「お前って、ホント最低なおとこだなぁ~」
里では割と有名なうどん屋“喜八”。
そこで麺をすすっていると聞こえてきたのは若い男(といっても僕と変わらない年齢)の声だ。
箸を止めそちらを見ると、一般人と思われる男が二人向かい合って喋っている。
食事はもう終えたようで、空の器が横によけられていた。
「お前、一体“何股”かけてるんだよ」
「んー・・・Aちゃんに、B子に、C美に・・・・・」
指折り数え上げた名前は、6つ。
「ひっで!」
「別にひどくねーだろ。浮気なんて男の甲斐性だって!」
「すっげぇ言いよう。」
インプット:浮気は男の甲斐性。
「それに、自分の恋人がいろんな女にもてるのは、彼女だってうれしいだろう?」
「そんなもんかねぇ」
インプット:いろんな女性にもてる方が、彼女もまた喜ぶ。
と、そこまで聞いて箸をもちなおそうとしたとき、正面から彼女の手がにゅっと伸びてきて、僕の襟首をぐっと掴んだ。
驚いて彼女に目を向けると、彼女はエメラルド色の目に怒りの炎をゴウゴウと燃やしていた。
「サイ、あなたね、今の言葉を本気にして浮気なんてしたら、どうなると思う?」
「どうなるんです?」
「木の葉の里のはずれにある集合墓地に、墓碑銘のないお墓が一つできるのよ」
剣呑な顔と・・・正反対に柔らかな声は・・・しかし、それだけに凄みがあった。
彼女は僕の襟首から手を離すと、うどんの器を両手で持って上品に“つゆ”をすする。
データ・・・オール・クリア
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初期くらいの設定でのサイ×サクラ
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