真・恋姫無双 ifストーリー
蜀√ 桜咲く時季に 第11話
【力と代償】
「ええっ!?せ、先行しろだって!?」
俺の大きな声に回りは何事かと俺らを見てきた。
「はわわ。ご主人様、声が大きいです」
「ご、ごめん。余りにもビックリしたから。それにしてもなんで俺らが先行を?」
「はい。なんでも曹操軍になんらかの問題が生じ暫く動けない為だそうです」
「だ、だったら俺らも待ってたほうがいいんじゃ?」
「それが、そうも行かないんです」
「?どういうこと雛里?」
「実は先程斥候が戻ってきて約四里先に黄巾党が居るらしいんです」
「ええ!?そ、それじゃ私達だけで対処しなくちゃいけないの?」
「はい。そうなります。どうやら相手はまだ気づいていないようですが。気づかれるのも時間の問題かと」
う~ん。余りにも出来すぎてるような気が……気のせいかな?
曹操軍内のトラブルに黄巾党の発見。偶然にしては出来すぎてる気がするけど……
「と、とにかく、黄巾党はほっとけないもんね!」
「そうですね。曹操軍が来るまで抑え……いえ。討伐してしまいましょう!」
「鈴々も賛成なのだ!突撃、粉砕、勝利なのだ!」
「ご主人様」
桃香は俺を見詰めて力強く頷いた。
「わかった……これより黄巾党を討伐する!みんな、準備をしてくれ!」
「御意っ!」
「「御意です」」
「おうなのだ!」
みんなは急ぎ持ち場に戻っていった。
「何にも起きなければいいけど……」
そんな願いとは裏腹に俺たちは今まで体験した事の無い事態が待ち構えていた。
………………
…………
……
「な、何だこの数は!」
「うにゃ~。流石に多すぎなのだ」
「はわわっ!多すぎって数じゃないですよぉ!」
「あわわっ。多すぎます」
「ど、どうしようご主人様!」
「ど、どうしようって言ったって……」
目の前に広がる黄色の海原。
黄巾党、推定人数約二万人。それに対して俺たち劉備軍六千人。
圧倒的に数が違いすぎていた。
「そ、それにこんな広くて何も無いところでは計略も出来ません」
朱里の言ったとおり周りは平地で遮るものは何も無かった。
「曹操軍は今どこら辺まで来てるんだ?」
「ま、まだ動いていないようです」
俺の問いに朱里は遠慮しがちに答える。
「な、なんだと!?一体何をそんなに手こずっているのだ!」
やっぱりはめられたか?でも、なんで態々俺たちみたいな弱小軍を?
理由がわからない。でも、今やるべきことはわかっている。
「……俺も出る」
「「なっ!」」
俺の言葉に桃香と愛紗が声を上げた。
「そ、それはいけません!ご主人様にもしものことがあれば!」
「そうも言ってられる状況じゃないだろ?」
「で、ですが……」
愛紗は現状がわかっているので何も言い返せなくなった。
「ダメッ!ご主人様、行っちゃダメ!」
「桃香……」
「だって二万人だよ!危ないよ!死んじゃうかもしれないんだよ!そんなのやだよ!」
桃香は俺の腕にしがみ付き必死に行かせまいとしていた。
「落ち着いて桃香。大丈夫だから、ちゃんと戻ってくるよ」
俺は出来るだけ優しく、桃香を落ち着かせる為に話しかけた。
「それに桃香。取り乱しちゃダメだよ。それじゃ俺たちについてきてくれた皆が不安になるだろ?だからいつも通り笑ってて」
「ご主人様……う、うん。えへへ。わ、私笑えてるかな?」
「ああ、とっても可愛い笑顔だよ」
「~~っも、もうご主人様ったら……ちゃんと戻ってきてくださいね。約束だよ?」
「ああ、約束だ」
俺は桃香の頭を撫でて微笑んだ。
「ごほんっ!良い雰囲気のところ申し訳有りませんご主人様」
「ひゃうっ!あ、愛紗ちゃん!あ、あぅ、恥ずかしい」
愛紗の一言で現実に戻され桃香は恥ずかしそうに顔を隠してしまった。
「まったく。ここは戦場ですよ。少しは場所を考えてください」
「ごめんごめん。気をつけるよ」
「まったくもう……ご主人様ときたら……ブツブツ」
「愛紗ー」
「ん?なんだ鈴々よ」
「ヤキモチも程ほどにしておくのだ」
「なっ!?や、ヤキモチなど焼いていない!何を言い出すのだ!」
「にゃはは。愛紗はわかりやすいのだ」
「だから違うというのに!と、とにかく曹操軍が来るまで持ち堪えなければ!」
「ですが、先程も言ったとおり。こう広いと作戦も何もありません」
「その事なんだけどさ。愛紗と鈴々は右翼と左翼を担当してくれないかな?」
「中央はどうするのですか?」
「中央は俺が担当するよ。それと陣形は偃月陣(※1)でいく」
「はわわっ!き、危険すぎますご主人様ぁ!」
「そうです。せめて鋒矢陣(※2)にしてください!」
「いや。愛紗の言った陣形じゃダメなんだ。とにかく俺がまず一当てする。その後、陣形を鶴翼陣(※3)に変えるから合図を聞き逃さないようにしててくれ」
