No.224779

双子の吸血鬼 第4章;初めての死

帽子さん

小説書き素人が無謀にも長編小説に挑戦
今作品は魔法先生ネギま!の二次創作です。
稚拙な文章ではございますが楽しんでお読みいただけたのなら
これ幸い。
では、「双子の吸血鬼 第4章;初めての死」をお楽しみください。

2011-06-26 00:19:23 投稿 / 全32ページ    総閲覧数:1485   閲覧ユーザー数:1436

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんとか、城から逃げ切ったヴァンガードとエヴァンジェリン。

身寄りの無くなった2人は旅に出る。そして、旅の道中で自分たちは高額の懸賞金がかかっている事を知る。

休む暇なく襲い掛かってくる賞金稼ぎたち、その相次ぐ賞金稼ぎたちに疲れていた。

その時に現れた、老人シュルー・アダムスとその従者クリスティン。

はたしてその出会いが生むものとは・・・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 果てしなく続く荒野。その荒野を一つの馬車が進む。その馬車の馬の背に乗っているのは齢13くらいの少年か・・・・・

 

そして、その馬車の荷台には何とも可愛らしい一人の少女が乗っていた。

 

ふと、その少女エヴァンジェリン=マクダウェルは、馬に乗っている少年ヴァンガード=マクダウェルに話しかける。

 

「ねぇ、兄さま、町へはいつ着くのかしら?」

 

「うーん、分からないな。もう少しであると良いんだけど・・・・・・」

 

そう、この双子たちは先日からがら町の城から逃げてきた後、次の町へとたどり着こうとしていたのだが、中々たどり着けないでいた。

 

そうして、逃げてきてからこの荒野でさまよい続け2日の祭日が経っていた。

 

「暇ねぇ・・・・・・」

 

荷台にいるエヴァはそう不満を漏らす。

 

自分たちが何処にいるかも分からない常態だった。

 

そのまま数時間、何ら進展の無いままそのマクダウェル一行は馬車を進め続ける。

 

すると、前方になにやら、町のようなものが見えてきた。

 

「エヴァ!! 何か町が見えてきたよ!!」

 

その喜びにヴァンガードは後ろを向きエヴァンジェリンに報告するが、その当のエヴァンジェリンは夢の中だった。

 

(まったくもう、あんなに町はまだか 町はまだか って行ってきたくせに・・・・・・)

 

そう思ってエヴァが起きるのを待つ事にしたのだった。

 

エヴァが起きたのはヴァンが、町を発見してから2時間ほど経ってからだった。

 

 

「ん・・・・・・・おはよ、兄さま」

 

「おはよう」

 

寝ぼけ眼のまま起き上がるエヴァ、まだ眠いのだろうかまぶたをこすっている。

 

「お待ちかねの町だぞ」

 

「おぉ、やっとまちかぁ?」

 

ヴァンが町の方向を指差しながらそう言うとエヴァは目を輝かせた。

 

エヴァが眠っている間馬車は入り口の近くに止めておいたので。あとは、入るだけだった。

 

「ふーん、いがいと普通な町だなぁ」

 

「まぁ、そういってやるな。僕達にとってはこれでもありがたいんだ」

 

2人がその町に入るってみると、人通りは多くも無く少なくも無く、そんな按配だった。

 

「いがいと、買う物って多いんだねぇ」

 

「そりゃあ、今まで丸腰だったのだから最低限のものは買う必要があるよ」

 

そして、その2人は店を見てまわりながら必要なものを買い足していった。

 

「これでしょう、これに、あとこれ。あっこれも!」

 

「おいおい、あんまり無駄遣いしすぎるなよエヴァ」

 

「分かってる!」

 

買った物は、薬や、ちょっとした食料、靴、毛布、ナイフ等であった。

 

 

 

「あっ!」

 

そして、書物屋を通り過ぎようとした時、エヴァは目に付いたものが合ったのか声を上げた。

 

「どうした?」

 

「ちょっと、この書物屋によっていい?」

 

「?・・・・・・いいけど」

 

ヴァンたちは、そこで馬車を止めそのエヴァが気になったという書物を見てみることにした。

 

「これよ」

 

エヴァが書物屋の見せ棚に近付き一冊の本を手に取った。

 

『基礎の魔法~これがあればあなたもまほうつかい?~』

 

というかなりきな臭い書物だった。

 

エヴァは駄々をこねるが、ヴァンはこの書物を買うのは少し、抵抗があった。

 

そして、ヴァンが目を背けると

 

そこには、ヴァンが目に着いた書物が合った

 

『食べられる植物』

 

それは、半サバイバル生活をしている2人にとっては必需品であった。

 

「なぁ、エヴァこの本なんだけど」

 

取り合えずという形で、ヴァンはその本を買おうという事をエヴァに提案してみる。

 

 

 

「だめ」

 

「いや、しかしこれは必要だ思うのだが・・・・・・」

 

「だめったらだめ」

 

しかし、案の定エヴァは反対をしてきた。

 

「じゃあ、この本と、その本両方買うっていうのだったらどうだ?」

 

では、とヴァンはこの本を買うために交換条件を出してみると・・・

 

「ならいい」

 

エヴァはあっさり了承した。そんなにこの、魔法の書がほしかったのだろうか。

 

そして、それらの本を購入し、少し軽くなってしまった。皮袋を持ってヴァンは思う。

 

(すみません、これからはもっと大事に使わせていただきます)

 

そんな時エヴァが一つ提案をしてきた。

 

「ねぇ、兄さま この町の中心に行って何か情報を集めてみません事?」

 

「それは良い考えだ」

 

2人は馬車の荷台にかった物を積み、今の世界の情報を求め町の中心部に向って歩いていく

 

そして、中心部にたどり着き、とりあえず町の掲示板を見てみると驚くべき事が書かれていた。

 

「なに・・・・・・これ・・・・・・・・・・・・・」

 

何と、その掲示板にはヴァンガード、そしてエヴァンジェリンの人相と懸賞金が書かれた紙が張ってあった。

 

 

「しかも金額が、、、一、十、百、千・・・・・・」

 

しかも、その検証権の金額はヴァン、エヴァ共に300万もの大金であった。

 

それを、見た2人の顔が引きつる。

 

そして、丁度良い具合に町の人々の視線がこの2人に集まっていった。

 

