No.250244

『孫呉の龍 第二章 Brown Sugar!! 建業編』

堕落論さん

どうも、人生初の入院生活より帰還して参りました満身創痍の堕落論です(苦笑)
入院によってまたもや多少時間があいてしまいましたが申し訳ございませんですm(__)m
今回は一刀君VS呉の軍師’sと言う形でお送りさせて頂いております。お目汚しでしょうが一時の間でも読んで頂いたら幸いでございます。

2011-07-31 12:28:32 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:1799   閲覧ユーザー数:1531

玉座の間に於いての呉王孫伯符と他の諸将達との対面を無事? に終えた龍虎と気絶から覚めた一刀は、改めて孫呉の皆の前で自己紹介を行った後に今後の込み入った話を詰める為に玉座の間から円卓の置いてある会議室の様な場所に移動をしていた。

 

まあ、その後の玉座の間と、そこから移動中に些細な問題は発生したが、他に問題は無く主に文官、軍師達から選抜された者達と程普、周瑜の左右両都督、武官が数名、そして何故か龍虎に纏わりついて離れない小蓮と小蓮の護衛である周泰もその席にいた。

 

 

 

玉座の間と、そこから移動中にあった些細な問題とは……玉座の間で意識を失った一刀は、孫呉の諸将達の笑い声で正気に戻った後、

 

「あのぐらいで覚悟が揺らいだ挙句に昏倒だと全く、修行に手を抜きすぎたか……フッフッフッフッ……お仕置きの時間だべっ!」

 

何かが降臨した様な龍虎に昏々と説教をされたのである。しかし、それだけならまだしも玉座の間からこの会議室に移動をする際には

 

「ちょっとぉ! 紅蓮! なんで龍虎に貴女がそんなにベッタリとひっついてんのよっ!」

 

「そう言う雪蓮様こそ龍虎様が非常に歩きにくそうですので、龍虎様の右手をお放し下さいませっ!」

 

「いや……お前達どっちも歩くのに邪「「何ですって(でしょうか)!!」」…いえ、何でもありません」

 

と、言う雪蓮と紅蓮の龍虎争奪戦を目の当たりにして多少龍虎と距離を取って歩いた途端、程普、周瑜両都督の般若の様な顔つきに、それだけで人が殺せる程の絶対零度の視線を向けられ心底恐怖を感じ

 

「ど―――――――――ん!」

 

「ぐおっ!」

 

「「小蓮(さまっ)!」」

 

龍虎の首に向かって後ろから抱きつこうとして飛び込んできた小蓮には突き飛ばされて転がってしまう始末である。一方の龍虎の方も

 

「たっ・つ・と・ら――――――っ!」

 

「ぐげっ……尚香! く、く、首がっ!」

 

「ぶ――……何で姉様と紅蓮は真名で呼んでんのにシャオだけ呼んでくんないのよっ!」

 

「い……いや呼ぶも何も……お前まだ俺に真名教えてないだろうがっ……それより首、首っ! マジで絞まってるって……」

 

子犬の様にじゃれついて来る小蓮を力づくで離す訳にもいかずにそのままの状態で会話をしている龍虎ではあるが、なまじ小蓮の腕が細い為に綺麗に頸動脈の辺りに決まっているので洒落になっていない。

 

「にゅっ? そうだったっけ?」

 

対する小蓮は飽くまでもマイペースで龍虎の首を支点にしてぶら下がりつつ左右に身体を揺すっている。

 

「真名は小蓮って言うの。龍虎も皆と同じ様にシャオって呼んでね♪」

 

孫家の血なのであろうか、その碧眼の瞳をキラキラと輝かせながら嬉しそうに小蓮は龍虎に甘える。

 

「ああ……わ、分かったから……シャオ、頼むから首を……は、離せ……そろそろお花畑が見えてきそうだから……」

 

「んにゅっ? もう龍虎ったら照れ屋さんなんだからあ♪ 龍虎は会った時からシャオの名前だけは呼んでくれたんだもんねえ」

 

龍虎とシャオの微妙に噛み合わない会話は、この会議室に到着するまで続くのであった。

 

 

「ああ、酷い目に遭った……」

 

会議室の円卓に設えられた椅子に脱力状態で腰掛けた一刀が、龍虎に対して恨みがましい目を向けながら呟く。

 

「んっ……説教された事か? あそこまで醜態を晒したんだったら当然だろうが……」

 

「うぐっ……そりゃあそうだろうけどさあ……」

 

龍虎に痛い所を突かれて若干ふくれっ面気味の一刀であるが、龍虎は気にせずに言葉を続ける。

 

「まあ良い、まだ俺達のこの『外史』は始まったばかりだ、一刀を曹操の所に連れて行くまで多少は時間の余裕があるだろうから、それまでにはもうちょっと格好が付く様になっておけよ……でないと着いた早々愛しい魏の面々からも見捨てられるぞ」

 

「うぅ――っ、了解です」

 

龍虎の突きささる様な言葉に更に落ち込む一刀であった。

「さて皆も揃ったようですし、そろそろ話を始めて貰っても宜しいでしょうか? 御遣い殿」

 

ザワザワとした会議室に程普の声が響くと同時に円卓の皆に一様に緊張感が走る。最も絶賛落ち込み中の一刀と我関せずの龍虎には緊張感も何も有ったものではないのだが……

 