「ご、ご主人様。ではなぜ最初から鶴翼陣ではダメなんですか?」
「それだとこっちにも被害が出る」
朱里の疑問に俺は簡潔に答えた。
「被害ですか?」
「そう。いつもなら十分愛紗たちで対処できる相手なんだけど。今回は数が違いすぎる。だから俺がある程度減らす」
俺は青龍飛天に手をかけて皆を見て伝えた。
「そんな心配そうな顔しないでくれ。大丈夫だからさ」
心配そうな顔をしている愛紗に微笑みかける。
「し、しかしですね!」
「愛紗諦めるのだ」
「り、鈴々お前!」
「お兄ちゃんが大丈夫って言ったら大丈夫なのだ。ね、お兄ちゃん!」
「ああ」
笑顔で答える鈴々に力強く頷く。
「それに危なくなったら鈴々が駆けつけるから問題ないのだ!」
「ははっ。頼りにしてるぞ鈴々」
「にゃはは、任せるのだ!」
頭をクシャリと撫でると鈴々はくすぐったそうに首を窄めて笑っていた。
「わ、私とて!ご主人様が危険になれば駆けつけます!」
「うん。ありがとう愛紗」
「で、ですから無茶だけはしないでください。ご主人様」
「うん。愛紗に心配掛けたくないからね」
「ご主人様……」
俺の言葉に愛紗は頬を染めていた。
「ご主人様。愛紗ちゃんだけなのかな?」
「勿論。桃香や鈴々、朱里に雛里もだよ。みんな大切な仲間だからね」
「うんうん♪愛紗ちゃんだけはずるいもんね」
「と、桃香さま!?」
「はわわ」
「あわわ」
桃香の言葉に皆が和やかになる。やっぱり凄いな桃香は。
「あははっ!よし!それじゃ行くぞ!みんな生きて戻ってこれるように!」
「「「おおぉぉぉっ!!」」」
目の前に広がる黄色い頭巾。
「御遣い様。本当に大丈夫なんでしょうか?」
俺の後ろで不安そうに俺に話しかけてくる義勇兵の一人。
「大丈夫だよ。半分くらいは減らせると思うから。そうしたら調練してきた皆なら余裕で対処できるよ」
微笑みながら答えるも兵の皆は不安で仕方が無いようだ。
「大丈夫だって。みんなは守ってくれる人たちが隣に居るだろ?守り守られ、助け助けられ、そうすれば負けはしても死ぬことは無いよ」
「み、御遣い様。負けたら元も子もないのでは?」
「……あっ。そう言えばそうだな」
「「あはははっ」」
俺のボケに笑いがこぼれる。程よく緊張がほぐれたかな?
「よし。それじゃ俺から少し離れててくれよ」
「「はっ!」」
俺は地面を蹴り皆から距離をとった。
「……とりあえずは八割程度で行って見るか」
そう言って袋から黄色と緑の宝玉を取り出し双龍天舞に一個づつはめ込んだ。
宝玉をはめ込んだ青龍飛天は雷を纏い、炎龍飛天は風を纏った。
目の前に迫ってくる黄巾党は一瞬凄い勢いで近寄ってきた俺を見て怯んでいたが、俺が一人で突っ込んできたのを見て余裕で倒せると思ったんだろう。
その勢いをさらに増して突っ込んできた。
「はっ!一人で飛び込んでくるなんて何処の馬鹿だ!」
「まずはあいつから血祭りだ!」
叫びながら襲い掛かってくる黄巾党に俺は躊躇いも無く双龍天舞を鞘から引き抜く。
ここで躊躇ったら俺が死ぬ……そうしたら愛紗や桃香たちが……っ!
「いくぞっ!風塵と化せ!風陣爆雷っ!」
《愛紗視点》
ご主人様は大丈夫であろうか……
私は堰月陣の先頭に立っているご主人様を見詰める。
いくらご主人様でも無理なのでは?
「いや。あの一撃。あれは天下無双、誰にもご主人様には勝てるものなど居ない……」
そう言い聞かせるが私の心は落ち着いてはくれなかった。
まったく。ご主人様より格下の私があの方の心配など図々しいにも程があるな……
「ふっ……」
自傷気味に笑う私はどんな顔をしているのだろうな……
「むっ。そろそろか……」
先頭に居るご主人様が動き出し。
「っ!な、なんだあの速さは!」
ご主人様は走り出したかと思うと一瞬で先頭の兵士達との距離を広げた。
「一体ご主人様はどうやって黄巾党を減らすと言うのだろうか。やはりあの時のような火柱を?……っ!あれは」
その時だった。
一瞬だったが走っているご主人様の得物から白い閃光の様なものが放たれているように見えた。
「あれは一体……」
だがその正体もすぐに判明する事になった。
(ドゴーーーンッ!!)
「な、なんだ!?」
前方を見るとありえないことが起きていた。
「ら、落雷だと!くっ!それになんだこの風はっ!」
黄巾党を取り囲むかのように砂塵が舞い、いや、これはもう砂嵐だ。その砂嵐の中で雷鳴が轟いていた。
「ご主人様っ!」
そして、その砂塵の近くには得物を構えたご主人様が立っていた。
「あれをご主人様がやったというのか?」
離れていたが良く見るとご主人様の二本の得物からそれぞれに光が放たれていた。
この範囲、あの日見た火柱の比ではないぞ。しかし、このような技を体の負担もかけずに使えるものなのだろうか?
