No.218614

恋姫†無双~御使いを支える巨人~拠点2

SUUさん

拠点第2弾です。

楽しんでいただければ、これ幸い。

2011-05-25 02:34:24 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:884   閲覧ユーザー数:825

 

拠点:白蓮(反省の歌)

 

 

白蓮に本気で泣かれた次の日の昼下がり、俺は一刀と連れ立って白蓮の自室を目指していた。

 

(あの星ですら、おちょくらずに慰めてたからな。本当に鬱憤が溜まってたんだな……)

 

鬱憤を爆発させたのは俺だ、責任を取らないと。

 

ちなみに、白蓮の自室を目指すのは反省の気持ちからだ。

 

星から「流石に今回は……」と苦い顔をされたのも理由だな。

 

その時、一刀は愛紗達から無言の圧力を受けて潰れていたが。

 

 

「なぁ、一刀。本当にやるのか? 俺そういうの分からんぞ」

 

「大丈夫、全部俺がやるから。仁兄さんは歌でも歌ってて」

 

歌でもって、言うようになったじゃないか一刀。

 

こうなったら渾身の歌を歌ってやる。

 

(しかし俺に任せてって言うから任せたが、本当にこんな事を喜ぶのか?)

 

女の子が喜ぶ事なんて、俺には検討も付かないからなぁ。

 

 

部屋に着くなり2人して土下座した。

 

「「申し訳ありませんでしたっ!!」」

 

初めてだと思う。人生でこんなに綺麗な土下座をしたのは。

 

白蓮が面食らって固まっている。

 

3分か5分か、少し時間が過ぎて「あ、ああ」と白蓮の声が聞こえた。

 

「いやあの、今回の事は気にしないでくれ。私も大人気なかった」

 

ははは、と白蓮は乾いた笑いをした。

 

「いや、今回の事は全面的に俺が悪い。だから、罪滅ぼしをさせてくれ」

 

床から顔を上げて白蓮の目を真っ直ぐに見て言った。

 

「分かったから、とりあえず立ってくれないか? その居心地が悪いというか」

 

白蓮が困ったような顔で頭をかいている。

 

(相変わらず根っからの善人だな、こっちが悪いんだから堂々としていればいいのに)

 

俺と一刀は白蓮の前に並んで立った。

 

「それで、罪滅ぼしっていうのは?」

 

「それは一刀から説明する」

 

俺からとても説明出来そうに無いので、一刀に話を譲る。

 

 

(それにしても執事喫茶ねぇ、そんなので喜ぶんかね)

 

何でも近年の日本じゃメイド喫茶や執事喫茶なるものがブームらしい。

 

俺には理解出来ない世界だが……

 

中でも特に女性人気が高いのが執事喫茶。

 

という訳で、白蓮を執事になってもてなそうってのが一刀の案だ。

 

俺は正直乗り気じゃなかったが、一刀が「朱里と雛里も賛成してくれた」と言ったので案に乗る事にした。

 

概要を聞いた二大軍師殿は「絶対大丈夫です!!」「わ、私も見たいでしゅ……」と太鼓判を押したとか。

 

……色々と大丈夫なんだろうか、お兄さん心配だよ。

 

あれこれ考えていると、一刀が説明を終えたようで白蓮を一時的に離席させていた。

 

「さぁ、仁兄さん。準備を始めよう」

 

「どうでもいいけど、なんでそんなにノリノリなの?」

 

俺はお前さんの行く末も心配になってきたよ、一刀……。

 

 

「白蓮、入って来て」

 

一刀が声をかけると白蓮が扉を開け入ってきた。

 

「なんか自分の部屋なのに緊張するな」

 

「「お帰りなさいませ、お嬢様」」

 

「!?」

 

白蓮が顔を真っ赤にして固まっている。

 

白蓮が部屋を出て行った後、まず俺達は机を装飾した。

 

といっても、季節の花をあしらっただけだが。

 

一刀は、いつもの制服を着て腕に白い布をかけている。

 

俺は、いつもの格好だとムサいとの事で上にTシャツだけ着ている。

 

(ムサいってなんだムサいって。俺の一張羅だぞ)

 

「お嬢様、お席にどうぞ」

 

そう言って一刀が白蓮に着席を促す。

 

「あ、ああ。分かった」

 

若干、顔が赤いが大丈夫だろう。

 

「本日は、珍しい茶菓子をご用意しております。いかがなさいますか?」

 

随分と堂に入った態度だな。慣れてるのか?