(おい、もしかしてあいつら)(たしかに似ているわ)

 

辺りの人たちがこちらを見てこそこそと呟きあっている。そうして、その中の一人がヴァンたちに声を掛けてきた。

 

「おい、お前たちもしかして、この紙に書かれている奴か?」

 

そのセリフ聞いたヴァンの顔から凄い良の冷や汗が流れている。

 

「いやー、違うって他人の空似だよ空似。」

 

それからヴァンは口から出るだけでまかせを良いまくっている。

 

その側にいるエヴァは顔を青くして、ヴァンの腕のすそに捕まって何とか立っている状態だ。

 

「まぁ、この世に似ている奴は3人はいるっていうしな。大変だな2人とも・・・・・・」

 

そうして、ヴァンはでまかせを良いまくり何とかその声を掛けてきた男は納得したようで引き下がっていった。

 

「ねぇ、ヴァン早めにこの町を出ましょ!」

 

エヴァがヴァンに向って小声で言う。

 

「あぁ、そうだな」

 

その男を振り切ったヴァンとエヴァは早足でこの町を抜けていった。

 

 

 

なるべく、周りに焦っているとは思わせないように、それでもばれる前にと出来るだけ早く・・・・・・

 

何とか2人は町の出口までたどり着けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その2人を離れた所で、監視し続ける一人の男がいた。

 

「くっくっくっく・・・・・・、 ばぁくぁが自分からオリの中に舞い込んできおったわぁああ。この私に目をつけられて、そうやすやすと逃げられるとおぉもうなよぉ」

 

「アダムス様 お言葉ですが、その気色の悪いしゃべり方はどうにかしたほうがよろしいかと」

 

アダムスと呼ばれた男に秘書・・・・・・だろうか。妙にきりっとした服を着た女性に辛辣な言葉を浴びせられていた。

 

「おぉぉおっとぉ、相変わらず言う事が厳しいねぇ。」

 

男は振り返ってその秘書の方をむいて言う。

 

「本当に気色悪いのでこちらを向かないでください」

 

秘書はそういって、アダムスに思いっきりビンタを食らわせてその場から立ち去った。

 

 

 

先ほどの町から少し放れた所にて

 

「ふぅ、ふぅ、びっくりしたー」

 

ヴァンとエヴァは荒い息をついている。2人は町を抜け出た後全速力で馬車を走りだし、安息の地だと思っていた町から逃げ帰ってきたのであった。

 

このように、ヴァンとエヴァは荒い息をついているがそもそも走っていたのはこの2人ではなく、馬車を引いていた馬なのだがそこはつっこんではダメだろう。

 

「馬の負担になっちゃいけないから少し降りて歩こうか、エヴァ」

 

「そうだね」

 

2人は馬車から降り、馬を引いて歩き始めた。その方が馬にとってあまり負担は無いからだ。

 

「おっ、木がある」

 

そして、すこし歩くと少し大きめな木があった。

 

2人はその木に向かって歩いていくと、その木に馬の手綱を木の枝に結びつけ、2人はその木陰にドデン!と腰を下ろした。

 

「「はーーーっ」」

 

そのまま、2人は仰向けになり涼んでいる。馬は勝手にそこいらに生えていた草を食(は)んでいた。

 

すると、ヴァンが起き上がり荷台をゴソゴソと漁りだした。そして、取り出したのは2つの竹で作られた水筒。

 

「ほら、エヴァも少し飲んでおいたほうが良い。疲れたろ?」

 

その一つをエヴァに渡すと自分もその竹筒のふたを開け中の水を飲みだした。

 

「なぁ、エヴァさっき見たろ? あの張り紙。僕達は何故か賞金首になってるんだ。 これから先どうする?」

 

ヴァンはエヴァに尋ねる。何か行動を起こすとしても大まかな方針を決めておかないとどうにもならないからだろう。

 

 

 

黙りこくっているエヴァ。

 

この状況に頭がついていかないのだろうか・・・・・・、それもそうだろう、つい数週間前には2人はある町の有力者の息子と娘だったのだ。

 

こういうときどうすれば良いかなど、分かるはずも無かった。

 

それでも、この状況を打破する為に何か行動を起こさなくてはいけないのだ。

 

「とりあえず、僕たちをかくまってくれる所を探そうと思うんだ、多分このままでいると色々な賞金稼ぎに捕まってしまうと思う」

 

「そうね。・・・・・・もう、それでいいわ」

 

こんなのはどうだろうと、ヴァンは提案をする。すると、エヴァも同意を示した。

 

「よっし、そうと決まれば早速適当な旅団でもさがすぞ!」

 

すると、ヴァンは勢いよく立ち上がった。

 

「ちょ、ちょっとぉ・・・・・・」

 

エヴァの手をつれ、馬車の方へと行く。エヴァが後ろの荷台に乗り込むのを確認すると、ヴァンは手綱を解いて、その場を発った。

 

「出発しんこー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく、荒野の道を行くと、一つの旅団だろうか、商人だろうか、一つ小さな集団が見えてくる。

 

「おっ、やった。人が見える! 僕たちを助けてくれるかもしれない」

 

それを、見つけたヴァンは、その旅団の元へと馬を運んだ。しかし、ここで一つヴァンは間違いを犯していた。失念していたのだ。自分たちが賞金首である事を・・・・・・

 

「おい、何やら怪しい馬車がこちらに向ってきているぞ」

 

旅団の一人がこちらに気づき皆へ呼びかけ、その近付いてくる馬車に対し警戒して、武器を構える。

 

「まってくれ! 俺達は怪しいものじゃないんだ! ただ、少し旅に加えてほしくてっ」

 

ヴァンは必死に敵意が無い事をその相手側に伝える。すると武器を下ろし始めた。

 

しかし集団の一人が近付いてくるのが賞金首だと気づいた。

 

「おい、ありゃぁ、今都で噂になっている真祖の吸血鬼とかいう賞金首じゃねぇか?」

 

「おぉ、みてみりゃそうだ。 よし、俺達にもようやく月というものが回ってきたんじゃねぇのか?」

 

「ちげぇねぇ、とっ捕まえて。うんめぇもんでも食いに行くぞ!!」

 

ヴァンが近付いていくと改めて、武器を構え始めそして・・・・・・相手はいきなり襲ってきた!!