「程普殿、この御遣いと名乗る男が話を始める前に多少時間を頂きたいのだが宜しいか……コホッ」

 

円卓に着いた皆が一斉に龍虎と一刀の方へ意識を向けようとした時に龍虎達の正面、雪蓮の左側に侍る黒髪の女性が鋭い視線を龍虎と一刀に向けながら徐に話を切り出した

 

「この場での無礼を承知の上で、貴殿の話を聞く前にこれは私周公瑾個人としての意として伝えておく……先程我が王が貴殿をこの孫呉の友人として迎え入れる事を宣言したが、正直言って私個人としては未だ貴殿を迎え入れる事に関しては危機感しか持たぬ」

 

「ちょっ、ちょっと冥琳……」

 

断金と呼ばれる程の間柄であり、肝胆相照らす程の朋友の思いがけない言葉に、雪蓮が慌てて止めに入ろうとするが

 

「雪蓮……あなたの勘の良さは認めるわ。だけど……コホッ この件に関しては全面的に賛成は出来ない……と、言うよりは寧ろこの御遣いと名乗る男を孫呉に入れる事には限り無く反対の立場をとらせて貰うわ」

 

玉座の間での遣り取りの一部始終を心配そうに見ていた時の顔つきでは無く、孫呉の筆頭軍師として戦場に臨む時の様な何者をも一切寄せ付けない厳しい顔つきの冥琳に何事かを感じ取った雪蓮は

 

「訳を……訳を聞かせてくれるんでしょうね……冥琳」

 

多少震える声で冥琳に問い返す。

 

「ええ……良く聞いて雪蓮。先の大戦の終結時に我々孫呉は魏の曹操殿より、この孫呉の地である江東を預けられている立場なのは貴女も承知しているでしょう」

 

「そんな事……冥琳、今更貴女に言われなくても充分に承知しているわ。それと龍虎をこの孫呉に迎え入れる事と何の関係が有るのかしら?」

 

何を今更と言った顔で雪蓮は冥琳に言葉を返す。

 

「ならばそれと同時に曹操殿はその時に、大陸の平和を乱さぬ限りは我々に干渉しないと言った事を貴女は覚えているかしら……」

 

「冥琳、貴女……龍虎をこの孫呉に迎え入れる事が曹魏に対して裏切るつもりだと言いたい訳なの」

 

口を尖らせながら雪蓮は冥琳に対して食って掛る。

 

「勿論、私はそんな事貴女が全く思っていない事は重々承知だわ」

 

「じゃ、じゃあ何の問題が有るって言うのよ……」

 

「雪蓮。良く聞いて……私や、この場にいる全員は貴女が今更曹魏に対して裏切るつもりが無い事は言われなくても充分承知しているわ……コホッ でも、今この男を迎え入れる事については曹魏から見たらどう映るのかしら」

 

「うっ……それは……」

 

切り付ける様な冥琳の言葉に対して思わず雪蓮は言葉に詰まってしまう。

 

「武の才は際立っている、短時間で我々側近の者でさえ分からなかった貴方の心の奥底迄見通してしまう程の人物眼を持ち、恐らくは智の面でも我々には及びもつかない程の天の知識が有る事は充分考えられる……コホッ」

 

其処まで一気に言い放つと龍虎の方へと向き直り

 

「そんな常識外れの様な人物を、ただ此の地に迷い込んで来たと言うだけで、曹魏の了承も無しに我が陣営に加えたとなると要らぬ嫌疑を掛けられる事態が起こらないとも限らないし、大戦後同じ様な立場の蜀との関係も危うくなる可能性が多々あるのよ……」

 

孫呉の都督であり軍師でもある冥琳の至極真っ当な現状分析に納得がいかない雪蓮が猶も冥琳に突っかかる。

 

「でも龍虎の能力なんて、ここにいる者達ぐらいしか見てないじゃない……」

 

「そう……確かに今この場では私達しかこの男の能力の事は知らない……コホッ でも流星が落ちた事や、見た事の無い様な衣服の男がこの石頭城に入る所は民達に見られているだろうし、その民達の中には曹魏の間者も間違いなく紛れ込んでいるわ」

 

「間者も……」

 

「ええ、雪蓮。貴女だって分かっているでしょう。確かにこの国の王たる曹操殿は我々を形式上、呉、蜀其々を統治する者として認めてはいるし、在る程度の権限も与えてはくれているけれど、それは飽くまで曹魏の監視下に置かれた状態での事なのよ」

 

「監視下か……あまり気持ちの良い言葉じゃあないわよね」

 

「確かにね……でもそれが今の私達孫呉が置かれている状態なのよ……コホッ そしてその間者達が、この男の事では無いにしても流星が落ちた事やその後の城への珍客の事を魏本国に報告すれば……」

 

「報告すると……?」

 

「少なくとも私が魏の軍師ならば、流星について呉よりの正式な声明が無ければ、まずは呉に謀ありとみて間者を増やし様子を見て、自分達の国の害になると判断すれば何らかの理由をつけて圧力をかけるでしょうね……」

 

冥琳は今迄よりも更に感情の無い冷たい目つきで龍虎と一刀を交互に見据えて、抑揚の無い乾いた声で自分の考えを述べる

 

