・リアル会話。す、すごい・・ドキドキする)」

さぁ・・君も耳を済まして聞いてみよう。

 

「ここの主催者・・いやだな」

「い、いやらしい目・・しかも、明日は主催者の家に挨拶しにいけって言われたし」

「しかも、このステージ衣装のままで来いっていってきてるんでしょ」

「うわぁーきつい、なによコスおたくなのここの主催者」

「で、でも・・姉さん達、頑張らないと」

 

「(な、なんか・・アイドルも大変だな。・・聞いていて、悲しくなってきた)」

・・耳を澄まさせてごめんなさい。

 

ちなみに、この夏祭りのステージ一番前の特等席には村長、組合長、華琳がいる。

・・犯人は誰だ!!

 

ちなみに・・華琳は昔「パンチラって・・良いわよね」て何気なく行ったことがある猛者である。

 

しかも・・。

「ちゃんととりなさいよ!!あなたたち!!」

「「はっ!!華琳様!!」」

春、秋姉妹はカメラ片手だ。

春なんてバズーカ(巨大望遠カメラ)を持ってる・・距離が近すぎて役に立たないのに。

さすが、猛者である!!

 

まあ、それに突き合わされてる秋は可哀想だ(春は華琳様の命なら!!って喜んでやるので、可哀想でもなんでもない)」

そんな華琳の姿に。

北郷が「やっぱり、華琳との結婚は・・」って思ってる頃。

 

 

「今、帰りました・・」

星は北郷家に戻っていた。

 

 

「結局、無駄な一日だったな・・」

結局、あの後「閉店時間だと」喫茶から追い出され、夕暮れの公園でいい歳の3人が缶コーヒをちびちび飲みながら会議を続けたものの・・明日、北郷邸で二回目の会議を行うという先送りのオチとなった。

 

まあ、その原因は。

雪「私の家のカズト」

凛「北郷のここ数年(高校卒業まで)帰郷阻止」

星「帰郷はしてほしいが、カズトは北郷家」

という最終目標へのスタンスの違いであるのが歴然たる事実だ。なので、2回目以降の会議もまともにまとまりそうにはない・・。

まあ、とある「事件」で、実際は二回目を行う暇もなくなったのだが・・。

 

とはいえ、そんな事を知らない、星はただただ時間を無駄にしたと思いを抱き、嫌な疲労感を感じながら靴を脱ぎ始めていた。

 

「あらあら・・星ちゃん、もう戻ったの?」

「はい、紫苑さん」

そんな星に後ろから声がかけられる。

 

「まだ、旦那様、帰ってないけど一緒じゃないの?」

「なっ・・!!紫苑さん・・今日は1日、主を家に引き止めるようお願いしたはずですが」

「あら・・星ちゃんいるから大丈夫かと思って」

「私は用があるっていっておいたではないですか!!そもそも、だから引き止めてくれといったのです!!」

「あらあら、ごめんなさい・・うっかり(笑)」

「ちっ!!・・うっかりって顔じゃない!!・・分っててあるじを外に出したなこの年増!!また、私への嫌がらせか!!」

「あらあら・・下品な言い方は駄目よ、・・・小童のくせに」

 

実は・・この北郷家に仕える2人はあんまり仲がいいという訳ではない。

小学生の頃から北郷を狙っていた(ショタな操を・・紫苑は桔梗の同士)紫苑の、その悪辣なる企みをただ一人気がついていた小学生星(このときから北郷への思いはストーカ的)は長年の敵対関係であったのだ。

 

子持ちのいい歳した紫苑が,小学生北郷を狙っているという・・誰も信じない事実故に、一人ちいちゃい体で、20代のちゃんとした大人の紫苑に立ち向かうという、ドラ1の勇者一人で魔王に・・みたいな孤軍奮闘をしていた星の活躍(しかも、北郷の操はいまだ守られてる=勝利)は、それはそれで一話ぐらい書けそうな話であったが。

 