 

その事に驚き何も反応が無いヴァン。

 

「兄さま!」

 

「はっ!」

 

しかし、後ろからのエヴァの声で正気に戻った。

 

正気に戻ったヴァンは混乱のさながら、馬を巧みに操りその集団のいない方向へと走り出した。

 

後ろから、追ってくる集団たち、この状況の中でヴァンは城で追いかけられていたときの事をふと、思い出した。

 

(あのときは、侍女が俺達を守ってくれたな・・・・・・今も侍女がいてくれれば・・・・・・・・・・・・)

 

その甘ったれた考えが出てくるヴァンは自分に嫌気が差しながら、必死に馬を相手のいない方向へ走らせていく、もう、ヴァンは自分が何処にいるのか分からなかったに違いない。

 

このとき、幸いしたのがあいての数とその相手の連れていた馬の数があっていなかった事だろう。

 

何とかヴァンたちは逃げ切る事ができたのだった。

 

「よし、もう誰もいないな」

 

ヴァンは後ろを振り向きもう追っ手が来ていないことを確認すると、東の方に見える身を隠せそうな森へと向った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東の森にて

 

 

何とか盗賊たちから逃げ切り、森の奥歯まで逃げ込んだ、ヴァンガードとエヴァンジェリン、その2人は、今後の相談をしていた。

 

「兄さま、もう人は信用なりません。私たちだけで暮らしましょう!」

 

エヴァは言う

 

「いや、あと一回だけ。後一回だけ信じてみよう! 世の中あんな人ばかりだけではないはずだ」

 

しかし、ヴァンも譲らない。

 

先ほどからずっとこの状態が続いているのだ。

 

もう既に、エヴァが思った先ほどの連中の考え・・・・・・私たちを賞金首として狙ったのだということを話したが、ヴァンが考えを変えない、世の中賞金に目のくらむ人ばかりではないは

 

ずだ、僕たちが吸血鬼が、人を襲っていなければ、かくまってくれる人がいるはずという考えをだ。

 

そのことが後々双子の自身の首を締める事になるのだがこの2人がそのことを知るはずも無く。

 

「しょうがないわねぇ。あと、一回だけよ。あと一回信じて似たような事になったら どこか世界の果てにでも行って、2人でひっそりと暮らしましょ? 兄さま」

 

エヴァはそう言うと昼間、購入した毛布に包まって寝息を立てはじめてしまった。

 

もう既に辺りは真っ暗になっていたのだった。

 

(大丈夫だ。人間そんな下卑た考えの奴ばかりじゃないはずさ、きっと僕たちを助けてくれる人はいるはずさ)

 

悶々としていた、ヴァンであったが、エヴァ寝てしまったのを見て自分も毛布に包まった。

 

エヴァはもうこの時点で自分とこの兄以外は信用なら無いものだと気づいていたのだった。

 

そう考えると、ヴァンもあながちこの事・・・・・・エヴァと自分以外はもう信じられないと言う事を、しかしその考えを受け入れられなかったのかもしれない。

 

 

だから、こうしてもう一回だけと、抗っているのだろう。自分はもう人間には受け入れられない化け物になっているという事実に・・・・・・

 

 

 

 

 

どこかの城にて

 

「ほっほーう、これは良い事を聞いてしまったぞぉ。 なぁクリスティン」

 

「はい、そうですねキモムス様」

 

その2人はアダムスと秘書のような女クリスティンであった。

 

「わたーしの名前はキモムスではなぁぁあいぞクリスティン。アダムスだぁ。言ってみろ」

 

アダムスは耳に手を当てている。クリスティンがアダムスさまと呼ぶのをよく聞くためだろうか。

 

「申し訳ありませんキモムス様、私はその『あ』と『だ』をつなげて言うと死にい至るという不思議な病を患っているのです。キモムス様」

 

しかし、それにもクリスティンは何の突っ込みもせずただのらりくらりとアダムスの注文をかわす。

 

「まぁいぃ、それにしてもこの魔法とやらはひっじょぉぉうに便利だぁ。」

 

何をどうやったかは知らないが、先ほどのヴァンと、エヴァの会話を盗み聞きしていたようだった。

 

「はい、その魔法は盗聴に特化した魔法でございまして、私が開発した魔法なのですが、その特定範囲とこの今いる場所をつなげ魔法でそこのしゃべったときに発する空気のゆれをこ

 

の魔法は感知しこちらに運んでくれるものです。 キモムス様にあられましては、この盗聴の魔法は大変気に入られたようで開発をした私も大変喜ばしい限りでございます」

 

なるほどどうやら、その魔法簡単に言ってしまえば糸電話のようなもののようだ。

 

「ふふふっ、なら私があの子らを手厚く保護してやろうではないか。 そして、その後殺して、その首を連合側に突き出せば・・・・・・くっくっくっく、はあぁぁぁっはっはっはっは」

 

アダムスはぶつぶつ呟いた後、高らかに笑い出した。

 

クリスティンの言っている事は何一つ聞いていなかった。

 

その高笑いを聞いたクリスティンは少し嫌そうな顔をし、この部屋を退出しようと扉に手をかけた。

 

 

「では、クリスティン、あの子らを迎え入れるための準備をよろしく頼んだぞぉ!!」

 

すると、後ろから先ほどまで高笑いしていたアダムスがこちらに話しかけてきた。クリスティンは、後ろを振り向きその顔をにらみつけ

 

「御意」

 

というと、その部屋から立ち去った。

 

 

 

 

東の森にて 翌日

 

 

 太陽が顔を見せ、2,3刻経った時、ヴァンは目を覚ました。

 

「ん・・・・・・」

 

ヴァンは目を覚ますと、辺りをキョロキョロと見渡し少し離れた所に丸まっている毛布を発見した。

 

「エヴァ・・・・・・」

 

エヴァだ。

 

ヴァンは太陽を見て、今の時刻を確認すると、荷台に積んである荷物から昨日町で購入をした、植物の本を取り出し、食べられる植物が無いかと辺りを探り始めた。

 

「よし、・・・・・・」

 

そのまましばらく、辺りをヴァンが探っていると、エヴァがもぞもぞと動き、身を起こした。

 

「兄さま?何をなさっているのですの?」

 

