第五章~戦~
祭「朝霧よ、あの紅蓮殿に“任せろ”といったが何か策があるのかの?」
兵から敵襲の報告があって四半刻((しはんこく)30分)後
「策がある」といった翔に確認をとってくる祭、翔は頭をかきながら
翔「ありますよ、と言いたいですが一つ確認が。
敵はこの拠点から見て南西、つまり自分たちが来た森から来るってことですよね?」
と方角と場所の確認をした。
祭「うむっ、そうじゃがそれがどうかした?」
翔「ならいけますね。
冥琳さん、ここの物資少しと工作兵の方々を借りてもいいですか?」
冥「かまわないが、何を考えている?」
冥琳の目の色が変わった。
しかし疑うような目線ではなく、興味深々といった変わり方だった。
翔「ちょっとした罠を張りますので、その材料に使いたいと思います」
祭「ほう、罠とは何を作る気じゃ?」
翔「内緒です。
でもこれが上手く嵌れば敵の士気は下がると思います。」
冥「そこまで言うのならいいだろう。
だが見張りとして祭殿を付けるが構わないか?」
意外なことにすぐに物資の提供を許した冥琳、見張りに祭を起用したのは翔に気づかっての事だった。
冥琳が聞き終わると同時に聞きなれた声が聞こえた。
祭「うむっ、朝霧そうと決まれば早くいくぞ!!
敵も待ってはくれんからの!!」
いうがはやいが翔の手を引いて天幕から出て行った祭。
残された呉の将達は皆、唖然とした表情になりしばらくその場所から動かなかった。
翔「ちょ、ちょっと祭さんいきなりどうしたんですか?」
祭に手を引かれながら翔は聞いた。
祭「なんじゃ、早く行かねばならぬのじゃろ?」
当たり前の様に祭は答えた。
翔「そうですが、なんで手を引いているんですか?」
正直な話、翔はなぜ自分がいきなり手を握られてそのまま引かれているのか分からなかった。
祭「なんじゃ、おぬしは儂のような老体に手を引かれるのが嫌なのか?
策殿たちの方が良かったというのか?」
少しだけ怒り気味に祭は翔に聞いた。
祭自身なんで自分がこんなことをしてしまったのか見当がついていなかったし理解も出来てなかった。
翔「そんなことありませんよ、っていうか祭さん自分で老体っていいますけど、実際にそんなことない
じゃないですか?
普通に少し年上のお姉さんって感じはしますけど老体っていうほど老けてないし、綺麗だと思います
よ?」
なっ、と祭は顔を赤くした。
自分が綺麗、そういってもらえたのは祭自身初めての事だった。
祭は役職上周りから“随一の弓の使い手”、“鬼教官”、“呉の大幹部”から始まり、見えない所では“酒豪”、“気分屋”、“子供苦手”、“鬼ババ…”など不名誉な称号まで持ち合わせいる。
もちろん祭はこのことを知っていて、言ったものには厳しいお仕置きという名の訓練が待っており、さらに自分への称号が増えていく…と悪循環を繰り返すほどの彼女である、そんな彼女が綺麗と言われたのだ、驚きと恥ずかしさが入り混じったそんな表情をした。
しかしそんなこと悟られるわけには行かないと気を持ち直した祭は
祭「なんじゃ、いきなり儂の事を口説きおって。
あったばかりじゃというのに積極的な小僧じゃのう。
それとも儂みたいな年寄りが好みというわけか?」
茶化してみたが翔は首をかしげて
翔「何を言ってるんですか、事実を言っただけですよ?
祭さんは老体なんかじゃないですって。
むしろ老体だったらその若さの秘訣を教えてほしい位なんですけど。」
また顔を赤くして祭は「バカモン。」と照れ隠しで翔の頭を叩いたりしたが、翔はなぜ殴られたのか分からないでいた。
そうこうしているうちに森に着いた翔と祭、それに工作員の皆様方
祭「所で森まで来て何をするんじゃ?
罠を張るといったがもう時間もそんなにないぞ?」
翔「祭さん、もっともいい罠ってなんだと思う?」
翔が祭に対し質問してきた。
もちろんいきなりの質問なので少し考えてから
祭「いかに相手の裏をかき陥れるかじゃろ?
