今回の話は本編『~二人の王佐~』の現代版にアレンジした作品です。それをふまえた上でお読みください。
チュン、チュン
キィ~
「おに~さま~、起きてますか~?」
「すー、すー、んっ、すー、すー」
「眠ってますね。なら…」
ごそごそ
「……ん~~~♡お兄様の匂いです~♡おに~さま~~~~~ごろごろ♡♡それじゃあおやすみなさーい♪」
・
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・
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「んっ?もう朝か…ふあ~~~~~!今何時だろう?ってあれ?」
起き上がろうした一刀だったが右腕に何かがのっているらしく動かせないのに気付いた。
「一体どうし…ってなんだ桂花か。おい!桂花!朝だぞ!」
隣りを見るとネコミミ頭巾にパジャマの格好で桂花が眠っていた。
「ふにゃ?あ~、おはようございますお兄様!」
「うん、おはよう桂花。それよりもまた勝手に布団に入ってきちゃ駄目じゃないか。これじゃあ何のために部屋が分かれているんだか…」
「…ごめんなさい。でも、お兄様と一緒に寝るとすごく安心して眠れるからつい…」
「う~ん、でもなぁ…」
「そ、そんなことよりお兄様!!今日は夕方のお祭りまで桂花のお買い物に付き合ってくれる約束なんですから早く準備して行きましょう♪」
「え?…あっ、そういえばそうだったね。じゃあお互い着替えたら買い物に行こうか!!」
「はい♡♡お兄様!!(ほっ)」
着替えをしたあと一刀と桂花は夕方まで買い物(ただし桂花はデートだと思っている)を楽しみ、その後お祭へ浴衣を着ていくため、一度家に戻り着替えることにした。しばらくして桂花が母に着付けてもらうのとほぼ同時に、
ピーンポーン♪
家のチャイムが鳴った。
「こんな時間に一体誰かしら?
ガチャ(開ける)
「!?………気のせいね」
ガチャン(閉めた)
「ちょっと桂花さん!?閉めるなんて酷すぎませんこと!!」
桂花が閉めたので腹を立てた麗羽がドアを開けて入ってきた。
「…何よ、一体何の用?」
「そんなの「そんなこと私達の格好を見ればわかるでしょう?お祭に行くから一刀を迎えに来たのよ」きいぃぃぃぃ!!華琳さん!わたくしのセリフ取らないでもらえます!!」
「別にどちらが言っても同じじゃない」
「違いますわよ!!」
そこには同じく浴衣を着てにらみ合っている華琳と麗羽 (といっても麗羽が一方的に文句を言っているだけだが…)そしてその後方には同じく浴衣姿の春蘭と秋蘭の双子姉妹と斗詩と猪々子の従者コンビが静かに立っていたのだった。
「あっ、華琳に麗羽!迎えに来てくれたんだ!!」
すると声を聞いた一刀も家から出てきた。
「おーっほっほっほっほっほ!当然ですわ!!」
「そうよ、全く!やっと出てきたわね一刀」
「うん、今浴衣の着付けが終わったところだよ。それよりみんなも浴衣なんだ!みんなとても似合ってて綺麗だね!」
「「「「「「!?……////////」」」」」」
「お兄様!!桂花はどうです?」
「うん、とても似合ってて可愛いよ!」
「えへへへへ~///////」
「こほん!そ、そんなことより準備ができたのなら早くいきましょう!」
「そうですわ!わたくし花火の前に色々見て回りたいですわ!!」
「麗羽様!!あたい、焼きそばが食べたいです!!あとたこ焼きにリンゴ飴にそれに…」
「それなら華琳様!!私も食べたいです!!」
「文ちゃ~ん…」
「姉者…」
「春蘭ったらしょうがないわね…好きなだけ食べなさい。ただし食べ過ぎてお腹を壊すんじゃないわよ?」
「はい!!」
「猪々子さんも気をつけるんですよ?」
「は~い!!」
「あははっ、それじゃあ準備も出来たしお祭に行こうか!!」
『おーーー!!』
ピ~ヒャララ~ピ~♪
ドンドンパフ~♪
神社にはすでに人が沢山集まりっており、一刀達が到着した時は屋台もとても賑わっていた。
「おーーーー!!やっぱり凄い賑わってるなぁ~!!」
「本当にそうね」
「ちょと人多すぎませんこと?」
「アンタ何言ってんのよ?こんなのいつものことじゃない」
「…それで三人共そろそろ少し離れない?ほ、ほら周りの目もあるし…」
「イヤよ!」
「イヤです!」
「イヤですわ!」
「そ、そうですか……」
ちなみに今の状態は一刀の左右の腕に華琳と麗羽が寄り添い、背中にはおぶる形で桂花がくっついているのでとても目立っていたのだった。まあ、もっとも一刀の周辺にいる娘達は皆レベルが高くどこに行っても注目を浴びるのだが、その頂点の華琳と麗羽、そして猫ミミ頭巾を被っている桂花達三人が浴衣姿で一人の男性に抱きついているので普段以上に目立っているのだった。