 

「あ、あの、一刀に任せる」

 

何かうろたえてるな、白蓮。

 

「了解いたしました、お嬢様。仁兄さん用意を」

 

「任された」

 

茶菓子の選別は俺に任された。そこで俺が用意したのは煎餅だ。

 

もち米が無いから出来るか心配だったが、意外と作れるものだな。

 

一刀には「執事喫茶なのに煎餅なの?」って非常に不満そうな顔をされたが。

 

ちなみに、材料がどれもこれもこの時代において高級品なので1枚だけしか作れなかった。

 

「お嬢様、こちらが本日の茶菓子になります」

 

一刀の真似をしながら白蓮に煎餅を差し出す。

 

……何かムズ痒いぞ、これ。

 

「ありがとう。というか、仁義もその口調なのか」

 

俺だってムズ痒いんだよ!!

 

「あ、中々美味いな、この煎餅ってヤツは」

 

「お褒め頂き至極光栄でございます」

 

一刀が笑顔で礼をする。

 

なるほど、こういうのが好きなのか女の子は。

 

一刀が目配せをしてくる、そろそろか。

 

「では、ここで私が歌を一つ歌いましょう」

 

「歌? 仁義は歌えるのか」

 

似合わんかも知れんが、一応は歌えるぞ。

 

「はい。では失礼して」

 

俺はアコギを手に持ち歌い始めた。

 

「いきます。……ウォーウォーウォーウォーウォウォーウォウォウォウォウォー」

 

「仁兄さんそれは……!!」

 

そうだ、俺が敬愛してやまない長淵剛のとんぼだ!!

 

数々名曲があるが、俺が一番自信を持ってるのコレだからな!!

 

次は乾杯いくぜ!!

 

 

俺が3曲ほど熱唱してアコギを置いた。

 

白蓮を見るとポカンとしている。

 

……アレ?

 

一刀を見ると頭を押さえている。これは、やっちゃったか。

 

「………………」

 

白蓮が無言だ!!

 

「仁兄さん……」

 

一刀の視線が痛い。

 

「何と言うか、凄いな仁義。ところどころ分からない言葉が出てきたが、良い歌だったと思う」

 

白蓮が良い歌だと言ってくれた。

 

「これは白蓮に対する謝罪でもあるんだ。いつも忙しそうだから、少しでも気を紛らわせたくて」

 

俺が白蓮に対して出来る事は仕事を手伝うぐらいしかないから。

 

美味い物を作るのもオリジナルで曲を作るのも、俺には出来ない。

 

「今歌った曲は、俺の敬愛する人が作った曲なんだ。昔っからこの人の曲ばかり練習してきたから、これだけは自信がある」

 

俺の誇れる物は武しかない、人に謝るのも頭を下げる事以外知らない。

 

「自信のある中で3曲選んで歌わせてもらった。悪い、俺はこういう事にあんまり慣れてなくてこれしか思いつかなかった」

 

「ありがとう仁義、一刀。昨日の事で、わざわざ準備してくれたんだろう? 私は幸せ者だな」

 

白蓮が笑っている。俺と一刀は思わずハイタッチした。

 

「お茶も煎餅、おいしかったよ。それじゃ政務に戻ろうかな」

 

そう言って、白蓮は立ち上がり扉に手をかけた。

 

「「いってらっしゃいませ、お嬢様」」

 

俺達は、そんな彼女を見送った。

 

 

 

拠点:朱里&雛里(臥龍と鳳雛の教え)

 

 

俺は政務室に向かっていた。

 

何でも白蓮が事務仕事の手伝いをしてほしいそうだ。

 

(そこまで白文は読めんのだがな。白蓮からの頼みだし、この間の事もある、何より普段の激務を見てるとなぁ)

 

あんな量の仕事を1人でやってるなんて、本当に頭が下がる思いだ。

 

……いつか、本当に胃に穴でも開くんじゃなかろうか。

 

 

政務室の扉を開けると、既に先客が居た。

 

白蓮は居ないようだ。

 

「お、朱里に雛里じゃないか」

 

「仁義さん、こんにちは」

 

朱里は机から顔を上げて挨拶をしてくれた。

 

雛里はどうやら気が付いて無いみたいだ。

 

「仁義さんも白蓮さんに御用ですか?」

 

「いや、用というか仕事を手伝いにな。というか、もって?」

 