「っ!」
その時だった。一瞬ご主人様の体が揺れた様に見えた。
「……」
やはり、あのような大規模な技には体に負担がかかるのではないだろうか……
だとしたら、あのような技を今後使わせるわけには行かない……
(グッ!)
私は自分の手を力強く握り締めた。
もっと強く……ご主人様に頼らないためにも、私が強くならなくては……
――ガーンッ!ガーンッ!ガーンッ!
鳴り響くドラの音。陣形を変える合図だ。
「くっ!今はとにかく黄巾党を倒す事だけを考えよう!皆の者!ご主人様が道を切り開いてくれた!これより黄巾党を殲滅する。私に続けええええぇぇぇっ!!」
「「うおおおぉぉぉっ!!」」
雄たけびと共に陣形を変える。
まだまだ動きはぎこちないが、正規の軍でないあやつらにはどうという事は無い。
「張飛隊に後れを取るな!一気に行くぞっ!」
「「うおおおぉぉぉっ!!」」
《桃香視点》
「本当にご主人様は大丈夫かな?」
私と朱里ちゃんに雛里ちゃんは後局で様子を伺っていた。
「流石に私は無謀だと思うんだけど。雛里ちゃんはどう思う?」
「私も危険だと思うよ」
朱里ちゃんと雛里ちゃんは二人でご主人様の事を心配してるようだった。
「あ~。そっか。朱里ちゃんたちは知らないんだよね。あの事」
「「あの事?」」
「うん。実はね――」
私は以前にあった話を朱里ちゃんと雛里ちゃんに話して聞かせてあげた。
「はわわ。そ、そんな凄い事があったんですか!?」
「な、なら大丈夫なのかな?でも、心配です」
「うん。私も愛紗ちゃんから聞いただけで実際には見てないんだけど。それでもあの時とは全然規模が違うもん。やっぱり心配だよね朱里ちゃんたちも」
「はい。ですが、もう一つ気になる点があります」
「?何が気になるの?」
「ご主人様はそんな技を使って体は大丈夫なのでしょうか?」
「どういうこと?」
朱里ちゃんの言ってることが良くわからなくて聞き返す。
「つまりですね。えっと……体の中には氣が流れていますよね」
「うん」
「氣を使うことによって身体能力や治癒力を高めます」
「うん。氣って凄いよね」
「ですが、氣は無限ではありません。人により個人差は有りますが必ず底があります。氣を使いすぎると体に支障をきたすと聞いたことがあります」
「えっと……つまり?」
朱里ちゃんの説明を聞いても良くわからず首を傾げる。
「朱里ちゃんの言った事をご主人様の事で例えると。ご主人様はそんな技を使って体に負担が掛からないのかという事です」
「あっ……」
雛里ちゃんの簡潔な説明に私は納得した。
「え!そ、それじゃ危険なんじゃないの!?」
「はわわっ!と、桃香さま揺らさないでくださぃ~~~い!」
「ああ、ご、ごめんね朱里ちゃん」
「だ、大丈夫朱里ちゃん?」
「はぅ~。頭がくらくらする~」
雛里ちゃんは揺れる朱里ちゃんを抱きしめて支えていた。
「それじゃ、ご主人様に止めさせた方がいいんだよね!」
「ですが。もう既に黄巾党の皆さんも気づいてこちらに向かって来ています。この状態での撤退はとても危険です」
「でもでも!ご主人様が死んじゃったら元も子もないよ!」
「そ、それはそうなんですけどぉ」
「あぅ」
「ああっ!ご、ごめんね雛里ちゃん。別に怒ってるわけじゃないからね?」
私が朱里ちゃんと雛里ちゃんに詰め寄ったせいで、朱里ちゃんは困惑して雛里ちゃんは涙目にさせちゃった。
(ドゴーーーンッ!!)
