No.229190

真・恋姫†軍記録~The Human Weapon ~ 「始」

見習い卒業条件達成!!………になるのかな?w

一応、今までのはプロローグではあります。

時間軸を述べるとするならば、真・恋姫†無双のアニメ版の二次小説になります。

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2011-07-20 18:59:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1196   閲覧ユーザー数:1123

松明の明かりが無ければ、そこはまさに暗黒の世界。

 

人は本能的に闇を恐れ、光を求める。

 

それはどの外史、異世界、平行世界でも共通する物。

 

この三國時代になぞられた外史もまたしかり。

 

松明の光が無ければ闇道は歩けない、行動も出来ない。

 

しかし、今、洞窟内を散策している血染めマントの男は違った。

 

まるで最初から賊達の居場所が分かっているかの様に、足音は愚か、気配すら完全に殺して複雑にいりくんだ洞窟内を闊歩していた。

 

そして、他の場所とは異なる、少し広い場所の眼下に賊達がいた。

 

どうやら近隣の村から略奪していった資源と水、食料を用いての大宴会。

それを眼下では、賊達がお祭り騒ぎ、各々の焚き火を囲み酒を交わし、飯を喰らい、欲望を満たしていく。

 

まるで餓鬼だ、人の形を具現した獣。

 

だが、男は嫌悪はするものの、マスクの下では表情一つ変えることもない。

 

広場を観察し、いかに迅速に賊達を抹殺できるか。

 

「……………」

 

広場、眼下故にそこは窪地、ならばその奴等の表情を歓喜から苦痛に替える方法………。

 

 

それは…………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

毒ガスしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男はマントの中をまさぐり、両手には空き缶位の銀色の鉄筒を左右に三本づつ、計六本の鉄筒を保持し、それを一本づつ、投げた。

 

鉄筒特有の渇いた音が僅かに反響するものの、下卑な笑い声や宴会騒ぎの中でそれに気が付く者は、いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ビラン剤起爆筒、点火準備………」

 

男は一人、右手に保持したスイッチを握り、その瞬間を見定める。

 

 

そして…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………点火」

 

 

カチリ、と渇いた音が洞窟内に響いた瞬間、それぞれ放った鉄筒から大量の煙が散布され、それは一瞬で広場を侵食し、充満する。

 

賊達はこの緊急事態に、ただ、騒ぐしか出来ない。

 

わめき散らす悲鳴、罵声や怒号、やがて訪れる咳き込む声。

 

次はビランによって肌が焼けただれ始めた。

 

この異常事態、例え賊でなくともビランを知らない人間ならばパニックを起こすだろう。

 

「な、なんだ!! 何なんだ一体!?」

 

「わ、わからねぇ! いきなり煙が出たと思ったら、こんな!?」

 

「ぐ、ぎゃぁぁああああああああ!!? か、身体がぁーー!!身体が溶けるぅー!! ! 焼けるぅーーー!!!」

 

「た、助け、あ、がぁ! あ、あぁぁああああ!!」

 

「く、苦しい、た、タスけてくれぇ!」

 

大宴会から地獄の竈、そんな地獄の底を男はなんの興味を示さず、マスクの中で冷徹な瞳でそれを見下ろしていた。

 

暫く続いた阿鼻叫喚も、数十分経過すれば小さな者になった。

 

ビラン剤では人間は死なない。皮膚が爛れ、想像を絶する激痛と苦痛が支配する。

 

「………………」

 

男はおもむろに右手を翳(かざ)し、広場に向ける。

 

「………錬成、開始」

 

その言葉をついた瞬間、広場は突如爆発した。

 

何もかも焼き尽くす紅蓮の業火。

 

再度響き渡る死の悲鳴。

 

男は、それを見届けるかの様に、ただ、それを見下ろしていた。

 


 
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