<ようこそ!、きのこ駅前商店街へ! 第4話 休日の散策>
(休日・コーポ・オオマ玄関)
ルカはウォーキングシューズとディバッグとメモと財布を持って準備をした。
ルカ:初めての商店街散策ね。さーて、出かけよっと。
(商店街メインストリート)
昨日、ルカがレンから貰った“きのこ駅前商店街マップ”によると、商店街全体は“ルカの集金”程度の範囲を遙かに上回っており、予想外に広く、特にメインストリートには色々なお店が建ち並び、活気あふれる風情だった。そして何かのお店の傾向があるわけでなく、多種様々な業種のお店が存在していた。
ルカ:いや~、思ったより凄いね~。あー、あの店先のアレ、美味しそう・・・。あ、でも、とりあえず掲示板の所に行ってみないと。昨日聞いた中では、一番のミステリーだからねー、wktk。
(掲示板前)
その掲示板はそこそこ大きめで、懐かしい黒板形式だった。色々な人が書いたであろう、待ち合わせ場所や伝言等が記されてあった。ルカはざっと目を通した。
ルカ:うーん、まぁ普通の掲示板ね。アンさん達、“何”がミステリーなんだろう?・・・・ん?、
よく見てみると、掲示板の右下に小さく、何か書かれてあった。
「真実を知りし者へ。闇を切り裂く光、扱いし商い所の主が待っている」
ルカ:うっわ!、こりゃアンさん達の言うとおり“ミステリー”・・・ってか“宗教勧誘”だわ・・・。これ掲示板に書く内容じゃないわよ・・・。それで“書かれているのは時たま”なのね。消されるような言葉だしね。まぁいいわ、名スポット、というか“ミステリースポット”だけど、この「商店街散策」の最初としては、ある意味“ふさわしい”かもね、メモっとこ。
ルカは書かれていた不思議な伝言をメモ帳にメモして、次へ進むことにした。
***
(???)
???:ちっ、消しておくの忘れていたわ。まぁ良いわ、今のところ、“あの言葉の意味”を知る動機はないしね。でも、念のため消してから尾行するか。
謎の尾行人物は、ルカがいなくなった事を確認してから、掲示板の謎の言葉を綺麗に黒板消しで消し、尾行を続けた。
***
(メインストリート沿いのアクセサリー店)
大きめな店舗のアクセサリー店の横には、でかい液晶のモニターが設置されていた。モニターでやっていたのは普通のTV放送で、今はお昼の定番番組を映し出していた。
人だかり:ザワザワ・・・おいおい、もう待ち合わせ時間過ぎてるぜ!・・・・ザワザワ・・・・もうこんな時間!、そろそろご飯でも食べにいこうかな・・・うん、例のモニターの前にいる・・・・・・お!、今日のゲスト、あの人なんだー!・・・・・
多種多様な人々が色々な目的でモニターの前に集まっていた。
ルカ:凄いなー!、こんなに人だかりが出来ていたんだ~。集金の時には全然気づかなかった、ってか、今・・お昼前か。前は混み合う時間帯で無かったのね・・・・・・・ん?、何アレ?。
よく見ると、モニターの横の店舗と店舗の間に、古い小さなほこらがあり、中に小さな侍の像がひっそりと入っていた。周りの人は感心がないのか、全員スルーだった。水やお供え物もなく、花すら手向けてなかった。ルカは近づいてみる事にした。
ルカ:うーん、私的には、“これ”の方が“名所”になると思うけど、今のこの状態じゃ、目立たないわよね・・・ん?、立て札に何か書かれている?。
小さなほこらの横に小さな木の札が立てられていた。そこには、こう書かれてあった。
「この地を鎮護せし守護神。像の姿にて体現せり。その名、『神威』」
ルカ:え!?、この名前・・・がくぽさんの名字じゃないの!。・・・・って名字と名前の一致であれこれ決めつけるのは良くないわよね。でもいいわ、メモしとこ。
ルカは書かれていた事と、ここの状況を簡単にメモした。
ルカ:うわー、なんか本当のミステリー探偵みたいね、これ。ますますwktkしてきたわ!。それにしてもこの商店街、きらびやかな所と、こういうミステリーな所が混在しているのね。よし!、次にいこ。
(???)
