No.224057

真・恋姫✝無双一姫伝・魏 第一話 恋姫ランド43

さん

少し思う所があり、一姫✝無双を書き直して行こうと思います。

大まかな話の変更はありませんが少しでも見やすくなったり面白くなればいいなと思います。

書き直していくのでそれほど待たせる事はないと思いますがよろしくお願いします。

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2011-06-21 22:42:14 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:6571   閲覧ユーザー数:5909

歴史とは一つの大樹、

その樹からはいくつもの枝(√)が分かれている。

 

枝(√)とは即ち可能性、

そこにはいくつもの葉(外史)が茂っている。

 

さあ、これからその一葉に、

新たなる外史への、扉を開こう・・・・・

【真・恋姫+無双一姫伝・魏】

第一話「邂逅・覇王と御遣い」

広大に広がる大地、その大地を旗を掲げて進軍する軍勢があった。

旗印は【曹】そして二つの【夏】

そしてその軍勢の頭上の空に一筋の流星が流れた。

 

 

 

「……まさか、本当に降るとはね」

「華琳様?」

「管輅の占いですか?」

 

軍勢の戦闘に立つのは小柄だが、鋭い目線と溢れだす覇気を隠そうともしない一人の少女。

 

彼女の名は曹操孟徳、真名を『華琳』と言う。

その彼女に付き従う二人の女性。

姉は夏候惇、真名を『春蘭』妹は夏候淵、真名を『秋蘭』

 

少し前、大陸全土に流れた一つの噂話。

『大地乱れ人々の心に闇が蔽いし時、空に流星流れ天の御遣い大地に降り立ち、世を平安へと導く道標となるであろう』

 

曹操、華琳は見上げていた顔を前に向けると躊躇いも無く進み始める。

 

「さあ行くわよ、春蘭・秋蘭」

「危険です華琳様!真昼間から流星など、不吉すぎます」

「姉者の言うとおりです、それにあのような怪しげな占いなど信じてよいものか」

「貴女達の言う事ももっともだけど、そんな事を恐れていては覇道は歩めないわ。それに奴等が逃げ去ったのもこの方向、つまりこれは天命という事よ」

「…なるほど、そういう事ですか。分かりました、参りましょう」

「ん?秋蘭、どういう事なのだ?」

 

一人はまるで分かっていない。

 

「……はあ」

「……ふう」

 

二人はため息を吐いた。

 

「な、何なんだ、秋蘭私にもわかるように説明してくれ」

「いいか姉者、天の御遣いの降臨を示す流星が降って来て私達はそれが怪しいと思った」

「ふむふむ」

「しかし、私達が盗賊共を追っているのはその流星が降って来た方向だ、つまりこれは華琳様に御遣いに出会えとの天からの意思ということだ」

「おお、なるほど!では早速まいりましょう華琳様」

「「………はあっ」」

 

二人はため息を吐いた。

 

 

その頃・・・

 

「う、うう~ん」

 

荒野で目を覚ました一人の少女が、辺りをキョロキョロ見回しながら立ち上がった。

彼女の名は北郷一姫。

今まさに流星によってこの地に運ばれて来た少女であり、傍には彼女が祖母より与えられた一振りの槍が落ちている。

もっともその刀身は鉛によって封印されていたが。

 

「な、何なの、此処って一体……?」

『キャアアアーーーーーッ』

 

少女が戸惑っていると、どこからか女性の叫び声が聞こえてきた。

 

「何っ?い、今の悲鳴…。只事じゃ無い!」

 

 

少女、一姫が岩陰から飛び出すと其処は目を疑う様な光景が広がっていた。

女性が血まみれで横たわり、おそらく女性の子供なのだろう、泣きじゃくりながらその体を小さな女の子が揺すり、何度も呼びかけていた。

 

「かかさま、かかさま、かかさまおきて!」

「早く風と一緒に逃げましょう、ここでさやちゃんが死んじゃったらかかさまが悲しみますよ」

 

そんな女の子を宥めながら連れて逃げ様とする少女が居たが、女の子はそれでも母親の身体にしがみ付いて離れようとはしなかった。

 

