1
ついに準決勝まできた武道大会。
籠山三尋、この男が相手となると、流石に一筋縄ではいかない。
舞華はじっと試合開始の宣言を待つ。
「まさか舞華が上がってくるなんて思わなかったよ」
そんなことを言い出す三尋さん。
「じゃあ三尋さんはだれが上がってくると思ったんや?」
「もちろん会長かな。結構期待してたのに残念だよ・・・」
「なっ!?まさか試合でBLルートに入ろうやおもとったんか?」
「・・・・」
「反応してぇやぁーーーーーー!!」
「・・・・」
「何ちょっと顔あからめとるんやっ、ほんきなんか?」
「・・・・・」
「答ええや三尋さんーー」
「始め」
「おまえやないーーーーーーwwwww」
「さて、と。あんまり長引かせるのもなんだし。即効で終わらせるかな・・・」
「え?」
そう言うと、三尋さんは動き出す。
ばっ、
「闇の雷(ダークネス・ボルト)」
手をかざした三尋さんが、舞華ちゃんに電撃を放つ。その速度が異常過ぎる。
バリバリバリバリ
「くっ。どうなってるんやこのスピード?威力も普通の数段上やで・・・」
避けることのできないスピードの電撃に、思わず表情が歪む。
「僕の魔法には闇の魔力が込められている。普通よりもスピードもパワーも段違いだ。
さてさて舞華ちゃん。低級呪文あたりでサレンダーしたらどうかな?
今の攻撃もかなり手加減したんだよ・・・」
「上等や。こんなんで本気やったら興ざめやで!」
歯を出して笑う舞華ちゃん。扇子を取り出して唱える。
「剣術か。リーチが違いすぎる・・・」
先ほどとは違い、純粋に刀を創り出す舞華ちゃん。長さは三尺10寸とかなり長い。
「なるほど。リーチを剣の長さでカバーか。闇の剣(ダークネス・ソード)」
三尋さんの身体から黒刀が出てくる。
「なっ?剣術でウチと勝負するきなんか?」
「君を少しだけ闇へと誘(いざな)ってやる。闇は人間の畏(おそ)れだ。自我が崩壊する前に早くサレンダーしなかったことを後悔してね、舞華ちゃん・・・」
シュラッ
真っすぐに向かってきている三尋さんだが、身体が歪んであちこち黒くなっている。
「そんな単純なもんでウチの剣術は破れへんよ。死線六角舞厳(しせんろっかくぶげん)」
六本の曲がる斬激の動きがランダムに三尋さんを襲う。
「いい感じだね。闇の進撃(ダークネス・レザルド)」
キュキュキュキューーーン
「え?」
三尋さんは斬激の嵐の中を、平然と歩いて近付いてくる。まるで何もないように、
ゆっくりと・・・
「ありえない!あれだけの剣檄を防御もなしに進んでくるなんて・・・」
「防御してるさ、今もまさに・・・
君たちには見えるかい?これが神速、つまり神の進撃の一種さ。肉眼で見える筈がない」
「そんなばかなことが・・・」
「神の進撃、治郎右衛門も使っていたあの・・・」
エイミーさんが言う。
「そのとおりだよ。この技は本来、神の天敵の能力の一種だ。だが、神と同等以上を誇るこの
闇の魔法なら可能だ。」
「神と同等の能力?」
「そうだよ。そのかわり闇は危険だからね。みんな手を出さないんだ・・・」
そんなことを言っている間に、三尋さんが舞華ちゃんの目の前に来ていた。
「ごめんね、僕の勝ちだ」
「まだやっ。この距離なら十分攻撃が当たる。一刀流最強種奥義、
次元切断(じげんせつだん)」
高く振り上げられた刀は、そのまま扇を描くように降ろされる。その速度はすさまじいもの
だった。
ズバーーーーーーン
三尋さんの身体が真っ二つになり、血が大量に出た。
黒い血が・・・
ドロドロドロ
「次元を斬り裂くほどの剣術か・・・なるほど・・・」
「うそやろっ!どないなっとるんや?」
斬られたはずの三尋さんの身体がくっつき、何事もなかったかのように立ち上がった。
「あんた人間やなかったんか?」
復活にありえないという態度の舞華ちゃん。斬られた人間が復活する筈がない。
「人間だよ、一応・・・
しかしひどいなぁ。僕じゃなかったら死んでたよ・・・」
「くっ」
そんなふうな態度を見せる三尋さんは、どうみても普通の人間にしか見えなかった・・・
2
「この身体は闇の魔法の一つ目の追加効果さ。自分自身の身体が実体を闇持たない闇になる。
つまり君の攻撃は僕には当たらないわけだ。
さっきみたいに覇気が籠(こも)った攻撃なら当たりはするものの、ダメージにはならない・・・つまり、僕にダメージを与えるのは実質不可能というわけだ・・・」
「違うな。」
答えたのはエイミーさんだ。
「確かに闇の魔法は一見無敵に思えるが弱点もある。実態さえ捕らえられればダメージも
