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そらのおとしものf 番外編 『カオスのとある日常(いちにち)  里帰り編』

BLACKさん

※今回の話は「劇場版そらのおとしもの 時計じかけの哀天使」のネタバレをごくわずかにですが含まれています。
またその設定を作者の作品による独自設定と混ぜてはいますが、もしもそれが嫌だという方は見ることは勧めません。
この作品はアニメ「そらのおとしものf」の最終回後を二次創作で考えたものです。
原作キャラクターの性格や口調が一部変わっていたりするかもしれませんが、その事はご了承下さい。
またこの小説には作者の分身とも言えるオリジナルキャラクター(秋山総司郎)も出てきます。

2011-06-29 09:45:53 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:6253   閲覧ユーザー数:6130

ある日のこと。普通に智樹、イカロス、ニンフといつも一緒に登校するそはらが学校に行こうとする。

 

「それじゃあ、お兄ちゃん達……行ってらっ……」

 

いつも見送りをするカオスが突然倒れた。

 

『カオス(さん)!?』

「どうしたの? カオス!」

 

四人が倒れたカオスに駆け寄る。

 

「カオス、大丈夫か?」

「お兄ちゃん……」

 

そはらがカオスの額を触ってみる。

 

「熱っ! すごい熱!」

「ニンフ! すぐに氷持ってこい!」

「分かったわ」

「イカロスはカオスを布団に寝かせてくれ」

「分かりました」

「そはら、洗面器に水入れてくれ」

「うん」

 

智樹達は懸命にカオスの看病に入るのであった。

 

 

 

 

『カオスのとある日常(いちにち)  里帰り編』

 

 

 

 

 

 

「はあ……はあ……」

 

カオスは熱にうなされるように声を出す。

 

「カオスさん……」

「でも一体なんで……」

 

突然カオスが倒れてしまったので、戸惑う一同。

 

「とりあえず今日は私とアルファーはカオスの面倒を見るから休むわ」

「頼む」

「それじゃあ……」

 

智樹とそはらは学校に行く。

 

「でも、なんでこうなったのかしら?」

 

ニンフがケーブルを取り出して、カオスを調べようとするが、カオスには自分やイカロスにアストレアのような端末部分がないことに気づく。

 

「あ……」

「どうしたの?」

「これじゃあカオスの体を調べられないわ……」

「ニンフお姉様、…ごめんなさい」

「別にあんたが悪いんじゃないわよ」

「とりあえずは安静にして…」

「うん」

 

カオスは眠るように目を閉じる。

 

「とりあえずカオスを調べられるようにしないと……、アルファー、カオスの看病お願い」

 

ニンフはカオスの看病をイカロスに任せて、自分はカオスが何故こうなったのかの原因をなんとか調べる方法を模索することにした。

 

 

 

 

「カオスが倒れた?」

「はい、そうなんです」

 

新大陸発見部の部室で守形、美香子、アストレア、秋山がカオスが倒れたことを聞く。

 

「一体どうしたのかしら? エンジェロイドだから体は丈夫だと思ったのにね~」

 

美香子がアストレアの方を見て言う。

 

「師匠何が言いたいんですか?」

「さあね~」

「でもエンジェロイドでも熱がったり寒がったりしますから体調が悪くなるってことありますよ」

「そうか…」

「………」

 

秋山は黙り込んだままであった。

 

「秋山さん?」

「え、ああ、悪い悪い。なんであいつが倒れたんだろうなと深く考えててな」

「それで思い当たることはあるのか?」

「今のところないな。とりあえずは直接カオスを見てみないと分からないところ、あるし」

「じゃあ、学校が終わったら皆でカオスちゃんのお見舞いに行きましょう」

「そうしてもらえませんか?」

 

こうして守形達は学校帰りに智樹の家によることになった。

 

 

 

 

数時間後。

智樹の家に学校が終わって帰ってきた智樹とそはら、守形、美香子、アストレア、秋山がやって来る。

 

「カオスの具合はどうだ?」

「それが……」

「一向に変わりません」

「どれどれ?」

 

皆がカオスのいる部屋に行ってみる。するとそこにはまだ具合が悪く、寝込んでいるカオスがいた。

 

「本当につらそうね」

「お前、こうなったこと……」

「ない!」

 

アストレアが威張って言う。

 

「だろうな。どれどれ」

 

秋山がカオスの額に触ろうとする。

 

「気を付けて! 今のカオス、かなりの熱があるのよ」

「大丈夫だ」

 

