No.237121

GROW3 第十三章 体育祭、武道大会最終日part7

しゃなさん

今宵の吸血鬼は怖ろしいものなり・・・

 武道大会もついに準決勝二試合目、あとは決勝を残すのみとなった。

 そこで、午後六時を迎えた会場に、真の闇を纏う吸血少女エイミー。

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2011-07-27 11:51:32 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:402   閲覧ユーザー数:395

 

 1

 

 午後六時を過ぎると暦的には夜の部類に入る。現在の季節は6月。多少日は長いとはいえ

そろそろ夕日も沈みだす時間だ・・・

 「さて、今宵は夜の帳(とばり)へと君を誘(いざな)おうかい。」

 エイミーさんは両手を大きく広げて言う。その身体には、強力な魔力が充満していた・・・

 「吸血鬼の時間ね。日光を気にしなくなったの間違いじゃないか?そもそもたいして変るも

んかね・・・」

 「力自体はそこまで変わらない。ただ、軽く興奮状態になるのさ。思いっきり暴れても、

再生速度が昼よりも上がってるし、太陽を気にしない分、影を展開する必要もない・・・」

 「つまり、多少魔力が上がっただけであまり変わらんというわけだな。くだらないなまったく

昼までも厄介な生物がこれ以上強くなんなよ」

 「無駄話をしたね。だが、その少しが問題なんだよね・・・

まあ戦えば分かるさ。闇夜を纏いし吸血鬼の力が・・・」

 「まあわたしは楽しめばいいさ。吸血鬼退治も悪くない。妹の敵もあるしな」

 

 そう言う二人。衣さんは、吸血鬼対策とやらは立てたのだろうか。

 

 「始め」

 

 「雷電崩華(らいでんほうか)、吸血鬼殺しの一本槍(グルロマデイライトウォーカ・

バナキスミロヌス)」

 「それは吸血鬼殺し?なるほど、まずは再生能力を欠きに来たかい」

 槍をエイミーさんに向かって投げる。衣さんは投げると同時に、身体に電気を纏わせエイミ

ーさんの背後へ移動する。

 「ずいぶんと速いね」

 雷速で動く衣さんに、後ろから羽交い絞めにされ、身動きが取れなくなるエイミーさん。

飛んできた槍が心臓を貫く・・・

 「ぐっ、これは効くね・・・」

 「えらくあっさり喰らってくれたじゃないか。ハンデのつもりか?」

 「いやいや、どれだけのダメージか確かめたかっただけだよ。で、この程度、と・・・」

 バチバチィ

 刺さった槍を抜いて、手で握り潰すエイミーさん。確かに攻撃を受けた場所は、ダメージ自体

はあるもののほとんど効いていない。

 「何?あれで心臓を貫かれたんだぞ、かなりのダメージの筈。それに吸血鬼といえど、心臓

は、他の場所よりも再生速度を含め弱い筈なのに・・・」

 困惑する衣さん。わざと攻撃を受けたエイミーさんに対し、わけが分からないでいる。

 「最初に言ったよね。吸血鬼の真の力が出ると。吸血鬼が人間と最も違う点、それは

再生能力。今のわたしの再生能力は昼間の数千倍に値する。そんな程度の攻撃じゃ、たとえ

心臓を打ち抜いたところで何のダメージにもならない・・・」

 そんなことを言っているうちに、さっき受けた傷が再生した。

 

 圧倒的な再生能力。これが今のエイミーさんの力だ・・・

 

 

 

 2

 

 「なるほどね。つまり、強力な攻撃を再生速度以上で打ち込めばいいわけだ。」

 そう言った衣さんは唱え始める。

 「鬼雷槍(きらいそう)、一千億ボルト、充電開始・・・」

 バリバリバリバリ

 「何をしているんだい?そんな高圧電流を更に高めて。身体が溶けるよ・・・」

 「へへっ、溶けねぇよ。溶けるのはお前だ。正直人間相手は禁止されてんだがお前なら

何の問題もねぇな吸血鬼ぃ!一兆ボルト、充電完了。鬼雷槍・・・」

 ドシュッッ

 

 「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああっ」

 

 「なっ、何をやっているんだい?自分に刺すなんて、死ぬ気かい?」

 あろうことか、衣さんはその槍を自分に突き刺した。強力な電流が衣さんの身体を駆け巡る。

 そして・・・

 シュゥゥゥ、バリバリバリバリっ

 「かんせーい。人工雷神の完成だ。覚悟しろよ吸血鬼、今のわたしを取り巻く電圧は、

百兆ボルト以上だ。常人なら触れるだけで即死だな・・・」

 身体を黄金色に輝かせる衣さん。本人は何ともないようだ。

 「おねーちゃんのあの禁呪が発動しちゃったよ。急いで強力な結界を張らないとわたしたち

まで死んじゃうよ・・・

あれは動き出すと、周囲一キロの生物を消しちゃう技なんだよ。何をしなくても・・・

しかも戦いが激しくなるほどおねーちゃんの電圧はどんどん上がるんだよ。吸血鬼さんが

死んじゃうよ・・・」

 エイミーさんの心配をし出す文辺ちゃん。以前この術を受けたことがあるのだろうか?

