No.216798

恋姫無双 ~決別と誓い~ 第三話

コックさん

前回の続きです。
ここからオリジナルの要素が強くなっていきます。


誤字脱字等、指摘をお宜しくお願いします

2011-05-15 02:42:21 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4644   閲覧ユーザー数:4013

目が覚める。

 

いつも見る彼女の夢。

 

無力な自分。

 

 

そして大切な人を守れなかった自分。

 

 

弱い自分を棚に上げ、ひたすら理想だけを口にしていた自分。

 

 

そして、そんな自分に気づかないフリをしていた自分。

 

あの夢はそんな夢だ。

 

 

 

手早く服に着替えながら思わず舌打ちが漏れる。

 

 

ここ一週間仕事に出ていない。少し考える時間が欲しいと冥琳・・・・いや周瑜に頼んだのであった。

 

 

「そうか・・・・。わかった。溜まっていた休暇の一週間分を使うといい」

「気持ちを整理して戻ってこい・・・・・」

 

 

周瑜はおれにそう云った。

俺は自分も辛いはずなのに、こんな自分を気遣ってくれる周瑜に感謝しつつ

俺はただひたすら考えた。

今までみたいに女性の尻ばかり追いかけているような地位で本当にいいのか。

そして、またあのような惨劇を起こさないために自分はどう行動をおこすべきなのかを。

 

 

ようやく俺はある一つの決断に至った。

これから一番聞いてもらいたい人に報告するつもりである。

 

 

自分の部屋の戸を静かに開ける。まだ夜明けだ。

皆眠っている。迷惑はかけたくない。

俺は足音と気配を消して、ある場所へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

私は仕事に没頭し書いている書簡に日が差し込まれるのを見てまた時間を忘れて仕事をしていたのだなと忸怩たる思いであった。窓からうっすらと日差しが来ている。どうやら日が昇ったようだ。

もう何日も寝ていない。

なのに不思議と疲労がなかった。

 

 

しかし正直・・・・・、もう限界なのかもしれない。

仕事をしなければ自我を保てないのである。

大切な親友を守れなかった無力な自分、楽しかった日々。

雪蓮が息を引き取った時から後ろを振り返らないと誓っていたのに・・・・・・。

 

 

恐らく私自身、ただ辛い事に逃げているだけかもしれない。

仕事をすればあの時のことを忘れられる。

大切な親友を守れない無力な自分を思い出さなくていい・・・。

 

 

夜が明けた執務室で一人自嘲気味に笑ってみた。

「・・・・ふっ。おかしいだろう雪蓮。お前が今いたら、

どう私に声をかけるのだろうな?」

 

 

 

自分の声が鳥のさえずりと共に消える。

まただ。また思い出してしまった。

私は無理矢理、自分の負の考えを追い払う。

 

 

 

そういえば、

北郷が珍しく溜まっていた休暇を消化したいと頼んできたのをふと思い出した。

彼がこの休暇を使い、自分を模索しているのは私を含め、呉の皆も知っている。

そして彼がどの様な決断に至ったのか、大方予想はついている。

 

「さて、たまにはアイツのところにいってやらないとな」

あの日から随分とご無沙汰だ。

あいつもそろそろ拗ねているころだろう。

私はそう呟くとある場所へ向かうため、重たい腰を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

生え茂った森林を進んでいくと、川があるところに抜ける。

そこに俺の愛した人が眠っている。

 

 

孫策伯符。

「江東の小覇王」という名で大陸に知れ渡っていた呉の前王である。

 

 

彼女が崩御したとき家臣だけでなく、呉の国民全員が悲しんだ。

また彼女を追いかけるように殉死する兵士、国民が多々いたため、

殉死の禁止を呼びかけたほどだ。

その出来事は彼女が国民にどれだけ愛されていたかを俺は痛切に感じた瞬間でもあった。

 

 

今現在は妹である孫権が後を継ぎ、悲しみに暮れる呉を立て直し、

おかげで今は前の呉のように、活気を取り戻しつつある。

 

 

