No.250186

GROW4 第二章 静謐なる棺

しゃなさん

やっと本選らしくなってきましたね

2011-07-31 12:03:12 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:470   閲覧ユーザー数:463

 

 

 1

 

 今回のバトルフィールドは、砂漠地帯のようだ。

 巨大な流砂があちこちに見られる。

 そんな中、一回戦第四試合が始まる。

 

 「第四試合目、始め」

 第一回戦第四試合、最縁我風(中尊寺学院1年)VS籠山三尋(流水学院二年)の試合が始まった。

 

 「まさか一回戦からこの学校に当たるなんてね。穏やかに済むといいけど・・・」

 「籠山三尋先輩、せっかく試合ですが、一瞬で終わらせて差し上げましょう

静圧魔人(フェゴリズム・マギアナイツ)」

 「え?」

 ボン

 我風の服装がアラビアンナイトに出てくる魔人のような格好になった。

 「コスプレなの?」

 「どうでしょうかね?静謐なる棺!!」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 「まさか、これは・・・」

 何かに気づく三尋さん。目の前にはファラオを模した、巨大な棺が現れる。

 「4000年前、エジプトで行われたという魔人儀式。対象の魂を対価にして、ファラオを

復活させる禁呪じゃないか・・・」

 「流石にお詳しいですね。では話は早い。あなたの魂を対価に、ファラオを復活させる・・・」

 両手を広げて声を荒げる我風。しかし、三尋さんは何であんなに落ち着いているんだ?

 

 「残念だったね。僕の魂なんてとっくの昔に闇に売っているのさ。今更どうこう出来ないと思

うよ・・・」

 「何だと?魂を闇に売る、ばかな?闇の魔法かなんかでもご使用なさってんですか?」

 ズズズズズッ

 「え?」

 三尋さんの周りを巨大な闇が取り囲む。

 「深淵の闇(しんえんのやみ)、妖(およずれ)・・・」

 「なんて濃い闇なんだ。予選の時とはレベルが違う・・・」

 「当然だよおにーさん。あんな狭い予選の会場で、真の闇なんて出してたら死人どころの話

じゃないよ・・・」

 三尋さんの闇はどんどん大きくなっていく。巨大なフィールドを埋め尽くすほどに・・・

 

 「おおっ、マジもんですかっ!本物を見るのはわたしも始めてですよ・・・

しかしー、良かったんですかねぇ・・・」

 腕を組んでニヤニヤ笑う我風。

 「どういうこと?」

 「ふふん。静謐なる棺が、その闇を喰らって復活するということです」

 「ばかな?そんな事例僕は聞いたことないよ」

 「特例中の特例ですよ。本来人間の魂を喰らって復活する棺のファラオ。復活させる条件は

人間の魂だけじゃないのですよ・・・」

 「まさか僕の闇の力で・・・」

 「ご名答。これでこの棺に眠るファラオは、闇の魔力を含むモンスターになりました・・・

お気をつけて戦いなすって。出てこい、闇の王者(ダークネス・ファミネスアテム)」

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

 

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ

 

 目の前に現れたのは、100mを優に超える巨大な黒い人型の塊。

 「ちっ、完全復活じゃねーみたいですね。まぁいいでしょう・・・

あなたを葬るには十分です」

 「一瞬で倒すとか随分とでかい口を叩いておきながらこの程度。本来、静謐なる棺の禁呪として

扱われた絶対勝利理由とは、相手の魂を喰らって相手に勝利すること・・・

一つ目の勝利条件を君は既に見逃している。」

 「あっ・・・」

 「そして二つ目、この闇の魔法の能力は、マスターシディアス卿が任意に認めた者にしか使え

ない。つまり、」

 「つまり?」

 「こういうことさ」

 ファラオに向かって手を翳す三尋さん。

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

 「ほう、そういうことですか・・・」

 ファラオは三尋さんの指示に従っている。

 「攻撃しろ!」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 我風を攻撃するファラオ。しかし・・・

 「邪魔だ、失せろ・・・」

 シャッ

 我風の斬撃か何かが、ファラオをばらばらにした。

 「あーあ。最強種も使えェですね。わたし自身が出無かねぇですと・・・」

 