「かずくん・・じゃなくて、あるじにてをだしちゃーめええええ!!」

「うふふふふふーほら、星ちゃん・・飴あげるわよ」

「いらないもん!!前貰った飴食べたら、嘔吐を繰り返したこと覚えてるもん、ほし!」

「あらあら、死にはしないから素直に従っときなさい・・星ちゃん」

「いーや!」

「・・私、男の子はすきだけど、女の子は死に絶えろって思ってるから容赦しないわよ」

「そ、そんなのこわくないもん・・か、かかってこい、このおばちゃん魔王!!」

「えい♪」

「あ、頭を押さえるなー!!わたしちっちゃいからうごけないだろー!!」

「容赦無しっていったじゃない・・(笑)」

「相手の技を受けてから技を返す、それがプロレス精神だぞー」

「あらあら、私はプロレスなんてやってないんだけど」

「ひ、卑怯だよぉーーーーーーー!!」

・・という、あまりにも残念な内容なので、割愛する。

ちなみに昔は純粋無垢で馬鹿みたいに明るかった星が、今のように(盗聴等のような手段を多様する)なったのはこの紫苑との陰惨な争いのお陰である、

 

とはいえ、2人はそーいう理由で仲が悪い。

まあ、今では紫苑が落ち着き(ショタじゃなくなったので、性的衝動を押さえれるようになった・・とはいえ、紫苑の中で「北郷旦那設定」は決定事項)、2人の間は冷戦状態であり、先の華琳の騒動では北郷のため共同戦線を組むぐらいにはなっていた。

 

「黙れ、年増」

「五月蝿いわ、小童」

まあ、結局は仲が悪いのだが。

 

「もう、いい!!年増に付き合ってる暇などない!!」

私は、今すぐあるじを探さねばならぬ。

あるじを汚そうとする、女どもがこの村にはうろついてるのだから・・。

 

そんな事を思い、星は再び外に出ようと靴紐を結びだすが。

「でっ、結局華琳ちゃんを邪魔する方法は決まったのかしら?」

「!!」

紫苑の一言で動きが止まる・・。

 

「な、なんでそれを・・」

「あら・・あたり。適当に言ってみたんだけど」

「ちっ・・ひっかけたな」

紫苑が笑う、落ち着いたといえかつての魔王はいまだ健在で、女相手にしか見せない、その笑顔は邪悪そのものだ。

 

「星ちゃんが悪いはこんな簡単な方法に引っかかるから」

「・・詐欺の犯罪加害者みたいなせりふを」

「でもね、星ちゃん・・別にいいじゃない華琳ちゃんが旦那様のお嫁さんになっても」

「なっ!・・なにをいうのだ紫苑」

「だって、この村で一番優秀なのはたぶんあの娘だわよ」

「そ、それはそうだろうが・・せ、性格に難が・・妻となってもあるじにかならずきつくあたるに決まってる華琳殿は・・それではあるじは幸せには」

「そうかしら・・以外に一緒になったら旦那様のことも立ててくれる良妻になるとおもうけど」

「そ、そんな事は・」

「それに、なんだかんだで華琳ちゃんに振り回されてる旦那様って幸せそうよ・・」

「っ!!」

星が一瞬に顔をしかめる、その紫苑の言葉に華琳に引きづられている、北郷の若干嬉しそうな表情を思い浮かべたためだ。

 

「なにより許婚よ」

「あ、あれは、絶対偽造だ!!私は先の御当主様からそんな話聞いたことはない」

「まあ、それは私もだけど、それはそれでいいじゃないの、それほど(偽造するほど)華琳ちゃんは旦那様のことを思ってるってことだし」

「そ、それはあるじに結婚云々は無理やり押し付ける事であって・・。そもそも結婚というのはあるじが自分の意志で決めることで・・華琳殿や、私たちがどうこう口を挟むことでは」

そう、私たちがどうこうすべき問題では・・。

「ほんと・・馬鹿ね」

等と思っていた、星に紫苑が斧のように一言振り下ろす。

 

「ば、馬鹿だと、な、なぜんそんなことを・・わたしは主のことを思って」

「そんな気の長い話してたら、わたしの旦那様を華琳ちゃんに無理やり取られちゃうわよ~・・」

「そんな事は私がさせん・・」

あと、紫苑のじゃない!!

