― 孫策Side ―
あんのぉ馬鹿男!!!
寿春に行っていた冥琳が帰ってきて1ヶ月以内に戦が出来るように準備した方が良いって進言してきた。
確かに今の孫家なら袁術ちゃん達の軍くらい勝てると思うけどさ。
でも、なんで急に言い出したのか理由を聞いて呆気にとられた。
北郷の策で袁術を寿春から追い出す・・・・・・。
まだそこまでは良かったわよ?
でもその策が問題!
って言うかそんなの事で城が取れるなら戦なんて誰もしないわよ!
冥琳もそう上手く行くはずがないって思っているみたいだし、誰もがそう思うわよ・・・・・。
それよりも!!
一刀は自分の失敗が元で戦が始まるかもしれないってわかって言ってるの?
もしわかってないのなら最低だわ・・・・・・。
いくら袁術の側近である張勲からの要請とは言え、下手すればそれが罠だって可能性もあるのよ?。
冥琳に一刀の居場所を聞いて馬を飛ばす。
「見つけた!」
一刀がいたのは建業から十里ほど離れた廃村の近くにある小高い丘の上。
大人数で何かをせっせと運んでるみたいだけど・・・・・・・。
「一刀!!」
「ん?あぁ雪蓮、どうしてここに?」
「どうして?そんな事一刀もわかってるんじゃない?」
「まぁ・・・・、そりゃおお事だからね」
「一刀、何やってるのか知らないけど失敗したらどうなるかわかってるんでしょ?
一刀の失敗で私達は戦をする事になるかも知れないのよ!?」
「わかってるよ・・・・・・。この策が失敗したのならそれは俺の責任だ。
これは言わないでおこうと思ったけど雪蓮は孫家の王だから言っておいた方がいいかもね」
「どう言う事?」
「なに、ものすごく簡単な事。
この策は『権力を欲した天の御使いとお守りに疲れた袁術の側近が手を組んで起こした謀反』なんだよ。
だから、孫家は知らぬ存ぜぬで通せばいい。
『将軍と言う扱いに満足できなかった天の御使い』が『袁術のお守りに疲れた大将軍』と手を組んで
袁術を寿春から排除し自分が取って代わる為の企みなんだ。
失敗した時は『天の御使いはあくまで客将として置いていただけであって、孫家の正式な将ではない』
こう言って俺を差し出せば、多少は疑われるだろうけど戦をする所までは行かないさ。
向こうににそう思わせるために証拠も残してるからな。
冥琳が戦の準備をしていたとしても、俺の謀反に気づいて袁術を助ける為に挙兵したって事にすれば、逆に袁術に取り入る事も出来るだろうしね。
その辺の事は失敗した場合冥琳に伝えるよう手はずも整えてる。
だからその時は、さくっと俺の首をはねて袁術の前に転がしてくれればいいさ」
周辺で着々と進む作業をじっと見つめながら何気ないようにそう口にした一刀。
横に居る私は何も言え無くなってしまう。
一刀は孫家の為に策の中に自分の命を組み込んで、失敗した時の為に保険すらかけている。
孫家は無関係だと言う証拠まで用意しているとまで言っていた。
孫家の王として無闇に戦を起して民を巻き込みたくない。
だからこそこの策を許す事は出来ないはずだった。
だけど今の話を聞いてしまった私の中の『王』は孫家と孫家を慕ってくれる民に被害が及ばなければ好きにさせればいいと言う。
上手く行けば兵や民に被害を与えずに袁術ちゃんの客将という立場から抜け出す事が出来る、そしてその地盤すら孫家に組み込む事ができる、そうなれば我等の夢の為の大きな足がかりになる・・・・・。
失敗してもそれを逆手にとって袁術ちゃんに取り入ればそれだけでも大きな収穫だ・・・・・。
孫家の内部では、一刀は表向きには孫家の婿として、今の所は客将と言う立場になっている。
だからさっき一刀が言ったように知らぬ存ぜぬで通す事もできると思う。
失敗すればその企みを阻止する名目で出兵し、一刀の首を私達の手で刎ねて袁術ちゃんに差し出せばいい。
だけど孫家に仕えてくれる皆はそれで納得するのかしら?
たぶん・・・・・いや、絶対に納得なんかしないわね・・・・・。
特に蓮華や祭、思春・・・・・・そして母様も。
冥琳は孫家の為ならばと納得すると思う。
『王』としての私も納得するだろう。
『それでいいの?』
もう一人の私がそう問いかけてくる・・・・・・・。
『雪蓮、本当にそれでいいの?』
何度聞かれても『王』としての私はその道を選ぶわ・・・・・・。
『今この場所で一刀を止めればいいじゃない』
止まると思う?
『私は止めれると思うわ』
私は、そうは思わないわ。
『どうして?』
一刀を見ればわかるでしょ?