???:く!?、なんであんな目立たない物まで見つけちゃうのよ!。仕方ない、一応、札の文章は消しておくか。
謎の尾行人物は、ルカの姿がいなくなったのを確認して、札の文字をマジックで塗りつぶし、その後、すぐに尾行を再開した。
***
(木之子神社)
ルカ:うわー!、大きな銀杏の木!。しかも2本!。
ルカの前には黄色の葉を付けた、2本の銀杏の大木が立っていた。また、この神社そのものも、綺麗にされており、大きめの神社でもあった。
ルカ:さすがミリアムさんの情報“デートスポット”って言われるだけの事はあるわね。これだけ綺麗なら、彼女連れてきても恥ずかしくないわ~。この木も、霊木って感じで、凄く神秘的ね!。
おじいさん:有り難う、お嬢さん。
ルカ:貴方は・・・ここの神主さん?。
神主:いかにも、ここの神主をやっておるものです。でも、この銀杏の木をそういう風に見てくれる人がまだいたんですな。嬉しいことです。
ルカ:じゃ、やっぱり霊木なんですね。
神主:いかにも。この2本の銀杏の木はね、言い伝えでは、この神社が建てられた時からある、守り神みたいな霊木でな。同じ大きさで同じような葉の付き具合をして、それに風が吹くと、同じ様な音でたなびくから、神社の者達は、これらの木の事を“鏡音の霊木”って呼んでいるんですよ。
ルカ:か、鏡音!?。さっきといい、ここといい、神主さん、これと同じ名前の双子の姉弟が喫茶店と土建屋をやってますよね!。なにか関係あるんですか?。
神主:?、ああ、鏡音さんの双子ね。確か、リンさんとレンさんだったかな。断定は出来ないけど、この神社の関係者ではないよ。偶然の一致、だと思うけど。まぁ、名前と同じ名字の人って沢山いると思うし。
ルカ:そ、そうですよね・・・はは(本当にそうなのかな・・・。これで連続2件目なのに・・・・。でも神主のおじいさんが関係を聞いたことがないっていうなら、やっぱり偶然なのかな・・・・)
ルカ:でもとりあえず、神主さんのお話、メモしていきますね。こういうの好きだから。
神主:あ、それは構いませんよ。これからも神社をご贔屓にね。特にお正月。
ルカ:ははは、神主さん、ちゃっかりしてるわね、お賽銭でしょ?。
神主:いやいや、それはご想像にお任せしますよ。
こうして、ルカはメモを終えると、街の人に聞いた名所スポットの最後、「広場の商店街広告用のモニター」に向かった。
(???)
???:まだどこかに行くのか・・・全く・・・・仕方ない次もつきあうか。
***
(広場の商店街広告用のモニター)
ルカ:ありゃー、こりゃ最後にハズレ引いちゃったわ・・・・しょぼ。
確かにそこにあったのは、今まで見てきた物の中で、せいぜいあの守護神の像と同程度の、一番目立たない小さなモニターだった。申し訳程度に商店街の広告を放送している位で、これといってミステリーとか幻想とかからは無縁の物だった。
ルカ:メイコさん、ブラックジョークきついよ・・・。確かに聞いたとおりに“目立たない程度が名所スポットレベル”なのね。広場に人はいるけど、誰もこの近くにこないし・・・。まぁいいや、一応メモして、なんか食べにいこう。
ルカがメモをしようとディバッグからメモを取り出した時、砂の嵐の音と声が聞こえ、モニターが歪みだした!。
モニター:ザーーーーー行方不明――ザーーーー―――今も懸命の捜索がーーーーザザーーーーーー旧木之子駅前の開発予定地付近―ザ―――――行方不明者の名前は巡音―――ザ―――年齢20歳くらいのーーーザザーーーー未だ足取りがーーーーーーー
ルカ:メモメ・・・・・え?、こ、これ、な・・なに?。どう見ても広告じゃないわよね?!。
モニター:他にも10年前からーーーーザーーーー連続で若者の不明者が続出―――ザー―――――聞き込み情報によると、全てこの近辺からーーーーザーーーー、不明者の一部――ザ―――初音―――ザ――――咲音――――ザーーーー工藤――他にビザ入国していた―――ザーーー外人講師―ザーーーー―帰化した外国人の二人――ザーーーーーーー
ルカ:こ・・・・・・このニュースのキャスター、大画面TVモニターでニュースを放送していた人!。じゃあ、ここで言われている事も・・・・・本当の事!。な、なによ!、「行方不明」って!、私はここにいるじゃない!、それに10年前からも行方不明って!。それも私が知っている人達って!。それに「“旧”木之子駅前の開発予定地」って!、ちゃんと駅あるじゃない!、商店街あるじゃない!!。