 

「それともそんな中立みたいな事いってる星ちゃん、あなたが何時の間にかカズトを取っちゃうのかしら」

「わ、私はあるじの意思を尊重するだけだ・・わたしはあるじの求めし事を叶えてあげるのが使命であるし・・」

「はぁ~そんな旦那様に受けのいい事ばかり言ってたから、貴方はそんな惨めな状態をさらしてるのよ星ちゃん・・。気づいてる」

「み、惨めだと!!」

忠誠を、惨めと評され星の顔が更に強張る。

 

「だって、元々は貴方だけが旦那さまの、傍にいて独占していたのに」

「・・・」

「今じゃ、意思云々と御託をならべ、他の女に旦那さまを奪われまいと醜く駆け回る嫉妬狂いの惨めな姿をしてるのよ貴方は」

「っ!!」

「旦那様も、もう高校生、自分の傍にいるべき人ぐらい自分で見つけるわ・・あなたがいなくても。・・そんな事星ちゃんもわかってるはずなのにね・・。それなのにあんなに必死に言分けしながら駆けまわって・・ほんと、惨めな嫉妬ぷりね」

 

「わ、わたしは・・そ、そんなんじゃ」

「でも、星ちゃんほど彼女達は馬鹿じゃない。強引な手段で旦那様に嫌われても最期はあの娘たちだけで独占する旦那様を・・。旦那様もやさしいから最初は嫌々でも熱意が伝われば彼女達を愛してくれるでしょうね。・・そして星ちゃんみたいに、もう他の人には渡さない・・そうなると、星ちゃんは、ただその姿をみながらニコニコと作り笑いをするだけしかできないわ」

「・・!!」

星は・・その自分の姿を想像するが、歪む。

いや、途中で想像をやめざる得なかったほど、その自分の姿は嫌だった。

「まあ、それでもまだましかしら・・。星ちゃん、旦那様の傍にすらいられなく可能性もあるんだし」

「あ、あるじのそばに・・いられない」

「当然でしょ、自分たちの男の傍に、他の女をわざわざおいとくと思う・・」

紫苑の言葉は続くが、星の靴紐を結んでいた手が止まる。

先ほどからの数分・・ずーと、結びつづけていたその紐は、彼女の心の動揺を表すように醜悪なほど奇怪に絡んでいたが。

 

「残念・・やっぱり、星ちゃんは旦那様の傍にいられない可能性が高そうね」

「・・・・」

その一言で、星も止まった・・。

体の動き、そして思考が・・。

 

「はぁ・・まったくしょうがない娘だわ」

だが、そんな星の前に紫苑が立つ、土で汚れた玄関に裸足のままで。

そして、星の顔を包み込み、自分のほうにと顔を向けさせ、北郷に向けるようなやさしい微笑を星に向ける。

 

「星ちゃん・・そろそろ覚悟を決めなさい」

「し、紫苑・・」

「星ちゃんは・・今まで精一杯旦那さまのために頑張ってきたんだから、一度ぐらい嫌われる事としてもばちはあたらないわよ」

「・・ほ、ほんとですか」

「ええ、一番、頑張ってる子が報われないなんて・・許せないのよお姉さん」

「・・で、でも・・私はあるじの家に仕えてる立場で」

「えい!」

「っ!」

紫苑が星に軽く頭突きをする。

「難しいことは考えないの・・今はただただ自分の気持だけを考えなさい」

「じ、自分の気持・・」

「そうよ・・まず、一番大事なのはその気持よ・・星ちゃん」

 

 

数分後。

「す、すまない・・「私の」あるじを探してくる」

かつての敵に塩を送られたのが、恥ずかしくて、嬉しかったのか・・。

星は逃げるように、再び靴紐を結びなおして・・。そして覚悟を決めた顔で、外に出ようとしていた。

 