「(まあ~しょうがないか…)」
「華琳様!華琳様!買ってきていいですか!!」
「待て姉者!私達は華琳様の護衛としてここにいるんだぞ?」
「うっ!?そ、そうだった…」
「華琳様は曹覇財閥の次期当主となられるお方だ。当然狙ってくる輩が沢山いる。そんな奴らから華琳様を護るのがのが我らの使命だ。まさか姉者忘れたわけではあるまい?」
「ううぅぅぅぅ…」
「大丈夫よ。春蘭貴女ならわかっているでしょう?一刀の実力を。彼は貴女と互角以上の実力でありながら、なおかつ秋蘭と同等の知識をもつ男よ。その一刀が護ってくれるから心配ないわ」
「しかし…」
「ならばこれは命令よ!私にかまわず春蘭も秋蘭もお祭を見て回ってきなさい!!」
「「ぎょ、御意!!」」
「斗詩さんと猪々子さんもですわよ!わたくしにかまわず楽しんでいらっしゃい!」
「姫~~~♪」
「麗羽様!」
「よ~し、猪々子!どちらがより沢山食べられるか勝負だ!!」
「お~し!その勝負乗ったぜ!!」
「ならばまずはあの屋台だ!!」
「負けないぜー!!」
「待ってよ文ちゃ~ん!!」
「全く姉者ときたら…それでは華琳様私は姉者を追いますので失礼します。花火の時間になりましたら…」
「わかっているわ。いつもの場所でしょ?」
「はい。では」
そう言って秋蘭は春蘭と猪々子とそれを追っていった斗詩を追っかけていったのだった。
「「さてと」」
「それじゃあ一刀、まずはあの射的を…」
「では一刀さん!まずはあのくじ引きを…」
「「むっ!」」
「ちょっと麗羽?一刀は始めは私と射的をやるのよ!邪魔しないでもらえる?」
「それはこっちのセリフですわよ!一刀さんはこのわ・た・く・し・と!くじ引きをやるんですわ!!」
「あんなのただの運任せでしょ?それにこういう所のは当たりは殆ど入ってないし、仮に当たったとしてもせいぜい三等とか低いものばかりで大当たりなんて出ないように出来ているのよ。それを好き好んでやるなんて麗羽ってば相当なもの好きね?」
「きぃぃぃぃぃ!!そういう華琳さんの方こそあんなおもちゃの銃を的に当てて景品を貰おうなんて随分とセコイですわね?おーっほっほっほっほっほっ!!」
「なに?やる気?」
「受けてたちますわ!!」
「ま、待ってって二人共!!せっかくのお祭なんだからケンカは止そう!なっ?」
「「一刀(さん)がいうのなら…」」
「ほっ、なら「お兄様!!桂花あの型抜きやりたいです!!」ってけ、桂花!?」
「「なっ!?」」
すると突然さっきまで黙っていた桂花が言いながら型抜きの屋台を指差した。
「ちょっと!!折角まとまりつつあったのになにまた混ぜっ返してるのよ!!」
「そうですわ!」
「ふんっ!アンタ達には聞いてないわよ!ね~お兄様?」
「駄目だよ桂花?自分だけ都合のいい事言ってちゃ、だからみんな平等にじゃんけんで決めよう?」
「ううぅぅ、はい…」
「それじゃあ、いくわよ。じゃーんけーん」
「「「ぽん!!」」」
その結果、
「あ~~!!取れちゃう取れちゃうよぉ~~!!」
一番最初に行く屋台は桂花の希望の型抜きの屋台だった。
「くっ!!これって案外難しいわね!……」
「きぃぃぃぃぃ!!壊れてしまいましたわ!!やはりこんな細かい作業わたくしに向いてませんわ!!」
「あははっ、これはこういう作業が得意じゃないと難しいかな?……はい終わりっと!!」
「えっ!?一刀ったらもう終わったの!」
「お兄様すご~い!!」
「さ、さすが一刀さんですわね……素直に感服いたいますわ!!」
「そうね」
結果、型抜きが最後まで出来たのは一刀ただ一人だけだった…
2番目に勝ったのは華琳希望の射的だった。
パンッ!!
パンッ!!
パンッ!!
パンッ!!
「う~ん、やっぱり射撃は苦手かな」
「何言ってるのよ、八割当たるのなら十分よ、っと!」
パンッ!!パンッ!!
「そう言う華琳は全て当ててるじゃないか」
「当然じゃない。私は子どもの頃からあらゆる英才教育を受けているのよ?銃の扱いくらいお手の物よ」
「それは凄いな!!」
「ふふっ、ありがと♪」
「あ~ん全然当たらないよーー!!」
「どれどれ…」
「「!?」」
「お、お兄様/////」
桂花が的に当てられないの見た一刀は桂花を抱きかかえるように後ろから支えると、
「どれが欲しい?「あ、あのぬいぐるみです////」よし、ならまずは銃はこうやって持って…欲しい的を目がけて的を絞り…撃つ!!」
パンッ!!