エヴァは、辺りの草を漁っていた、ヴァンに向って尋ねた。

 

「あぁ、今後の為の食料を集めているんだよ。 エヴァ、お腹が空いているだろう? 朝食にしよう」

 

ヴァンはエヴァの方に振り向き、答え言うと、荷物の中から食物を取り出した。もちろんの事ながらさ先ほどまで漁っていたものではない。

 

食事の準備を着々と進めていくヴァンを見たエヴァは、のそのそと毛布から這い出てヴァンの元へと行った。

 

 

 

「「いただきます」」

 

ヴァンが朝食の準備を終えると2人は、手を合わせヴァンが音頭をとり、そして食べ始めた。

 

「「ごちそうさまでした」」

 

2人は食べ終えると、ここを出発するために、荷物をまとめ始めた。といっても、大してまとめるものもなく、2人分の毛布と、一つの食事を置いたときの布だけだ。

 

「よし、行こうかエヴァ」

 

「そうですわね、兄さま」

 

2人は荷物をまとめ終えると荷台に乗せ、エヴァが荷台に乗り、ヴァンは馬の背にまたがると、この東の森を後にした。

 

 

 

 

 

道中

 

 辺り一面荒野の風景の中一つ突き進む一つの馬車。時折、その馬車は立ち止まりつつ確実に歩を進めていっている。

 

その馬車の周りには見渡す限りには何処にも何もなく、立ち止まり確認するような物はないように思えたが、それは違った立ち止まるとその、馬をまたぎ操っているヴァンは空を仰ぎ

 

見、太陽の位置と自分の影を見て、方角を確認しつつ進んでいるのだった。

 

そんな時折馬車の荷台に乗っているエヴァがヴァンに声をかけていた。

 

「ねぇ、お兄様? 次の町はまだですの?」

 

「さっきも言っただろう? 多分もう少しだって・・・・・・」

 

それに、馬車を止めることなく答えるヴァン、この質問は先ほどから何回も行われている事だった。

 

それからしばらくしてまた、エヴァが同じ事を聞いてくる。

 

「ねぇ、お兄様? 次の町は・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

さすがに、これにはヴァンも無視する事にしたようで、今度は答えなかった。

 

気を持ち直して前を向いても、後ろを向いても変わりばえの無い、風景が続いていた。

 

そのまま、しばらくの間馬を進めているとはるか前方にだが、ボンヤリと、建物が見えてきた。

 

それに気づいたヴァンがエヴァにその事を言うと

 

「なら、そこに早くたどり着いてくださると助かりますわ。兄さま」

 

と言うので、少しだけ馬の足を早めた。

 

 

エヴァは後ろの荷台でぐったりと、荷物の影で少々ぐったりとしていた。もうすこしすると暑気あたりを起こしてしまうかもしれない。。。

 

空を仰ぎ見てみると、確かに今までと違って日差しが強くなっている。

 

その中でも何の苦も顔に出さずに坦々と馬を引いているのはヴァンの精神が図太いからか、無理をしているか・・・・・・

 

 

 汗だくになりながらも、歩き続けたかいがあってか、先ほどまでボンヤリと見える程度だった、建物も目と鼻の先にまで迫ってきていた。

 

先ほどは遠すぎて分からなかった事だが、この建物は城のようだ。荒野の真ん中にぽつんとある城あやしさ満点だが、怪しむそぶりも泣くヴァンはその城に近づいていく、ヴァンたち

 

はこういう城もあるのだろうと思っているに違いない。

 

何の警戒心も無く近づいていくヴァン達。その城は先ほどまではボンヤリとでしか見えていなかったが近付きその形が鮮明になるにつれて、かなりの大きさを誇っている城だと言う事

 

が分かる。

 

「ほーっ、大きいなぁ」

 

その大きな城を見て、ヴァンはため息を漏らす、直ぐそばまで着てみれば見上げて少し経てば首が痛くなるほどの大きさだ。

 

「じゃぁエヴァ、ちょっとまっててる? 城の人に話をしてくるから」

 

ヴァン達2人が城の入り口までたどり着くと、ヴァンはそう言って馬から下り城の中まで走っていってしまって、ここにいるのはエヴァ1人と馬1匹となった。

 

「はぁ、兄さまはああ言っていたけれど、本当に大丈夫かしら? 心配だわ・・・・・・」

 

1人物憂うエヴァであった。

 

 

 ヴァンは1人城に入っていくと、広い庭(庭にはいくつもの花が植えてありその花の種類からこの城主のセンスが見受けられた)とその先にもう一つのドアが見えた。

 

ヴァンはそのドアを発見すると、その方向に歩き出し、そのドアに手をかけ、入った。

 

「おじゃましまーす・・・・・・」

 

 

もちろん、入ったときの挨拶も忘れない。

 

その中は向こうまで廊下が広がっており、その左右にはたくさんのドアが備え付けられていた。

 

「はぁー、広いもんだなぁ。家の城も広かったけどこの城はそれよりも大きいかも・・・・・・」

 

「ほう、それは光栄だね」

 

「!!!」

 

ヴァンはいきなり話しかけられた驚きで、その場に転んでしまった。後ろから近付いてきた人影に気づけなかった。

 

「で、そのどこぞの城の領主の息子さんが我が城に何のようかね?」

 

そう、言わば今のヴァンの立場はいきなり他人の領土に足を踏み入れてきたよそ者。例えここで兵を呼ばれ、捕らえられても文句は言えないのである。

 

「私は怪しいものじゃありません。 ここから、少しはなれたところにある町の城の領主の息子でありますヴァンガードと言います。」

 

それに気づいたヴァンはあわてて自己紹介をする。

 

その自己紹介にその相手、ここの城の城主である男はすこし顔をしかめ言う。

 

「そうか、では城主の息子のヴァンガードくん。再度問おう、何故我が城へ?」

 

「実は私と妹・・・・・・この城の前においてある馬車の荷台にいます。は元いた町にて謂れの無い罪を着せられ、町を妹とともに追われてしまい。 明日の身もわからぬ状態なのです。

 

そこで、少しだけ持っていた路銀で馬を買い、私達めを雇ってくれる所は無いかと探していたのでございます。 そんな時ふと、目に入ったのがこの城でした・・・・・・」

 

再び問われた問いに対してヴァンは、今の状況をほんの少しだけ事実をかえ、話した。

 