 

 

 2

 

 「三尋先輩。このわたしが動いちまう以上、命の灯火が消える寸前までやらせてもらいますよ」

 本格的な戦闘態勢に入る我風。

 

 「あいつが自分で戦うことなんざなかなかねぇからよ。よーく見ときな」

 「棺で全部終わらせちまうからか、親父?」

 「そーだ。俺も棺で死にかけたなーーww」

 「・・・・・・」

 「だが、奴の恐ろしさはこれからだ。純粋な力だけならば俺よりも上だからな・・・」

 「そんな・・・」

 

 「闇の魔法。神と同等、またはそれ以上と謳(うた)われるほどの究極魔法。他の五属性に

一切属さないそれは、まさに一種の伝説とまで言われていたと聞く。

まさか存在していたとは驚きだが、わたしの上位禁呪、ファラオをあんなにあっさり封じるなんて

流石ですね」

 「今更お褒めの言葉なのかな?」

 「そうですね。一瞬では勝負はつかないでしょうね・・・

でも、わたしとまともに戦えますかね・・・」

 

 ゾクゾクゾクゾクッ

 「すごい殺気だね。怖い怖い・・・」

 「その余裕もすぐに混沌の底へと落としてあげますよ。炸裂する拳(レルカ・マージマリルー

サン)」

 「正直テンション上げないと、君みたいな化け物退治はできなくってね・・・

濃闇の連続手捌き(フレルド・イン・ダークネス・ワンダーネスハンド)」

 バババババッ

 飛んでくる爆裂パンチを、闇を纏わせた手で往(い)なしていく三尋さん。

 「常人ならこの拳に触れることすらできないんですがね。」

 「十分痛いよ。濃闇に届くなんて異常な気質だよ。さらに密度を上げる濃闇(フォルテミル

ティム・フレルド・イン・ダークネシオム)」

 「闇は無限に濃さを増す、か・・・

長引かせるとまずいですね。士魂狼藉(しこんらうぜき)、腐り出す大地(ドーブル・ミスト)」

 

 ジュワァァァァァァァ

 「砂漠が酸化しているのか?」

 「ふふふ。砂には大量の砂鉄が根瘤(こんりゅう)している。その砂鉄を腐らせたのさ。砂漠が

腐るとどうなっちまいますかねぇ?」

 「しまっ・・・」

 「黄砂燕麦高炉(こうさえんばくこうろ)」

 ドドドドドドドッ 

 「がはっ」

 足元の砂が腐ったせいで、足元を砂に取られてしまう三尋さん。その一瞬の隙を突かれ、鳩尾に

強力なパンチをくらってしまう。

 「あれをくらってまだ立ってるなんて、随分闇の身体は頑丈ですね」

 攻撃をまともにくらってしまった三尋さんだが、逆に砂に埋もれた足を掬(すく)い出せたみた

いだ。

 「正直一瞬意識が飛びかけたよ。君には闇の身体なんて関係ないのかい?普通なら攻撃すら

効かないのだけれど・・・」

 口から微かに赤い血を流す三尋さん。血が黒くないということは、肉体的にダメージを受けている

ということだ。

 「今の攻撃は無数の武術を合成し、なおかつこの砂漠というフィールドを利用した多元武術。

“数打てば当たる”みたいな連続攻撃ですよ。まともに闇に向かっても当たりはしないでしょう・・・」

 

 「なるほど、随分と戦い方がうまいよね。でも、闇はどんどん進行するもの。あまり長引かせると、僕の有利な展開になっていくよ。濃闇の進撃(フレルド・イン・ダークネス・レザルド)」

 

 「神の!?」

 ドドドドドドドドドドドドドドドドド

 「くっ、初見殺しか・・・

土遁大帯防御壁(どとんだいたいぼうぎょへき)」

 砂漠を利用した巨大な防御壁を、周り全体に展開する我風。しかし、

 「詰めが甘いよ・・・

防御破りの進撃闇(バーストミルディカム・ダークネス・レザリルディアード)」

 「防御破り?しかも戦術も何もない、闇を使ったごり押しですか?攻撃は最大の防御。

円柱状の浸透声(ヲークマルガルクス・ミマルクランジェ・ハウリングスヴォイス)」

 「浸透性(しんとうせい)の攻撃?防御を捨てて攻撃に転じたのか?」

 浸透性の攻撃は相手の攻撃を通過するが、闇の攻撃の防御にはならない。まだ何かしかけてくる

のか?