「へっへっへっ、無駄無駄、逃げられるわけないだろ、ええ、風ちゃん」

「 !! 人の真名をこうも簡単に汚すとは、救いようのない人達ですね」

「ああそうだよ、だからこんな事も簡単にできるんだぜ」

 

見る者が見れば吐き気を催す様な薄笑いを浮かべながら賊の一人が振りかざした刃を振り下ろそうとしが、其処に一姫が無我夢中で賊と女の子達の間に割り込み、その刃を自分の槍で受け止めた。

 

「止めなさいっ!!」

 

ガキインッ

 

一姫の槍は鈍い音を立て、賊が振り下ろした刃を受け止める。

だが、その刃を握っている賊の薄笑いは嫌らしさを増し、舌なめずりをしながら一姫を見下ろす。

 

「なんだ嬢ちゃん、何処の誰だか知らねえがそんなナマクラで俺達とやろうってぇのかい?」

 

少女、一姫の持つ槍は確かに刃を封印されたままではあるが、一姫の瞳には怯えは一切無かった。

 

「あんた達なんかこのままで十分よ、かかってきなさい!」

「このアマッ!!」

 

襲いかかって来る盗賊達に向かって一姫は槍を横薙ぎに一閃すると二人ほど吹き飛ぶ。

 

「グギャアッ」

「はああああっ!!」

 

続けて二閃、三閃。

 

「ガハアッ」「ウギャアッ」

 

襲って来る族達を相手にしている一姫だが、段々と人数が増えて来た。

 

「この女、見た目よりけっこう手ごわいぞ、周りを囲め!」

「しまったっ!」

「へへへへ、これで終わりだな。殺れっ!」

 

族達が一斉に一姫に襲い掛かって来たその時。

 

「させるかーーー!!」

「ギャアアアアアッ」

 

一人の女性が切り込んで来て数人を切り捨てるとそのまま一姫の背中を守る様に男達に槍を向けた。

 

「星ちゃん!」

「風、無事か?」

「はい、そのお姉さんのおかげで…。でも、さやちゃんのお母さんが…」

「くっ!! おのれ、この外道共がーーーっ!!」

「ひ、ひいいいーーっ」

 

星という女性によって盗賊達は瞬く間に蹴散らされていった。

 

「も、もう駄目だずらかるぞ!」

「ま、まってくだせえアニキ!」

「おいてかないでほしいんだな。」

 

そのどさくさにまぎれて賊が三人ほど逃げ出そうとしていた。

一人の男は何か本の様な物を数冊ほど小脇に抱えている。

 

「待ちなさい、逃がさないわよ!!」

「待たれよ、奴等は私が追う。そなたはあの子たちを守っていて下され」

「わ、分かりました」

 

そう一姫が応えると彼女はすぐさま盗賊を追って行った。

 

 

 

「かかさま、かかさま、かかさまーー」

 

女の子は未だ必死になって、既に事切れている女性にしがみ付いて泣きじゃくっている。

そんな女の子に一姫は近づいて、その頭を優しく撫でながら語り掛けていく。

 

「ねえお嬢ちゃん…もうやめよ。お穣ちゃんのお母さんは…もう、死んじゃったのよ」

「ひっく、ひっく……え?」

「お姉さん!!」

 

風と呼ばれていた娘は声を荒げながら責める様な目で見つめるが、一姫はその視線を受け止めながらゆっくりと首を振り、言葉を続ける。

 

「ねえお嬢ちゃん、貴女のお名前は?」

「ひっく、さ…ひっく、ひっく。…さ、さやか」

「じゃあ、さやちゃん。そうやって何時までもお母さんを呼んでると、お母さんは天国に行けないんだよ」

「え…てんごくに、いけないの?」

「うん、そうだよ。お姉ちゃんのお母さんもね、お姉ちゃんが小さい時に死んじゃったんだ。その時の私も今のさやちゃんみたいに悲しくてずっと泣いていたわ。そしたらある日、お母さんが私の前に出て来たの」

