(十面埋伏の計の部隊割りを変更します。真桜と沙和は単独で部隊を率います)
「絶対に帰って来てやー、隊長まっとるでー!」「がんばってなのー」
「二人も気をつけろよ」
真桜と沙和に見送られ、誘導担当の俺達は晋との前線へ行軍を始めた
風の十面埋伏の計、それは深追いする敵を誘導し
左右に伏せた10の部隊の味方が敵を殲滅するシンプルかつ効果的と思える作戦だった
だけど、計を成功するには敵を確実に釣らなければならない
そのための最適な餌は・・・・北郷一刀、自分自身だ
「緊張しているのか?」
秋蘭が声をかけてくれた
「・・・・大丈夫、心配かけてごめん」
自分を餌として前線で戦うことは覚悟ができてる
それだけならこんなにも緊張することはなかっただろう
「春蘭のことがさ」
晋の前線部隊を率いているのは春蘭らしい
春蘭のことだから、俺の姿を見れば一目散に追撃するはずだ
だけどそれは、春蘭を危険に晒してしまうことにもなるわけで・・・・
「姉者はやわではないさ。そのことは北郷が一番知っているはずだろう」
「・・・・・・そうだけど、さ」
春蘭の強さは理解してる1さ
だけど、左目の時みたいなこともある
このまま春蘭を罠にかけて・・・・・本当にいいのだろうか
そんな空気を感じ取った桂花は
「ふん、あの馬鹿は殺したって死なないから心配するだけ無駄よ
そんなことより、白蓮ごときに大役を任せるほうが心配だわ」
「ごときとはなんだごときとは!」
「本当に白蓮で大丈夫なのかしら・・・・」
誘導部隊に参加したのは
俺、秋蘭、桂花、そして公孫賛さんの4人
公孫賛さんには最も機動力のある騎馬隊を率いてもらう予定になってる
「こんなに危険な役を受けてもらって、ありがとうございます公孫賛?さん」
「なぜ名前が疑問形なのかは置いといて・・・・最善を尽くすよ北郷殿」
公孫賛さんの役
後方に桂花と控え、桂花の合図と共に俺と秋蘭を騎馬隊で救出
俺を餌に春蘭を引き付け誘導すると言う、まさに今回の作戦の要と言っていい大役だった
それにしても、どうして風は馬超さんや趙雲さんではなく公孫賛さんを選んだんだ?
「それから北郷殿、私のことは白蓮と呼んでくれ」
「それって真名ですよね。いいんですか?」
「ああ、お互いこの戦いで命を預けるわけだし、それに、季衣が北郷殿を認めている。なら何も問題ないさ」
「・・・・分かりました。よろしく白蓮さん」
「よろしくな、北郷殿!」
・・・・・そういうことか
この作戦は信頼関係と連携が重要だ
元太守だった白蓮さんなら初対面の俺でも受け入れてくれるし、信頼も作りやすい
これが馬超さんや趙雲さんだったら、こうもすんなり真名の交換なんてできなかったはずだ
風はそこまで見通していたんだ
「信頼する仲間・・・か・・・・・よし、いける気がしてきた」
進軍を続けた俺達の前に現れた晋の大軍
それは今までに見たこともない規模だった
「成都の一戦以上の規模だな・・・・」
晋の大軍には数え切れないほどの旗があがっている
華琳の奴、一体どんだけの兵力を投入したんだ
「いくぞ北郷」
「ああ」
秋蘭に促され、秋蘭と俺は先頭に立ち敵軍に見せ付けるように振舞った
「晋の皆聞いてくれ!!俺は北郷一刀、かつて天の御遣いと呼ばれていた者だ!!!」
俺の名乗りを聞くと晋軍に動揺が走った
「北郷様だって?」「生きていらっしゃったのか?」「北郷様がお帰りに・・・・」
よし、うまい具合に動揺してくれてる
「俺は北郷一刀、一度この世界から消えはしたが、皆と共に戦った日々を忘れたことはなかった。そして今・・・・」
言葉を続けようとしたその時だった
「ほんごぉぉおおおおおおおおおおおおおお、貴様あああああああああああああああ、ガァァァアアアアアア!!!!」
あのどす黒いオーラ・・・・・・春蘭なのか?
「あ、あれが、春蘭なのか?」
「北郷を救出した時と同じか、姉者は正気ではないようだ」
秋蘭は弓を構えると春蘭に向け矢を放った
放たれた矢は正確に春蘭めがけ降り注ぐも春蘭は素手で矢を掴んでしまった
「素手かよ・・・・」
「私から離れるなよ北郷」
「あ、ああ」
春蘭のオーラに圧されながら、俺は震える手で真桜特性の剣
日本刀を手に取った
秋蘭の矢を素手で掴んだ春蘭は矢をもった手を振りかぶると、馬の上から俺に向け放り投げた
唸りを上げ一直線にこちらに飛んでくる矢
時間がスローモーションになった気がして、嫌な汗が背中に流れるのを感じ取った
やられた
そう思った次の瞬間、矢は秋蘭の矢によって撃ち落されていた
「気を抜くな北郷、来るぞ!!」
春蘭の矢の投擲を合図に晋の大軍が前進を開始した
俺は後ろに控える皆に激を飛ばす
「この一戦で全てが終わるぞ!生き残って、平和な世を俺達が取り戻すんだ!!!」
「「「「「「おおおおーーーー!!!!」」」」」
俺達は晋を迎え撃つ態勢を整えた
「夏侯淵隊、放てー!」
秋蘭の号令と同時に矢の雨が敵に降り注ぐ
矢は敵を確実に減らしているが、それは晋のほんの一部でしかなかった
今度は晋側の矢が放たれる
俺は腹のそこから大きな声を出した
「全軍盾を構えーーー!」
降り注ぐ矢に盾をかざす
真桜特製の軽い盾は俺達を矢から守ってくれた
「真桜に感謝だ。重装歩兵前へ、敵の騎馬隊を食い止めろ!!」
矢を耐えた俺達は次に重装備の歩兵を前方に出し騎馬隊の突撃に備える
「北郷は私の後ろに、いつでも戦えるようにしておけよ」
「ごめん秋蘭・・・・・」
「!?」
「春蘭は、俺が食い止める」
「な・・・馬鹿なことを言うな北郷。お前ではとても・・・」
「勝てる気はしない、けど、なぜか食い止めるぐらいならできる気がするんだ」
秋蘭が驚いた目でこちらを見ている
まともに戦いなんてしたことのない俺が春蘭を食い止める
そんなことを言えば驚くのは当たり前だと思う
けれど、今の俺なら春蘭と戦える気がするんだ
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