戦の基本でもあるがな。」
と答えた。
翔「確かにそれも罠だけど、それはどちらかというと戦略面の罠ですね。
今から張る罠は少ない材料と時間で効率よく相手のやる気を落とす、そんな罠です。」
言いながら翔は近くの木を切り倒した。
翔「この木と持ってきた物資、それにこの森さえあれば上等な罠が張れます。」
にこやかにいう翔はさながらいたずらを思いついた子供のような眼をしていた。
しばらくして森から翔たちが帰ってきた。
冥「戻ったか、朝霧。
罠とやらは張れたのか?」
翔「はい、これで上手く相手が引っかかってくれるのを待つだけです。」
翔はにこやかにそんなことを言った、そうかと冥琳は相槌を打ったが気になることがあった。
冥「なぁ朝霧、一つ聞いてもいいか?
なぜ祭殿はお前が着ていた赤い服をもっていて、お前は泥だらけの恰好でいるんだ?」
翔「え、罠を張るのに邪魔だったから祭さんに持っていてもらって、案の定汚れたからそのまま持ってき
てもらったんだけど…なんかまずかった?」
気まずそうに翔は冥琳にいった。
冥琳だけじゃなく周りから「はぁ~。」とため息がつく声が聞こえた
雪蓮にいたっては自分も混ざりたかった、そんな表情をしている。
冥「お前は、緊張感に欠けると言うかなんというか、まさか遊びに行っていた訳じゃあるまい?」
再度確認をとる冥琳、まぁ確かに今の翔を見れば遊びに行ったと言われてもおかしくはない恰好ではあるものの、そんなこと気にした様子もなく「当たり前じゃないですか」と又も笑いながら答え、「ねぇ冥琳さん。」と聞いてきた
翔「冥琳さんはどんな罠が張ってあれば嫌ですか?
策略とかは抜きにして、です。」
冥「いきなりだな、まぁそうだな。
策略抜きにすれば伏兵が怖いな。
いきなり敵の数が増えるほど恐ろしいものはないからな。」
と答えたが伏兵は策略の部類の罠だ。
翔は苦笑いをしながらこう答えた。
翔「それじゃぁ策略の部類ですよ、そうじゃなくてもっと別の罠です。」
穏「別のですか~、何かあるんですか?
伏兵って実際ものすご~く、怖い罠なんですよ~?
不用意に近づいて周りを囲まれたらお終いですから~。」
会話に突然入り込んできた穏。
翔は表情には出さないが少し考え事をしていた
翔「(この時代はまだあの考えがなかったのか?)
まぁ、伏兵も怖いですが敵が来ればわかると思います。」
と翔が言った時だった。
兵「周瑜様、敵の旗が確認され、旗は黒の「呂」、呂公率いる部隊のようです、ご指示を!!」
天幕の空気が張りつめた。
冥「わかった、全軍迎撃準b「待ってください」…朝霧?」
翔「迎撃じゃなく、突撃の準備を「何を言っている!?」大丈夫です、俺を信じてください。
すみません森の方に何か変化はありませんか?」
兵1「変化、ですか?
いえ、変わりないですg「報告です!!」!!??」
兵2「森の方角で叫び声が聞こえます、それも複数!!」
翔はわらった、いたずらに成功したそんな顔だ。
冥「どういう事だ朝霧、説明しろ!」
怒鳴りつける冥琳、報告してきた兵士は足が竦んで動けない程だ。
翔「怒鳴りつけなくても聞こえますよ。
敵さんが罠に嵌ってくれたみたいですね、冥琳さん突撃の準備を。」
あくまで冷静にそう告げる、まるで分っていたかのように。
冥「後で説明してもらうからな?
よしっ、全軍突撃準備!!」
兵「「「「はっ!!!」」」」
慌ただしく動き始めた呉陣営。
翔「冥琳さん、俺前線に行きますがいいですよね?」
冥「…なぜだ、危険でもしかしたら死ぬかもしれないぞ?」
前線に出るということは死にやすいということだ。
誰も進んでいこうとは思わない、けれど
翔「俺が言った作戦だから俺も前線に突撃を仕掛けます。
だって女性一人に複数人で迫る卑怯者の部隊ですよ?
