No.217572

本・恋姫無双第三十四話

nakatakさん

久しぶりの投稿です。
しばらく、私事で忙しく、投稿が遅れました。
それでは、またこの外史の時間を進めたいと思います。

それでは、どうぞ。

2011-05-19 17:19:25 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:2478   閲覧ユーザー数:2195

---長沙・会議室---

 

 

一刀達が洛陽から帰って、約三ヶ月後、評定にて、とある議題が上がった。

 

 

百合「紙の売上が、頭打ちの状態でして、今のままなら良いのです。しかし、今より事業を拡大するたびに、赤字が増えます。」

 

 

一刀「嘘ぉ…」

 

 

冥琳「考えられる原因としては、木簡から紙への移行が進んでない事が挙げられます。」

 

 

現代であっても、紙台帳からコンピューターに移行する際、物凄い手間と、大量の手違いが発生している。

 

 

当然、この時代でも木簡で書かれているもの全てを、紙に書きかえる訳では無いし、新規に書かれるものぐらいしか紙の需要は無い。

 

 

睡蓮「識字者が少ないのも、原因ですね。」

 

 

一刀「俺達の世界と比べてね…」

 

 

またこの時代、字を書ける人も少ない。故に新規に書かれる数も少なくなる。

 

 

雨蓮「赤字になるのは困るな…」

 

 

皆が、考え込んでいる間、珍しい所から手が挙がる。

 

蓮華「少し宜しいでしょうか?」

 

 

雨蓮「なんだ?言ってみよ。」

 

 

蓮華「製紙工場の存続を、前提条件に入れてもらえますでしょうか?」

 

 

雨蓮「何故だ?」

 

 

蓮華「近い将来、天の世界に有るような『学校』を、此処に造りたいと考えています。その為、紙の安定供給は必須です。」

 

 

雪蓮「私としては、『学校』は反対なのだけれど?」

 

 

冥琳「『学校』云々に関しては、後々議論しましょう。ただ、私も製紙工場の存続を前提に、考えるべきかと。」

 

 

蓮華「姉さまは、何故『学校』に反対なのですか?」

 

 

雪蓮「蓮華、あのね…私達が「伯符?」…はいはい…」

 

 

雪蓮の怒気がかった声が、冥琳の一刺で、しぼんでいくのが良く見える…

 

 

雨蓮「雪蓮の言わんとすることも分かるが、とりあえず、存続を前提に考えておこう。皆もそのつもりでな。」

 

 

全員「御意」

 

 

雨蓮「各々、良案を期待する。では、次の案件だが…」

 

 

一刀「『アレ』だね…」

 

『アレ』とは、一刀が洛陽より買い求め、今は厳顔の手に渡った『アレ』である。

 

 

冥琳「構造などを考察する限り、火器の類ですね。そして、その製造技術を、曹陣営は持ち合わせていると考えます。」

 

 

清「付け加えるなら、これに使う火薬は本来、この時代で出てこない配合です。」

 

 

雪蓮「ひゃっ!!」

 

 

後ろから、気配も出さずに急に出てきたら、こんな声も出ます。

 

 

冥琳「という事は…」

 

 

そんな状況を無視して、話を進めようとしている冥琳…雪蓮が各々に、突っ込みをいれようとしたが…

 

 

清「はい…『太平妖術』かと思います。」

 

 

この、一言でシンと静まり返った。

 

 

一刀「まあ、曹操が、袁術の本拠を落としたんだ。そこで得ていても、おかしくは無い…か…」

 

 

雪蓮「…冥琳、前話してくれたアレ…あの時、私たちは反対したけど…密かに造って在るんでしょう?」

 

 

冥琳「ふぅ…まったく、勘だけは鋭いのだから…」

 

 

冥琳が部下に命じて持って来させたものを見て、一刀は思わず叫んだ…

 

 

一刀「嘘だろ!?…鉄砲だよなこれ!?」

 

 

冥琳「試作品だがな…」

 

 

一刀「また、えげつない物を…??…さっき『私たち』って言ったけど…」

 

 

雨蓮「私も反対した。」

 

 

一刀「そりゃまた、何故でしょうか?理由は二人同じなのでしょうか?」

 

 

雪蓮「ええ、理由は同じよ。この武器はね…『強すぎる』のよ。」

 

 

祭「何?『強すぎる』じゃと?」

 

 

穏「えーと、何か色々と、言葉が抜けているような気がしますが?」

 

 

蓮華「えっと、鉄砲について、私も今、知ったのだけれども…どのような代物なの?実演出来る?」

 

 

冥琳「では、実際に見てもらいましょうか」

 

---城内・練武場---

 

 

場所を移し、一同が見守る中、撃つ準備を進める冥琳。

 

 

冥琳「では、実際に、あの百歩先の的を打ち抜いてみますね…」

 

 

一刀「みんな、耳塞げよ、音すごいから。」

 

 

皆が耳に指を入れたところで冥琳が引き金を引く。

 

ドンッ!!