「おねえちゃんはかかさまに、あえたの?」

「うん。また会えて嬉しかったけど、お母さんはちょっと困った顔をしていたんだ。私が何時までも泣いてばかりいるから心配で天国に行けないって」

「じゃあ、さやがないてたら、かかさまはさやがしんぱいで、てんごくにいけないの?」

「そうよ、だからお母さんを天国に送ってあげよう。寂しいなら私が付いていてあげる、かかさまにはなってあげられないけど、お姉ちゃんにならなってあげるから」

「ほんと?ほんとにさやといっしょにいてくれる?さやのおねえちゃんになってくれる?」

「ええ約束よ」

「わかった。さや、かかさまとおわかれする」

 

そう言うとその女の子、鞘花(さやか)は母親に駆け寄って行く。

彼女なりに別れを告げているのだろう。

一姫がそんな鞘花を見つめていると風と呼ばれた少女が一姫に謝りながら頭を下げる。

 

「すみません、お姉さん」

「え、何で謝るの?」

「お姉さんはさやちゃんの事を思って言ったのに風はその事に気付かずにお姉さんを責めようとしたのですよ」

「そんな事別に気にしてないわよ。それよりあの子のさやかって名前はどんな字を書くの?」

「おお、そうでした。これがさやちゃんの名前ですよ」

 

そう言いながら風は地面に「鞘花」と書いた。

 

「風ーーっ!」

 

そうしていると知り合いなのか誰かが駆け寄って来た。

 

「あ、稟ちゃーん!」

「大丈夫でしたか?」

「はいー。このお姉さんが危ない所を助けてくれましたし、星ちゃんも駆けつけてくれましたから」

「あ、あのー、風さん。少しお聞きしたい事が」

「ふえっ!?」

「あ、貴女っ、その格好からしてどこかの豪族か貴族かもしれませんがいきなり断りもなく真名を呼ぶとは失礼でしょう」

 

一姫が風と呼ばれた少女に状況を聞こうとしたら少女は驚き、稟と呼ばれた女性は顔を真っ赤にして怒って来た。

 

「え、え、ちょ、ちょっと待ってよ。何を怒っているの?それに、その真名って何?」

「ふざけないで下さい!真名を知らないなんてそんな事ある訳が…」

「待って下さい稟ちゃん、どうやらこのお姉さんは本当に知らないみたいですよ。それにこんな嘘を吐く人には見えません、お姉さん真名というのはその人その者を表す名前でたとえ知っていても本人の承諾なしで決して汚してはいけない聖なる名前なのです。なのでとりあえず私の事は程立とお呼び下さい」

「私は戯志才と名のっております」

(程立と戯志才?どっかで聞いたような)

『そして俺が宝慧だ、よろしくな』

 

すると彼女、程立の頭に乗っている人形が喋り、自己紹介をして来る。

 

「へえ~。貴女、腹話術が上手いのね」

「……そういう切り返しは初めてです」

(あれ、何を(むく)れているんだろ?。変だな、誉めてあげたのに)

 

そうしていると先程の星と呼ばれていた女性が戻って来た。

 

「面目ない、逃げられた」

「馬でも使われたんですか?」

「ああ、二本足なら逃がしはしないが倍の数ではどうにもならん」

「それより、向こうに砂塵が。どうやら官軍が此方に向かって来ているようです」

「それはやっかいだな、では退散するとしようか」

「あ、あの、私達はどうすれば」

 

立ち去ろうとする三人に一姫は慌てて問いかける。

 

「お姉さんは風達と来るより官軍に保護してもらった方がいいと思いますよ、さやちゃんもいる事ですし」

「そうですね。元々彼女達とは護衛がてらに次の街まで共に旅をしようとしてただけでしたので」

「それに我等とて皆が同じ目的地と言う訳でもないのだ。そんな当ての無い旅にお主達を連れて行く訳にもいかん」

 

一姫がそう説明を受けていると母親との別れを済ましたのか、鞘花が近づいて来た。

 

「おねえちゃんたち、どこかいっちゃうの?」

 

一姫のスカートの裾を掴み、鞘花は寂しそうに程立達に問いかける。

 

「すまぬな、出来るならもっと傍に居てやりたいが鞘花達と我等では進むべき道が違うのだ。それに鞘花には姉になると言ってくれたこの者が居るであろう」

「……うん…、ぐすっ」

 