『一刀の何を見たの?』
目よ。
『目を見て何がわかったの?』
自分で見たでしょ?
『えぇ、見たわ。だからこそ、私は死なせたくないわ』
でも一刀はそう決めてるのよ。
『失敗すれば死ぬかもしれないのに?』
私は王だもの、民、それに孫家の利益になるのなら身内すら切り捨てる覚悟くらいあるわ。
『またそんな事いって・・・・。いつまで意地張ってるつもり?』
意地なんて張ってないわよ。
『ほーんと子供よね』
もう子供じゃない!私は孫家の王よ!
『王って言う逃げ道に逃げ込んでる子供よ』
違う!
『違わない。本当の孫家の王なら、失敗すれば死ぬとわかっているなら止めるはずだし』
っ!!
『自分が孫家の王だって言うのならさっさと止めなさいよ』
止めれるはずないじゃない!!
『どうして?』
そんな事一刀の顔を見ればわかるでしょ!!
『私は私に聞いてるんだけど?』
私ならわかりなさいよ!!
『私なら自分の口ではっきり言えるでしょ?』
何をよ!?
『気づいてるくせに』
だから何を!!
『なんで気づかない振りをするのかなぁ~私は・・・・・』
もったいぶらないで言いなさいよ!!
『だから、もう自分で気づいてるんでしょ?』
しつこいわ!!
『気づいてるから止めれないんでしょ?気づいてるから止めろって口に出来ないんでしょ?
気づいてるから目で追ってるんでしょ?気づいてるから素直になれないんでしょ?』
うるさい!!
『祭に蓮華、思春が嫁になるって宣言した時気が気じゃなかった癖に』
うるさい!!
『政務をサボってまで木の上で一刀が鍛錬してる所を見ながら酒を飲んでたのは何処の誰だっけ?』
うるさい!!
『街で民と話しこんでいる一刀を見て嬉しそうにしてたのは誰?』
うるさいって言ってるでしょ!!
『母様の事で一刀に嫉妬してたのを一刀に気づかれてまともに顔すら見れなかったくせに』
言わないで!!
『一刀が気になるくせに本人を目の前にするとそっけない態度しか取れないくせに』
もう言わないで・・・・・。
『早く認めちゃえば?』
何をよ・・・・・・。
『まだ意地張る気?』
意地なんて張ってないわよ・・・・・。
『しかたないわね』
何がよ?
『王としての雪蓮が言わないなら女としての雪蓮が言ってあげるわ』
駄目!!それ以上言わないで!!!
『私はね』
お願いだからそれ以上言わないで!!!
『一刀が・・・・・・』
言うな!!それ以上言うな!!!!!
「『好き』」
・・・・・・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・。
「・・・・・蓮?雪蓮ってば!!」
「っ!?え、な、何?」
「いや、さっきからずっと黙りこくってるから具合でも悪いのかと思ってさ・・・・・」
「だ、大丈夫から気にしないで・・・・・・」
「そっか・・・・・・。じゃぁ、俺も作業の途中だから戻るよ、もうあんまり時間がないしね・・・・・。
さっきも言ったけど孫家、それに皆には迷惑かけないようになってるから。
んじゃ、またな」
「あ・・・・・・・」
そう言って走って行く一刀の背を私はただ見送る事しか出来なかった。
― 陸遜Side ―
雪蓮様の様子がおかしいんですよぉ~。
どこかに出かけてらしたみたいなんですけど帰ってきてからずっとあの調子なんですよねぇ~。
「雪蓮さまぁ~、この書簡なんですけどぉ・・・・・」
「ん~~、・・・・適当にその辺に置いといて~」
と、ずっとこんな感じで上の空なんですよ~。
冥琳様に聞いてみても
『私にもよくわからん』
とのことですし~。
ん~、あ!、そう言えば一刀さんの事で冥琳様が雪蓮様と何かお話してましたね~。
その後雪蓮様は一刀さんの所に行って・・・・・帰って来たらこの有様・・・・・。
これは何かあったとしか思えませんね。
では・・・・・。
「一刀さんは一体何しに出かけたのか知りませんか~?」
「し!?知らないわよ一刀の・・・こと・・・・・なんて・・・・・」
やはり何かあったようですねぇ。
『一刀さん』の名前が出た瞬間、雪蓮様の体が跳ねましたし間違いないでしょう。
その後に続いた言葉は徐々に尻すぼみになってましたのでほぼ確定ですねぇ~。
「ところで雪蓮さま~、一刀さんってどんな人なんですか~?」
「し、知らないわ・・・・・・そんな・・事」
「またまたぁ~、知ってるんですよぉ~」
「な、何をよ・・・・・」
「よくお庭の木の上でお酒を飲みながら一刀さんを見てらっしゃったじゃないですか~」
「っ!?た、たまたまよ!!」
雪蓮様、動揺しすぎですよ~。
そんな態度じゃバレバレですね~。
それにしても雪蓮様ってもっと積極的な方だったはずなんですが。
此処は一つ背中を押してあげた方がいいのかも知れませんね。
「雪蓮さま、最近読んだ本にですねぇ~・・・・・・・」
「・・・・・・穏、本は冥琳に禁止されてたんじゃなかったかしら?」
「そんな事はどうでもいいんですよぉ~、で、読んだ本にですねこう書いてありました。
『愛することによって失うものは何もない。 しかし、愛することを怖がっていたら、何も得られない』
作者は案慈恵利素さんと言う方らしいのですが、この言葉を目にしたときそれはもう・・・・体が熱く・・・『バキ!』・・・きゃふぅ」
「穏・・・・・・私は本を禁止していたはずだが?」
「め、冥琳さまぁ、いつのまにぃ・・・・・・・」
「少しお仕置きが必要なようだな・・・・・」
「ひぇ~ご~め~ん~な~さ~い~・・・・あ、雪蓮さまぁ~もうひとつぅ!