 

蓮華「耳を塞いでいても、凄い音ね…」

 

 

祭「成程、確かに威力は『強い』のぉ。」

 

 

粉々になった的を見て、一人つぶやいた。

 

 

冥琳「ちなみに、やり方さえ教えれば、そこの女中でも、同様に撃てるようになります」

 

 

そう言って、偶然通りかかった、華奢な体格の女中に、一同の視線が注がれ、女中はその場で後ずさった。

 

 

蓮華「姉さまが言った『強すぎる』の意味がわかりました。」

 

 

雪蓮「蓮華、言ってみなさい。」

 

 

蓮華「弓や剣、槍等の武器と違い、少ない鍛錬で『強い力』を得る事が出来る。」

 

 

雪蓮「それで?」

 

 

蓮華「『力に魅入られ、力に酔う』危惧を言ってるのですね。」

 

 

雪蓮「ご名答♪」

 

 

冥琳「実演も見ず、勘でそこに辿り着いた雪蓮は、凄いと思うけど、勘で反対された身になってほしいわね…」

 

 

雪蓮「あう…」

 

一刀「冥琳、これ量産できるか?」

 

 

冥琳「号令待ちだな。火薬…特に硝石だけは既に製造している。領内にそれの鉱脈は無いのでな。」

 

 

一刀「硝石?………!!。あの方法か…コソコソ…」

 

 

冥琳に耳打ちする。

 

 

冥琳「よく判ったな。」

 

 

一刀「興味があったからね。過去に調べた事が有って…」

 

 

雪蓮「何よ!教えなさいよ!」

 

 

一刀「えーっと…」

 

 

冥琳「製造法は、秘中の秘とする。雨蓮様でも教えられませんので。」

 

 

雨蓮「それで良い。それと、量産の件も許可する。他者が作れる以上、我らが作らない理由は無い。改善等は、一刀や清と相談するように。」

 

 

冥琳「御意。」

 

 

雨蓮「では、今日の評定は以上。解散」

 

 

君主の一言で、皆が持ち場に戻るが…

 

 

雨蓮「蓮華、ついて来なさい。」

 

 

蓮華「えっ?はい…」

 

 

一人だけ呼び出された。

 

---孫堅の私室---

 

 

雨蓮「ひとつ、気になったので聞く。『学校』に言及したが、どういう経緯(いきさつ)だ?」

 

 

蓮華「孫呉千年の計を考えれば、当然の帰結です。ただ、最低十年は先でしょうが…」

 

 

雨蓮「…今は、優先順位が低いのだな?」

 

 

蓮華「はい」

 

 

雨蓮「ならば良い。」

 

 

蓮華「母様は、姉さまが反対の理由を、ご存知でしょうか?」

 

 

雨蓮「あいつの場合は、『由らしむべし、知らしむべからず』ってところだろう。…私は理由こそ違えども、今は反対ですよ?」

 

 

そう優しく語りかけ、紙に書をしたためた。

 

 

『倉廩礼節、衣食栄辱』(倉廩(そうりん)実ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る)

 

 

蓮華「『管子』の一節ですね…」

 

 

雨蓮「今は、何をすべきか…後継者の一人として考えなさい。」

 

 

蓮華「わかりました…」

 

 

雨蓮「それと、為政者としての忠告、『急いては事を仕損じる』。胆に銘じなさい。」

 

 

蓮華「はい…失礼します。」

 

 

雨蓮「………ふぅ…一長一短…かな?」

 

 

雨蓮が今後の事に頭を傾けている頃…

 

---南皮---

 

袁紹「時は満ちましたわ。今こそあの憎き……誰でしたっけ?」

 

 

顔良「公孫賛です…」

 

 

袁紹「そうでしたわね。今こそあの憎き、公孫さんを叩きのめして差し上げますわ!!」

 

 

文醜「応!!」

 

 

顔良(大丈夫なのかな…)

 

 

歴史の針は進み続ける…

 

あとがき

 

お久しぶりです。nakatakです。

 

前の話を投稿した時は、雪がちらつく時もあった頃なのに、

 

今じゃ、夏日なんて言葉が躍る時期になっちゃいました…

 

Basesonの新作(?)も期待できそうですね(といっても絵師のオーディション中だけど…)

 

あと、硝石について、日本の戦国時代で造られていた方法です。(少し汚い話…)

 

それでは、また。


 
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