「あ!当たった!!」
一刀に支えられて撃った桂花の弾は見事にぬいぐるみに当たり落下した。
「やったな桂花!!」
「はい!!ありがとうございますお兄様!!!!」
「か、一刀さん!!わ、わたくしも全く当たりませんの!ですからも、もしよかったらわたくしも…教えてもらえます?」
「(あっ!!れ、麗羽ったら抜け駆けする気ね!!うっ、べ、別に羨ましくなんかないんだからね!!って私何言ってるのかしら…)」
「麗羽もかい?てっきり麗羽も華琳と同様に銃の扱いを受けているかと思ったけど?」
「わたくし銃なんてや・ば・ん・な物を扱う必要ありませんから習っていませんの!!そ・れ・に、いざという時は一刀さんに護ってもらいますからいいんですのよ!!おーっほっほっほっほっほっ!!」
「そうだね。俺がそばにいる時は護ってあげるよ」
「あ、ありがとうございますわ/////」
「一刀!!当然私もでしょうね?」
「もちろんだよ華琳」
「そう、ならいいわ」
「それより一刀さん!早くわたくしに教えてもらえます!!」
「(ちっ!忘れてなかったのね)」
「そうだったね。じゃあまずは…」
そして麗羽にも桂花にしてあげたように手取り足取り教えてあげた。
「ありがとうございます一刀さん!一刀さんのおかげで景品が取れましたわ!!」
「そっか、それはよかったよ」
「そ、それじゃあ次は麗羽の行きたかったくじ引きに行きましょう!!」
「そうだね。っとその前に華琳」
何かを思い出したのか一刀は先に歩き出した華琳を呼び止めた。
「どうしたの一刀?」
すると一刀は先ほど取った景品の入った紙袋から別の袋を取り出した。
「ほらこの前言ってただろ?いつも付けている髪飾りの紐が痛んできたって。だからこれやるよ、七種類の紐が二つずつ入っているから飽きる心配はないぞ!」
そう言って一刀は華琳に紐の入った袋を渡した。
「えっ!?く、くれりゅの?じゃなくて、くれるのかしら?」
「あ、ああ」
「そ、そう、ならありがたく受け取るわね」
華琳も突然のことに一瞬咬んだがなんとか持ち直し、一刀からの贈り物を受け取った。
「あーー!!華琳だけズルイ!!お兄様!!桂花も何か欲しいです!!」
「そうですわ!!華琳さんだけなんて不公平ですわ!!」
「で、でも二人には景品を取ってあげたじゃ…」
「「それとこれとは別です!!(わ!!)」」
「わ、わかったよ!!な、なら…え~っとじゃあ桂花にはこの猫のついたネックレス、麗羽にとっては安物になっちゃうけどこの金色の腕輪を買ってあげるね!」
一刀は近くにあった露天で二人に似合いそうなものを探して買ってあげた。
「ありがとうございますお兄様♪」
「か、かまいませんわ!!それよりありがとうございます、大事にしますわ!!た、たとえ、どんなに安物でもか、一刀さんのくれたものなら喜んで受け取りますわ…」
桂花は素直に、麗羽は途中まで普通に、最後だけ小声でお礼を言った。
「一刀、私には無いのかしら?」
「えっ!?」
「わ・た・し・に・は・な・い・の・か・し・ら?」
「わ、わかったから笑いながら睨まないでくれ!!」
「なら買って♪」
「お、おう…」
華琳の睨みから突然におねだりにドキッとした一刀は華琳に似合いそうな星のついたチョーカーをプレゼントしてあげた。
「ありがと一刀♪大事にするわね♡」
「き、気に入ってくれてよかったよ///」
「お兄様!!私は一生大事にします!!」
「ならわたくしは我が家の家宝にしますわ!!」
「い、いやそこまではしなくてもいいんだけどな…」
「全く、それじゃあ本当に行きましょう!うかうかしていると花火に間に合わなくなるわ」
「そうだね。じゃあ移動しようか!!」
「はい!!」
「そうね」
「わかりましたわ!」
~後編に続く~
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この話は第二回同人恋姫祭りの投稿作品です。
最初に自分の作品の説明をします。
今自分が書いているのは『真・恋姫†無双~二人の王佐~』という赤ん坊の頃に拾われた一刀が桂花の双子の兄として恋姫の世界を駆け抜けていく物語です。
主人公はもちろん我らの一刀、ヒロインは桂花、華琳そして麗羽です。一応華琳ルートですが、色々変更を加えていく予定です。ちなみに一刀には前世の記憶がありません。それは物語が進むにつれ明らかになっていくのでお楽しみに!
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