「はわわーーっ!!な、なんですか!?」
「あわわ!戦場の方から凄い音がしたよね」
「あ、あれ見て朱里ちゃん、雛里ちゃん!」
私は目の前で起きていることに驚きながらも朱里ちゃんと雛里ちゃんに指を指した方を見る様に言った。
「はわわーーっ!な、なんですかあの砂塵はっ!」
「あ、あんな大きな砂塵見たこと無いです。もうこれは砂嵐です」
雛里ちゃんが言ったようにもうこの大きさは砂塵じゃなくて砂嵐だよ。
「それに普通の砂嵐とも違います。良く見ると砂嵐の中から稲光が見えます」
朱里ちゃんは望遠鏡で除いて砂嵐を見ながら説明してくれた。
「わ、私にも見せて!」
朱里ちゃんから望遠鏡を借りて良く見てみると確かにピカピカと光っていた。
「本当だ!あっちこっちでピカピカ光ってるね。やっぱりご主人様はすごいな」
「これは凄いで片付けられる範囲ではないと思います……天候を操れるのは神にも等しい行為だと私は思います」
「うん。そうだね朱里ちゃんが言ったように。これをご主人様が操っているとなると……」
「だ、大丈夫だよ。だって前にも見せてもらったけど、なんとも無かったんだから」
「ですが……」
「大丈夫!大丈夫だよ!」
自分に言い聞かせるように何度も同じ事を呟く。
大丈夫だよね。ご主人様……
《曹操視点》
――一刻前
「劉備軍の状況はどうなっている」
「はっ。斥候の報告によれば堰月陣で事に当たるようです」
「堰月陣だって?あいつらは何を考えているんだ?あの人数で堰月陣など無謀にも程があるぞ」
春蘭の言ったとおり二万対六千で使うような陣形ではない。これでは先頭の将に負担が掛かりすぎる……っ!まさか。
「堰月陣の先頭を勤める将は誰だ」
「天の御遣いである北郷一刀だそうです」
兵の報告に周りがざわめいた。
「天の御遣い、か……確かに、武は相当なもの様だがそれでもあの人数を相手にするのは無理であろうな」
秋蘭は驚きつつも戦況を冷静に判断していた。
「莫迦なのか?その天の御遣いとかいう男は」
「春蘭に言われたらお仕舞いね。まあ、私も気が狂っているとしか思えないのだけれど。華琳さまはどう思われますか?」
「そうね……ある程度の勝算があっての事なのだろうけれど。今ある情報だけではなんとも居えないわね」
「では、斥候には満つに報告をさせるようにしましょう」
「ええ。よろしく頼むわね秋蘭」
「御意」
秋蘭は指示を出す為にこの場から居なくなった。
「さて。どう戦ってくれるのかしら?北郷一刀」
………………
…………
……
――半刻後
「華琳さまっ!劉備軍が動き出しましたっ!」
「それで先頭はやはり北郷なのか?」
「えっと、それは……秋蘭!」
「やれやれ……宣告の通り先頭は北郷のようです。ですが少々気になることが」
「気になること?」
「はっ。斥候からの報告によりますよ。北郷は陣からさらに離れ単独で居るようなのです」
「なんですって?何をするつもりだ北郷は」
「そこまでは……ですが、話し合いの内容を聞いたものからですと『敵を減らす』と言っていたそうです」
「一人であの人数をですって?馬鹿じゃないの?そんなの無理に決まってるじゃない」
桂花の言う通り、一人で二万もの相手をするのは無謀もいいところ。いいえ、無駄死によ。相当な武があるのか、はたまた桂花が言った通り馬鹿なのか……あなたはどちらなのかしらね?
『うおおおおおぉぉぉぉっ!!』
遠くから兵達の咆哮が聞こえてきた。
「始まったようね。さて、見せてもらいましょうか北郷一刀。あなたの力を」
「秋蘭。戦場の報告を特に北郷の力を見極めな(ドゴーーーーンッ!!)なんだっ!」
秋蘭に指示を出している時だった。戦闘領域で一際大きな轟音が鳴り響いた。
「っ!華琳さまあれをっ!」
「な、なんなのよ。あれは……」
秋蘭が向いている方に顔を向けると、とんでもない光景が私の目に入ってきた。
「砂嵐!?何が起きているというの!?」
戦闘領域で突然砂嵐が巻き起こり、その内部では雷鳴が轟いていた。
「これがあの男の力だとでもいうの?」
目の前の光景に何も言えなくなる。
こんな力。今までに見た事がない。
「ふ、ふふっ……」
欲しい……欲しいわその力!北郷一刀!私の覇道にはあなたの力がっ!
「華琳さま?如何なさいましたか?」
桂花が心配そうに私を見ていたけれど。今はそれど頃ではなかった。
「あははははっ!素晴らしいわ北郷一刀!あの力。必ずや私の覇道の力になるでしょう!桂花っ!」
「は、はい!」
「北郷を手に入れる算段を立てなさい」
「は、はいっ!……へ?えええええっ!!か、華琳さま!?」
「あら、なに?」
桂花が何を言いたいのかわかっている私はとぼけた素振りで桂花を見る。
「な、なぜあのような男を!」
「今は何より力が欲しいからよ。やはり、劉備の所に置いておくのは勿体無いわ。私が有効的に使ってあげるのよ」
「ですがっ!」
桂花が男嫌いだというのはわかっているけれど。今回はそんな我儘を聞くつもりは無い。
「あら。桂花は私の意見に反対なのかしら?」
「勿論です!華琳さまの陣営に男など必要ありません!」
「そう。それじゃ仕方ないわね」
「華琳さま……」
ほっとする桂花に私はさらに突き落とすような言葉を投げかけた。
「桂花とはここでお別れかしら?」
「ええっ!?」
一瞬安堵の表情を見せた桂花だったけれど私の一言で一気に顔が青ざめていた。
「か、華琳さまっ!それはなにとぞ!」
ふふっ。桂花ははからかいがいがあるわね。
「それじゃいいわね?」
「……はい」
「ふふっ。いい子ね。今夜は私の天幕に来なさい。たっぷりと可愛がってあげるから」
「華琳さまぁ~~~っ!」
桂花は恍惚な表情を浮かべて体をくねらせていた。
それにしても北郷一刀。あなたは一体何者なの?この力……まさか本当に天の御遣いだとでもいうの……
《一刀視点》
「はぁ、はぁ……」
砂嵐が去ると目の前の光景が晴れて行く。すると、人数はわからないが多分半数近くの黄巾党がその場で倒れていた。
「はぁ、はぁ。さ、流石にきついな」
大きな力を使えば使うほど体に掛かる負担は大きくなる。
宝玉二つの組み合わせは奥義中の奥義。『ここぞという時にしか使ってはいけない』爺ちゃんからはそう言われていた。
使ったとしても自分の周囲、半径2~3mくらいまでにしろと言われていた。
「でも、今がここぞって時だよな?」
実際今の技では人が死ぬ事は殆ど無い。
殆ど無いという事は言い換えれば死ぬ事もあるって事だけど、たいていは軽い麻痺。それか強風による打ち付け程度だろう。
だけど、この時代の人間なら大抵人間離れした事を見れば恐怖するものだ。
現に目の前の黄巾党たちは恐怖で顔を引き攣らせていた。
「はぁ、はぁ……くっ!」
だめだ……今ここで倒れるわけには行かない……っ!