「それが、我々孫呉の臣達にかかるぐらいなら良いの……でも十中八九は、折角落ち着きを取り戻してきた呉の民達の生活に対する圧力になるであろうに相違ないわ」

 

そう言った後に冥琳はもう一度龍虎に視線を移し

 

「貴殿が本当に天の御遣いであるならばこれほど我が国に心強い味方もいないではあろうとは私も思う。しかし本物であった場合、曹魏に睨まれれば呉の民達に迷惑をかける事になりかねない……」

 

そこまで言った後、今迄よりも強い口調で

 

「よって私はこの呉の都督として、そのような危うい天秤に呉の民達を断固として乗せる訳にはいかない。したがって貴殿を呉に迎え入れるのを認める事は出来ない」

 

広い会議室に集う呉の重臣達に先程までとは別の緊張感が走った。

「よって私はこの呉の都督として、そのような危うい天秤に呉の民達を断固として乗せる訳にはいかない。したがって貴殿を呉に迎え入れるのを認める事は出来ない」

 

冥琳の声が会議室に響き、円卓に集う雪蓮以下孫呉の重臣達が一様に龍虎に視線を向けたその時、それまで一言も発せず冥琳を凝視していた龍虎が徐に言葉を発した。

 

「ふふっ、これはこれは周公瑾殿、御高説痛み入る……しかし、天下に名高い周公瑾と言えども敗軍の将となれば、その明晰な御考えにも陰りが生ずるか……」

 

「何っ……」

 

龍虎の揶揄する様な言葉に冥琳が鋭く反応するが、それを全く意に反さずに

 

「まあ、以前の袁公路配下の折には戦に負けてのものでは無かった故に牙を砥ぐ事も出来ただろうが……どうや手痛い負け戦と言うものを未だ経験なされた事の無かった公瑾殿には、よほどその負け戦が堪えているらしい……」

 

「ちょ、ちょっと龍虎! こんな席でなに挑発する様な事言ってんだよ!」

 

龍虎の席の隣に座していた一刀が一触即発な二人の雰囲気に慌てて止めに入る。龍虎はそんな一刀の気苦労も関係無いとばかりに猶も冥琳に向かい

 

「ああ、挑発したくもなるわなあ……一見正論を吐いている様に聞こえるが、要は曹魏の顔色窺いしなければ何も出来ぬと愚痴っているようにしか俺には聞こえんからなあ……周公瑾殿、なんならこの北郷にでも媚び諂ったらどうだ」

 

「貴様! 私を愚弄するかっ!」

 

「冥琳っ!!」

 

語気を荒げて龍虎に詰め寄ろうとする冥琳を今度は雪蓮が止めに入る。

 

「わっ、すっ、すいません周瑜さん。ほら龍虎も、もっと話し合いなら別の持って行き方があるだろう……」

 

「何を泡食った様な声出してんだ一刀……それよりもお前は曹魏が誤解されていると言うのにえらく呑気なものだな」

 

「えっ? 誤解? それってどういう意味?」

 

龍虎の急な話の振り方に思わずつられて一刀が聞き返すと

 

「本当に気付かんのか? 相も変わらず鈍い奴だな。そこの都督殿は、曹魏は素性の知れない者一人に対しても目くじら立てる様な裁量の狭い者の集団だって考えている様だがな……」

 

「なっ、何をいきなり……私はその様な事を考えている訳では……」

 

「そうかい? 俺にはそうとしか聞こえなかったんだがな」

 

「私はただ貴様の様な常人の物差しで測れぬ者をこの国に置く事の危うさを考えて意見を述べているのであって、決して曹魏に対して含む所があると言う訳では……」

 

「ふん、その様な考えを持つ事自体が顔色窺いだと言うのだ。最も自国の窮状も把握せず、曹孟徳の本質を見ようともせず、この国全体の将来像をも見えなくなっている今の貴様には御似合いかもしれんがな……」

 

「貴様っ! 言わせておけばっ!」

 

「冥琳っ! 龍虎もっ! 貴方達良い「もうそれぐらいで良いだろう龍虎」へっ……北郷……貴方」

 

龍虎と冥琳の険の有る言い合いを雪蓮が止めようとした時に、それまでは控えめに龍虎に対して目で自重を促していた一刀が何かに気が付いた様な顔で強引に止めに入った。

 

「どうもすいません、孫策さん……それに周瑜さん。ほら龍虎も、もうそれぐらいでいいだろう」

 

「なんだよ一刀……まだお前の出番じゃあ無いぜ」

 

「全く……龍虎がそんなんだから話が全然進まないんじゃないか……まあ、お前の気持ちはありがたいけどさ……」

 

「俺の気持ち……何だそりゃ?」

 

しょうがないなあと言う様な顔つきで龍虎を諌める一刀に、若干不満気な声で龍虎が毒づく。そんな龍虎を見ながら周りの呉の者達には聞こえない程の声で一刀は龍虎に確かめる。

 

「ここから先は俺の役目って事だろう……全く……したくもない挑発迄してさ……」

 

「ほう、そこまで頭が回る様になったんだったら大丈夫だな」

 

一刀の問いに先程迄のワザとつくった仏頂面を止めてニヤリと笑った龍虎は

 