『人を誘惑することのできないような者は、人を救うこともできない』
こちらは木毛呉尾流さんと言う人の言「穏!!」・・・・・いぃ~やぁ~・・・・・・」
この後、冥琳様にこってり搾られたのは言うまでもありません・・・・・。
あとがきっぽいもの
孫呉のチチは化け物か!!!最近、この言葉が頭から離れない獅子丸です。
雪蓮はこのまま踏み出すのか!?
それとも今だ踏み出せないのか!?
今回はそんな話になっていますw
はたして一刀の策は!?
それは次回に持越しです(ぁ
前回のコメント読ましていただきました。
コメントしていただきありがとうございます><
蜀アンチ発言に対する皆さんの反応は以外でしたw
まぁ、正史の劉備は何気に人として最低ですからねw
蜀に対するアプローチは今後どうなるか楽しみに?していて下さいw
最近のコメントへの返答方法を考えていたのですが、
コメント欄に直接したほうがいいですよね?
獅子丸的には一人一人にコメントしたいのですが
そうするとコメント欄の半分は獅子丸の発言になるのでどうするべきか迷っていますw
というわけで、今回はあとがきの次のページでコメント返信を試してみようと思いますb
ではあとがきはこの辺で
次回も
生温い目でお読み頂ければ幸いです。
コメント返信コーナー
>華狼さん 獅子丸もコメントしてくれる方が増えて嬉しい限りです^^
張勲の思惑は・・・・・近いうちにわかると思います。
腹黒っぷりを発揮してくれるといいのですがw
>はりまえさん 書いてて思ったんですが一刀がいれば冥琳いらなくね?w
っとまぁ、冗談はさておき、この話の一刀は頭がいいというよりは悪知恵が働くと言った方がいいかもしれませんw
>根黒宅さん 一目惚れもありかなとは思ったんですが思春ですから見てくれに騙されはしないですしね。思春はこれからクーデレ担当として気合入れて頑張るそうです(ぁ
>氷屋さん 日本の単位で行くか中国の単位で行くか迷ったんですが三国志なので中国単位で行く事になりました。思春は腹黒でもいいと思います!!
>2828さん いや、マジで悩んでるんですよwその場合の話の筋も出来てはいるんです!
ですがそれをしちゃうと呉の武将の半分は熟j・・・じゃなくて妙齢の美女に・・・・・。
>しゅうさん 頑張って続き書きますb前にも書いたのですが原作とは道が外れています。
大筋はたどりますがこの先何処に向かうのかは・・・・・楽しみにしていてくださいw
>悠なるかなさん 思春は表面上は変わっていないはずです(ぁ その辺も今後に織り込んでいきますので楽しみにしていてください。
>readmanさん 蜀がどうなるか・・・・。楽しみに?していてくださいw
>アロンアルファさん 交渉内容は一体何なのか!?それはたぶん次回で・・・・w
>balboさん しょっぱなから飛ばすと息切れしそうだったんでw
まったりの間に山を挟んでいこうと思っています、って言ってもこの後直ぐに黄色い布が早くしろって・・・・・。
>shinさん ガンガンいっていいんですかね?w
>lovegtrさん 七乃さん腹黒いですからねぇ・・・・・・。七乃さんは何を考えているのやらw
>patishinさん ですよね・・・・。なんか慕ってる人達が哀れで・・・・・^^;
>かもくんさん 蜀はねぇ・・・・・。いいキャラばっかなのにもったいなさ過ぎる・・・・・。
>Sinヒトヤ犬さん 今までってw確かに全てを気にしていたら思ったように書けなくなりそうですね><
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第十八話。
一歩踏み出すか!?
それともまだ踏みとどまるのか!?
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