秋山はそう言ってカオスの額に手を置く。

 

「確かに熱いな。………」

 

秋山はそこから色々カオスの体を調べてみる。

 

「う~ん……」

「何かわかった?」

「どういう状態なのかは分かったと言えば分かっただな。でもこうなった原因がよく分からん」

「原因が分からない?」

「それはともかく、どんな状態なのよ?」

「体の機能が少しおかしくなってる。体調に関することがな」

「体調に関すること?」

「いくらエンジェロイドでも体調管理機能とかあるだろ。カオスはそれがおかしくなってるんだ」

「だからあんなに体が熱かったんだ」

「そういうこと」

「でもあんたは治せるんでしょ?」

 

アストレアが尋ねる。

 

「治せるけど、基本的には治してはいけない制約がある。戦闘中の病気の発症とかならいいが、こういった日常的な時には治すことはしてはいけないんだ」

「そうなの……」

「まあ俺がいれば、これ以上悪くなることはないさ。治すことは出来なくても症状を抑えることは出来るからな」

「ならお願いします」

 

イカロスが頭を下げてお願いする。

 

「ああ」

「………」

 

秋山の反応を見て何か考える守形。

 

「どうしたの? 守形君」

「いや、なんでもない」

 

秋山とアストレア以外が帰ろうとする。

 

「それじゃあ、またね。カオスちゃん、よくなるといいわね」

「はい」

「また様子を見に来るとしよう」

「それじゃあまたね」

 

守形と美香子とそはらは帰ることにした。

 

「……秋山お兄ちゃん……」

「悪いな、俺のせいで……」

 

秋山は寝ているカオスに謝るのであった。

 

 

「それで原因は分かるのか?」

 

守形はある人物の元を訪ねていた。

 

「ええ、それは分かったわ」

 

その人物とはエンジェロイドの開発の第一人者のダイダロスであった。

 

「カオスは以前、秋山と言う男と一緒に異世界に行ったのよね?」

「ああ。一度目はイカロスにニンフにアストレアも行っていたが、二度目はカオスだけを連れて行ってたな」

「その二度目の時のが原因ね」

「何があったんだ?」

「それはあの子の体をきちんと調べないと分からないから、推測になるけど、その二度目に訪れた世界で何かエンジェロイドの機能を狂わせるものがカオスの体に入った。それが原因よ」

「エンジェロイドの機能を狂わせる何か?」

「ええ。多分、その秋山って人はもう気づいてると思うわ」

「……確かにそれらしい行動は見受けられたな」

「だったらまずはその人からきちんと聞いてみて。後それと……」

 

ダイダロスはあることを守形に伝える。

 

「分かった。智樹達にも伝えておこう」

 

守形は帰って行った。

 

「カオス……」

 

一人、カオスの名をつぶやくダイダロス。

 

 

そして翌日、学校が休みなので守形達はすぐに智樹の家にやって来た。

 

「あ、先輩」

「お前達にも大事な話がある。カオスはどうしてる?」

「秋山さんが看てます」

「そうか」

 

守形はすぐに秋山とカオスのいる部屋に行く。

 

「よう」

「秋山、お前、カオスがこうなった原因を知ってるんじゃないのか?」

「…気づいてたか」

「薄々とな」

「ダイダロス辺りにでも聞いたな」

「図星か」

「俺は何でもじゃないけどある程度は知ってるぜ」

「それでカオスがこうなったのは何が原因だ?」

「ハイコマンダードーパントのハイコマンダーが原因だな」

「ハイコマンダー?」

「ああ」

 

秋山は語る。それはある世界の北郷一刀と言う青年がいる世界にカオスと共に行った時、その一刀の敵であったハイコマンダードーパントの作り出した兵士であるハイコマンダー兵を一刀の代わりに二人で戦ったのだ。

(『アクセル全開!  真・恋姫†無双  後日談  激走! 爆走! 飛走! 愛と絆! Bパート』参照)

 

「あの時、カオスは羽使ってそのハイコマンダーを倒してたからな。多分あのハイコマンダーに何かしら機械を狂わせるウイルスが入ってたんだろうな。

迂闊だったぜ。俺がもう少ししっかりしてればこんなにことにはならなかっただろうな」

「だからその責任があるとして残ったのか」

「それもあるけど……普通に心配だったからな」

 

秋山がカオスの顔を見ながら微笑む。

 

