「ぐはっ!」
「オラオラ!どうした?テメェ、それでも男か?それとも今流行りの男の娘でも目指してんのか?」
「げはっ!」
重たいコンクリートのビルが立ち並ぶ路地の裏、そこに響くのは殴られる男の悲鳴と殴る男の狂喜に満ちた罵声。
殴る男は殴り飛ばした相手の襟首を掴みアスファルトの上に叩きつける。相手はその衝撃で脳が揺さぶられ意識が遠のき気を失った。
男は掴んでいた襟首を離し、ゆっくりと立ち上がりながら周りを見渡す。そこには、彼のまわりを囲んでいた手下と思われる少年たちが痛みに呻きながら路地に転がっていた。
「ふぅ、まったく。これで、しばらくは静かになるな」
彼はそう言うと転がっていた少年たちを踏みつけながらその場から離れた。
彼の名前は聖上 世界(せいじょう せかい)日本人の母とイギリス人の父を持つ銀髪のハーフで顔は人からみたらモデルや芸能人なのではないのかと思われる程の端整な美形である。
しかし、彼を見た人は10人が10人同じことを思うだろう。彼がどんなに美形で珍しい銀髪であろうと彼を見た人はモデルや芸能人だと思う前に必ずこう思うだろ。
「おい、そこのヤンキー」
「ああ”!?」
彼の服装は黒の学ランをボタン全開にしてシルバーアクセをジャラジャラと付けた不良らしい恰好をしていた。これだけならまだ、少し悪びれた学生と思う人が多い事だろう。しかし、彼をヤンキーだと決めつける決定的な部分がある。それは・・・・・髪型だ。折角の銀髪を彼は今は昔にカビの生えた腐ったミカンがしていたヘアースタイル、リーゼントをしていたからだ。
そのリーゼントは色が色なだけに最早ドリルと呼んでも過言ではないほど立派に尖がっていたので、彼の顔を見る前にその頭に目が行ってしまい。そのまま彼をヤンキーだと認識してしまうのである。
それに次いで彼の喧嘩早い性格も合わさり地域の不良たちからは目の仇とされ、今では喧嘩の日々を送っていた。
そして、今彼は学校帰りに絡まれた不良たちを撃退し家に帰る帰路の途中の公園で一休みしようとベンチに座っていた。すると、いつの間にか彼の前に現れた黒い布で全身を覆った小さな物体が話しかけて来たのである。
「なんだ、チビ坊主何かの遊びかそれ?」
「ぼ!くっ、ふふ、ま、まぁいい。それよりも貴様、別の世界と言う物に興味がないか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?
「別の・・・世界?」
「そうだ!今、我は一刻も早く強い者を送らなければならぬってまてぇぇえぇぇぇぇいぃぃぃ!!
彼は黒い物体の話しに聞く耳持たずその場を離れようとしていた。黒い物体は素早く彼の前に回り込み両手を広げ通せんぼする。
「人の話は最後まで聞くって親に習わなかったのか貴様は!!」
「悪いがチビ坊主、餓鬼の中二病に関わってるほど暇じゃないんだ」
「ぼ!、ぐぐぐっ一度ならず二度までも坊主ってぐぅぅぅぅ。貴様!!あれ?」
黒い物体が彼に飛びかかろうとしたがすでに彼はそこに居なく。辺りを見渡すとまだ、彼の後ろ姿が見えていた。黒い物体はすぐさま彼の後を追おうとした。
しかし、その前に何者かの手が肩に掛り動きを止められた。黒い物体は急な邪魔者に苛立ち鋭い目付きで制止させた者を睨むために後ろを振り返る。
「誰だ我の邪魔をする者は!?」
「キミかねさっきあの学生が行っていた変質者と言うのは?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」
黒い物体は間の抜けた声をもらし制止いた者の服装を見つめる。全身を青で染めた服装をしており腰には短い棒を指しており頭には金色のバッチが付いた帽子を被っていた。
そう、黒い物体を止めたのは地域の安全を守り市民を助け悪を捕まえる。正義の味方その名はお巡りさん!英語でいうならポリスメン!だったのだ。
「ちょっと署まで来てもらおうか?」
「え?いや、ちょ、まっ!えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇx!?」