そんな腰抜け部隊に負ける訳ありません。」
と決意のこもった目で冥琳たちを見つめる翔。
しばらくして又聞き覚えのある笑い声が響いた。
雪「いいじゃない、その覚悟試させてもらうわ。
でも悪いけど前線に出るからには私達はあなたが危険な目にあっても助けにいけないわ、それ分か
ってる?」
雪蓮の目が細くなった。
翔「大丈夫です、さっきも言いましたが俺は卑怯者には絶対負けない。
この戦、圧倒的勝利で終わらせます!!」
突撃の準備が終わり森から敵が出るのを待つこと半刻(一時間)森の入り口から敵の旗が見えてきた。
全軍武器を構えいつでも突撃が出来る構えになっていた、しかし森の中から出てきたのは泥まみれの敗残兵と言った方がいいような集団だった。
敵side
「いててて、呉にあんな強いやつがいるなんて聞いてないぜ。」
「そうぼやくなよ、命があっただけでもいいじゃねえか。」
「そうそう、生きてなきゃぼやくこともできねぇもんな。」
「しかしそんなに強かったのか?
お前が言うように一振りで何十人も吹き飛ばせるような奴が有名になっていないわけがないだろう?」
半信半疑に話を聞く敵兵達。
仲間が言うにはたった一人にやられたというのだ。
自分たちは曲がりなりにも訓練してきた兵士たちだ、中には山賊上がりの実力があるやつもいる。
そんな兵士たちがたった一人にやられたというのだ、信じられるわけがない。
大方孫堅にやられ、言い訳として架空の人物像を作り上げていると仲間の兵士たちは思っていた。
実際進軍するときに焦った表情で「行かないほうがいい!!」と言ったのだ、確認されたら嘘だとばれるから行きたくないのだろう。
しばらく進むと立札が見えてきた、その立札には
「ここから先はとても危険です。」
と一言だけがかいてある。
「おい、誰だこんな訳わからん立札立てた奴は?」
「呉のやつらじゃね?」
「むしろ危険なのはそっちです、ってか。」
と口々にばかにしたように兵士たちは笑っている。
そんな看板気にするでもなく兵士たちは森の中を進んでいく。
だが兵士たちはすぐに後悔することになる、“進む”という選択をしたことを。
「ぎゃぁーーー!!!」
「「「「!!!!????」」」」
突然前方から叫び声が聞こえた。
敵襲かと全員武器を構える、しかし次に聞こえたのは
「おい、どうした!?
って、落とし穴にはまっただけじゃねえかよ、驚かせやがって。」
と仲間が叫んだ理由が落とし穴に嵌っただけという単純な物だった。
仲間内で「驚かせやがって、敵襲かと思ったぜ」と口々に言う。
けれども嵌ったやつは一向に穴から出ようとせずわめいている。
何かおかしいと感じた敵兵達は様子を見ようと近づいた。
そして驚く。
「「「「なっ!!??」」」」
穴の中に落ちた兵の足から“太い針”のような物が突き出ていた。
その針は全身貫くような長さではなく一部分、特に足に突き刺さるような長さになっていた。
相手に“死”を与える罠ではなく、“激痛”を与える罠なのだ。
足の甲はもちろん、おそらくふくらはぎまで刺さっているのだろう、すぐ見ただけじゃわからないが兵の足元は血だらけになっていた。
兵たちは黙った、そして考える。
これは孫堅が張った罠なのか、とそしてこんな罠がいくつもあるのではないかと。
兵は恐怖する、もし穴に落ちたら自分も痛い目に合うそんな光景が脳裏に浮かぶ。
足に針が突き刺さった程度じゃまず死ぬことはない、代わりに激痛が自分を襲う事だろう。
そんなことを考えているそんな中、穴に嵌っていた兵士がでてきた。
敵兵の足から大量の血が流れていた、兵士は痛みに耐えながらこんなことを口にした
「こんな罠がこの先あるっていうのかよ…
こんな痛い目見るぐらいならいっそのこと殺してくれればよかったぜ…」
と、呟いた。
おかしな話である。
本来生き残るために戦なのに“死んだ方がまし”という。
この一言は周りの兵士たちに十分な動揺を与える。
嵌った本人がどうってことないと言えばそれでおしまい、だが逆の言葉を発した。
死んだ方がましと言わせてしまう痛みはどんなにきついか、もう今すぐにでも楽にしてくれと聞こえるそんな言葉に足が止まる呂公軍。
引き返した方がいいのではないかそんな空気が漂い始める、が
「臆するな!!