力を抑えたつもりだったけどそれでも相当な負荷が体にかかってるみたいだ。
「……っ!よし。みんなっ!これから反撃だっ!俺たちの手で平和な時を取り戻す為にっ!」
力強く地面を踏みしめて大声で叫ぶ。
「「「……おおおおおおおっ!!!」」」
「よし!ドラを鳴らして愛紗たちに陣形を変える様に伝えるんだ!」
「御意っ!」
――ガーンッ!ガーンッ!ガーンッ!
一人の兵士がドラを鳴らし愛紗と鈴々に伝える。
それと同時に左右の兵達が一斉に形を変えて来た。
「流石は愛紗と鈴々だな。動きが早い」
「御遣い様!我々も行きましょう!」
「ああ。よし!みんな、生きて帰ってくるぞ!危なくなったら無理せず生き残る事だけを考えるんだ!」
「「おおおおおっ!!」」
大丈夫だ。俺はまだ戦える。
兵達の力強い叫びに自分自身を奮い立たせる。
「それに、約束もしたしな。必ず戻るって」
桃香の悲しんだ顔なんて見たくないからね。
「御遣い様はこの後どうされるのですか?」
「ん?ここの指揮を執るよ」
「本陣に戻らなくても良いのですか?」
「そんな心配は無用だよ。それに皆を置いて一人だけ戻ったりしたら後でひどい目に合いそうだからね」
笑顔で答える俺にポカンとしてみていた兵士は急に笑い出した。
「な、なんだよ。笑う事ないだろ?」
「い、いえ。御遣い様は変なお方だなと改めて実感したものですから」
「酷いな。他にも思っている奴はいるのか?」
俺を護衛するように立っていた兵士達は一様に頷いた。
「よし。お前ら覚えてろよ?俺が直々に調練つけてやるからな。ちなみに俺の調練は愛紗よりきついと思ったほうがいいぞ」
その一言で兵士達は顔を引き攣らせた。
「だ、大丈夫だ!我らの君主であらせられる天の御遣い様がそんな酷い事するわけがない!」
「そ、そうだな。は、はは。御遣い様もお人が悪い」
むっ。そう言って無かった事にしようと言う魂胆か?なら……
「ははは。良くわかってるじゃないか」
「「「ほっ」」」
「やるなら隊全体でやらないとな」
「「「……え?」」」
「だってそうだろ?お前達だけでやったら他の兵の皆に不公平だもんな。ここは平等に全員で調練しないとな」
笑顔で答えると護衛の兵士達は一斉にうな垂れた。ちょっとからかいすぎたかな?
「冗談だよ。それよりこんな所で気を抜いてると怪我しちゃうぞ」
「御遣い様が酷いこと言うからですよ」
「はははっ。ごめんごめん。さぁ、黄巾党も残りわずかだ。俺たちも行くぞ!」
「「「おおっ!」」」
そして護衛の兵士達と残りの黄巾党を倒す為に先行している兵の皆のところへと向った。
黄巾党との戦いも収束を向かえ俺は桃香たちが居る後局に戻ってきた。
「ご主人様っ!」
「おっと。ただいま桃香」
「お帰りなさい。ご主人様っ!」
笑顔でお帰りと言ってくれた桃香だったけどその目尻には涙が溜まっていた。
「桃香。泣いてたの?」
「え!?ち、違うよ!これはその……そう!目にごみが入っちゃったんだよ」
「そう?ならいいけど」
多分桃香には凄い心配させちゃったんだな。でも、それを悟らせないように明るく振舞って……
黄巾党との結果は何とか勝利した。
兵士達もかすり傷をした者は居ても死者は誰一人出ていなかった。
「……」
「ん?愛紗。どうかしたのか?」
「い、いえ……あ、あのご主人様」
「ん?」
「お体は大丈夫でしょうか?」
「……ああ、大丈夫だよ」
「そ、そうですか。なら良いのですが……」
なんだか納得してないみたいだけど。もしかして俺が戦場でふらつく所を見られちゃったのかな?
