No.254552

anxiety

侑炬さん

ばかっぷ…
いや、俺が書くもの基本バカップル前提ですが…

良くある風邪ネタです。

2011-08-02 02:17:20 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:10578   閲覧ユーザー数:10540

 

「ねえ、越前君知らない?」

いつもならお昼休みになるとすぐに屋上に来ているはずの越前が今日に限って現れないので不二は一年の教室まで降りてきた。

「不二先輩! 越前なら風邪で休みっすよ。」

「越前君が風邪・・・?」

「そう先生は言ってましたけど、不二先輩、越前になんか用っすか?」

「ん? ああ、なんでもないんだ、ありがとう」

不二は軽く礼を言うと屋上へと戻っていく。

「リョーマが風邪・・・ねぇ、らしくないな。」

屋上で弁当をひろげながらも、越前のことが心配なのかまったく箸がついていない。

「そうだ♪ お見舞いに行ってあげようvv」

そう思い立つが早いか、不二は携帯を取り出しどこへやら電話を掛ける。

「あ、姉さん? ちょっとお願いがあるんだけど・・・」

 

放課後になって部活が始まると同時に不二は手塚に声を掛ける。

「ねえ手塚、越前君が風邪を引いたらしいんだ。それでお見舞いに行きたいからさ、早引けしてもいい?」

「なにを言ってるんだ、確かに越前の容態も気にはなるが、都大会決勝ま・・・」

手塚の声が途切れる。なぜなら不二は笑顔ながらも他を圧する雰囲気を出しているからだ。

「・・・はぁ・・・ 分かった・・・言って来い。だが、基礎連には出て行くんだ、いいな。」

「分かったよ。ありがと手塚♪」

不二が部室に入ると菊丸が手塚に声を掛ける。

「なに? おちび風邪引いて今日休んでるの?」

「らしいな。」

「通りで不二、午後の授業上の空のはずだにゃ・・・」

「まったく・・・不二にも困ったもんだ・・・」

 

「周助! 頼まれたもの持ってきたわよ。それにしても今日は早いわね。部活は?」

不二が校門から出るとそこには彼の姉、由美子が待っていた。

「姉さん、ありがとう。部活は手塚が早引けにしてくれたんだ。」

「そう。それの届け先まで送ってく?」

「んー・・・じゃあお願いしようかな。」

不二は姉の車に乗ると目的地を告げる。

 

ピンポーン

「はーい・・・どちら様でしょう?」

「僕、テニス部の不二周助といいます。越前君が風邪を引いたって聞いたんでお見舞いに来たんですが・・・」

「あ、リョーマさんだったら裏に・・・」

「裏?」

スパーン、スパーン・・・

教えられた方に近づくとラリーの音が聞こえる。誰かがテニスをやっているようだ。

「越前君!?」

「げっ・・・不二先輩・・・」

不二が驚くのも無理は無い、風邪で休んでるはずの越前が自宅のコートで、父・南次郎と試合をしているのだ。

「越前君、風邪は?」

「もう治ったッス・・・」

「お、バカ息子の見舞いか? こいつ動きゃ治るって言って俺に試合を申し込んできやがったんだぜ。」

少し足元のふらついてる越前の打球を軽く打ち返しながら不二に話しかける。

「るっさい!」

やはり風邪の影響か、越前の打球にいつものキレが無い。

「まだまだだね~・・・ほらよっと!」

南次郎は多少反応の鈍くなっている越前の死角をつく。

「これで俺の勝ちだな。ほれほれ、病人はおとなしく寝てな。」

「・・・もう一回!」

「リョーマ。」

見ているだけだった不二が一言越前に言っただけでその場の空気が変わる。

「都大会は近いんだよ? これ以上身体を壊したらどうするの? 今は風邪を直すことを考えよう。ね?」

優しい言葉とは裏腹に有無を言わせない雰囲気が当たりに広がる。さすがの越前南次郎もこの空気に飲み込まれてるようだ。

「わ・・・わかったっス・・・」

「そう。よかった。じゃあ、部屋に戻らないとね♪」

言うか早いか不二は越前を抱き上げる。

「不二先輩!? なっ何してるんすか!?」

「足、ふらついてたよ? 僕が部屋まで運んであげるv」

「ちょっ先輩! 自分で歩けるっスよ!」

「いいから、ね?」

離して貰えないのを悟ったのか、越前は暴れるのをやめる。むしろこれ以上暴れれば自分にマイナスになりかねない。

 

「はいこれ。お見舞いに持ってきたんだ。」

越前をベッドに寝かしつけ、姉に持ってきてもらった物を差し出す。

「・・・アップルパイ・・・」

「うん。本当は僕が作って持って来たかったんだけど学校があったから姉さんに作ってもらったんだ。」

「どうもっス・・・」

すでに切り分けてあるアップルパイを一切れ皿に移し、フォークで一口分取ると越前の前に差し出す。

「はいあーんv」

「・・・先輩自分で食べれます。」

「んー・・・僕が食べさせるんじゃ食べれない?」

「そういうわけじゃないっスけど・・・」

「じゃあ、はいv」

一口大になったアップルパイを口の前に出される。越前はテレながらも差し出されたアップルパイを口にする。

「あ、おいしい・・・」

「でしょ? 姉さんの得意料理の一つなんだよ。」

越前が差し出されたアップルパイをすべて食べたのを確認すると不二は越前に問いかける。

「ねぇリョーマ、どうしてさっきテニスなんてやってたの?」

「体動かしたかっただけっス。」

「でも限度って物があるんだよ。風邪を引いてる君にあれはちょっとハードすぎる運動だと思うけど?」

不二は特に怒る気は無いらしい。

「自己管理が出来てこそ、本当のテニスプレイヤーだよ? これからは気を付けようね。」

「ういっす。」

「じゃあ、僕はこの辺で帰るね。あ、そうそう・・・」

帰りかけた不二は踵を返して越前の前に戻ると顔を近づけて言う、

「リョーマ、二人っきりのときは周助って呼んでって言ってるでしょ?」

いい終わると軽くキスをする。越前は反射的に顔を赤くする。

「ふふふ・・・ お休みリョーマ。また明日ね。」

今度はさっきとは違って深くキスをしてくる。

「んっ・・・ しゅーすけ・・・風邪うつる・・・」

「リョーマのだったらいくらでもうつっていいよv」

「しゅーすけのバカ・・・///」

「お休み」と言って不二は越前の部屋を後にする。

 

後には風邪とは別に顔を赤くし、幸せそうに眠っている越前がいた・・・

 


 
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