誰か尋ねて来たのか。

 

「先程、桃香様がいらっしゃいました」

 

「そうか。……桃香に何か教えた?」

 

「今後の方針を少々……」

 

なるほど、それで白蓮を尋ねたか。

 

ま、本格的に動くのはまだ少し先かね。

 

「それで、仕事というのは」

 

「おお、そうだった。白蓮にな溜まってる仕事を手伝えって言われてな」

 

危ない危ない、考え事をして忘れるところだった。

 

「文字は読めるのですか? ご主人様はこの世界に来て文字がほとんど読めなかったと言ってましたが」

 

「多少は。絵本、えっと紙芝居程度なら読めるかね」

 

もともと国語と英語の成績は上位クラスだ。

 

古文だろうが漢詩だろうが英訳だろうが何でも大丈夫だった。

 

しかし、白文だらけで本当に多少しか読めなかった。

 

これ程とは、正直調子に乗ってた。

 

「紙芝居程度ですか……。よろしければ教えましょうか、政務をしながらですが」

 

「そいつは、ありがたい。正直、今のままじゃ使い物にならんからな」

 

これは願っても無い事だ。どこかで教えを請わなければと思っていたところだった。

 

「しかし、政務の途中だろう。大丈夫か?」

 

「私の量は、それ程でもないんですよ。それに雛里ちゃんが頑張ってますから」

 

そういえば、顔も上げず机に噛り付いてるな。

 

雛里の集中力は凄いな。

 

「それなら、よろしく頼む。先生」

 

「はわわ~先生だなんて」

 

また、あわあわしてる。可愛いな、この小動物は。

 

 

俺が朱里に文字を教えてもらい始めてから、どれぐらい経ったか。

 

いきなり、雛里が顔を上げた。

 

「終わった~!! 朱里ちゃん終わったよ、ってひゃわ!!」

 

俺の顔を見るなり机から飛び退いた。

 

俺、そんなに怖いか……?

 

軽く凹んでいると朱里が雛里に話しかけた。

 

「雛里ちゃん、仁義さんだよ。怖い人じゃないよ~」

 

「朱里ちゃん、分かってるけど……」

 

雛里は俯いて顔を赤らめながらモジモジしている。

 

何と言うか、庇護欲を誘う娘だな。守りたくなる。

 

「いや、気にせんでくれ。最初に声をかけておくべきだった」

 

顔の前で手を振り、雛里に声をかける。

 

「あわわ、しゅみましぇん」

 

まだ、慌てているのか噛み噛みだ。

 

「さてと、朱里。悪いが俺にも読めるような簡単なヤツをくれ」

 

「まだ途中ですよ?」

 

「まだ教えを請いたいところだが、少しはやっておかないと。白蓮に悪いしな」

 

ここから先は自分で覚えないと。完全には覚えられんだろう。

 

朱里は俺の心情を察してか「分かりました」と言い、いくつか竹簡を渡してくれた。

 

「では、私は自分の仕事に戻ります。後は雛里ちゃんに補佐してもらってください」

 

「あわわ……分かりました、よろしくお願いします仁義さん」

 

「こちらこそ、よろしく頼む」

 

もう頭のスイッチを切り替えたのか、流石は軍師様だ。

 

 

ここから先は雛里にサポートして貰いながら、仕事を終わらせた。

 

白蓮がやってくる頃には、全ての仕事が終わっており白蓮は感動して朱里と雛里を抱きしめた。

 

「はわわ~」「あわわ~」と顔を赤くしていたが、顔は嬉しそうだった。

 

俺も礼を言われたが「全て朱里と雛里のおかげだ」とだけ言って、その場を後にした。

 

 

あんなに喜んでくれるなら手伝いがいがあるな。

 

この前も、ちゃんと手伝えば良かったな。

 

これからは出来る限り補佐しよう。

 

 

 

後書き

 

という訳で、拠点第2弾です。

 

今回の話、特に白蓮の事は書きたくてしょうがなかった。

 

正史の公孫賛は嫌いだが、この外史の白蓮はとても愛しい人物だと思います。

 

自身の技量不足もあり、この程度の話しか書けず非常に心苦しいです。

 

好きなキャラクターを上手く生かして書けないのは作家辞めろと言われても仕方なしと考えてます。

 

まぁ、この辺の話は次のプロフィールで詳しく書きましょう。

 

では、またいつか。

 

 

 

 


 
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