「ふむなるほど、なかなか難儀な事になっているのだな。 しかし、何があったのか?・・・・・・ 我は人付き合いが苦手ゆえこのような偏狭の土地にて城を立てたせいか、辺りの情報は

全く入ってこないので分からないのだ」

 

 

 

その領主は、ヴァンの話しを聞いて納得したようだ。

 

「すいません、何があったかはいえないのです・・・・・・」

 

ヴァンはそう言う。確かにここで自分達に真祖の吸血鬼というもになってしまったから追われているなんて言ったら、この場で妹もろともとっ捕まってしまう。

 

「まぁよい、 主にも色々な事情があろう、この城にて、食住くらいはまかなってやろうぞ。 ただ、この城にて幾つか何かをやってもらおうとは思うがの

 

妹を連れてくるがよい、我の名はシュルー・アダムスなるぞ」

 

この城の領主はヴァンたち2人を養うようにしたようだ。

 

まぁ、幾つかやってもらう事があるとは言っていたが、要は働かざるもの食うべからずという事か・・・・・・

 

その言葉を聞き、顔を喜ばせたヴァンは早速馬車のところに行って事情を話し妹のエヴァを連れてきた。馬は、この城の侍女であろうか、その謎の人物が引き取っていった。何処に連

れて行くのかと、ヴァンが尋ねた所馬小屋だというので安心して任せた。

 

そして、エヴァとアダムスの顔あわせと、挨拶を終え、この城で何かをやればいいのか聞いてみた所次の幾つかのようだ。会話にすると長いのでここでまとめておこう。

 

・城の掃除

 

・ここ最近の辺りの情勢を教える

 

・アダムスの希望するときに話し相手になる

 

・たまに町まで行って、おつかい

 

以上の4点だった。

 

「えっ!? そんな事で良いのですか?」

 

ヴァンがその仕事内容を聞いて驚く、もっと過酷な仕事内容を想像していたに違いない。

 

 

 

「そんな事とは何だね。これは重要な仕事だよ君」

 

そんなこんなでヴァン、エヴァの2人の仕事と、住み込み先が決まった。

 

 

 この城にお仕えし、一週間ほど経った頃

 

「アダムス様、このお酒でよろしいでしょうか?」

 

ヴァンはこの仕事に慣れしたしんでいた。今ヴァンが行っている事は、夜寝る前にいつもやっている、月見酒だ。

 

アダムスは、このように、寝る直前に、月が出てる日ならば月見酒をする事が好きなようだった。

 

ちなみに、現時刻は既に遅くこの時間にはエヴァは睡魔に負け眠ってしまっている。

 

そのエヴァは未だこの生活には慣れないようで、口数がだんだんと減ってきていた。

 

「うむ、この酒ののどに絡みつく感触がたまらんのじゃ」

 

ヴァンが差し入れた酒瓶をアダムスが受け取る。

 

そのアダムスの傍らには、この城の侍女である、クリスティンが付き従っている。

 

ヴァン達がこの城に住み着くにあたり、仕事のやり方などを彼女から教わっていたのである。

 

そのおかげか、ヴァンと、クリスティンの間柄は一週間という短い期間だが深いものとなっていた。

 

4日目の頃のことだったか、アダムスから書庫を自由に使って良いと許可され、そこでクリスティンにヴァンが教えをこいていた所をエヴァに見つかりその時エヴァは般若のごとく大

 

変なものになったが、ヴァンが調べていた事が、真祖の吸血鬼の事に関していたので、多めにみて今回の事は収拾がついたのだった。

 

そんな訳で、この城に着てからエヴァとヴァンの間にはわずかながら溝が出来てしまっていたが、夜寝るときにはエヴァが起きていた場合2人で話し合うなどをしてそのことに関して

 

も大事にはならないでいた。

 

 

 

「ヴァン、私はこの酒ではなくもっと軽やかな酒が飲みたいです」

 

クリスティンがヴァンに注文をする。

 

「はい、分かっていますよ。このお酒ですよね?」

 

さっと、希望のお酒が出てくる辺りがこの仕事がしょうに合っているという事であろう。

 

そんなこんなで、本日の月見酒の貝が終わり、ヴァンは寝室に戻る事を許された。

 

アダムス程では無いにしろ、すこし酒に酔っていたヴァンは粗相だけはしないようにと足早に寝室へと向かい眠りに着いた。

 

 

 どっかの城のどこかの部屋にて

 

「アダムス様、私にはどうしてもあの兄妹が、あの恐ろしき吸血鬼だとは思えません。この事はあの町が起こしたただの絵空事ではないでしょうか?」

 

クリスティンはアダムスに対して、そう意見をする。

 

「しかぁぁあし、例えうそだったとしてもぉおお。 あの首で大量の金が手に入るのは確かなのだぁぁあ、それに乗らない手はあるまい・・・・・・」

 

「しかし・・・・・・」

 

いつもならここでクリスティンは、キモムスなどといってここは強気に返すところなのだが、強気に返しアダムスを殺されてしまっては元も子もなく、強くいえないでいた。

 

「どぉぉうしたぁぁぁあ、いつもならここらでズバッと返しがくるはずなのだが・・・・・・

 

ん・・・・・・? なるほどなるほど貴様あの小僧に懸想しておるなぁぁあ?

 

しかし、諦めろ、あやつとお前は種族からして違うのだお前の思いがあやつに届くはずもあるまい・・・・・・」

 

「ッ・・・・・・」

 

図星だった。できるならクリスティンはアダムスを殺す事はせずこの城で取り込みたいと思っていたのであった。

 

 

確かに当初は、あの2人をこの城にて抱き込み、油断しきった所で、首を落とし城から金を貰うはずだった。しかし、クリスティンはヴァンに思いをいれてしまった。

 

だからこうして、必死にアダムスに殺さないよう頼み込んでいるのだが

 

「なら、こうしていつまでも日延ばしにしても、お主がつらいだけだろう。 予定よりも早かったが、明日の夜にでもこの計画を決行するとしよう

 

クリスティン決して私を裏切るのではないぞ・・・・・・。」

 

アダムスは、脅し掛けるようにクリスティンに言う。

 

「くっ・・・・・・」

 

それを聞くとクリスティンは悔しそうにし、部屋を退出した。

 