与えられるし再生もしない。どんなに高度な魔法でも必ず弱点があるのは理だ」
そういうエイミーさん。
「そのとおりだけど、試合中にアドバイスは困るよエーちゃん。」
「ごめんよ」
「闇の魔法の弱点・・・」
そう呟く舞華さんだが、
「これの弱点が分かったところで勝てる筈がない。」
そういって、近距離で剣を振りぬいた三尋さん。
ギィィィィン
「くっ」
とっさに止めた舞華さん。しかし、剣を闇が浸食してくる。
「実体のないこの剣を止めるなんて流石だね。でも長くはもたないよ・・・
闇の進撃!!」
ドドドドドドド
「ああああああああああああああああああああああっ」
見えない攻撃に吹き飛ばされる舞華ちゃん。攻撃が速すぎて目視できない。
「そろそろ限界だよね。闇の円撃(ダークネス・ラークエルド)」
円状の闇の攻撃が、いくつも襲い掛かる。
ギラッ
「有志一線(ゆうしいっせん)」
ズパシュッ
「なっ」
闇の攻撃を一線する舞華ちゃん。何かが吹っ切れたようだ。
「無我の境地か。すべてを無にし、飛んでくる攻撃だけを受け流す。面白い、どこまでそれが
通用するかな?闇の進撃っ!」
ふわっ
「雷線居合(らいせんいあい)、無限落とし」
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギン
「へへっ。何度もしてくるから完全に見切ってもうたわ。さて、お次は何してくれるんや?」
もはや斬れるものはないとばかりに言う舞華ちゃん。しかし、使っている刀はかなり闇に
侵されている。
「まったく、一年の成長の素晴らしさは僕も眼福するよ・・・
今の君なら本選でも素晴らしいところまで行けるだろう。成長が楽しみだよ・・・」
そう言うと、三尋さんは後ろを向いてフィールドから降りていく。
「何してるんや?まだ終わってへんでっ」
「僕の用があるのは本選だ。ここでこれ以上君に教えることはない。それに・・・」
「それになんやの?」
「僕の深い闇をこれ以上知ってしまうのは困る。とくに今の君には・・・
僕はあくまで試合の相手であって敵じゃない。子供みたいにがっついたりしたくないよ」
そう言ってフィールドを降りていく三尋さんに、舞華ちゃんはお願いをする。
「最後に一度だけ強い攻撃をしてきてーな。このままじゃウチ、全然勝った気にならへんもん」
「分かった。その代わり、死んでも知らないよ・・・」
3
舞華ちゃんの提案で、再びフィールドに立った三尋さん。
「いくよ・・・」
「お願いします」
「濃闇の黒龍の息吹(フレルド・イン・ダークネス・ヴェルギムドラグム・ストラドゲルディム)」
黒龍の息吹が深い闇を帯びて迫ってくる。
ばばばばっ。
舞華ちゃんは目の前に剣を四本並べる。
「四刀流奥義、縁の四吟舞、膳刀御拿羅部(えにしのしぎんぶ、ぜんとうみならべ)」
ズパンっ
四本の剣戯が強力なドラゴンの攻撃を四方へと斬り裂いた。
「見事っ!」
三尋さんは手を叩いて言った。
「君の勝ちだ、舞華ちゃん」
「ありがとうございます三尋さん」
「勝者、孔雀院舞華」
「あのままやってたらやばかったんじゃない?」
「松。確かに成長とは恐ろしい。途中での次元斬り、あのときとっさに防御しなければ負けていたよ・・・」
「だと思った。まぁいいんじゃない?後は一年にお任せするのも・・・」
「戦うのは吸血鬼と二年だけどね」
「ふふふ。予選からこんなだと、今年の本選はかなり危ないかもね・・・」
「僕はそのほうがいいよ。必死に闇を取得した意味がない」
「闇、ね・・・」
4
時は進み準決勝二試合目
織物衣VSエイミー=エヴァンスの試合が始まろうとしていた。
すでにバトルフィールドに立って向き合う二人。
衣さんにとって少し戦いづらい相手といえる。
「まさかここで戦う相手が君になるとは思っていなかったよ・・・」
「なんか申し訳なかったかい?」
「いや、そうじゃないさ。ただ、吸血鬼対策をしないとだな・・・」
「気軽になさってww
でも、現在の時刻は午後6時。そろそろわたしの時間ですよ・・・」
「夜の訪れか・・・」
5
次回予告
GROW3 第十三章 体育祭、武道大会最終日part7
予選もあと二試合ですね
ではでは
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生徒会四天王唯一の男である籠山三尋
その内に秘める最強種の能力とは・・・
ほとんどかんがえてないでしww
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