 「斬魔連動五進神(ざんまれんどうごしんろん)」

 ザシャァァァァァ

 「あんな至近距離で、見えない闇の進撃を相殺した?いや、完全には相殺できてないみたいだ」

 キィィィィィン

 「ぐぁぁぁぁっ」

 戦いに気を取られていて、時間差で来た浸透性のハウリングボイスをまともに喰らってしまった

三尋さん。浸透性の攻撃の特徴は防御不可能で実体をもたないこと。闇の身体は通常の身体と同じように、激しいダメージを負った。

 

 「ハァハァ。どうやらこちらが一枚上手だったようですね。こちらのダメージもかなり大きいですが、三尋先輩はかなりボロボロですよ・・・」

 確かに三尋さんは、身体の内部の器官まで攻撃を受けて、さっきから大量の血を吐いている。

 闇の魔法の特性のひとつである自動復活能力も、一瞬で回復するのではなく、半日は掛るので、

今はかなり厳しい状態だ。立っているのもやっとだろう・・・

 

 「僕はこんなとこで終われないんだ・・・」

 表情を引き締める三尋さん。その精神力は半端ではない。

 「素晴らしいですよ三尋先輩。最初に一瞬で勝つと言ったわたしのばかなセリフを訂正頂きたい」

 頭を下げ片膝を突き、右手を表に返して前に出す我風。

 「ありがとう、最縁我風。僕も君と戦えて誇りに思っている。だからこそ、次の一撃で勝負を

決めるよ・・・

完全なる闇(イン・ダークネス・コズモデフィリア)」

 ブァァァァァァァァッ

 完成された闇が、三尋さんを取り巻く。

 

 「そんな状態でこの素晴らしき力。素晴らしいです三尋先輩。こちらも次で終わらせます・・・

神に纏わる神々しき砲台(リムレスト・マージナルヴェリキムゴッド・リターマルセルドゥーマティリカ・ディヴァルグカノン)」

 ゴゴゴゴゴ

 両腕を合わせると、自らの両腕が巨大な砲台になり、力を集め出す。

 「纏いし闇に支配されるなかれ、忌々(ゆゆ)しき悪を葬(ほふむ)ることなかれ」

 シュラッッ、ばばばばばばっ

 「・・・・闇の・・・・皇后・・・・」

 その圧倒的な美しさに、わずかな言葉を溢(こぼ)す我風。

 三尋さんの今の姿は、それほどまでに美しかった。

 「いくよ我風。闇の息吹(ダークネス・ブレア)」

 「くっ、神臥砲漉花音(しんがほうろくかのん)」

 ドドドドドドドドドドド

 

 ふぁっ

 「参りました」

 ボシュッ

 砲台の攻撃は、一瞬だけ闇の追撃を止めたものの、フィールドすべてを埋め尽くす圧倒的な

力の前にそれ以上、なす術がなかった・・・

 

 「勝者、籠山三尋」

 

 フィールド全体に舞う闇の華。それはまるで、いままで戦っていた相手を讃(たた)えるかのような、見事な満開の蒲公英(たんぽぽ)だった・・・

 

  

 

 3

 

 その後三尋さんは安静にするように言われ、しばらくベットで休むそうだ。二回戦は明日なので

問題ないだろう。

 

 そして、次の第一回戦第五試合目も、うちの学校のメンバーだ。

 天埜美琴神威(冷門1)VS御狩懈刹那(流水1)

 

 しかしすごい名前だな天埜美琴神威。天にいながら神を威を狩るもの・・・

 見かけは、魔法騎士(マジックナイト)レ〇アースっぽい服装に、背中まである白銀の髪、深紅

の目、身長は140cm前後の女の子だ。

 いったいどんなふうに戦うのだろうか・・・

 