「俺にしては珍しいんだよ。あれだけ負の感情を向けてた相手にここまで好意的になるってことがな」

「今まではなかったのか?」

「まったくなかったわけじゃないさ。負の感情を出して戦ったことは何度もあるし、その感情を向けてた相手と仲良くなったり仲間になったりしたさ。

けどカオス程、負の感情を向けた相手は皆倒してきた。だから俺にしては珍しいんだよ。

滅フォームの状態だったのに、今じゃ滅フォームが発動できないくらい好意を持ってるんだからな……」

 

秋山は微笑みながら語った。

 

「そうか……、しかしそんなことを言ってられないかもしれない」

「え?」

 

不思議とその言葉が出たのは秋山ではなく話を聞いていた智樹達の方であった。

 

「どういう意味なんですか? 守形先輩」

「ダイダロスに言われてな。カオスをこちらに帰してくれと言うことだ」

「カオスを帰してくれ?」

「元々カオスはイカロス達の前のマスターが作ったエンジェロイドだから、近々きちんとした調整をしたいと思っていたと言ってた」

「それで今回の体調不良……タイミング的にはいいと言ったところか……」

 

秋山は頭に手を乗せる。

 

「…お兄ちゃん達とお別れするの?」

 

話を聞いていたカオスが寂しそうな顔をする。

 

「お別れと言ってもすぐにまた会えるさ」

 

智樹がカオスの頭をなでる。

カオスの体は秋山のおかげで熱はどうにかなっていた。

 

「カオスがそんな状態じゃ遊ぶこともできないからな。だから元気になるまでの辛抱だ」

「何、元気になればまた前みたいに遊べるさ」

「……うん……。イカロスお姉様、ニンフお姉様……」

「うん?」

「何?」

「看病してくれてありがとう……」

「いいのよ、別に…」

 

ニンフが照れる。

それからしばらくして、カオスは智樹、守形、秋山の手によってダイダロスの元に送られた。

 

 

カオスをダイダロスの元に送ってすぐ。

 

「……俺、しばらくこの世界から離れるわ」

『はい?』

 

突然の秋山の発言に一同が疑問に思う。

 

「なんで?」

「いや、カオスをあんな風にしちまった罪滅ぼしってこともあるんだけどさ、今のお前達といても変わった反応が薄くてな……」

「変わった反応?」

「まあそこはうまく流してくれ」

「変わったことって……俺は平和が一番だよ」

 

智樹はこれ以上のトラブルはこりごりという顔をする。

 

「まあそうなんだけどな……。まあとにかく俺はしばらくこの世界から離れる」

「しばらく離れると言うことは、また戻ってくると言うことか?」

「そうなるな。この世界の時間的にどのくらいになるかは分からないけどな」

「どういうことなのかしら?」

「俺が戻ってくるのは大体その変わった反応が強くなった時だからな。俺からしたら1年経ってるけど、この世界じゃまだ1日しか経ってないかもしれないってことだ。

けど、逆を言えば俺からしたら1ヶ月でも、この世界からしたら5年は経ってるかもしれないということだ」

「曖昧なんですね」

「俺の予想なんだけど、この世界からしたらそんなに時間が経ってない時に俺は帰って来るかもな」

「そうなの」

「でも秋山さん、学校はどうするんですか? 秋山さんって臨時教員のはず……」

「ああ、それならこの世界に定着させてた俺の存在を無くせばいいだけだ。

そんで帰って来た時に元の状態にすれば問題ない。とは言ってもお前達は俺と深くかかわってるから俺のことはずっと覚えてるけどな」

「そうなんだ、よかった……」

「……」

 

そはらは一安心するが、イカロスとニンフは複雑そうな顔をする。

 

「まと言うわけだ。どのくらいかしたらまた来るからな。それじゃあ……」

 

秋山はそう言って空へと上がって飛んでいき、姿を消していった。

 

「行っちまったな」

「うん」

 

皆は待つ。

秋山がまたやって来ることを……。

カオスが体をよくして戻ってくることを……。

 

 

おまけ

 

 

作者「という話だ」

一刀「なるほど。それでお前の作品的な○○○に続くということだな」

作者「そういうことだ。一応これの次の次にあたる部分を書いてる最中だけど、さすがに今回は閲覧者少ないだろうな。ネタバレ注意もあるし」

一刀「そうだな。しかし前に書いた作品を見てないと分からないってつらくない?」

作者「つらいだろうけど、書く側としては続き物だとやりやすいとかあるからな。

というわけで今回はこの辺で。それでは!」


 
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