黒い物体はズルズルとお巡りさんに引きずられながら署まで連行されて行ったのだった。そんな、様子を世界は晴れ晴れとした表情で見つめていた。
「ふっ、これであの坊主も少しは中二病が治り、ちゃんとした大人になるっと、いや~道を踏み外そうとした子供を助けるとは良いことしたなぁ。はははは」
これから一日の目標を一日一膳にでもしようかと考え清々しい気持ちで鼻歌を歌いながら自分の家へと帰ったのであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おわり
「おわりじゃないわ!ボケヤンキィィィィィィィ!!!」
「ぐほぉべらぁぁ」
先ほど連れて行かれた筈の黒い物体が連れて行かれた方向から猛烈ダッシュでこちらに戻ってくると帰ろうと背を向けていた聖上の後頭部目掛け飛び蹴りを喰らわせた。
聖上は頭から地面に倒れ込み蹴られた勢いでズルズルと地面で尖っていたリーゼントの先を削った。
「くっこのなんてことしやがんだ!?チビ坊主!!」
「うっさい!もうこうなったら貴様の意思など、どうでも良い!さっさと貴様を送って我は帰る!!」
そう言うと黒い物体はボソボソと口を動かし呪文みたいなことを呟きだした。
「ああ”?テェメ何言って・・・・・・・ん?」
聖上は黒い物体が何を言っているのか聞こえなかったので近くまで行こうと足を動かそうとしたが動かなかった。不思議に思い足元を見るとそこには先ほどまでの地面とは違い黒い沼のような感じの地面になっていた。
「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁ」
地面は次第に聖上の体を飲み込んでいき必死にもがくも一向に抜け出せる様子がない。
「おい!チビ坊主テメェ何しやがった!!」
すでに体の半分まで地面に呑みこまれており、目線が黒い物体よりも舌になっているので見上げるように睨みつける。
黒い物体はご機嫌に鼻で笑いながらその様子を見つめる。
「ふん、貴様が向こうに行く前に3つ伝えることがある。」
「そんなのはどうでもいい!!早くこれをなんとかしろ!」
聖上は黒い物体の話を聞かず、もがき続ける。黒い物体も聖上の言葉に耳を傾けずに話を続ける。
「1つ目は、向こうで起きることは現実だ夢、幻とは思うなかれ思えば死ぬぞ。次に2つ目は貴様には使命が定められているその使命が何なのかは自分で探せ。あと、最後にこれだけは伝えておく貴様あった時から坊主、坊主と我の事を言ってはいたが・・・・・・・」
黒い物体はそう言うと最早首だけとなっていた聖上の頭上に片足を上げる。その時、地面から抜け出そうとする聖上の動きが止まった。
聖上の目には映ったのは黒い布から伸びた艶やかな生足とその先に見えるレースのパンツそうさっきまで坊主、坊主と思っていた黒い物体は
「少女だボケェェェェェェx!!」
「ぐはぁっ!!」
黒い少女の強烈な踵落としを首だけとなった聖上は防ぐことができずにモロに喰らい意識を無くしてしまう。
地面はそのまま気絶した聖上を全て呑みこむとまた、先ほどまでの普通の地面へと元に戻った。
「ふぅ、これで後は奴の頑張り次第か・・・・・・・さて帰r」
「いや~、居た居たやっと見つけた」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」
黒い少女は急に肩を掴まれたので嫌な予感をしながらもゆっくりと後ろを振り向く。すると、そこには先ほど逃げ出すために一発喰らわせたお巡りさんが米神をピクピクさせながら素敵な笑顔で手錠を指で回していた。
「今度は逃がさないよ。変質者さぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「ひっ!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
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髪型に関しては後に変わりますので
コメントやメッセージでやる気が出てきますので沢山の書き込みをお待ちしております。