周りのみんなに忠告を入れる。

 そんな文辺ちゃんに、衣さんは言う。

 「問題ない。このフィールドのみにしか影響はない。結界も張ってあるしそっちに被害が

及ぶことはない。安心しろ・・・」

 「うん」

 

 「なるほど。その電流でわたしを粉々にして復活させないと・・・

面白いね、どこまで持つかな・・・」

 「お前が、だろ。放電装飾六式、卍ガブラ」

 どどどどどどど

 「なっ?この電圧を自由に操ってる?」

 卍形の電流が、エイミーさんを取り囲むように広がりだす。

 「これだけの電流、操れないとでも思ったか?集中力が違うんだよ!

喰らえガブラ。雷電飽食末梢豪加狼藉(らいでんほうしょくまっしょうごうからうぜき)」

 「ぐっ、なんて電圧。核が粉々になりそう・・・」

 激しいダメージを受けているエイミーさん。一分以上に渡る高圧電気が身体を襲う。

 「これだけ受けて、身体が原形を留めてるってどんな構造だ?まあいいさ、さっきの

吸血鬼殺しの術式も混ぜたこの電気をどこまで耐えられる?」

 「冷徹なる雷(アルマレアーテ・ボルドム)」

 ビキビキビキビキ

 「何?電撃が凍りついていく?中で何をしてやがる!」

 パキャァァァン

 パラパラパラパラ・・・

 ・・・スタッ

 

 「かなり効いたよ衣ちゃん。やってくれる・・・」

 電撃を凍らせた後、破壊して出てきたエイミーさん。少しずつだが身体が再生している。 

 「まったくあれだけしといて倒れないって何者なんだよww

しかも凍らせて脱出なんて普通じゃないね・・・

何をやっても倒れないんじゃないの?」

 「ダメージ自体はかなりのもんだよ。意識も飛びそうになったけど、電撃のせいで

逆に飛ばなかったね。某ガッ〇ュ!!に出てくるゼ〇ンのバル〇ルド・ザケ〇ガみたいな

感じだったね・・・」

 「まったく。夜の吸血鬼は面倒だなまったく。文辺が面倒くさがって試合止めた理由も

何となく分かるよ。もはやチートだからなその能力」

 「そんなことないよ。それに昼なら今ので勝ってたね衣ちゃんが・・・

でももうほとんど再生し切っちゃったwww」

 「何?速すぎだろww

ふざけんな」

 「つまりはわたしを気絶させばいいんだよ簡単な話。でも衣ちゃんの電撃だと目が覚めるね」

 「つまり勝つのは無理だと・・・」

 「うんwww」

 「貴様ふざけやがって。まあいいさ。わたしの電力はどんどん上がるんだ。今はほざいてろ」

 

 再び攻撃を仕掛けようとする衣さんよりも、エイミーさんが先に動いた。

 「知ってる?溜まった電気に外からの静電気を翳(かざ)すとどうなるか?」

 「まさか貴様?やめろっ!!」

 「効果摩擦。」

 名前はかっそよさげだがやってることは、下敷きを自分の髪に擦りつけているだけだ。

 バリバリバリバリ

 その静電気に呼応して、衣さんを取り巻く電流が反応し光り出す。

 「こんなところで理科の実験は止めろ!くそ、電気が流れきる前に攻撃してやる。

7000億ボルト、五十嵐天狗(いがらしてんぐ)」

 巨大な天狗が現れる。天狗は強風を起こしエイミーさんの下敷きを飛ばした。

 「まだストックはたくさんある」

 「どこの先生だよww

一直雷電撃(いっちょくらいでんげき)」

 一直線に伸びる電撃がエイミーさんの身体を貫いた。

 「ぐっ、今更こんなちんけな攻撃が効くと思うかい?」

 「十分効いてるように見えるなあ。吸血鬼の再生は無限じゃぁないといったのはあんただ。

さっきの攻撃。一分以上の連続電撃の時。身体が原形をとどめていたのは、ずっと身体が

破壊と再生をし続けていたからだ。だからあんたはあんなに疲れていた。

そしてこんな弱い攻撃も膝を付くほどに体力を消耗している。違うか?」

 その問いに対し、エイミーさんは悔しそうに答える。

 「その通りだよまったく。一兆ボルトなんてきついよねまったく。禁呪とは参るよ・・・

だが君も電気を消費し過ぎなんじゃないかい?」

 「心配御苦労。この膨大な電気から、普段使う分だけ取ればいいだけ。実質増えたくらいさ。」

 「なるほど、吸血鬼のわたしが勝てないわけだ・・・」

 ドサッ

 すでに丸焦げ状態だったエイミーさんは、電撃のせいで半ば無理やり意識を保たされていたの

だろう。とうとう地面に倒れてしまった。

 さっき受けた傷も再生できずに・・・

 

 「勝者、織物衣」

 

 「まったく、禁呪は頭がガンガンするぜ。すこし休憩させてくれ・・・」

 そう言うと、衣さんはその場で寝てしまった。起きなかったらどうするんだよ。

 

 

 

 3

 

 これにより、決勝戦の二人が決まった。

 一年生、孔雀院舞華VS二年生、織物衣

 

 剣術と電撃の戦いが始まる。

 

 

 

 4

 

 次回予告

 

 次回、剣術と電撃が交差する中物語は新章へと突入する。

 決勝戦の行方とは?

 

 そして、本選メンバーを一挙に発表

 はたしてその面々とは

 

 新章間近、決勝戦はGROW3 第十四章 体育祭、武道大会最終日part8にて

 

 ではでは

 


 
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