「あい……」
「失礼します」
愛紗に話しかけようとしたら曹操軍の兵士が現れた。
「なんだ」
愛紗はその兵を見ながら感情も無く答えた。
「北郷殿。曹操様よりお話がるとの事、一緒にご同行願えますか」
「ああ、わかった。準備するから待っててくれるかな」
「わかりました」
曹操軍の兵士は礼をとると少しはなれた場所で歩いて行きそこで待っていた。
「先の戦いの詫びでもしてくれるのでしょうか?」
「どうだろうな。それは行って見ないとわからないよ」
愛紗の問いに俺も判らないと手を上げる。
「さて、俺だけじゃ話にならないだろうから朱里も一緒に来てくれ」
「わかりました」
「それじゃ、ちょっと行って来るから桃香、雛里しばらく頼んだよ」
「うん、任せておいてよご主人様!気をつけてね」
「お気をつけくださいご主人様。朱里ちゃんも気をつけてね」
「大丈夫だよ雛里ちゃん。それでは桃香様行ってまいります」
「うん、朱里ちゃんも気をつけてね」
俺と朱里は曹操が居る天幕に向かった。
………………
…………
……
「来たわね」
「遅れてすまない。それで?」
「先程の戦いについてよ」
やっぱりそのことか。
「すまなかったわね。こちらの不手際で加勢できなくて」
「まあ、何とかなったから別にいいよ」
「なんとか、ね……まあいいわ。こちらとしては詫びだけで済ませるつもりはないわ。何か願いはある?」
曹操は目を細めて俺を見詰めた後、すぐに俺から目を背け朱里の方を見た。
「そ、そうですね……」
「なんでもいいわよ?食料でも、武具でも、兵でも、なんなら将でも持っていく?」
「か、華琳様!?」
「ふふふっ。冗談よ。大事なあなたたちを手放す事ない居てしないわ。将以外なら何でもいいわよ」
「はわわ。えと、えと……それでは食料と武具を少し分けていただければ。ここ最近の戦いで大分武具も劣化してきていますので」
「わかったわ。秋蘭、兵站と武具を北郷たちに渡せるように手配しておきなさい」
「御意」
「ありがとう曹操」
「いいえ。こちらの不手際なのだから。これくらいどうという事はないわ」
「それで、戦闘に参戦できなかった理由はなんだったんだ?」
「黄巾党の本陣を見つけたの」
曹操の横に居る頭巾を被った荀彧が伝えてきた。
「それが今回の戦いとどういう関係が?」
「意見が二手に分かれたのよ。私達も行く先に黄巾党が居たのは知っていた。だけど、一部の人間が本陣を叩けばそれで全てが終わると騒ぎ出したのよ」
「そうであろう!所詮、有象無象!そんな奴らを叩くよりこんなことをしている張本人を叩けば済む話ではないか!」
苦虫を噛むように荀彧が説明していると夏候惇が声を張り上げて反論してきた。
「だからって挟み撃ちにされたらどうしようもないって言ってるでしょ!」
「ふん!そんなもの私が蹴散らしてくれるさ!」
「あ~、もう!だから脳筋はっ!」
「誰が脳が筋肉で一日中走り回っても疲れない馬鹿だと!?」
「其処まで言ってないでしょ!」
「と、まあ、こんな感じで収集が付かなくなってしまったのよ。いい加減やめなさい二人とも。見苦しいわよ」
「「は、はい……」」
そういいながら呆れる曹操だったが、俺は少し疑問に思った。
あの曹操が、こんな些細ないざこざを止められなかったのか?と。
もしかして本当に俺たちを試していたのか?
でも、夏候惇の様子を見ると演技って訳でもなさそうだしな。う~ん……
(くいっ、くいっ)
「あ、あのご主人様」
考え込んでいると朱里が服の袖を引っ張ってきた。
「ん?どうした?」
「とりあえず、ここは今後の予定を聞いた方がよろしいかと」
「それもそうだな……曹操」
俺は朱里の意見に頷き、曹操に話しかけた。
「なにかしら?」
「これから俺たちはどうすればいいんだ?」
「そうね。とりあえず、そちらに兵站と武具を送る時に秋蘭から説明させるわ」
「了解。次の戦いでやっと黄巾党との戦いは終わる、か」
「あら。なんだかまだまだ戦いが続くような言い方ね北郷」
「え!?い、いや。そんなつもりで言ったわけじゃないんだけど」
「不謹慎な奴。死ねばいいのに」
「うぐっ!」
どう言い訳しようかと考えているところに荀彧がすかさず鋭いコメントをぶつけて来た。
「まあいいわ。それよりあなたに提案があるの北郷」
曹操はニヤリと笑い俺を見た。
「私と共に来なさい北郷。そして貴方の武を私の為に使いなさい」
「はわわ!」
「か、華琳様!なぜあのようなものを!」
「お黙り春蘭!」
曹操の怒気が篭った声に夏候惇は押し黙ってしまった。
「どうかしら?北郷」
俺の目を真っ直ぐと見つめる二つの青い目は吸い込まれるほど透き通り、そしてその瞳の奥には自身をあらわすように力強く炎が燃えているように見えた。
「……」
「ご主人様……」
(ぎゅっ)
朱里は俺の服の袖を握り締め心配そうに見上げていた。
「大丈夫だよ朱里」
俺は微笑み朱里の頭を撫でた。
「悪いけどその話、断らせてもらうよ」
「理由を聞いてもいいかしら?」
「俺は、俺なりにみんなを守りたいと思っただけさ。それを実現できるのは桃香たちだけだと思ってる」