また江東を攻めてきた曹操は孫策が発した最後の大号令により、

鬼神と化した呉の兵による追撃でかなりの痛手を負ったらしく、

しばらく攻めてくることはないと間諜から報告が来ている。

 

また曹操は孫策を暗殺した伏兵を処刑し、近々慰問の使者がその首を持ってくるという旨を孫権に

伝えている。

 

 

 

 

 

蜀に関しては今南蛮に遠征をしており、魏と同様に攻めてくることは当分ないだろう。

 

 

 

 

俺はこの残された時間をどうやって生きるのかを、彼女に聞いてもらいたくて来たのであった。

 

 

 

森を抜けると大きな川あり、その手前に彼女の小さな墓と母である孫堅の墓が寄り添うように建てられている。

 

 

その墓に人影があった。

どうやら先客らしい。

この時間帯に人がいることを驚きつつも、俺は歩き続ける。

 

 

「北郷・・・・。お前も来たのか?」

彼女----周瑜は俺と目を合わすと同じように驚いた顔をして云った。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

「どうした?そんな顔して。私が来たのは意外だったか?」

 

 

「いや・・・・、そういうわけではないけど・・・」

 

 

図星を突かれた俺はしどろもどろにそう云うしかなかった。

 

 

彼女の云う通りだった。

彼女は唯一、呉の人間の中で雪蓮の死に対して淡白な反応をしていた。

あの、のんびり屋の陸遜でさえ悲しんでいたのにも関わらずだ。

周瑜はもう彼女の墓へさえ来ないのではないかと思ってしまいそうな、

それぐらい淡々とした振る舞いを彼女の葬儀で行っていたのが記憶に新しい。

 

 

その彼女------周瑜は手に何かを持っていた。

きれいな花である。

だが、俺はそんなに花に詳しいわけでは無いので名前は分からないのだが。

 

 

「ん?この花か?これは雪蓮が好きだった花だ。手持ち無沙汰ではあいつは怒るだろうからな」

周瑜は俺の視線に気づいたらしく、キリッとした切れ長の目を細めて笑いながらそう云った。

昔を懐古しているのか、その笑顔は子供の様に無邪気な笑みだ。

 

 

俺は内心驚きを隠せないままでいた。

あの周瑜が雪蓮の死に対し今まで淡白な反応しかしなっかたのに一転、彼女の墓の前であんなに楽しそうに笑っているからだ。

 

 

そして暫くの静寂の後、彼女は笑いながら話を本題へと移した。

 

「しかしこんな朝早く・・・・・。どうした?」

 

 

「雪蓮に聞いてもらおうと思って・・・・」

 

 

 

「・・・・・・そうか」

周瑜は笑みを消して、俯いた。

伺うと悲しそうな顔をしている。

 

 

 

「聞かないの?俺が何を云うのか」

 

 

「大方、察しはつく・・・・」

 

 

「さすが、呉一の軍師様だな。大したもんだ」

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

茶化したが反応がない。

どうやら彼女は本当に悲しんでいるようだった。

彼女は俯いていた顔を上げて、辛そうに口を開いた。

 

 

「・・・・・・軍師として私の後を継ぐ気はないのだな?」

 

 

 

「ああ」

 

 

 

 

俺はそう云って頷いた。

 

 

 

 

 

どうも、コックです~。

 

 

オリジナルが入ってきましたがどうでしたか?

これからはオリジナルがどんどん強くなっていくと思います。

ただシナリオの流れは原作を忠実にやっていこう思っていますので、どうかご安心を。

 

 

 

 

 

さて一刀は軍師としての道を諦めてしまいますが、その理由は次回になります。

 

 

 

勘違いしないでよ!!

べ、別に軍師で話を進めると戦闘シーンが難しくなるとか思ってないんだからね!!//////(ツンデレ風に)

 

 

という苦しい言い訳をぬかしてますが、そっとしておいてやってください(汗)

軍師だと作戦を考えなきゃいけないでしょ?

今の自分には力不足だと・・・・・・。

 

 

やっぱり他の人達はすごいですね。

 

 

 

あと今回一刀は仲間達を真名で呼んでいません。(雪蓮を除き)

それの理由も次回に書こうかなと思ってます。

お楽しみに。


 
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