 

 

ヴァン、寝室にて

 

 ヴァンがほろ酔い気分で自室に戻ると、そこには寝ているはずのエヴァが起きていた。

 

「どうしたんだ。エヴァ?」

 

ヴァンはベッドの上に座りこちらを見ているエヴァに尋ねた。

 

「兄さま? 書室へ行ってくださらない?」

 

そのほろ酔い気分のヴァンをエヴァはしばらく見つめると、ヴァンを書室へと誘った。

 

この書室は以前ヴァンとクリスティンの不倫?がエヴァに見つかった所である。

 

そうして、ヴァンを部屋の真ん中にあるテーブルへと誘うと懐から一冊の本を取り出し、そのテーブルへと広げた。

 

「兄さまにこれをやって欲しいの」

 

それは、あの日町で買った『基礎の魔法~これがあればあなたもまほうつかい?~』であった。

 

「どうしてこれを?」

 

「最近、この城の城主の行動が怪しいわ。だから、兄さまに私達の身を守るすべを身に着けてほしいの・・・・・・」

 

その本を見てヴァンが不審に思うとエヴァがこの本を取り出した理由を言った。

 

その理由に反論しそうになったヴァンであったが、エヴァのその真剣な瞳を見て、それはにわかには信じられない事であったが、とりあえずは信じる事にした。

 

ヴァンがエヴァはこれをやらないのか?と聞くと兄さまに守って欲しいのと、頬を赤らめながら言った。

 

 

 

 

 ヴァン達は、その本の最初を読み進めてみる。

 

・一つ、この世の魔法は今発見されているだけで火、氷、土、風、雷、闇、光の七種類がある

 

・一つ、己の魔力に適した属性を知るべし。

 

・一つ、魔法の射手、武装解除を最初に覚えるべし。

 

序章にはいじょうの三つが記してあった。

 

ヴァンたちはこの二つ目の・一つ、己の魔力に適した属性を知るべし。の項目を読み始めた

 

「なになに?」

 

その内容を要約したものがこちらになります。

 

自分に適した魔法の属性を知るためには水晶を用意する。

 

その水晶に自分の魔力を流し込み、水晶が灰となったら火、固まったら氷、消えたら風、静電気がはしったら雷、水晶が黒く濁ったら闇、水晶が光ったら光である。

 

「なるほど・・・・・・」

 

要は水晶に魔力を流し込めば良いということである。

 

「エヴァ・・・・・・、僕は水晶を持っていないよ」

 

ヴァンがエヴァを見て言う。

 

すると、エヴァは着ている服のポケットから小さな水晶をとりだした。

 

「実は、私持ってるの・・・・・・」

 

そういって、エヴァは取り出した水晶をヴァンに渡す。

 

 

 

「この、水晶はどこで・・・・・・?」

 

「だいぶ前に町に行った時買ったでしょう?」

 

ヴァンは一番に疑問に思ったことを聞いてみるとエヴァはそういうがヴァンは思い出せなかった。

 

 

 仕切りなおし、ヴァンはエヴァから、水晶を受け取り左の手のひらに乗せる。

 

そして、魔力というものがいまいち理解できていないヴァンであったが、左の手のひらにおいてある水晶に意識を向けてみる。

 

すると、その水晶は瞬く間に灰と化してしまった。

 

「僕の、魔力は火・・・か」

 

ヴァンが呟く。

 

すると、バタンという扉が開き閉まる音がした。誰かが、この部屋に入ってきたようだ

 

その音と共にヴァンとエヴァの2人は身を硬くする。

 

この魔法に手を出している光景は、誰にも見せてはならないものだった。ましてや、この城の住人になど。

 

そして、入ってきた謎の人物の足音が近付いて来る

 

「おや、あなた達ここでしたか・・・・・・」

 

それは、この城の侍女であり、先ほどまでヴァン、アダムスと共に月見酒を共にしていたクリスティンだった。

 

「クリスティンじゃないか・・・・・・どうしたんだこんなところに?」

 

ヴァンはここに来ていたのがクリスティンという事が分かり安心して尋ねる。

 

その様子を見て、エヴァは隣からジト目でヴァンをにらんでいた。

 

 

それをクリスティンは見て微笑みながらヴァンのいる机に近付いて来る。

 

「これは、なるほど。この城の目的に気づいていたのね。 この事に気づいたのは妹さんの方かしら?」

 

クリスティンが机の上の内容を見、エヴァの方を向き言う。

 

エヴァはクリスティンを少し睨みつけ、首を立てに降った。

 

「そう、なら私が何をしにきたか、わかっているわね?」

 

そうクリスティンが言うと、エヴァは身を硬くし身構えた。

 

「そうじゃないわ、私はあなた達をここから逃がそうと思っているのよ」

 

クリスティンはそう言うと、手近な所からイスを持ってきて座った。

 

「まず、アダムスは明日の夜あなた達を何らかの方法で殺そうとしてくるわ」

 

クリスティンはテーブルにひじを着きながら言う。

 

「そんな!!」

 

そのクリスティンの独白を受けうろたえるヴァン

 

「ごめんなさい。ちょっと、黙っててくれないかしら? ヴァン 今のこの私もかなり危ない橋を渡っているの」

 

クリスティンがそういうと、ぴったりと口をふさぐヴァン

 

「そう、良い子よ。

 

だから、私はあなたを殺したくないの。 本当はあなた達を殺して、一攫千金を狙っていたのだけれど。 もう、そんな事はできないわ。

 

だって、貴方をしってしまったもの、ヴァン。

 

今なら、誰にも知られずこの城を出て行くことが出来るわ」

 

 

 

だから、逃げて欲しいの、とヴァンの首元に両手をかけ顔を近づけながらいう。 エヴァに向ってしゃべっているのだろうがエヴァは蚊帳の外状態だ。

 

「ちょっと、私達を逃がそうとするのは良いけど。兄さまに色目を使わないで!!」

 

エヴァが癇癪をおこす。

 

「いいじゃないの、今生の別れになっちゃうんだから・・・・・・」

 

「え?・・・・・・」

 

その言葉に、ヴァンがフリーズを起こした。

 

「今生の別れってどういうこと!?」

 

「今生の別れって言うのはもう会えないって事よ」

 

