目の前には綺麗な青空が写っていた。
程良く風が吹き、涼しく心地のよい気持ちにさせてくれる。
そしてその風は時々強く力を込めて吹き、辺りの草を飛ばして、その草は舞っている。
「アナタは何をしているの?」
そんな声が聞こえ、目の前に綺麗な青空色の髪をした少女が覗いてきた。
「僕は…何をしているんだろう?」
「アナタはこの何もない綺麗な丘で綺麗な青空を見ながら心地のよい風にあたって寝そべっているのよ」
何故、少女が答えているのだろう。
「分かっているのにどうして聞いたの?」
「アナタが自分自身を分かっていないからよ」
「そうだね」
そして考えこんでしまった。
どうして僕はここにいるのだろう?
当たり前の疑問だし、何気ない悩みだけれどそれはとても大切な事に思えた。
「僕はどうしてここにいるのかな?」
「それはアナタがここへ来たからではないの?」
最初はそれも考えたけれど、自分でここへ来たという覚えは無かった。
「僕はここへ来た覚えはないよ」
「ううん、アナタは自分でここへ来たんじゃないかしら?」
どうしてそう思うのだろう。
「誰かに連れてこられたという考えはないの?」
「誰もアナタをここへ連れてくることなんて出来やしないわ」
「どうして?」
「アナタにとって、ココはどこ?」
僕にとってのココ?それはなんだろう?
「分からないよ」
「分かっているんじゃないの?」
「ううん、やっぱり分からない」
「分からないはずないわ、アナタが分かっているから私は知っている」
「君は知っているの?」
「知ってるよ」
「どうして?」
「アナタが知っているからよ」
分からない、僕は何を知っているのだろう。
そう思ったところへ少女が声を出した。
「そうね、質問を変えましょう」
そうして一つ、小さく息を吸い込み一度目を瞑る。
そうして一つ、小さく域を吐いて、目を見開く。
口から言葉が漏れてくる。
「アナタにとってここはどんなところ?」
僕にとって…。
ココはとても気持ちが良い。
でも何もない。
丘の外には海が広がり、丘には草しかない。
そう、ココはまるで…
「夢のようなトコロ」
「そう、正解」
そう少女が呟くと世界は外側から暗く消えていき、自分を飲み込んだ。
「・・・・・ん!」
声が聴こえる、どこかで聞いたことのある声だ。
微かに目が開ける、わずかに見える日差しがとても眩しく、とても痛い。
「お兄ちゃん!」
横には妹がいた、その後ろで母が立って泣き、横には医者が驚いた顔で見ていた。
「そうか、夢だったのか」
そう、少年は一言呟きました。
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