「此処にいる奴等全員に見せてやれよ、曹魏の三軍師に勝るとも劣らないと貂蝉からお墨付きをもらった天の御遣い北郷一刀の現在の姿を……」

 

立ち上がって冥琳の方へと向き直った一刀の背にそう言葉をかけると再び腕を組んだまま瞑想に入るのだった。

「さて、まずは呉の国王の孫策さんに……俺達二人を保護してくれた事、謁見を許してもらいこの様に話を聞いてくれる場を設けてくれた事に関して厚く御礼申し上げます。並びに程普さん、周瑜さん両都督を筆頭に多忙な折にも関わらずこの場にお集まり頂いた諸将の方々にも同様に厚くお礼申しあげます」」

 

龍虎から後を受けた一刀が、雪蓮を筆頭にこの会議室に集う全員を見回して揖礼の状態を取って深々と己の頭を垂れた。

 

「おおっ……」

 

「曹魏の者が我々に頭を垂れた……」

 

呉王孫策が自分と龍虎の為にしてくれた配慮に対して一刀自身が感謝の念を示した態度に、会議室に居並ぶ諸将達が一様に驚きの体を成す。それを見た一刀は多少複雑な表情で諸将に問う。

 

「あのお……俺何か変な事言いましたか……?」

 

「あ~、あんまり気にしないでよ北郷……うちの文官の子達、特に今此処に集まっている子達はあんまり魏の者に対して免疫が無いから、どうしても先入観で物事を判断しちゃうのよねえ」

 

あっけらかんとした態度で雪蓮が一刀に掌をヒラヒラと振りながら説明をする。

 

「先入観……?」

 

今一つ雪蓮に言われた意味が通じずに一刀が首を傾げるのを見た雪蓮が

 

「ん~分かり易く言えば戦勝国の使者が属国の者に頭を下げた事に面喰ってるのよ、うちの子達は……」

 

「それってどんな先入観なんですか……」

 

一刀が若干抗議の色を含んだ声で雪蓮に聞き返すと、雪蓮が応えるよりも早く一刀の隣の龍虎が目を閉じたままで応える。

 

「この古代中国の時代は力が全ての弱肉強食の世界だ。酷い時は勝者が敗者の民族浄化を図る様な事だってあるんだ。それを考えれば支配する側が支配される側に居丈高に振舞う事は決して無礼でも何でも無いさ。現に俺達がいた天の国でも同じ様な事はどこででも起こっているだろう」

 

「うっ、そりゃあそうだけどさあ……」

 

龍虎の言う言葉の意味を頭では理解出来るのだが、どうも納得がいかない不満気な顔で一刀は龍虎を見る。

 

「まあ、華琳の側近たちがそんな事しないってのは我々武将達は理解しているけれど、文官達はそもそも魏の子達と頻繁に交流が有る訳じゃあ無いからねえ」

 

龍虎と一刀、二人の遣り取りを見ていた雪蓮が龍虎の言葉を補足するよう応える。

 

龍虎と雪蓮の言葉に顔を曇らせた一刀だったが、それもほんの一瞬の事で一刀は何かを決意した様に会議室の皆に向き直ると

 

「じゃあ、まずその辺の考えの相違って奴から正して行きましょうか」

 

その場に居る誰もが、遂、引き込まれそうな笑顔と共に言った。

 

「まずはこの場に集まっていただいた方々が何故、軍師や文官の方々を中心としてお集まりいただいたかと言う事ですが、これは今から俺達二人が話す内容を総合的に分析して頂く為に、必要な判断力や知識、その他を総動員していただく為に文官の方々を招集させていただきました」

 

「北郷殿……宜しいでしょうか?」

 

見た目は程普と同年輩ぐらいの落ち着いた雰囲気を持つ黒髪の女性が一刀に向かい質問をする。

 

「私は呉群太守の朱治君理と申します。北郷殿の話の腰を折る様で誠に不躾ではございますが、私と隣に控えるこの賀斉公苗は武官であるのに何故、この場に列席を許されておるのかお聞きしたいのですが……」

 

朱治と名乗った女性の隣には目鼻立ちだけでは無く全体のラインも女性で在る事を最大限に自己主張をしているかの様な美しい女性が、この部屋に集う者の誰よりも煌びやかな服装を身に纏い着座していた。

 

「ああ、朱治さんと賀斉さんは、この子義龍虎が御二人にはどの様な事があってもこの場に同席していただきたいとの事なので御出でいただいたんです」

 

「紅の御遣い殿が直々にですか?」

 

訝しげな顔で賀斉が一刀では無く龍虎の方を見ながら問い掛けると、それまでは腕を組み目を閉じていた龍虎が居住いを正し二人の方に向き直って

 

「先王文台殿の旗揚げ時よりつき従い、程普殿、黄蓋殿達と並ぶ孫呉の宿将であり、又、袁公路より独立する旨を進言する程の知恵者でもある朱治殿と、孫家に仕えられる前から山越達との戦いやその後の統治に於いて並ぶ者無しと謳われた賀斉殿には是非にでもこの場に御出でいただきたかったのですが御迷惑でしたでしょうか?」

 

「いっ、いえ迷惑などとは、その様な御無礼考えてもおりませぬ……」

 