諭すようにヴァンに言う。その言葉には悲しみがこもっていた。

 

「どうして!? 一緒に来れば良いじゃない!!」

 

「だめなのよ。 私はね、あの男からは離れられないの。」

 

「どうして!?」

 

食い下がるヴァン

 

「ふふふっ、内緒」

 

そういうと、クリスティンはヴァンから離れ、席に着くと懐からこの城の地図を取り出した。

 

そして、今いる、書斎を指差しそこから少し放れた大広間の近くにあるという、抜け道を指でなぞった。

 

その指の行き着く先は裏門で、そこにはヴァンたちがこの城に来るまで乗っていた、馬が待っているという事だった。

 

 

 

そこから先は先の城脱出時の再現である。

 

3人は抜け出そうとしている事がばれないように、なるべくいつもどおりのように歩きながら、大広間まで行く。

 

大広間の、壁にあるレンガの一つを押し込む事によって隠し通路が顔を出すのである。

 

道中ヴァンがクリスティンも一緒に逃げようとダダをこねていたが、諭され、おとなしくなっていた。

 

そして、大広間まであと少しの時

 

「エヴァちゃん、ヴァンを頼むわね」

 

「もちろんよ、貴女に言われるまでも無いわ」

 

クリスティンはそう言った。

 

そして、クリスティンが大広間に入ると・・・・・・

 

そこにアダムスがいた!!

 

「おやぁぁああ? クリスティンに、ヴァン君にエヴァちゃん、こんな時間にここまでどうしたのかなぁ?」

 

「ちっ・・・・・・」

 

その姿を確認したとき、クリスティンは、舌打ちをし、エヴァは身を硬くし、ヴァンはそのアダムスのしゃべり方が変わった事に驚いていた。

 

「まぁさぁか、逃げ出そうとしているのではないでしょうねぇ?」

 

「そうだといったらどうします? ヴァン君はこんな所で散って良い命ではありません!!」

 

「そうかぁ、クリスティン残念だ。 優秀な部下をこんな形で失う事になるなんて・・・・・・」

 

アダムスはそういうと、後ろを向き左手を上えと上げた。

 

「さぁ、この城の中にいる、諸君あの愚か者共3人を血祭りに上げてしまいなさい!!」

 

そして辺りからこの城の兵士がゾロゾロと出てくる

 

こうして、3人の戦いが始まった。

 

 

闘い

 

「では、ヴァン君と妹さんは後ろに下がっていてください」

 

「え?」

 

「兄さまと私じゃ戦う事はできなくて、足手まといでしょ? だから後ろにいるの」

 

そういうと、壁際まで3人は後退し、相手を迎え撃つべくクリスティンは構えを取った。

 

アダムスが上げたままでいた、手を下へと振り下ろす。すると、それが合図となり兵士達が一斉に襲い掛かってきた。

 

見渡す限りにいる兵士、数は100人弱であろうか・・・・・・この時期での戦において、100人は少ない数だが、たった3人を蹴散らすには十分な人数だった。

 

その証拠に今目の前でヴァンと、エヴァを守りながら戦っているクリスティン。善戦をしているが、やはり数の暴力には勝てず追い詰められていく。

 

クリスティンに疲れが見え始めたそんな時、一つの流れ矢がクリスティンの頭上を通り越し、エヴァの胸に当たってしまった。

 

「エヴァ!!」

 

「に、兄さま・・・・・・」

 

その突然の出来事に動揺する、ヴァン。急いで近寄りエヴァをその細い腕で抱きかかえる。

 

そしてエヴァの矢でいたれた胸からは、紅い血が流れ続け、息も絶え絶えになっていった。

 

そして、その息が止まり、エヴァの目が閉じられてしまったとき

 

「うわぁあああぁぁぁああああああ!!」

 

ヴァンはエヴァを抱きかかえながら咆哮すると、エヴァの服の中から一冊の本を取り出す。『基礎の魔法~これがあればあなたもまほうつかい?~』だった。

 

その本のページを数枚めくり、そこに書いてあった一つの魔法の呪文を唱え始める。

 

 

 

クリスティンが敵の凶刃にやられそうになったその時に呪文の詠唱が終わり、ヴァンの手から、初級魔法『魔法の射手(さぎたまぎか)』が放たれ、クリスティンの近くにいた兵士、

 

それにその周辺にいた兵士たちを一気に吹き飛ばす。

 

「なんだ、この力は・・・・・・体から次々とあふれてくる!!」

 

ヴァンはエヴァが打たれたときの怒りと、悲しみにより体の奥底に眠っていた、無尽蔵の魔力が目を覚ましたのである。

 

敵の兵士は騒然となった。

 

この旧世界で、魔法を使える者は限りなく少なく実際にはその魔法という物はこの世界では戯言または、絵空事として片付けられていたからだ。

 

その絵空事だった事態が目の前で起こってしまっては騒然となるのも当然の事だろう。

 

そのことで、流れを掴んだヴァンたちは次々と兵士達を倒していった。

 

そして、アダムスと残りの数人となったとき

 

「すまなかったぁぁあああ!! 命だけは助けてくれぇぇええ!!」

 

それを聞きヴァンたちは、張り詰め続けていた緊張の糸を一瞬だがといてしまった。

 

その様子を土下座をしつつも伺っていたアダムスはニヤリと笑い立ち上がって、懐に隠し持っていた一つの刃を後ろ姿を晒していたヴァンに向けて突き出し、突進してきた。

 

それに、気づいたクリスティンは、ヴァンの方に走り出し、ヴァンとアダムスの間に体を割り込ませその刃からヴァンを守った。

 

しかし、それに相対しクリスティンの体には深く刃が刺さってしまった。

 

振り向きその一瞬の事に気づいたヴァンは、先ほどまですっと唱えていた、『魔法の射手』呪文をつなえ、アダムスに向って放つと、アダムスは灰となって散った。

 

 

 

 クリスティンはその場で足から倒れこもうとしていた。それをヴァンは抱きかかえた。

 

そして、クリスティンは手をヴァンの頬に当て、いとおしそう撫でる。その目には涙がたまっていた。

 

 

 

「かっこよかったですよ。 ヴァン君」

 

そういうと、クリスティンの口から血が吹き出る。

 

「どうやら、私もここまでのようですね。フフフっ 最後にあなたの事を好きになれてよかったです」

 