「ええ、頑張ってきなさい・・」

そんな姿、紫苑も安心したような感じで応援の声をかける。

 

「はい!」

星も初めて、紫苑に心から返事する。

10年以上にわたる戦いが終わろうとしているのだろう・・。

 

「あと、星ちゃん・・」

「ん・・なんですか紫苑さん」

だが、やはり・・魔王は魔王だ。

 

「正妻の座は譲るけど・・二号さんと三号さんの座は私とるるにちょうだいね」

「そ、それが結局の目的ですか」

世界を分割しよう的なこといいだしやがりました・・。

やっぱり、この2人の戦いはまだまだ続きそうだ。

 

あと、娘を3号にするって、それでも実の母親かあんたは?

同時刻・・厚木基地的な所(東京)。

 

「用意整いました・・お嬢様」

数機のヘリをバックに一人の女性兵(華雄)が敬礼をしながら、一人の少女に報告をする。

 

「・・そうですか」

お嬢様と呼ばれた少女は軽く頷いた後、イスから腰を離す。

 

「では、向かいましょうか」

「はっ・・」

少女のその言葉に華雄とその黒尽くめのコンバットスーツを来た傘下の兵がヘリに乗り込み始める。

 

「ねぇ・・ほんとに行くの」

「はい」

そんな姿を、眺めるもう一人の眼鏡をかけた少女が、もうひとりの少女に声をかける。

 

「・・もう、戻れないわよ」

「構いません、進むしかないのです」

 

「そう・・なら止めないわ」

「それでは・・」

 

「でも!!最期にこれだけはいわせて!!!!!」

「・・・」

 

「やっぱりーーー!!!これって犯罪なのよ!!!ゆぇええええーーーーーーー!!!!!!!!」

「へうう~!!(ヘリ部隊、進軍開始せよ!!)」

 

 

 

 

「・・行った」

「はい、恋ちゃん」

その様子をビルの屋上か見ていた影が二つ。

 

「・・セキト」

「わん!!」

セキト(雑種の5歳)の上に恋が乗る。

ちいさい恋とはいえ、その姿は「動物愛護団体」大活躍(抗議)である。

 

「音々・・じゃあ、行ってくる」

「ええ・・恋ちゃん」

 

「おかあさんよろしく頼む」

「はい、万が一に備えて原(恋の母)さんには隠れてもいます」

 

「ありがと・・音々」

「いいんですよー恋ちゃんの為ならこの音々なんでもしますー援軍も準備してますから」

 

「さすが、音々・・ナデナデする」

「にゃ、にゃふふ~・・恋ちゃんくすぐったいですよ」

 

「後、・・最期に原さんから伝言ですー」

「お母さんから?」

 

「旦那(北郷)、連れて来るまで帰ってくるな・・後できたら孫も(腹の中でもOK)希望だそうですぞー」

「//  こ、恋・・色々な意味で頑張る!!」

 

「二号!!今、助け・・行く!!!せきと!!!」

「わーううううううううう!!」

 

『荒野の迅雷』的な雰囲気の中・・セキトは駆け出す。

 

もちろん・・駅までだ(当然、犬は電車に乗れないので後はとぼとぼ家に戻る)」

漫画みたいにそのまま田舎までいったら、正直ただの動物虐待で「動物愛護団体」確実に勝利なのだ。

 

 

 

そして・・あの「せ か い」。

 

 

「2人とも、頼む・・風を、そしてアッチの俺を助けてやってくれ」

「あわわ~(はわわ~)はいです、御主人様!!」

 

まあ・・ここまできたらもう諦めるよ(読者様からのご意見)・・な、次話予告

三国(忘れたかな・・ここは設定上三国(みくに)って名前の田舎だよ)に集まる、人々。

 

次回、数だよ数!!な最終話がついに公開。

まあ、落ちが弱いってのもありじゃないでしょうか。

 

あとがき。

星の最期の辺りが微妙です。

雪、華琳、星と続いて・・やっぱりデレが書くの嫌(苦手)です。

 


 
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