じっと龍虎に見つめられながら言葉をかけられた朱治も賀斉も共に顔を紅潮させて俯いてしまい、朱治のみが何とか龍虎に返答する事が出来たが言葉は尻すぼみになってしまう。それを見ていた雪蓮がややふくれっ面になりながら

 

「ちょっとぉ、何で龍虎が君理や、公苗の事をそんなに詳しく知ってんのよ……それも天の知識なのかしら?」

 

「んっ、まあ、そんな所だ。どうした雪蓮? 気に障る様な事でもあったか? 悪かったな一刀、話の方を続けてくれ」

 

雪蓮の射る様な視線を完璧にやり過ごして、龍虎は先程の様に腕を組んで再度目を閉じる。龍虎に急に話を振られた一刀は眼前で展開されている妙に桃色な空気の武官二人と、やや嫉妬が混じっている様な孫家連合の灰色の空気を敏感に感じ取りつつも開き直って努めて明るい声を出した。

 

「あっ、ああ、では、まずは俺たち自身を理解してもらう事から始めましょうか……」

 

(まったく龍虎め、無意識に場の雰囲気のハードル上げやがって……孫策さんや、孫瑜さん、尚香ちゃん達の雰囲気が異常に怖いじゃないかよ……)

 

一刀の心の声は虚しく一刀自身の内に響くのみであった。

「あっ、ああ、では、まずは俺たち自身を理解してもらう事から始めましょうか……」

 

明るく気丈な声を出したつもりなのだが一刀の声は多少上ずっていた感が否めない。

 

「落ちつけよっ、ちゃっちゃと終わらせちまおうぜ白き御遣い殿」

 

現に隣で腕を組んだままの龍虎が、その様な一刀の姿をチラリと一瞥した後に苦笑交じりで激励だか、からかっているのか微妙な空気の言葉が投げ掛けられた。

 

一刀は落ち着く為に大きく深呼吸を一度すると円卓に座している皆を一通り見回した後、徐に話を始める。

 

「では手始めに皆さんの俺達に対する誤解から解いて行きましょうか……」

 

「誤解……?」

 

雪蓮を筆頭にこの場に居る者達が一刀の言葉に首を傾げる。

 

「そうです……恐らくこの場に居る大多数の人達が、先程の孫尚香さんの例を引き合いに出す迄もなく、俺の事を妖術使いの類と思われているんじゃありませんか?」

 

一刀はそう言いながら視線を冥琳の方へと移す。

 

その視線自体が一刀の誘導だと理解していながらも一刀の視線に促される様に赤壁で呉軍の軍師であった冥琳が口を開く。

 

「そう思われても仕方無いのではないのか、北郷殿。貴殿は赤壁の戦いのおりに私と今は亡き黄蓋殿が即興で立案した苦肉の計と、蜀の鳳統殿が己が智を傾けて考案された連環の計。大凡常人は元より、優秀な軍師達でも見破る事が困難な二つの策を瞬時に見破ったと言うではないか……」

 

冥琳は自分自身の中で未だ腑に落ちない点を直に確かめるべく、曹魏勝利の陰の立役者と伝わっている天の御遣い北郷一刀に舌戦を挑む様に問う。

 

「失礼ながら、貴殿は曹操殿旗揚げ時から付き従っている夏侯姉妹を別にすれば最古参の部類に入ると聞くが、主要な戦には全く要を成さず、武力知力共に一般の武官文官にも劣る人物であるのにも拘わらず曹魏の精神的支柱となるなど理解しがたい事が多すぎる」

 

当時の一刀の人物評としては、余りにも的を得たものであり正論である事を一刀自身承知はしているのだが、冥琳のかなり直線的な物言いに若干心が折れそうになる。

 

「また、以前反董卓連合の陣に於いて、我が主孫伯符が貴殿を見たおりには貴殿の印象を「覇気を感じず、才も感じず、只々凡人としか思えず」と我等に語っている事を思えば、貴殿が何かしらの妖術を使い三国全ての者達を誑かしているとしか考えられぬのだが……」

 

冥琳の口から出た、雪蓮の自分に対する人物評を聞いて、若干恨めしそうな目で一刀が雪蓮を見ると、当の雪蓮は悪戯が見つかった時の子供の様に顔が明後日の方向へと向いている。

 

円卓に座している者達の中には、先程の玉座の間での一刀の何も出来なかったうえでの気絶と、その後龍虎に一方的に説教されている姿が冥琳の人物評と結び付いているのか忍び笑いが漏れ聞こえてくる始末であり

 

一刀の眼下では肩を小刻みに震わしながら必死で笑いを我慢する龍虎の気配も感じられて、もう何だか泣きだしたい様な非常に切ない気持に駆られる一刀であった。

 

「ま、まあ、俺の情けない人物評は一先ず置いておいて……」

 

ともすれば静岡に住む某国民的アニメの少女の様に顔面に掛け線でも出そうな一刀であったが、なんとか気を取り直して事を確信に持って行くべく話を切り出した。

 

「取り敢えず俺は妖術なんてものは一切使えませんよ。孫策さんが言った通りのただの凡人です……」

 

「その言葉を額面通りに受け取れと……?」

 

冥琳の端正な顔が歪み一刀に剣呑な視線を投げ掛けて来る、一刀はその視線を真っ向から受け止めたうえで敢て笑顔で言葉を返す。

 