ルカは混乱して座り込んでしまった。
ルカ:はあ、はあ、な、なによ、このSFチックな展開・・・・あの放送の内容も本当で、こっちも本当で、行方不明なのに、こっちで生活もしている、駅も商店街も、あったりなかったり・・・・・。
ルカ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そ、そういえば、私、「商店街を出ていない」わ・・・。あ!、さっきの行方不明者で知っている人たちの話でも・・そういえば同じだった!!。
ルカ:え!?、もしかして“出なくていい生活”じゃなくて、“出ないようにされている生活”!?。
ルカ:そして、向こうでは消えている駅と商店街、そして消えている行方不明者は、知っている人だけでも、ここを出ていない・・・・!。
ルカはやっとこ冷静になり何かに気づいたようだった。
ルカ:・・・・お、落ち着くのよ、ルカ!。これが、この商店街の真実・・・・。「真実」・・・・・・・あ!、確か、あの掲示板に何か書かれてあったわよね!。えっと、メモメモ・・・・。
ルカはメモを確認した。
掲示板の怪しいメッセージ→「真実を知りし者へ。闇を切り裂く光、扱いし商い所の主が待っている」
ルカ:そ、そして、あの侍の姿をした守護神像の情報、
小さいほこらの侍の姿をした像→「この地を鎮護せし守護神。像の姿にて体現せり。その名、『神威』」
ルカ:・・・・・・・・そういう事だったの、解ったわ!。とにかく“あの場所”へ行ってみよう!。“あの人”に本当の事をちゃんと教えて貰わないと!。
ルカはメモをしまって、駆け足で“あの場所”へ向かった!。
***
(???)
???:こちら尾行担当!!!!、まずいよ!、気づかれたよ!!!。
???:すぐ戻れ!、対策を考える!。
???:うん!。でも、なんで、あのモニターだけ反応したの?!。
???:しらん!。とにかく戻ってくれ!。
***
ルカ:着いた・・・。私が今までちゃんと話を聞いていなかった人、そして、その人のお店!。
ルカ:「がくぽ」さんの「刀剣屋 神威」!!!!!。
(刀剣屋「神威」内)
ルカ:・・・・いるんでしょ・・・・・
包丁から刀剣類、業務用から装飾品まで、いろいろな刃物が飾ってある薄暗い店内の奥から、人影が近づいてきた。
???:君が来るということは、どうやら、“あそこ”で「真実」を見たようですね。ルカさん?。
ルカ:教えていただきますよ、貴方のこと、この駅や商店街の事、あの世界の事、わかってますね?、がくぽさん!。
がくぽ:勿論、承知しているよ。いや、むしろ、私の方が“待っていた”よ。
二人は椅子に座って、じっくり話をする事にした。
***
たこルカ:あーっと!、良いところで私たちの出番!。
はちゅね:残念ながら、「真実」が証されるのは次の話です!。
ひゅーん、ボコ!、ひょーん、バコ!、なんたら百裂拳!、波動拳!、マシンガンパンチ!
たこルカ:いたた・・、やっぱりこうなっちゃったか・・・すまぬ。
はちゅね:いててて、まぁ、字数と区切りの事があるので、勘弁して~!。
たこルカ:遂に「真実」に気づいたルカさん、そして全てを教える気でいるがくぽさん!。
はちゅね:そして、尾行していたのは“誰ら”なのか?。
たこルカ&はちゅね:お楽しみに~!。
***
CAST
巡音ルカ(ルカ)&たこルカ:巡音ルカ
鏡音レン(レン):鏡音レン
鏡音リン(リン):鏡音リン
初音ミク(ミク)&はちゅねみく:初音ミク
咲音メイコ(メイコ):MEIKO
工藤カイト(カイト):KAITO
神威学歩(がくぽ):神威がくぽ
プリマ:PRIMA
アン:SWEET・ANN
ミリアム:MIRIAM
アル:BIG・AL
ローラ:LOLA
レオン:LEON
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○ボーカロイド小説シリーズ第2作目の”ようこそ! きのこ駅前商店街へ!“シリーズの第4話です。マスターの“レン”、ウェイトレスの“ルカ”が営んでいる喫茶店“LEO”を中心に、ボカロ達の日常が展開する・・・かも知れないジュブナイルです。
○いつもの日常が崩れ始める!