ここで引けば相手の思うつぼだ、孫堅が負傷している今が好機なのだ!!
全軍このまま進撃する!!!」
と大声を出す男がいた
「しかし呂公様、このままいけばどんな罠にはまるかわかった物ではございません。
ここはいったん引いて考えるのが得策かと。」
そう大声を出したのは黄祖軍第一部隊長にして紅蓮を罠に嵌め重傷を負わせた張本人、呂公その人だった。
その呂公の進軍命令に異を唱えたのは呂公直々の部下だった。
「お前はこの好機を逃すというのか?
お前らしくもない、いつもなら進軍命令に従うお前がどうしたというのだ?」
「呂公様お言葉ですが敵の情報は一切入って来ていません。
確かに今は孫堅抹殺の好機、しかし孫堅側には赤い恰好をした恐ろしく強い猛者がいるとのこと。
今まで孫堅にそんな隠し玉があったとは思えません。
部下たちの話によると全身が赤で髪や瞳までもが赤いというではないですか。
呂公様、こんな風貌をした輩は呉どころか大陸を探したっておりません。
考えるべきはあの噂、紅き流星舞い降りし時、この世の災厄と共に希望が訪れるであろう。
”其の希望こそ長きに渡り続いたこの戦乱を治め、人々に生きる道筋となろう。”
つまり、奴は天から来たものかと思われます。
そんな得体の知れない物が向こうについておるのです、様子を見た方が得策かと思われます。」
と進軍はやめるべきだと進言するが、呂公はため息をついた後少し小さめの声で語りかけるようにささやいた。
「それは分かる。
だがこの任務、放置したまま帰れば黄祖様の怒りを買いそのまま斬首される。
それが俺一人だったらいい、責任もあるしな。
だけどあの人は違う、部隊全員が責任を取らされる。
もう後がない、わかってくれるな?
このことは誰にもいうな、俺とお前の秘密だ。
わかったらさっさと指揮に戻れ。」
いうが早いかそのまま部下を部隊の列に押し上げ、大声で叫んだ。
「いいか、これから俺が先行していく!
お前ら遅れて来たら許さねぇからな!!
わかったか、全軍進撃!!!!」
呂公が士気を一気にあげる、がすぐに落ちることになる。
翔が仕掛けた罠は落とし穴だけではなかったのだ。
「うわぁ、でかい石が落ちてきた!!」(ズドン
「丸太が上から落ちてきた…」(バタン
「ぎゃぁぁ、落とし穴に嵌ったーー!!」
と上下からの肉体的ダメージのある罠から
「うわっ、何かが落ちてきた!
…泥まみれだよ、畜生なめやがって!!」
「蛇の群れがいるぞ、こっちに来た。
助けてくれー!!」
「これって家畜の死骸?
何でこんなところに、まさかはやり病があるんじゃ…」
「ぎゃぁぁ、落とし穴に嵌っ…た、あれ痛くない?
クンクン、くせぇこれ家畜の糞じゃねぇか!!!」
と精神的に攻めるものまで多種多様に罠が張り巡らされている。
実際ここまで見事に引っかかってくれたら張った側も満足というものだ。
その中で最も引っかかったのは呂公と言っていい。
一番前にでて駆け抜けたのだ、彼の乗る馬は駆け抜けすぐに落とし穴に“つまづいて”使い物にならなくなった。
その後自分の足で森を進むが翔お手製の罠にひどい目にあわされていった。
幸運にも針つき落とし穴には嵌らなかったのだが、それでも泥まみれの状態でいた。
その結果森から出てくるときには呂公軍は敗残兵のごとく泥まみれのぼろぼろの姿で孫堅軍のところに来たわけである。
敵side了
冥「なんだあれは…?