「額面通りも何も本当の事ですから偽りようが無いですよ……確かに俺には孫策さんの様な覇気も周瑜さんの様な才も、全くと言って良い程持ち合わせてはいませんからね」

 

「ならばその凡人と言い張る貴殿が、何故あの大戦の最中に我々の奇策をも上回る様な知恵を得たのか御説明いただきたいものだが……」

 

冥琳の言葉遣いこそ至極丁寧なものではあるが、戯言は一切許さないと言う気迫を言葉の節々に漲らせて一刀に迫る。

 

冥琳の凄まじい気迫を感じた一刀は、今一度円卓上をぐるりと見回すと自分を落ち着かせるべく目を閉じて俯いた後、自分自身に喝を入れる様に顔を上げて

 

「周瑜さん、貴女に一つ御聞きしたい事があるのですが……」

 

「何をいきなり……質問をしているのはこちらだと言うのに……」

 

一刀に話の腰を折られた格好になった冥琳は、あからさまに不快な表情を一刀に向ける。しかしその様な事を全く意に反さずに一刀は話を続ける。

 

「周瑜さん……今現在の貴女の力を持って楚漢の戦いで項羽を劉邦に勝たせる事は可能だと思いますか?」

 

一刀の口から紡ぎ出された言葉に龍虎を除いた円卓に座する者全てが困惑の表情を浮かべたのであった。

「周瑜さん……今現在の貴女の力を持って楚漢の戦いで項羽を劉邦に勝たせる事は可能だと思いますか?」

 

一刀は今迄とは全く違う真剣な眼差しで、冥琳を真っ直ぐに見つめて問い掛ける。

 

「ふっ……全く何を言い出すかと思えば、貴殿もそこに偉そうに座している紅の御遣いと名乗る輩と同じで私を愚弄するかっ!! 私はその様な馬鹿馬鹿しい戯言に付き合っている時間は無いっ!!」

 

暫し困惑の表情を浮かべた冥琳だが一刀の質問の内容が余りにも荒唐無稽な事に憤りを感じ声を荒げる。龍虎は冥琳の罵倒にも我関せずで瞑目したまま微動だにしない。

 

「別にふざけている訳でも、ましてや貴女を愚弄している訳でもありません。俺達の事を貴女達に理解して貰う為には大変重要な事なんです。どうか答えてはいただきませんか? 呉国軍師周公瑾殿」

 

激高する冥琳を相手にあくまで真摯な態度を崩さずに一刀は丁寧な口調で冥琳と相対する。

 

「冥琳……」

 

「雪蓮……」

 

尋常では無い冥琳の様子に雪蓮が心配そうに声をかけ、その雪蓮の瞳を見た冥琳もまた何事かを悟った様に落ち着きを取り戻して、一刀に答える。

 

「全く……そもそも項羽と劉邦の楚漢の戦いなぞ遥か昔の英傑同士の戦いであって、その戦いに何故この周公瑾が関わる必要があるのだ?」

 

幾分落ち着きを取り戻した冥琳ではあるのだが一刀の問いに対しての意味が今一つ掴みきれない。

 

「関わる……と言うよりも今現在の貴女の知識を持って項羽の下に付いたとして、項羽を楚漢の戦の勝者とする事が貴女に出来るかと言う事をお聞きしているんです。周瑜さんだけでは無く、この場に居られる皆さんにも同様の質問をさせていただきたいのですが如何でしょうか?」

 

一刀は冥琳の表情を見つつ、他の円卓上の者達にも問いを放つ。

 

どうにも冥琳が一刀の問いに対して気が乗らないままでいた時、隣の席に座していた質素な服装に身を包んだ赤毛の女性が声を発した。

 

「北郷殿、宜しいですか……」

 

「どうぞ……確か貴女は……」

 

「私は賛軍校尉の魯粛子敬と申します。只今の北郷殿のご質問、今現在の我々の知識と言う事でございましたが、それは呉広、陳渉による秦への蜂起から始まり紆余曲折を経て烏江で楚王項羽が自らの首を刎ねる迄の様々な事実を、我々が知識として共有していると言う事でございましょうか?」

 

真っ直ぐに一刀の瞳を射る様な視線で魯粛が、一刀の質問の意に沿う様な発言をする。

 

「はい、その通りです。おそらく此処に集う皆さんは『史記』……いや、この時代では『太子公書』でしたっけ? 前漢時代に司馬遷が編んだ紀伝体の歴史書には精通していると思われますが、そこに書かれている楚漢の戦いの全てを把握している事を前提として先程の質問に答えてください」

 

一刀は、自分が望む答えの第一段階を魯粛から得た事によって、いよいよ本題に進む為に話し出す。

 

一刀の問い掛けに、ほんの少しの間だけ虚空を見つめた魯粛は、その間に何かに気付いた様な表情で確認の意を込めて一刀に問い返す。

 

「くどい様ですが、北郷殿。畏れ多くも高祖劉邦様に於いては張良、簫何、陳平、韓信、黥布等の様々な人材が多種多様な兵法や謀を駆使して戦を行っています。それらの兵法や謀の全てを我々が承知の上で、何時如何なる時に漢軍が、どう動くかも分かっている事が前提なのですね」

 