 二人が試合フィールドに立つと、フィールドが変化する。

 「ほほう、わたしにぴったりの場所だな・・・」

 そう言って剣を取り出す神威。そのフィールドとはコロッセオ。古代から、賭博や罪人の裁き、

決闘場として使用されてきたというドーム型の巨大施設だ。

 そんなコロッセオの中には様々な拷問器具や、檻に閉じ込められた猛獣などが無数に用意されて

いた。どうやら自由に使っていいらしい。

 

 「刹那といったか、今日はいい試合ができそうだ。いい目をしておる」

 刹那さんに向けて楽しそうに言う神威。

 「こちらこそよろしく頼むよ。一回戦で負けることがあれば、会長に見せる顔がない・・・」

 チラっとこちらを見る刹那さん。小さい声でよく聞こえなかったな。

 「ふふふ。あのフェルティマが一目置いている御人か。なるほど、学校の長だったか、どうりで

ただならぬ視線を感じたわけだ・・・」

 「うーん。それはまた・・・」

 (会長コノヤローーーー)

 「刹那?どうした?何やら震えているな・・・」

 「ああ。一刻も早く、会長に文句をいってやらんと気が済まないよ。ロリコン紳士め」

 「・・・・苦労してるね・・・」

 同情をして、刹那さんの肩に手を置く神威。

 「この後良かったらどこかに行かないか?コーヒーでも奢(おご)るぞ」

 「すまないな神威。でもいいよ。会長にすべて買わせるから・・・」

 「表はツンデレ中はデレデレというやつか・・・」

 「なっ!?わたしはそんなことないぞっ」

 

 「あのー、そろそろ始めてもいいでしょうか?」

 審判すいませんねww

 

 「あっ、済まない。始めてくれ」

 律儀に謝る神威。

 

 「で、では。第五試合目、始めっ」

 

 「話は後だ、刹那。今はバトらないとな。鋼鉄御捌き(こうてつみさばき)」

 ガキン、ガキン、ガキンッ

 「ちょっ、神威?」

 神威は猛獣の檻を次々と壊し始める。

 コロッセオの檻の数は18、つまり18体の猛獣を檻から放つつもりだ。

 「はっはっはっ。楽しくなってきたな、刹那」

 すでに18つの内6つを破壊された。

 猛獣は縦横無尽にコロッセオを駆け回る。

 「くっ、零無(レイム)っ!四式零殿(よんしきれいでん)」

 青い棒を取り出す刹那さん。零殿でフィールド全体を凍らせようとするが・・・

 「やってくれる。土超丸抜き(どちょうまるぬき)」

 キュゥーーン、ズバシュッ

 「ばかなっ?」

 神威の斬ったのはコロッセオだった。凍っている範囲を対象に、そこだけを丸く切り取った。

 「こんな止め方が・・・

しかし、また凍らせればいい。四式・・・」

 ギラッ

 ゾクゾク

 「なんだこの締め付けられるオーラは?」

 ガシャァァァァァン

 氷のフィールドが空から降ってくる。

 「刹那。じゃまをしないでくれたまえ」

 最後の檻を破壊した神威は、ゆっくりとこちらに歩いてきた。

 

 「おっと。殺気を出し過ぎて怖がらせたかな?」

 ニヤリと笑う神威。

 「いや、逆にありがたかったよ。これで気が引き締まった・・・」

 「それはどーもでした。それよりも刹那。わたしの剣戯とその妙な棒術。どちらが強いか決着

をつけようか・・・」

 ジャキッ

 「ああ」

 ビッ

 お互いに武器を構える。二人の周りには、18体もの猛獣が、二人に向かって来ていた・・・

 

 

 4

 

 次回予告

 

 やっと力の均衡した戦いが見れて、本選って感じになってきました。

 神威と刹那の決着の行方は次回です。

 

 次々に強力なバトルが控えていてネタがないなーww

 

 ではでは次回

 

 GROW4 第三章 天真爛漫(てんしんらんまん)女子高生ちゃんは武器を使っても最強なんだよ

 

 ではでは次回

 


 
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