旗を見るに呂公であることは間違いない、しかし何故あんなぼろぼろなんだ?」
穏「あらら~、どこかの兵にでも襲われたんですかね~?」
雪「本当何があったのかしら、まるで戦に負けた敗残兵兵みたいだわ」
祭「まさかあのような罠で本当にここまで敵の士気が落ちているとは…」
四者四様に感想を漏らす、そんな中一人
翔「いやぁ~、見事に嵌ったみたいですね~ww
ね、言ったでしょ、うまくいけば士気をかなり下げられるって。
まぁ俺自身ここまで下がるとは思いませんでしたが。」
一人笑いながら翔は言った
翔「それじゃぁ、俺は行ってこようかな。」
祭「どこにいくのじゃ?」
翔「敵の大将と話してきます、たぶんだけどあの一番汚れている人が大将でしょ。」
冥「だめだ、何を考えている?
話が通じる相手ではないぞ、それに今いくと舌戦になる。
それに負けたらこちらの士気が下がってしまう。
それがわかっているのか?」
それほど舌戦は重要なのだ、と冥琳は問う。
当の本人は気にした風もなく、
翔「それじゃぁ、雪蓮と一緒にいきます。
名目上は大将同士の舌戦で、俺は雪蓮についていく。
あの呂公とかいう奴に聞きたいこともあるし、雪蓮いいかな?」
冥琳に答えるのではなく雪蓮に問う翔
雪「いいわよ「雪蓮!!」いいの、冥琳彼に任せましょう。
私の感が言っているの、翔を舌戦に参加させろ、って。
それに大丈夫よ、いざとなったら私が何とかするし♪」
このわがまま状態の雪蓮を止められるのは親の紅蓮か今は亡き彼女の父親ぐらいだろう。
ため息ひとつしてから冥琳はあきらめたようにわかったわ、と小さくいった。
呂公と雪蓮が対峙する。
呂公「まさかこんな姑息な手を使ってくるとは思わなかったぞ?
孫堅はどうした、まさか怯えて出てこれぬのか?
今貴様らにできるのは卑怯な手で我々を陥れるだけか?
落ちたものだな、江東の虎はただの腑抜けた猫に成り下がったか!?」
明らかに挑発している呂公、その問いに返答したのは雪蓮ではなく翔だった
翔「弱い犬ほどよく吠えるというけれど、ほんとに吠えるな~。
あんた何、あの手の罠が卑怯だって?
聞くけどあんたの兵、死人は出たの?
出るはずがないですよね~、だって死なないように計算してやったんですから。」
あくまで冷静に、かつ挑発を含めた声色で返答した。
呂公「貴様か、部下を吹き飛ばした言う将は、貴様があの罠を作ったて言うのか?
なるほど見れば見るほど赤いな。
衣服に髪に目まで赤いとは、貴様が天から来た“災厄”か。」
災厄といわれ眉をひそめる翔
翔「俺が“災厄”だと?
そうだろうね、あんたらにとってのだけど。
第一さぁ~、女一人にあんなたくさん人を使うとかあんたら恥ずかしくないの?
そんな卑怯者に姑息だの卑怯だの言われたくはないね。
それにあんたらは看板の警告を無視した“侵入者”だ、覚悟はできているんだろうな?」
看板とは「ここから先はとても危険です。」とかいてあったものだ。
翔は工作兵に看板を書かせていたのだ、それも目立つように大きく文字を書いて。
呂公「あれはお前がたてたのか…、お前名前は?」
翔「名を聞くときはあなたから名乗るのが礼儀じゃないのかな?
俺はあんたの名を知らん「呂公だ。」…朝霧 翔だ。」
呂公「朝霧か覚えたぞ、その名前。」
別に覚えてもらわんでもいいけどね、翔はつぶやいた。
翔「んじゃ呂公さんよ、確認をとるぞ。
このまま何も言わず帰ってくれないか?」
呂公「断る」
翔の問いに間髪入れず、待つ間もなく否定の言葉を放つ呂公
翔「…交渉決裂、いや“交渉成立”かな?