「流石は呉国にその人在りと云われ、周瑜さんと並び称される魯粛さんですね。正にその部分が大事なんです。漢軍が、どの様な策を、何時、どの戦場で、どの様な意図を持って、どうしたのかを貴女方が全て知っている事が肝要なんです」

 

「ならば、この魯粛子敬不肖ながら北郷殿の問いに私見ながら答えさせていただきますが……」

 

一刀の言葉が終わるのを待って魯粛が言葉を切り出す。

 

「相手側の事前の行動が全て此方に分かっているとすれば、成る程、普段であるのなら事は此方側に優位に進むかも知れませぬが……何分にも戦は生き物でございますれば、状況は刻一刻と変化し不慮不足の事態が起こらないとも限りませぬ」

 

朗々と魯粛が一刀に向かって己の意見を述べる。円卓に座する者たちも魯粛の意見を吟味する様に誰も一言も発さない。

 

「又、兵法とは事が成功した時と失敗した時では、次に打つ手が全く違ってくるモノでございます。北郷殿の言われる様に漢側の動きが我に分かっているのは、あくまでも初戦のみでございます。あとは状況により我々が知り得る戦とは全く違った戦に変化して行くでありましょうし、それを我々の力を持ってして劣勢を跳ね返せるだけの策を考案できるとも思われませぬ」

 

魯粛はここまで一気に語り終えると、顔を俯け暫し考えをまとめる様な素振りを見せた後に、再度顔を上げて

 

「例え『太子公書』における全ての知識を諳んじられる様に我々がなっていたとしても、あの時代の楚王は天運無く滅びの道を転がり落ちて行く様なものであって、我々の力でどうにか出来るものでは無いのではないかと私は考えます」

 

そう言って魯粛は一刀に一礼をして着座した。

「例え『太子公書』における全ての知識を諳んじられる様に我々がなっていたとしても、あの時代の楚王は天運無く滅びの道を転がり落ちて行く様なものであって、我々の力でどうにか出来るものでは無いのではないかと私は考えます」

 

そう言って魯粛は一刀に一礼をして着座した。

 

「ありがとうございます、魯粛さん。非常に的を得た素晴らしい回答だったと思います」

 

魯粛の私見を聞き終えた一刀は笑顔で謝辞を口にした後に、ゆっくりと円卓を見回して

 

「確かに魯粛さんの言う通りで、戦は生き物であり不慮の事態が起こる事も多々ありますし、何気ない一つの事柄が変化しただけでその後の趨勢が一気に傾く事もあるでしょう」

 

一語一語を慎重に選びながら一刀は己の意見を話す。

 

「ですが、生き物の様に変化し続ける戦でも、後によくよく考えてみれば転機になった一戦が必ずある筈です。例えば先程例に挙げた楚漢の戦ですが、俺が考えるに何度かは楚軍が漢軍を倒す事が出来る乾坤一擲の好機がありました」

 

「鴻門の会と滎陽城の戦いだな……」

 

一刀の言葉に冥琳が素早く答える。

 

「そうです。まあ他にも探せば多々あるのでしょうが実際劉邦の命を取る事が出来る決定的な場面であった筈なのに、どちらとも劉邦は家臣の機転で難を逃れます。ではこの時に周瑜さん、貴女が先程の問いと同じ様に全ての行く末を知っていたとして、その場に……項羽の下にいればどうしましたか?」

 

「その場にいれば……だと?」

 

「はい、例えば滎陽城での戦いですが、中央突破をする紀信の姿を項羽は劉邦だと思い追撃する間に、当の劉邦は他の臣達と西門から脱出します。これを周瑜さん、貴女が全てを知っていてその場にいたら……」

 

「馬鹿馬鹿しい……その様な夢物語に何の意味があると言うのだっ! そもそも何百年も前の話に私がいて、その私が遥か先の時代から来た様に起こり得る全ての事を知っているなど荒唐無稽にも程があるっ! 何故貴殿は……はっ、まさかっ!」

 

あまりにも突飛な話に、流石に苛立ちを隠せずに口調を荒げた冥琳だが、真っ直ぐに自分に挑む様に見つめて来る一刀を見て、何か重大な事に気付いたかの様に一瞬にして顔が蒼白になる。

 

「どうやら気付いていただけた様ですね」

 

驚愕する冥琳の表情を見て、一刀は自分の考えが、頭脳明晰な呉の軍師に全て伝わった事を確信する。

 

「まさか……いや、その様な事……、しかし、それならば全ての辻褄が……信じられぬ……」

 

ブツブツとうわ言のように意味不明の言葉を繰り返す冥琳の様子に隣りの雪蓮が心配そうに声をかける。

 

「冥琳!! いったいどうしたのよ」

 

「ああ、雪蓮……いや……そんな筈が無いんだ……その様な事が出来る筈が……」

 

「冥琳! 冥琳! ちょっと北郷! アンタいったい冥琳に何をしたのっ!」

 

冥琳の状態が只事では無いと感じた雪蓮は一刀を敵意の宿った眼で睨み付け、円卓上の者たちも尋常ではない気配に騒然となった時。

 

「落ち着けよ、雪蓮。 周瑜殿は一刀の話を理解したが故に、ちょっと頭の中の整理が付かない状態になっているだけだ」

 