「そんな理由じゃ納得できないわね。あんな甘ちゃんに何が出来ると言うのかしら?」
「わかってないな。そこがいいんじゃないか。確かに考え方は甘いけど、芯はしっかりしているよ桃香は。それに周りがしっかりしていれば何とかなるもんだよ」
「……諦めないわよ。私は」
「ははは、曹操にそこまで言われるとは光栄だな」
俺は少しおどけて答えると毒気を抜かれたのか曹操は呆れたように答えた。
「そう思うなら、私たちと来なさい、あと関羽も連れてね」
「……なぜ関羽なんだ?」
「気に入ったからよ。貴方も関羽もね」
「残念だけど、なお更ダメだな。愛紗も大事な仲間だ」
「仲間、ね……その考えも甘いわね。この世は、『従わせる者』、『従う者』この二つしか居ないのよ」
「それは曹操の考えだ。俺達の考えじゃない」
「貴様、華琳様に向かって!」
「いいのよ、春蘭」
「しかし!」
「二度は言わないわよ」
「……は」
「いいでしょう。今回は諦めてあげる」
「ははは、今回は、か。こりゃ、大変な人に魅入られたもんだ」
「ふふふ、覚悟しておくことね北郷。私は欲しいと思ったものは絶対手に入れる主義なのよ」
「覚えておくよ」
曹操は含み笑いを浮かべ俺と朱里に帰る様に手を振った。
「ご、ご主人様」
帰り道、朱里は遠慮しがちに話しかけてきた。
「ん?どうした朱里」
「なぜ、お誘いを断ったのですか?軍事力、政治力ともに私たちより上なんですよ?曹操さんのところならご主人様の……」
「朱里そこまでだよ。それに、あの時も言ったけど俺は皆と一緒に居たいんだ。みんなの期待も裏切れないしね」
「はわわっ。ご、ご立派ですご主人様」
「ははは、そんな立派なものじゃないよ。さ!戻って最後の戦の準備だ」
「は、はひっ!」
朱里の手をとり自軍へと戻って行く。
「あ!帰ってきたよ。お帰りご主人様!」
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「お帰りなのだ!」
「お帰りなさいです」
戻ってくると一斉に桃香たちが出迎えてくれた。
「あー!朱里ちゃん、ご主人様と手繋いでる!いいな~」
「は、はわわ!こ、これはでしゅね!」
「朱里ちゃん……ぐすん」
「ひ、雛里ちゃん!ご、誤解だよ!」
「なにが誤解なの?」
「えっと……」
「ぐすん」
「はわわ!泣かないで雛里ちゃん!」
「朱里はずるいのだ!やっぱり鈴々も一緒に着いて行けば良かったのだ」
「何を言うか鈴々!お前が行ったら曹操殿と話し合いにならないではないか!」
「私も行けばよかったな~」
「と、桃香様まで行かれたら誰が我が軍を指示するのですか、行くなら私が!」
「いや、愛紗は来ない方がよかったよ。うん」
「な、なぜですかご主人様!私はもう要らないと申しますか!」
「っ!違う違う!愛紗は俺の大事な仲間だよ!ちょっと曹操と色々とあってね」
「お、俺の……は、はわわ!」
「あわわ!」
「そ、そこの二人!変なところ想像しない!」
「お、俺の……ご、ご主人様が私の事を『俺の』……」
「あ、愛紗も!大事な仲間が抜けてるよ!」
「あはは、ご主人様?」
「っ!と、桃香さん?何か怒ってませんか?」
「んー?全然怒ってないよー?」
「う……」
「勿論、私たちも入ってるんだよね?」
「もちろんだよ!俺にとって桃香も愛紗も鈴々も朱里も雛里もみんな大事な仲間だよ」
「ご主人様」
「はわわ」
「あわわ」
「お兄ちゃん、鈴々うれしいのだ!」
「ご主人様ー!」
「うぉ!」
桃香は背中から抱きつき、鈴々は前から抱きつき、朱里は右足に、雛里は左足に抱きついてきた。
「あ、う……」
一人乗り遅れた愛紗の手は宙を彷徨っていた。
「……これはこれは。お邪魔だったかな?」
「っ!は、ははは。そんな事ないぞ!うん!」
タイミングが良いのか悪いのか。曹操軍の将である夏候淵が来た。
「ふっ。仲が良いことは良い事だ。別段恥ずかしがるものでもあるまい」
「あは、あはははは」
「では、要件を済ませてしまおう。これが兵站と武具の数を記したものだ。確認をしてくれ」
「私が確認してこよう」
「頼むよ愛紗」
愛紗は夏候淵から竹簡を受け取り確認に向った。
「今後の行動について説明させてもらう」
「ああ、よろしく頼む」
「我々はこのまま北西に向う」
「北西?そこに何があるんですか?」
「そっか。桃香たちにはまだ説明してなかったね」
「うん」
「黄巾党の本陣があるらしんだ」
「っ!それじゃその戦いで勝利すれば!」
「ああ。これで黄巾党に苦しめられることもなくなる」
「そっか……うん!頑張ろうねご主人様!」
笑顔で答える桃香に俺も笑顔で答えた。
「話を続けていいか?」
「わわっ!ご、ごめんなさい。どうぞ続けてください」
「北西に大体半日ほど進軍し、そこで二手に分かれる」
「挟み撃ちにするって事か?」
「その通りだ。北郷たちが先行し敵を引き付け我々が後ろから本陣を叩く」
「……今回のような事はないんだな?」
「ああ。だが、黄巾党の本陣の数は今回戦った以上の人数だろう。そこで我々の軍から一万ほど兵を貸し出す。好きに使ってくれ」
「助かる。そんな大群に俺たちだけで行けといわれたらどうしようかと思ったよ」