雪蓮、後は任せた。」
翔は苦笑いしつつ少し後ろに下がった
雪「まったく、面倒なところで変わってくれちゃって」
雪蓮もまた苦笑いを浮かべた後顔をを引き締め
雪「勇敢なる呉の精鋭たちよ、愚かしくも我が母にして王、孫文台の命を狙った愚者が目の前にいる!
敵は我々の事と腑抜けた猫と言い放った!
ならば見せてやろうではないか、呉の領地に入ったことを後悔させるがいい!!」
呉の兵を鼓舞する。
呂公もそれに対し鼓舞する。
呂公「お前らよく聞け、我らが目的の孫堅の首はもうすぐそこだ、我らを姑息な手で追い払おうとした
臆病者に見せてやれ、我らの力を!
ねじ伏せろ、我らはかつ!!」
雪蓮・呂公「「全軍抜刀!!!」」
両軍から金属音が響く、翔は居合の構えより少し低めの構えをとった。
静寂が訪れる。
1分とも10分とも、はたまた10秒にすら感じる時が過ぎ、声が響く。
雪蓮・呂公「「全軍突撃!!!!」」
全兵士「「「「「「「「「うおおぉぉぉ!!!!!!!!」」」」」」」」」
両軍が地鳴りを上げて走る、あと少しで激突するそんな時呉軍から赤いに何かが敵陣の中央付近まで“突っ込んだ”
翔「二の太刀改式、“渦潮(うずしお)”」
自分を軸にして回転しながら血桜を抜く。
空気を切り裂く音が響いた刹那、翔を中心にして竜巻が出来た。
竜巻は赤く燃え盛るように広がり翔の半径10メートルには何も残っていなかった。
翔「後悔してももう遅い、あんたらまとめて“排除”する。」
低い声で言い切った後敵が雪崩の様に押し寄せてきた。
敵「この野郎、ぶっ殺してや「遅い」る・・・?」
敵兵が翔の背後を襲うがそれよりも早く翔は敵兵の腹部を蹴り飛ばし、敵兵が持っていた槍を拾うと血桜をしまい槍を構えた。
翔「さぁ、こい。
あんたら相手に血桜はもったいない。」
挑発する翔、そして見事に引っかかる呂公軍。
敵兵が切りかかる、槍を持ち替え腹部を突き、悶絶しているところを蹴り飛ばす。
他の敵兵を巻き込んだため少し間合いが出来た、その間合いめがけて大量の弓が空から降りそそぐ。
槍に氣を注ぎ、思い切り振りきる。
槍から炎が噴き出し矢をことごとく燃やし、吹き飛ばす。
翔「それだけ?
それじゃあ俺は殺せないよ?」
槍を振り回しながら突き進む、途中で槍も折れるが敵の槍を奪い又振り回す。
紅い髪をなびかせるその姿は見事な舞、その紅い眼に映るのは恐怖に染まった敵の顔。
敵の戦意は下がる一方、呉軍にもあまりに強すぎる翔を見て動きが止まっているものも少なくなかった。
雪「見よ、我らには天がついている!!
呉の兵よ、恐れるな!!
勝利は我らの者だ!!!」
雪蓮が叫ぶと呉の兵士の士気が一気に上がり呂公軍を圧倒し始める。
その様子を遠くから見ていた冥琳、穏、それに祭。
冥「まさかこれ程とは…。
朝霧翔…か、とんだ拾い物をしたものだ。
右翼展開せよ、一気にたたみかける!!!」
穏「すごいですね~、祭様の言う通り朝霧さんお強いんですね~。
罠がどうとか言っていましたがそれも天の知識なんでしょうか~、興味津々です~♪。
左翼のみなさ~ん、展開してやっつけましょう~。」
祭「翔には驚かされる一方じゃの、強いと思っていたがまさかここまでとは…。
自分の獲物を一回しか使っておらんとは、中々楽しめる小僧じゃ♪。
黄蓋隊、右左翼を援護する!!
中央は策殿達に任せても大丈夫じゃ。
弓を構えよ、……今じゃ放てぇ!!!!」
翔と雪蓮が前線をかく乱し右左翼で追い打ち弓での援護、と相手は蹂躙の一択しか残っておらず、荒々しいその戦は獲物を追う猛獣のそれに近かった。
呂公side
何だあれは、何なのだあれは!?