今迄瞑目し微動だにしなかった龍虎が冥琳の方を見ながら言葉を発した。

 

「何よ……それ……」

 

雪蓮は自分が状況を全く把握出来ない事に対してのもどかしさで言葉に詰まる。

 

「さて、周瑜さん。俺が楚漢の戦の例を持って話して、それによって貴女が辿り着いた答えは貴女からしてみれば到底予想もつかない事でしょうけれども、それは紛れも無い真実です。その真実を貴女はどうお考えになるのでしょうか?」

 

一刀は冥琳が落ち着くのを待って、ゆっくりとした口調で彼女に問う。

 

「ああ、取り敢えず貴殿が私に伝えたかった事は未だ信じられぬ事ではあるが、おぼろげながら理解は出来た。しかし本当にその様な事が起こり得るのか? どうして貴殿は我々呉では無く魏に現れたのだ……」

 

在る程度落ち着いたとはいえ、顔面は蒼白であり、一刀に質問する様子も、何時もの様に全てを理知的に処理して行く冥琳の姿では無い。

 

「どうして……と言われても、その辺りは全く俺には分からないんですよ。ただ気が付けば俺は陳留の荒野にいて、そこで陳留刺史の曹操に拾われただけですから……」

 

冥琳と一刀、二人だけにしか分かり得ない会話が続く事に、他の者達は一様に怪訝な顔つきで二人の遣り取りをジッと聞き入る。

 

「ああもう、何の事だかわたしにはサッパリ分からないわよっ! 冥琳! いったい北郷の何が分かったって言うのよ? 此処にいる皆にも分かる様に説明して頂戴」

 

その場の雰囲気に耐えきれずに雪蓮が冥琳に説明を求めると

 

「雪蓮……それに皆も……驚かずに聞いて欲しい。俄かには信じられぬ話だが、この天の御遣い北郷一刀という男は……我々が今暮らしているこの時代よりも遥か先の未来から此の地に迷い込んで来た者らしい……」

 

力無く冥琳が語った言葉を聞いて、円卓上に集う全ての者の表情が凍りついた様になった。

後書き……のようなもの

 

どうも、夏真っ盛りの中、人生初の入院生活を2週間も送ってしまった満身創痍の堕落論です(苦笑)

 

いやあ、学生時代から部活の後遺症で持病として椎間板ヘルニアを持っていたのですが春先頃からの職場での疲労の蓄積で遂に神経を圧迫したらしくて朝起きると左足に激痛が走ると言う悲惨な状態で歩く事が全く出来ずに、なんとそのまま救急車で病院に直行しました。

 

救急車なんて若かりし頃、就職先の同期の連中と六本木のショーパブで馬鹿呑みして急性アルコール中毒一歩手前の泥酔状態で乗って以来ですよ……ハハハハハハ

 

レントゲン、MRI、主治医の診察を一通り受けて出て来た答えは手術か二週間の入院かと言う事で一も二も無く入院へ……と言う訳で、まあこの暑い最中リハビリと食事療法と、顎と足首固定されて引っ張られると言う、おかげでン十年ぶりに背が伸びちまったじゃねえかよってな具合の入院生活を送らさせて頂きました

 

ユーザーの皆様も健康には本当に注意して下さいね、自分みたいに或る日突然不幸はやって来ますからね……トホホホホホ

 

まあ、なにはともあれ一月以上かかってしまいましたが『孫呉の龍 建業編』久々にお送りさせて頂きます。今回は前回気絶状態で全く出番の無かった一刀君が頑張っている話でございますが、どうでしょう? 多少能力値が上がっている一刀君を上手く表現できているでしょうか?

 

次回もまた一刀君頑張るってな具合の話になると思いますので気が向いたならば読んでやって下さいましね。

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

懲りもせずに今回もオリキャラを三人ほど出してしまいました。朱治さんに、賀祭さんに、魯粛さん云わずと知れた呉の将達でございますが

 

取り敢えず、次回の後書きに前回に出て来た程普さん、そして今回は殆ど出番の無かった孫瑜さんの簡単な設定を掲載させて頂きます。(知りたい人っているのかなあ?)

 

次回は一刀君VS呉の文官達後編を書かせて頂いて、その後に簡単な呉における龍虎の拠点√をやる予定でおりますがその際の相手選びの希望を次回の後書きで皆様からお聞かせ願いたいと思っております。

 

多少也とも興味を持たれた方はご参加いただければ幸いでございます。<(_ _)>

 

 

 

 

 

 

 

コメ頂いたり、支援していただいた皆様へ

 

毎度毎度拙い文に皆様からコメや、支援いただき本当にありがとうございます。結構おっかなびっくり書いている私には皆様のコメや支援が大変嬉しく又、励みになっています。

 

まだまだ駄目駄目小説家ではございますが今後とも本当に宜しく御贔屓の程をお願いいたします。

 

また、このssに対するコメント、アドバイス、お小言等々お待ちしております。「これはこうだろう。」や「ここっておかしくない??」や「ここはこうすればいいんじゃない」的な皆様の意見をドンドン聞かせていただければ幸いです。

 

皆様のお言葉が駄目小説家を育てていきますのでどうか宜しくお願いいたします。

 

 

それでは次回の講釈で……堕落論でした。


 
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