No.236846

【ほむあん】 てっきりあなたは鉄骨専門だと思っていたから

ふいに 図書館 というワードが浮かんだので書いたSS。

2011-07-27 10:05:30 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:862   閲覧ユーザー数:850

☆☆

外は、ぎらぎらと太陽が照り・アスファルトの照り返しは蒸し暑く。

暑さを紛らわす為の打ち水は、飛沫が体にかかるばかりで実際に効果があるのか判らない。

木に止まっているセミは、ミぃンミぃンと喧しい。

……まぁ、、セミは一週間の命なのだから、色々言うのは勘弁しておいた方が良いだろう。

「…暑いわね……」

季節は夏。 花火やアイス、プールが似合う季節。

私は汗を拭いながら、図書館へと向かっていた。

 

――なぜ暑いのに外に出てるのか?

 

家にいてもクーラーを使って電気代が高くなるだけだし・それに……理となってしまい、もうこの世界には存在しないまどかの事ばかり考えてしまうからだ。

まぁ、、別に図書館じゃなくても、涼しい場所で・最も魔獣が出現る夜まで時間を潰せる所なら、どこでも良いのだけども。

などと考えていたら、図書館が見えて来た。 停車ボタンを押して・立ち上がり・かざすタイプのバスカードを機器にのせ、バスを降りた。

さすが、県庁の目の前にある県立図書館。 目の前にバス停がある。

ムダに歩かなくていいのが素晴らしいわね。

「……さて、どうしようかしら」

1階のカフェでまったりと過ごすのも良いけど、殆ど窓際にしか席がないし……。

そうだ、魔獣の情報を得る為に、新聞を読みあさるのも良い。

魔獣が起こした事件はたまに不可解な事件として、新聞に載る事がある。

だがそれはごく稀な事。何故なら、殆どの人は事件に気付かないし・起こす前に私たちが倒しているからだ。

 

……でも結局は小説か・画集を読むか、2階のインターネットルームにいるのよね。。

あぁ、、これだけ暑いのなら、2階の端にある丸いソファーでまったりと寝て過ごすのも良いかもしれない。

私は画集を手に取って、2階へと至るエレベーターに乗り込んだ。

――決めた。 夜まではここで画集やらを読んで、あとはソファーで寝て過ごそうじゃないか。

……杏子や理に導かれたさやかもいるなら、 あんただらだらし過ぎじゃあないか って言われそうね。。 ……キリカ辺りには、有限な時間を云々言われそうだ。

良いじゃないか、こんなにも暑い夏なのだし、夜までの体力を残しておきたいのよ。

エレベーターが2階に至った事を知らせ、扉がゆっくりと開かれた。 伸びをしながら、目指すのは隅にある丸ソファー。

空いていて・寝転げれるスペースがあれば良いのだけれど……。

そんな事を考えながら、長い通路を歩いて行くと丸ソファーには既に先客がいた。 ……しかもゴーカイに寝ている。

…………というか寝てるのって……、、

「……杏子?」

 

 

……まさかこんな所に佐倉杏子がいるなんて思いもしなかった。

図書館で遭遇しそうな人と言ったら、マミと仁美と織莉子ぐらいだと思っていたから、びつくりして言葉が出ない。

………………というか、杏子と考えていた事が同じだったなんて考えたら腹が立って来た……。

……………………起こそう……。。

「…………」

右腕を杏子の頭の上に持って行き、ソウルジェムからバックラーを発現させる。

まどかが理となってからは、時間施行や停止の魔法は使えなくなったけれども、バックラーだけはリボンと同じく改変される前の世界から持ち越されていた。

最も今のこれは、ドラ○もんよろしくよく回る四次元小楯でしかないが。

まぁ、、暑い日にはからからと回して、涼を感じることが出来たり出来なかったりする。 ……というか、うざったいだけで涼なんか全然感じない。

とにかく、私はバックラーから氷袋を2袋取り出し、杏子の顔と首付近に落とした。

「…うぅ……」

「…………」

「…っ……うぅ……」

「…………」

「…つ……ゥっっめったァッ?!」

「反応遅いわね」

数分後、杏子は飛び起きた。氷袋を落とした箇所は青くなっており・水滴が現れている。

「…あー……あ?」

「おはよう。 杏子」

 

「…………ほむらか…」

「驚いたわよ。 こんな所で寝ているんだもの。 私、てっきりあなたは鉄骨専門だと思っていたから」

私は杏子に対して喋りながら、床に落ちた2つの氷袋を回収する。 こんなモノを持ち込んでいたら、何を言われるか判らないからね。

「…あのな、今夏だぞ。 暑くて熱くて寝てられるかよ」

「……『ぜんぶおぼえられるかよ!!』…?」

「んなこと一言も言ってねぇよ」

杏子はそう言いながら伸びと欠伸を同時にする。

欠伸一つでもこうも可愛くみえるとは……。 キリカが杏子を猫に例えたのも判るわね。

「というより、あなた夏の昼間はずっとここにいたの?」

「まさか、図書館を転々としてんだよ」

「…この辺りの図書館と言うと、、風俗店と保育園の近くにある所よね」

「そうだけど…やっぱヤらしいなあんた……」

「…た、たまたま目印がそこだっただけじゃない」

「はーいはい、そーしときますよ」

杏子は両手を上げる素振りをしてニヤりと笑う。

だが仕方ないじゃないか。あんなにもデカい3文字の『 サ ウ ナ 』の看板だから、目印に使えるじゃないか……。

 

 

「というか、、そんなに入り浸っているとブラックリストに載ってそうよね」

「…………確かに、このところ寝て・起きたら、エプロン付けたヤツにじろじろ見られてる気がするな……」

杏子は顎に手を当てて、うんうんと鳴いて、考える素振りをする。

それはあなたが本も読まず、ただ寝に来てるだけだからじゃないかしら……。。 と言おうと思ったが、止めておこう。

「…………そうね。 良かったらだけど、泊まりに来ない?、夏の間は面倒みてあげるわよ。 暇だし」

「なに?!、春と秋と冬も頼む!」

「1年はさすがに嫌だわ。 …食費がバカに高くなりそうだし……」

杏子の応対をしながら周りを見ると、確かに職員がこちらをじろじろと見ていた。

…………もしかして、ここはこの子の指定席だったりするのだろうか。。

……というか、、これまで私もそんな目で見られてたんだろうか。

「……魔獣狩りまで時間があるし、、帰らない?、ご馳走するわよ」

「お!、いいねぇ。言っとくけどあたしこう見えてもグルメなんだぜ~」

「…そうね。 飲食店街の路地裏の生ゴミを貪ってそうだわ」

「さすがにんな事してねぇよ!!」

「……ごめんなさい。 今のはジョークよ」

「…ぜってぇに許さねえかんな」

「そう言いながらもついてくるのね」

「…悪りぃかよ?」

「いいえ。 ……悪くないわ」

 

そういえば、手に持ったこの本はどうしようか。

……借りるのもいいけど、そこまで読みたい物じゃないし、返しておこう。

でも、それより――、、

 

今度の……いや、久々に訪れた夏は、楽しい日々になりそうだ。

 

 


 
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