鞘花は涙を拭いながらも小さく頷いた。

 

「そう言えば、お姉さんの名前を聞いてませんでした。教えてくれますか?」

「あっ、ゴメンなさい、忘れてました。私は北郷一姫と言います」

「北郷…身なりからして有名な名家と思いましたが聞いた事の無い姓と名ですね。そして一姫が字ですか?」

「姓と名?いえ、北郷が姓で一姫が名前です。私達には字という物はありません、勿論真名も」

「ほう、そうですか」

「星ちゃ~ん、稟ちゃ~ん。官軍はもうすぐ其処まで来てますよ~。早く行きましょう~」

「分かりました、それでは北郷殿、鞘花殿、お達者で」

「北郷殿、我が名は趙雲、字は子龍。いずれまた会う事もあるでしょう。ではさらば!」

「お姉さん~、さやちゃん~、お元気で~」

 

そう言って三人は立ち去って行った。

離れていく三人に一姫は一緒に手を振っているとふと何かを思い出したかのように小首を傾げる。

 

『我が名は趙雲、字は子龍』

 

「ちょっと待って……趙雲ってまさか……。ええ~~~~っ!!」

「ど、どうしたの?おねえちゃん」

「な、な、何でもないのよ。ゴメンね脅かしちゃって。(ち、趙雲ってまさか…)」

 

「ねえ、おねえちゃん」

「ん。なあに、さやちゃん}

「またふうおねえちゃんたちにあえるかな?」

「うん、きっとまた会えるわ」

 

未だ涙ぐんでいる鞘花を優しく撫でるとようやくその顔に微笑が浮かんだ。

 

(妹が居るってこんな感じなんだ。一人っ子の私には新鮮な感覚だな)

 

 

そうして暫くすると、やって来た軍隊の中から二人の女性が一姫に近づいて来る。

 

 

 

 

「そこの者!妖しい奴め、名を名乗れ!」

「姉者、そのように行き成り怒鳴られては委縮して名乗りに名乗れぬぞ」

「むう…、しかしだな」

「どうしたの?騒がしいわね」

「華琳様、いけませんこんな所に」

 

やって来た官軍の女性に行き成り(まく)し立てられていた一姫の所に小さな女性が近づいて来る。

 

「何やら、見た事もない不思議な服装を着た者がいたものですから」

「ふ~ん、どんな奴?」

「ひょっとして、私の事?」

 

そう言って彼女の前に進み出た一姫だが。

 

「!!!」

 

その姿を見た彼女はいきなり固まってしまった。

 

「華琳様?どうなされたのです、華琳様!」

「はあ……またか」

 

(余談ではあるがこの時一姫は華琳の頭の中では見たはずのないバラに囲まれ見たはずのないシンデレラ風のドレスに身を包み、天使の笑顔でほほ笑む姿に脳内変換されていた。)

 

「華琳様、華琳様!」

「はっ!わ、私は一体」

(また、華琳様の悪い癖が……)

「そこのあなた、名前は?」

「は、はいっ、私は一姫、北郷一姫です」

「そう、私は姓を曹、名を操、字は孟徳、そして我が真名は華琳」

「…えっ?」

「「華琳様!」」

「一姫、貴女」

「…はい?…」

「私のモノになりなさい!」

「…………はいーーーーーー!?」

(ち、ちょっと待って、私のモノになれって何?いや、それよりさっきの人が趙雲でこの娘が曹操?そう言えば程立や戯志才って言えば……もしかしてもしかするともしかしなくてもこの世界って…三国志?い、一体どうなってるのーーーーーーーーっ!?)

 

 

 

続く。

 

 

 

《次回予告》

 

いきなり私のモノになれって、何なのこの華琳って娘。

私にはその気はないんだからね!

とりあえず、華琳の元で働く事になったんだけど一癖も二癖もある連中ばかり。

そんな中、盗賊討伐に出る事になったんだけどそこでまた新しい出会いが。

 

 

次回、第二話・「王佐の才?ネコミミ軍師、桂花登場!」

 

 

「絶対見てよね、兄ちゃん達!!」

 

 


 
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