No.223017

カノボク!悪魔と鍛冶師の救世物語 1

佐藤朋樹さん

とある世界で、鍛冶屋を営んでいる青年には秘密があった。
そして、青年は出会う。女の悪魔に。
また女の悪魔もであった。自らの運命を導く、秘密を持つ青年に。
二人は出会い、そして歩んでいく……運命に向かって。

2011-06-16 20:32:14 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:545   閲覧ユーザー数:533

 

 

 

この小説?は、結構前に書いたものを封印したものです。

理由は、書いているうちに周りの友人達によってギャグ&パクリの作品へと

改変?改悪?改善?されてしまったからです。

しかし、また友人から「TINAMIに載せてよ」といわれて

「んじゃ、出してみるか」といったものがこの小説です。

 

 

ほぼ、当時のままなので、文章がおかしいなど

読者の皆様がたのご気分を害するかもしれませんが、それでも

読んでくださった皆様には感謝いたします。

 

 

できれば、コメントをください。

テンションUPで、UP率が上がります。

 

では、どうぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1章

 

 

「いらっしゃいませ!何をお探しでしょうか」

 

カズキは店に入ってきた三人の男女に目を向ける。

 

「剣が欲しいんだ。今使っているのがボロボロになってね。店長に頼んでお勧めを聞きたいんだが……」

 

一人の男が話しかけてきた。背中には大きな剣を背負っているのを見る限り、剣士だろう。

 

「私がこの鍛冶屋の店長をやっております『カズキ』と申します」

 

カズキは元気いっぱいに答える。営業スマイルももちろん欠かさない。

 

「お前が!?」

 

男はとても驚いた様子だった。しかし、驚かれても無理はない。

カズキは見た目からは鍛冶屋なんてとてもじゃないけど想像できない。鍛冶屋といったらガッチリした胸板などを想像するが、カズキはそれほどガタイがいいわけではないし、比較的細身の体系だ。誰がどう見ても鍛冶職人に、ましてや店長には到底見えやしない。

 

「そうですが、何か……?」

 

苦笑いをするカズキ。来る客みんな同じ反応をしてしまう……内心カズキはウンザリしていた。

 

 

「そうか、店長だったか。それで、何かお勧めは?」

 

先ほどの驚きが無かったかのように素っ気なく剣士の男は聞いてくる。

 

「あの~、今持っている剣を鍛え治せばまだまだ現役として使えると思えるんですが?」

「じゃあ、鍛え治してくれ。やっぱり使い慣れている剣の方が一番だからな」

「では、完成まで一時間程いただくことになります。それまでには出来上がっていますよ。」

「一時間後だな、了解した」

「あと、お客さんのお名前をお聞きしてもいいですか?」

「あぁ、俺はディンだ。 ディン・ディスカル」

「では、ディン様。一時間後にまたいらしてください」

 

ふともう一人の男に目をやる。身にまとっている重装備、抱えている槍から察するに騎士っぽいかな。もう一人の女は杖を手に持っているところから魔女なのか?

女と目が会った。すると、女が唐突に話しかけてくる。

 

「ねぇ、店長さん?このロッドって見たことない素材でできているみたいだけど?」

「それは、南西の森にある暴れの柳の枝をベースにしたものですね。硬く、壊れにくいし、魔力も通し易いですよ」

「私もそろそろ新しい杖に変えようかしら。これ幾らするの?」

「56銀貨です」

「う~やっぱ高いか」

「はい、素材が暴れ柳だとなかなか仕入れもできないし、どうしても高くなっちゃいますね」

 

暴れ柳はなかなか市場には出回らないし、自分で採りに行くこともあるけど、これがいかんせん大変な作業になる。

 

「う……、今回は諦めます」

 

女はかなり残念そうに視線を落とす。

 

「そうですか、またお越しください」

 

そう言って3人は出て行った……ていうか槍の人、一言も喋らなかったな。

あの人の槍もだいぶ使い込んでいるみたいだったけど……

おそらく三人で冒険をしているのだろう。この世界じゃそう珍しいことではない

 

 

「さて……裏に行って直すとしますか」

 

店に【修理中】の札を掛け店の奥に向かう。さっき預かったばかりの剣を見てみる

縦100cmの横15cmと普通の鉄製の剣

ところどころに錆びや血痕がみられる。かなり年季が入っているものだと素人が見てもわかってしまうほどの代物だった

 

「こんなになるまでよく使っていたな。てか、自分で手入れしたことあるのかよ!」

 

今まで鍛え治してきた刀の中でもかなりひどい状態だ。

 

「さてと、鉱物の方はっと、……あ~少なくなっているな。仕入れが13日後だからなぁ」

 

しばらく上をみて考えた後、諦めたように下を向きため息をはく

 

「自分で取ってくるか……仕方ない後で採りに行ことにするか」

 

そして、剣と鉄鉱石をなにやら模様の書かれた床に置く。次の瞬間、シュァッと音と共に辺りに眩い光が走った。床を見てみると先ほどまでおいてあったオンボロの剣は鍛えなおされ、おまけに見違えるほどに磨かれ、輝きを放っていた。

 

通常の鍛冶師では、こんなことはできない。では、なぜカズキはできるのか?

答えは魔法使いだ。しかし、かなり『特殊な』がつく魔法使いだが……

 

「よし、あとはさっきのディン?が来るのを待つだけだなっと」

 

実際はすぐに治すことはできたんだけど、さっきのディンとかいう奴の顔が気にいらなくて一時間かかると嘘をついた。

 

「しかし、誰も来ない。今日はあの三人が最初で最後のお客かな……」

 

ただただ、時間が過ぎるのをまっていた。

 

 

そうして、店番すること一時間。先ほど剣の修理を頼んだディンがドア開けて入ってきた。

今度は彼一人だけで来た。

 

「やあ、頼んでおいたものを取りにきたよ、店長さん♪」

 

先ほどは違い、やけに上機嫌なディン。言葉の端に音符がついたのは気のせいではないだろう。

 

「どうぞ。これがさっきの剣です」

「おぉ!すごいな。まるで新品だ」

「いえいえ、少し鍛えなおしただけですので……」

「いや、たいしたもんだ。ほんとにびっくりだよ」

「アハハ、有難うございます。お世辞でも頑張ったかいがあります」

 

こいつは人を棚に上げるのが上手いな。本当はすぐできたんだけどね。と内心思っているカズキ

 

「いや~最初は少し不安だったけど、人は見かけによらないもんだな」

 

(何も言葉に出さなくてもいいだろうに。俺、傷つくぜ?さすがに……)

内心ハートブレイクしそうな勢いで精神的ダメージを受けているカズキ

だが、そこは意地でスマイルを保つ……手をギリギリと握り締めているが……

 

「それでいくらだい?」

「はい、今は特別セール期間なので40銅貨になります」

「マジ!かなりお得じゃないか。ここにして良かったよ」

「今度からは、ここに通わせてもらうよ。それじゃ!」

「有難うございました」

 

この価格は、他の鍛冶屋と比べてお得というわけじゃないんだけどな……まぁ、儲かってるからいいけど……

そんなことを思いながら、ディンの背中を追いかける。

 

「さて、早いけど店じまいして、明日に備えるか」

 

そういって、店の扉に掛けてある札を「閉店」にする。それが、カズキが波乱の人生を迎えることを、彼はまだ知るよしもなかった。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択