それを言う合間にも絶え間なく口からは血が流れ出る。

 

ヴァンはそれでもなお、何かを言おうとするクリスティンを抱きしめ言う。

 

「もう良いよ、もうしゃべらなくて良いから・・・・・・」

 

「フフフっ・・・・・・大丈夫ですよ。

 

そういえばヴァン君、私に何故この城から逃げないのか聞きましたね。

 

せっかくですから、教えてあげちゃいましょう。

 

その答えは簡単です。私はアダムスにこの城から逃げ出せないように、魔法と言いますか、おまじないをかけられていたのです。今考えると、とても胡散臭い話なのですがね・・・・・グフッ

 

最後です、どうせだから大人の口付けをしましょう」

 

そういうと、クリスティンは自分の服の袖で自分の口を拭くと、最後の力を振り絞りヴァンの唇に自分の唇を押し付けた。

 

そして、少しの間そのままでいるとクリスティンは唇を離して微笑み目を閉じると、クリスティンは帰らぬ人となった。

 

「くっそぉぉぉおおおおおおお!! 人間めぇぇぇええええ!! 僕達が何をしたというんだ!! 僕達はただ幸せに暮らせればよかったのに!!」

 

 

 

 ヴァンはひとしきり叫ぶとエヴァと、クリスティン2人を失った悲しみからクリスティンをそのまま抱きしめて涙を流し茫然自失としていた。

 

そのヴァンの周りを見渡すと、アダムスの死体を始め兵士達の数多くの死体が所狭しと倒れており、この城からは死臭がしていた。

 

空は既に、闇夜を照らす太陽が昇り始めておりその日の始まりを示していた。

 

どれくらいの間、そうしていただろうか。ヴァンは、こんな所にクリスティンと、エヴァを置いておくのはあまりにもかわいそうだと思いその2人のささやかなお墓を作ろうと立ち上

がった。

 

先ずは抱いていたクリスティンを、外まで運ぶ。すると門の所に一匹の馬が見えた。それは、昨日クリスティンがヴァン達の遠くへ逃げるための足として用意した馬だった。

 

 

「ひさしぶりだな。元気にしてたか? すまないな僕ふがいなかったせいでこれから君に乗るのは僕1人だけになってしまったよ。

 

ちょっとすまないけど、彼女をしばらく見ておいてくれるかい?」

 

ヴァンの声に答えるようにその、馬は小さな声で鳴いた。

 

ヴァンはその馬に近寄り首を抱きしめ少し撫でるとエヴァを外に運ぶためにともう一度中へと戻っていった。

 

そして、先ほどの大広間に戻り、その辺りに転がっていた魔法本を拾ってエヴァの胸に刺さったままになっていた矢を抜き抱き上げる。

 

「ごめん、僕を守ってくれたせいで・・・・・・」

 

そして、同じ道順を辿り門へと戻った。 そこにはやはり変わらず馬と、クリスティンが横たわったままでいた。

 

ヴァンは抱いていた、エヴァをクリスティンの横に並べようとしゃがみ、エヴァを横たえ手を握っているとヴァンはあることに気づいた。

 

かすかだが、脈があるのだ。 ヴァンは、もしかしたらという願いを託してエヴァに呼びかける。

 

「おい! エヴァ! お願いだ、死なないでくれーー! お願いだから僕を一人にしないでくれよぉぉおおお!!」

 

ヴァンの声が届いたのか脈が少し鮮明となってくる。

 

「エヴァ!?」

 

「ガフッ!!」

 

そして、エヴァはその小さな口から血を吐き出し、口の中にたまっていたのだろうか血を全部吐き出すとその着ていた服の袖で口をぬぐうと起き上がり、ヴァンの方を向くと

 

「ただいま、兄さま。 兄さまの事が心配すぎて生きかえちゃった」

 

「エヴァ!!」

 

その言葉を聴いたとたんヴァンの顔はほころび、抱きついた。

 

 

 

そしてひときしり、喜びをかみ締めたあとヴァンとエヴァはクリスティンの方へと向き直る。

 

「クリスティン・・・・・・」

 

エヴァが呟く。

 

「これから、僕はクリスティンのお墓を作ってあげようと思うんだ・・・・・・」

 

ヴァンはそう言って、素手で地面を掘り始めた。 爪が割れるかもしれなかったがあまり気にならなかった。

 

しばらくヴァンは穴を掘り続け丁度良い大きさになったとき、クリスティンの顔を服でぬぐい、穴に横たわらせ、土をかけ始めた。

 

その間、エヴァも手伝おうとしたが、ヴァンに自分でやるからと断られてしまい、ただ端でその様子を見ていた。

 

そして、その作業が終わったときヴァンの爪は割れ、血がにじみ出ていた。

 

ヴァン達はその出来上がった墓の前に立ち、手を合わせ死者を弔った。

 

その頃にはもう既に、辺りは暗くなっていた。

 

「じゃあ、兄さま。いきましょう」

 

「あぁ、そうだね」

 

そういうと、ヴァンは馬の背にまたがりエヴァは荷台へと腰をかけ、この城を後にした。

 

 

あとがきのようなもの

 

初めてのあとがきですね。

 

どうも帽子です。

 

これからも小説を書きすすめていきますが、何分小説を書き始めてからも日が浅く、長編小説というのも初めて書くものなので、多々矛盾点や、言葉が足りていないせいで分かりにくい部分があるかも知れませんが、そこらへんは各自の脳内で保管していただきたいと思います。

 

そして、文法事項的にも、これは・・・・・・というものがあるかもしれませんが、まぁ、趣味での小説書きなので見逃してくれるとありがたいです。

 

それと、これは冒頭にでも書くべきだったかもしれませんが。

 

このように色々と私は至らない点だらけでございます。他の小説書きさん達のように上手くものが掛けるというわけでもございません。

 

なので、私のこの小説を読むことによって不快感を感じたりする方がいるかもしれません。

 

そのような方は、無理して読み進めようとせず、ただ戻るをクリックし、違う作品をお読みいただければ良いと思います。

 

あと、いないとは思いますが 抽象的コメントはしないでいただけるとうれしいです。

 

これからも、稚拙な文ではございますが、「双子の吸血鬼」よろしくお願いいたします。


 
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