「なに。仲間である内はそんなことはせんよ」
「仲間である内は、ね……」
俺は真意を見定めるように夏候淵の眼を見つめた。
「あ、あの……夏候淵さん」
「なんだ?」
「食料とか色々ありがとうございます!がんばって黄巾党をやっつけましょうね!」
「……ああ。そうだな。だが、私が決定したわけではない全ては曹孟徳様のご意思だ」
「はい!曹操さんにもありがとうとお礼を言っておいてください!」
「ふっ。よかろう。それでは明日、兵をこちらに向わす。そのつもりで居てくれ」
「ああ。こちらこそよろしくお願いします」
「ふっ。変な奴だなお前は」
「そうかな?」
「ああ。隊の長たるものが頭を下げるなど聞いたことがないぞ」
「そうかな?礼儀は大切だと思うけど」
そんなに変なことじゃないと思うんだけど。
「まあいい。それと、今日はここで天幕を張る。明日はいよいよ決戦だ。ゆっくり休んでくれ」
夏候淵さんはそう言うと踵を返して戻っていった。
いよいよ。明日が決戦の時だ……
《To be continued...》
葉月「ども~!今週風邪を引いたダメダメな私です!」
愛紗「だ、大丈夫なのか?」
葉月「実はまだ本調子じゃないんですよ。まあ、そんな中ゲームセンターに行ってDDRしてくる莫迦なんですけどね」
愛紗「……そんなことをしている暇があればこちらを進めたらどうだ?」
葉月「何を言いますか!私の一週間の楽しみを奪わないでください!それに唯一、私が好きな体を動かす物なんですから!」
愛紗「そ、そうなのか……だが、風邪を引いた時くらいやら無くても良いと思うのだが?」
葉月「まあ、確かにそうですけど……気がついたら電車に乗ってゲームセンターに向かってました。てへ♪」
愛紗「てへ♪ではない。てへ♪では!それより、今回はいくらなんでも人数差がありすぎではないか?二万対六千では」
葉月「まあ実質約三倍の人数差ですからね。でもそれくらいしないと窮地に立たされたって感じがしないと思いませんか?」
愛紗「ま。まあ確かにそうだが……」
葉月「それに一刀の見せ場作ったんですし。愛紗も胸トキメキ状態だったでしょ?」
愛紗「なっ!何を言うか!そ、そそそそんなことあるわけがないであろう!」
葉月「あれ?トキメキませんでしたか?だったらそのシーン全部カットに……」
愛紗「そんなことはさせんぞ!折角、かっこいいご主人様が見られるというのに!……あっ」
葉月「はい。墓穴を掘った愛紗でした~。やっぱり、ときめいていたんですね。胸キュンですか?胸キュンだったんですね!?」
愛紗「~~~~っ!う、うるさ~~~い!そんなことより次回はどうなっているのだ!」
葉月「はいはい。恥ずかしがる愛紗も可愛いですが。これ以上からかうと後が怖いので次回予告です」
鈴々「次回はなんと鈴々が大活躍するのだ!」
葉月「なんてことはないですよ?いよいよ黄巾党との最後の戦いになります」
愛紗「ふむ。やっと黄巾党との戦いもこれで終わるのだな」
葉月「はい。ここまで来るのに12話。次に反董宅軍に蜀への移動、そして赤壁の戦いとまだまだ先は長いですね」
愛紗「うむ。頑張って書くのだぞ」
葉月「まあ、頑張りますが……最後まで皆さん見てくれるんですかね?」
愛紗「な、何を言い出すのだ急に!み、見てくれるに決まっているだろ!」
葉月「だって、ゲームもアニメも終わって結構立ちますよ?普通こういうのって時間が経つと廃れていくじゃないですか」
愛紗「うぐっ!そ、そんな事は無い!そんな事は無いぞ!」
葉月「まあ、頑張って最後まで書きますよ!あ、ちなみに黄巾党の戦いが終わったらそろそろ新キャラが登場するのでお楽しみくださいね」
愛紗「なに!?こ、この作品にも出すのか!?」
葉月「当たり前じゃないですか」
愛紗「こ、これではご主人様を思う娘がまた増えてしまうではないか!」
葉月「よかったですね。ライバルが増えて!」
愛紗「よくない!何でお前はこう私の障害になるようなことしかしないのだ!」
葉月「そこは考えようですよ」
愛紗「なに?」
葉月「良く考えてみてください。障害が大きければ大きいほどそれを乗り越えた時の達成感は大きいと思いませんか?」
愛紗「それは確かに……」
葉月「でしょ?だから愛紗の為にこうやって障害を作っている訳ですよ」
愛紗「なるほどな……って、私が納得するとでも思ったのか!」
葉月「あ。やっぱり?」
愛紗「当たり前だ!そう思うのならもっと私とご主人様との絡みを書けばよいであろう!」
葉月「はっはっはっ!そんなの面白くないじゃないですか!ってことで、今日はこの辺で!それでは皆さんまたお会いしましょう!」
愛紗「あっ、待て!くっ!ではみなの者!また会おうではないか!待て~~~~~っ!!」
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第11話投稿完了!
今回は曹操の思惑に乗せられてしまうお話です!
では、ご覧ください!
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