呉、建業
「うーっす」
「ただいま~~♪」
一刀と小蓮は二人で建業まで来ていた。
「いらっしゃい。二人揃って突然どうしたの?」
一刀と小蓮の突然の来訪にそう言う雪蓮。
「ねえ、お姉ちゃん。思春いる?」
「?思春ならいつもどおり蓮華と一緒だと思うけど・・・何か用なの?」
「ああ、実はな・・・」
雪蓮にボソボソと耳打ちをする一刀。
「・・・って訳なんだが、どうだ?」
「・・・面白そうね」
ニヤリと笑みを浮かべてそう答える雪蓮。
「じゃあ呼んでくれるか?」
「いいわよ、ちょっと待ってなさい」
こうして雪蓮の呼び出しにより、思春は呼び出されたのだった。
当然のように蓮華も一緒だったのだが・・・
「姉様、思春に用があるという話でしたが・・・」
「ええ、それについては一刀から聞きなさい」
蓮華と思春は視線の先を一刀へ向ける。
「まずは、これを受け取ってくれ」
パチンと一刀が指を鳴らすと、兵士達が大きめの箱を持ってきて、思春の前に置く。
「・・・これは何だ?」
「俺からの贈り物」
「・・・誰にだ?」
「思春に」
「・・・・・・」
一刀に訝しげな視線を向ける思春。
彼に対して今まで好意的な感情を向けたことが全く無い自分に、彼が贈り物をくれるなどおかしいと思ったからだ。
「まあ、開けてみろって」
「早く早く」
一刀と小蓮が開けるよう急す。
「・・・・・・」
警戒しながら少しずつ開けていくと、その中には
「・・・おい」
「ん?」
「これは何だ?」
中に入っていた物
それは
大きなリスの着ぐるみであった・・・
「見ての通り、着ぐるみだ。桃香が着てたの見たことあるだろ?それとも覚えてないか?」
「いや、それは覚えている。私が聞きたいのは、これをどうしろというのか?と言う事だ・・・」
「・・・それについては雪蓮から言ってもらった方がいいだろうな。まだこの国の王だし・・・」
いまだ雪蓮から蓮華への政権交代は行われていなかったのである。
・・・と言う訳で、一刀からバトンを渡された雪蓮はこう言い放った。
「思春、貴方に重大な任務を与えるわ。その着ぐるみを着て、街に出なさい」
「・・・は?」
その言葉に、思春は目を丸くした。
「これから貴方には呉のマスコット、ベルちゃんとして街の子供達と戯れてもらうわ。きっと楽しいわよ?」
ニンマリと笑いながら心底楽しそうに言う雪蓮。
それに対し思春は
「な、何故私なのですか!?そのような仕事は私より明命や穏などの方が適役では・・・」
珍しく取り乱しながらそう言った。
「人選は一刀よ」
雪蓮がそう言った瞬間、殺気混じりの視線を一刀へ向ける思春。
「何だよ。子供は嫌いか?」
「・・・嫌いではないが、私は子供には怖がられてばかりだ。いきなりこのような事やらされたところで・・・」
「大丈夫だって。マスコットは基本しゃべらないし、全身スッポリ着ぐるみで覆われるから殺気とか出さなければ何とかなる!」
「しかし・・・」
いまだに渋る思春。
そこへ
「いいんじゃないかしら?私も見てみたいわ。思春がそれを着て子供達と遊んでいる所」
蓮華から意外な一言が。
「蓮華様!?」
思春はギョッとして蓮華を見た。
「あ、もちろん強制はしないわ。ただちょっと見てみたいと思っただけだから・・・」
後からそう言い直す蓮華だったが
「・・・分かりました。蓮華様がそうおっしゃるのなら・・・」
そう言って話を受けた思春であった。
「決まったわね」
「ああ」
雪蓮と一刀は笑顔で頷きあう。
「それじゃあ思春。早速それを着て街へ出てくれるかしら?」
「・・・承知いたしました」
「頑張ってね、思春」
「ハッ!」
蓮華の励ましにそう答える思春。
「何を人事みたいに言ってるの?貴方もやるのよ?蓮華」
「・・・はい?」
雪蓮の言葉に呆然とする蓮華。
すると一刀が再び指を鳴らし、兵士達が先程と同じくらいの箱を蓮華の前に持ってきた。
「一緒に頑張りましょう、蓮華様!」
蓮華が一緒と聞いて俄然張り切る思春。
「え?え?」
「うんうん。これで俺の計画もまた一歩前進だな」
「よかったね、一刀。蓮華お姉ちゃん頑張ってね」
「ちょ、ちょっと待って!」
「まさか思春にだけやらせて自分は嫌だ・・・な~んて言わないわよね?」
「う・・・」
辞退しようとした蓮華だったが、雪蓮の言葉に押し黙る蓮華。
結局、呉のマスコット計画も実行に移され
ここに
ラッコのシリンちゃんと
リスのベルちゃんが
誕生したのだった・・・
どうも、アキナスです。
マスコット計画第三弾になりました。
どんどん押し広げられていくこの計画
その先に待つ物は?
そして蜀のピーチちゃんは復活するのか!?
とにかく次回に・・・
「ゴーフラッシャー!!」
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さて、次のターゲットは・・・