剣も効かぬ弓も効かぬ、槍に至っては奪って自分で使うだと?
あの小僧が持っていた剣は最初の一撃以降使っておらぬとはとことん舐めおって。
呂公「もうよい、俺があいつの相手をしてやる!!」
剣を抜き翔のところへ突っ込む呂公、剣を振り上げ翔がいた場所に向かって剣を投げる。
完全に死角をついており勢いもある、仕留めたと確信した時、翔の体が消え、呂公の目の前に消えた翔が立っていた。
呂公 side了
翔「やっほう、惜しかったね。
あと少し気付くのが遅れたら死んでたよwww。」
笑いながら近づく翔片手にはいたんだ槍を担いでいる
呂公「朝霧、貴様何者だ?
なにゆえ孫堅に手を貸す、何故我らの邪魔をする?
貴様は天から来たのであろう、孫堅にそこまで手を貸す理由はなんだ?」
呂公のそんな問いかけに
翔「俺は何者かって?
それはあんたが言ってたじゃないか、“災厄”だよ。
あんたらの邪魔をするわけじゃないさ。
自分の家に土足で入りこんだ礼儀知らずを追い出した、ただそれだけだ。
孫堅さんに手を貸す理由、そんなの決まってるじゃん。
あんな美人が困っているんだ、助けなきゃ男じゃない。」
と答える翔
呂公「…そうか。
朝霧よ、これを使え。」
近くにあった槍二本を拾いそのうち一本をなげわたす呂公、少し驚きながらもそれをつかむ翔。
翔「何のつもりだ?」
呂公「その槍、かなり傷んでいるな。
そんな槍でやりあっても面白くないからな、これで武器の条件は同じだ。」
さぁこい、と槍を構える呂公、それにつられ翔も構える。
呂公「いくぞ!!
はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
槍を回転させてから振り下ろす、空気を裂きつつ翔を襲う。
半歩下がりそれを躱し、槍を突きだす翔。
槍は呂公の頬ををかすめて頭の防具をはじき飛ばした。
宙を舞い落ちる、防具が弾き飛ばされた反動で後ろにのけぞりわずかな隙が出来た。
呂公「しまっ「はい、おわりー。」ごふっ。
…まさか、こんな小僧に負ける、とは。」
翔「安心しろ、峰うちだ。」
どこかで聞いたことがある有名なセリフを残して立ち去った
わずか1分で翔と呂公の一騎打ちは終わった。
戦闘時間2刻(四時間) 呂公の捕縛という形で呉軍の勝利におわった。
被害統計は呂公軍2000名のうち740名軽傷、632名重傷、死者300名と全滅に近い被害をだし、呉軍1500名のうち800名軽傷、300名重傷、死者150名という大勝利に終わった。
翔「ただいまで~す。」
と遊びから帰ってきたような陽気さで天幕に戻ってきた翔。
冥「帰ってきたな、朝霧。
それじゃぁ説明してもらおうか、一体どんな罠を張ったんだ?」
帰ってくるなりいきなり本題に入る冥琳、「はい、それはですね」と翔が言った時、翔は倒れた。
祭「朝霧!!」
真っ先に来たのは祭、翔を抱きかかえ揺さぶった。
しばらくしてグーとおなかが鳴る音が聞こえ、少しうめいた後に
翔「よく考えたら、飯食ってなかった。
おなかすいた…。」
と間の抜けた声をだし気絶するのだった。
あとがき
第五章~戦~いかがでしたか?
正直いいます、めっちゃ難しい!!!
なんだこれ?
もっと早くの投稿予定だったんですが、書いたデータがぶっ飛んでしまって大変でした。
なんか文字数が一万超えてたし…勉強しないとな(・ω・`)
さてさて今回翔くんが暴れましたね。
今回出てきた罠の数々は実際使われていたものらしいです。
即死級の罠よりじわじわ痛みを与える方がいいそうで…こわいですね。
詳しいことは次回に翔くんが説明します。
こんな作品ですがここまで読んでくださってありがとうございました!!
感想・コメントお待ちしてます!!
再見(>w<)ノ
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オリジナル主人公で、かなりチートです。
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この作品がおかしいと思ったら
どんどん理由付きで突っ込んでください。
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